ナイン・シガレッツ | ひでの徒然『映画』日記

ひでの徒然『映画』日記

映画レビューを徒然なるままに書き綴ります。


ナイン・シガレッツ


監督:ウーゴ・ロドリゲス

キャスト:

ディエゴ・ルナ、マルタ・ベラウステギ、ルカス・クレスピ、ヘスス・オチョア、ノーマン・ストロンゴ

ラファエル・インクラン、ロサ・マリア・ビアンキ、ダニエル・ヒメネス・カッチョ、カルメン・マドリード

製作:2003年、メキシコ


凄腕ハッカーのロロは、スイス銀行へハッキングし口座のパスワードを入手した。その情報はネネとトムソンがロシアンマフィアのボスであるスボボダとの取引に使用するためディスクへと記録した。


ロロはその才能を活かして、想い人の隣人アンドレアの生活を覗き見ていた。しかし、覗き見ていることがアンドレアに気付かれてしまい、アンドレアはロロの部屋へ押し入り、自分の生活を記録していたディスクを燃やしてしまう。慌てふためくロロだが、そこへネネたちがやって来たため、その場は仕方なく、ディスクを持って取引へ向かった。


取引を行うモーテルの一室。ロロはディスクをロシアン・マフィアに渡し、すぐさま情報の確認が行われた。しかし、そこに映し出されたのはアンドレアの姿だった。ロロはディスクを間違えて持ってきてしまったのだ。


1つの間違いから、ロシアンマフィアとロロ、ネネ、トムソンとの銃撃戦が始まり、それは何の関係もない床屋と薬局の2組の夫婦にも影響を与えようとしていた。


Comment:

1つの間違いから連鎖的に不幸が訪れる展開をバイオレンスかつスタイリッシュに描いた作品。


ロロは非情に内向的な男ですが、行動は大胆。アンドレアの部屋に隠しカメラや盗聴器を仕掛け、常に自分の部屋から覗き見ていました。所謂、ストーカーですね。そんなロロの些細な間違いから起きる不幸の数々。


ネネとトムソンは訳もわからず銃撃戦になり、ネネは負傷してしまいます。トムソンはネネを救うため、薬局にネネを向かわせます。ネネはそこで働くクララという女性を脅し治療をさせます。ネネと同じタバコが好きなクララでしたが、現在は夫のベトが禁煙中のため付き合わされています。さらに、禁煙中のためなのかベトはことあるごとにクララに怒鳴り散らします。そんな生活に疲れたクララにとって、ネネとの出会いは恐怖の中にも何か吹っ切れた様子が伺えました。


一方、ズボボダも負傷していました。ズボボダの逃げ付いた先は、取引前にいた床屋。そこにいたのは、気の優しい主人のゴジョと真逆な性格の妻カルメン。2人は、再び来店してきたズボボダを不審に思いながらも招き入れます。しかし、ズボボダの傷は致命傷でした。1本の電話を入れた後、絶命してしまいます。驚くゴジョとカルメン。しかし、カルメンはズボボダの電話の内容を覚えていました。「20個のダイヤは腹の中に入れてある」と・・・。ロシアンマフィアより恐ろしい人間が、ありふれた町の小さな床屋にいました。


その間、ロロはどうしていたかというと、ただ町をオロオロしているだけ。そして、自分の部屋へ戻り、ライターに火を付けると・・・。


主な登場人物には、それぞれ「欲」がありました。


ロロはアンドレアと相思相愛になりたい。

アンドレアは複数の男と寝てでも有名になりたい。

ネネとネルソンは取引の成功によってダイヤを入手したい。

ズボボダも取引の成功によって巨額の富を手にしたい。

ベトはクララに執拗な強制や命令を与え独占したい。

カルメンは貧しい生活から逃げ出すためにダイヤを入手したい。


この7人から人間の浅ましい欲とエゴを見せ付けられたようでした。


そして、ゴジョとクララの2人は、その欲とエゴから逃げ出せた人なのかもしれません。


でも、この作品の中で一番可哀想なのは、この9人ではなく、床屋にやって来た警察官でしょうね・・・。


中盤からラストにかけてバイオレンスさがアップしていきますが、オドオドしたロロのボケっぷりとラテンの音楽が作品全体を軽快にさせていました。



にひひにひひかお