毛の長いしろいねこ

毛の長いしろいねこ(しろねこ)と、弟分の茶色のとらねこ(ちゃとら)のすることなすことなど


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朝、外は既に明るくなっていて、いつもなら…原発の事故以来猫専用出入口をふさいでしまったので、飼い主の判断で出してもらえたり、もらえなかったりする…晴れていれば早朝の散歩(?)に行くところなのだが。

外は雨が降っていたので、出してもらえるはずはなかったのだが。

まだ暗いうちに しろねこ も ちゃとら も昨日の手作りゴハンの残りやドライ・フードをしっかりと食べ、水も飲んだのを確認していたので、まぁいいかと、そのまま しろねこ はサンテナに、ちゃとら は我が家特製の洗濯用バスケットに、それぞれペット・シーツを敷いて入れられてしまった。

あとは、二つの荷物のように…ワンボックス・カーの広い荷台は引っ越しの荷物で一杯だが、出来るだけ上の方に…積み込まれ、多分猫たちは二度と戻ることのない我が家を後に、出発した。

車の中で、ちゃとら は大きな声でひっきりなしに鳴きわめいた。時折鳴き止むが、疲れたか、眠ったのか。

しばらくするとまたわめき始める。

しろねこ は、同じような体験が三度目になる。過去二回のことを覚えているものかどうか ちゃとら の大きな声に誘われてのこともあるのか、ちゃとら の声の合間に しろねこ も鳴いている。

道中の半ばを越えたころ、ホームセンターに車を止めて、飼い主は休憩と体を動かすために、水分を含むキャットフードを探してみることにした。

手で開けられる器付きの個別に与えられるものを見つけて求め、サンテナの しろねこ の様子を見ながら与えた。脱水や空腹や切羽詰まった感じはなく、目的地まで行けそうだ、と。

続いて ちゃとら は。

ちゃとら は、要するに狭いバスケットから外に出してほしい!と訴えているものの、体調が悪いのでも、車に酔ったのでも、お腹が空いたのでもなさそうだった。大丈夫、あとは、出来るだけ早く新居に着けるように行けばいい。

予定より少し早く新居に着いた。まず、家の中に猫たちのサンテナとバスケットを運び、扉を閉めてふたを開けた。

まずは、手作りゴハンを作る。

しろねこ は二階への階段を飼い主が上がるとすぐについて上がってきた。過去に二階のある家に二度住んだことがある。

ちゃとら はなかなか上がろうとしなかった。

が、しろねこ が何度か飼い主と共に上がったり下りたりするうちに、不器用にハシゴに毛の生えたような急で段のまばらな階段を上ってきた。この階段は、なれないとケガをかしかねない。

ちゃとら はなかなか下りて来なかった。様子を見に行くと、二匹は二階の思い思いの場所で眠っていた。 しろねこ は押し入れの布団の上、ちゃとら は開いていた洋ダンスの中が気に入ったようで、前後不覚に眠っている。

ちゃとら は、あれほど大きな声で大鳴き・大泣きしたのは昨年の九月の終わりの日曜日に捨/棄てられた時以来。すぐ爪を立て、かじる癖は今ではほとんど出なくなったし、しろねこ にからむことも少なくなった。

夕方になり、二匹はしきりに外に出たがった。「出してみようか」と家族が。

飼い主はみな外に出て、ものを運んだり何かと忙しいのに、扉を開け閉めするたびに猫たちが出ようとするのを止めるよりも、かれらを見守っていた方がいいかもしれない、と。

猫たちは、外に出ると辺りの木々に登ったり、あちこちを探検したり、飼い主のあとについて歩いたり、何となく飼い主の目の届くところにいる。

しろねこ が長い進入路を下って行きかけたので一緒に下りて行ってみると、隣の家が見えるところまで行って、戻ってきた。他所の土地に来たことを確認したかのように。

しろねこ は、旧居に引っ越したとき、押し入れにこもって二日三日ものを食べずに過ごした。

その前の家に引っ越したときは、しろねこ の母猫(故猫)がしばらくすると家出した。

今回は、少なくとも今のところは二匹とも山の中の隠れ家のようなこの家を、多分面白がって、好奇心で一杯になっているような気がする。

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夕方いささか遅くなったが、風呂場の掃除があらかた終わって、さてコーヒーでも入れて、と思い始めたころ ちゃとら が外でしきりに鳴いているのに気がついた。

「ちょっと待っててね!」などと声をかけながら急いで掃除の残りを終えて玄関の扉を開けると ちゃとら は走り込んできた。見ると、短毛の毛皮は表面だけだが濡れている。全身水を浴びたようで、四肢は泥だらけ。

体中が濡れているので、いつもとはいささかちがって切羽詰ったように鳴いていたものらしい。

いつもの猫拭き用布では間に合いそうにないので、古いバスタオルを半分に切った猫専用タオルを持ってきて、ポットのお湯で濡らして拭くことにした。ちゃとら は放射性物質入りのチリがどのくらい着陸しているかわからない泥水を、タオルや布の用意をしている間にも一生懸命に舐め始める。

「ちょっと待って、待って」などと言いながらとにかく手早く全身の汚れを落としてやるほかない。

ちゃとら は湿ったままの毛皮でもさすがにもう寒くないらしく、手作りゴハンを食べ始めた。

間もなく しろねこ が帰宅していつものように落ち着いたしゃがれ声で鳴いた。玄関の扉を開けると、こちらはさすがに古ダヌキ(失礼!)なのか、ほとんど毛皮は汚れていないし、四足の肉球もきれいなものだし、まして毛皮はしっかりと乾いたまま。

濡れた猫布で拭いてやるまもなく しろねこ も手作りゴハンを食べ始めた。

我が家の、特に しろねこ は手作りゴハンができたのを見届けると外へ行ってしまう。帰宅してやっと食べ始めることが圧倒的に多いのは、外で用足しをし、運動して空腹になってから食べる方が美味しいとでも思っているのかしらん。


※この記事は、ケータイで投稿後書き足しました、あしからず。

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家族が車で出かけるのを見送り、家に入ろうとしたら。

道と田んぼをはさんだ向かいの家から猫の「ギャーォ」というような声がして ちゃとら がピィピィ鳴きながら駆け戻ってきた。

後ろから、近所のシャム猫くずれの飼い猫が、田んぼの中の向かいの家の進入路の途中まで追いかけて来た。

ちゃとら は、名まえを呼んでうながしてやると、玄関から家の中へ小走りに駆け込んだ。

ちゃとら の背中と足…ほぼ全身の毛皮の表面…がびしょ濡れだった。追いかけたり追いかけられたりしているうちに、田んぼの脇の用水路…小さな溝は幅も深さも十センチぐらいか…にでも落ちたのかも。

折しも断水していて、何時かのように、台所の湯沸し器のシャワーは使えない。

風呂場で水をサッと掛け、部屋へ逃げ戻った ちゃとら をタオルで拭きながらケガはないか確認した。昨日の肉球以外痛がるところはないみたいでまぁよかった、と。

ちゃとら は牡猫だから、いずれそのうちには傷だらけになって帰ってくるようになるのだろうか、臆病な甘えん坊だと思っているうちに。

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雨が降りだしそうなので、しろねこ も ちゃとら も家の中にいる。

猫たちは、カーテンの向こうに寝そべっていた。

と、突然「ウヮァァオ」と、サカリのときのような大声がした。

最初、昨日あたりから唾液を戻し、毛球症対策ペーストを舐めさせている しろねこ が遂に気持ちが悪くなって、戻し始めたのか、と様子を見に行くと。

「ウヮァァオ」の声の主は ちゃとら だった。ちゃとら は窓の外を見下ろしている。

ちゃとら の視線の先には、しばらく前に しろねこ が近所の空き家でケンカをしたことのある茶色い複雑な毛色のメス猫が、窓の下の道に座り、こちらを見上げていた。

ちゃとら はあのメス猫に対し、対抗意識を燃やして威嚇していたのだろうか、それとも相手がメス猫だから…だろうか??

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