ブルーベルベット | ひでの徒然『映画』日記

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映画レビューを徒然なるままに書き綴ります。


ブルーベルベット


監督:デヴィッド・リンチ

キャスト:

カイル・マクラクラン、イザベラ・ロッセリーニ、ローラ・ダーン、デニス・ホッパー

ホープ・ラング、ジョージ・ディッカーソン、ディーン・ストックウェル、ブラッド・ドゥーリフ、ジャック・ナンス

製作:1986年、アメリカ


アメリカ、ノース・キャロライナ州ランバートン。大学生のジェフリー・ボーモントは、父親が入院したため帰郷した。早速、父親の見舞いへ病院へと向かうジェフリー。その見舞いの帰りで、ジェフリーは野原に人間の耳らしきものを見つけ警察へ届け出た。


家に着いてもあの耳が気になり、担当刑事のウィリアムズの家へ訪れるジェフリー。ウィリアムズからは他言無用ときつく言い渡されるだけだったが、ウィリアムズの娘サンディから重要な手掛かりを手に入れた。


「リンカーン通りのアパート「ディープリバー・アパート」の住人ドロシー・ヴァレンズが怪しい。」と。


ジェフリーはドロシーの家へ潜入し、証拠を掴もうとするのだが・・・。


Comment:

青年が入り込んでしまう謎の女性シンガーとの官能の世界と闇に生きる人間たちとの恐怖の世界を描いたサイコ・サスペンス。


落ちていた人間の耳はに恐怖の世界へと、ドロシーが歌う「ブルーベルベット」はジェフリーを官能の世界へと導いているかのようでした。


ジェフリーはドロシーの家へ潜入し、証拠を見つけ出そうと捜索しますが、ドロシーが帰って来てしまいます。クロゼットに隠れながらドロシーの様子を覗き見るジェフリー。ジェフリーの目線で映し出される映像によって緊張感が漂います。


しかし、ドロシーに見つかってしまいジェフリーはナイフを手にしたドロシーによって官能の世界へと・・・。


ジェフリー役にはカイル・マクラクラン。若いですね。前作「砂の惑星」から引き続き主役を演じています。好奇心と正義感を併せ持つ青年を好演しています。


ドロシー役にはイザベラ・ロッセリーニ。明らかに他のキャストとは雰囲気が異なる彼女。それがより魅力的に魅せています。何でもドロシー役には当初、ヘレン・ミレンが候補に挙がっていたとか。う~ん。イザベラ・ロッセリーニで正解だと思うのですが・・・どうなのでしょう?


官能の世界へと導かれたのも束の間、そこへ裏の世界のボス、フランクがやって来ます。異常とも呼べる彼の言動は、ドロシーを陵辱しつつ、時に母に甘えるかのように接します。その異様な光景をまたクロゼットで除き見るジェフリー。ジェフリーは何とかドロシーを救おうと、その後もドロシーの家へと訪れます。


しかし、ついにフランクに見つかってしまい、恐怖の世界へと・・・。


フランク役にはデニス・ホッパー。ドラッグ中毒から立ち直った後の復帰作にしてはキレまくっています。それがジェフリーとは間逆の人間であることを強烈に印象付けています。


何とか命は取りとめたジェフリーでしたが、もう手に負えないことを悟ります。そこで、ジェフリーを支え励ますのがサンディでした。ジェフリーを愛するサンディは名前の通り太陽のような存在でした。彼女がいなければ、ジェフリーは恐怖の世界に打ちのめされていたでしょうね。


サンディ役にはローラ・ダーン。彼女もまた若いですね。髪型がいかにも時代を物語っています。


一応サスペンスなのでラストについては伏せておきますが、デヴィッド・リンチ監督作品の中では、比較的判り易いストーリーになっているかと思います。


特筆すべきなのは、その映像でしょうね。画家志望だったデヴィッド・リンチ監督らしい配色やアイテムの配置、時には人間でさえ背景の1つとして表現しているかのようでした。本物には見えないコマドリでさえも監督のイメージするものであれば採用してしまう。あのコマドリがなかったら1つの絵が完成しなかったのでしょうね。


カルト的な初期作品の世界と今後の監督を決定付けた不可思議な世界が混在していたような作品でした。



第12回LA批評家協会賞 助演男優賞(デニス・ホッパー)、監督賞



にひひにひひにひひ