硝子のハンマー/貴志祐介

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厳重な防犯設備を施したハイテクビルの一室で、介護会社の社長が撲殺される。

容疑者とされたのは唯一犯行が可能だと思われる専務の久永。

専務の犯行を疑問視する弁護士の純子は、防犯コンサルタントの榎本と共に密室殺人の謎に挑戦する。


貴志祐介さんの推理作品です。

貴志さんの作品だけあって、ただの謎解きに終始する小説ではなく、防犯対策や福祉の問題など、メイン以外の部分で楽しめる要素がたくさんあります。


特に次々と犯行の仮説を立てて検証していく前半部分は読みごたえがありました。

ただ、本作以前に発表されてきた作品と比べて、読者を惹きつける魅力が若干弱いような気がします。

用いられているトリックは特徴的ではあるものの、身近に感じるには少々特異すぎて、真相が明かされても「なるほどね」と思うだけで、動機や人物背景に重点を置いて読む自分の好みにはちょっと合いませんでした。

登場人物も女性弁護士や防犯コンサルタントなど初期設定は良いのですが、その分人格的な描写を抑えすぎている気がします。

やはり「黒い家」や「天使の囀り」などのホラー作品に適性のある作家さんなのではないでしょうか。

まあ、作者さん自身まだ推理小説の執筆には慣れていないでしょうし、続編も連載されているようなので、推理分野での更なる発展を期待したいと思います。


ホトケ的採点
ストーリー:14

登場人物:12

文章:18

その他の要素:17

総合:61

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