木原音瀬さんの『MUNDANE HURT』読みました。

帯に【ありふれた痛み(マンデインハート)】とありますが、
ありふれてるなんてとんでもない!
容赦ない痛みでした。

『WELL』『FRAGILE』と並ぶんじゃないだろうか。
これは心が弱ってる時に読むと厳しそうです。
私は最近、回復してきてるので楽しめましたが(笑)

それでも、久しぶりの木原節にやられました。

受が見事なクズっぷりでしたが、
それが、逃げとか自己弁護とか甘えとか、
人の心には大なり小なりあるものが起因しているので、
物語の中だけの事と割り切れず、
読んでる私の心が何度も斬りつけられた感じ。

ラストもいっそ清々しいほど振り切れてます。

あとがきでその後のフォローがありますが、
そこに至るまでにはさらなる痛さがあるに違いなく、
楽しみなような、怖いような複雑な心境に(笑)

やっぱ、木原作品、好きだわぁ♪

甘さ皆無のコッテコテな木原節が苦手な方はご用心!
(どちらかというと酷原作品に近い味わいかもなのでw)

ここだけのナイショ話。
この本の発売を知った際に、
タイトルの「MUNDANE HURT」
「マンデイン」と読むことができず、
入力の際のローマ字読み「ムンダネ」で覚えてしまったので、
正しい読みを知った今でもついつい
「ムンダネハート」と読んでしまいます←おバカ過ぎる

MUNDANE HURT
 著者:木原音瀬 イラスト:井戸ぎほう

BBN BL小説 2016年5月
★★★★
MUNDANE HURT (ビーボーイノベルズ)/リブレ出版
¥1,102
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◆あらすじ(裏表紙)
高校の体育祭で西崎は堅物だと思っていた長野の走りに視線を奪われた。
遊びで長野を落とそうとするがセオリー通りにいかない長野に西崎は次第に本気になる。
何とか落としたが今度は鬱陶しくなりすぐに振ってしまった。
卒業後、何でも手に入れてきた西崎の人生は一変する。
孤独になり薬にも手を出した西崎は極道に命を狙われる。
助かるには弁護士になった長野からあるデータを手に入れなければならず……!
立場が変わった二人の愛の行方は…。 ◆


以下の感想は読メからコピペしたものです。

「クズはクズのまま」――
まさしく。
そうそう変われないのが人間だもの。

でも、物語をそれで終わらせられるのは
木原さんだからこそだなと痛感し、
久しぶりの木原節にボコボコにされた気分。

その痛みゆえ、ページを繰る手を止めて
無意味に部屋の中をうろついては本に戻る
というのを何度繰り返したことか。

西崎が受ける痛みは自業自得の度合いが高いので
「ざまぁ」なんだけど、
人間の心の弱さをこれでもかと見せつけてくる描写に
読んでる私の心がザクザク抉られて…。

そして、物語の行き着いた先は
情けの欠片もないエンドだけど不思議と納得。

それは、読み終えた瞬間、私の脳裏に、
西崎の手を取る長野の姿が浮かんでしまったから。
そんな長野に西崎は食らいついて離れないだろうなと(笑)

余談を一つ。
弁護士である長野に真実を打ち明ければ
打開策が見つかるんじゃないかと思いながら読んでたが、
その考えが浮かばないのが
西崎のおバカさ加減というか、クズたる所以なんだろうか。
そう考えると、彼が可愛く思え……ないな、やっぱり。

(読了日2016/7/12)

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