華籐えれなさんの新刊です。

ベネツィアが舞台の時代物です。
主従関係下克上。
でもそこに愛はなく、
あるのは憎しみだけ…。

読んでて辛かったです。
でもハマって一気読み。
できればもっとたっぷりと読みたかったくらい。

華籐さんの美しい文章と
高階佑さんの美麗イラストが
ベストマッチングで、
とてもステキな世界でした。


うたかたの愛は、海の彼方へ 著者:華籐えれな イラスト:高階佑
ガッシュ文庫 BL小説 2010年8月
★★★★
うたかたの愛は、海の彼方へ (ガッシュ文庫)/華藤 えれな
¥650
Amazon.co.jp


◆あらすじ(文庫裏表紙)
それはありえない再会だった―――。 海軍の勇将として名を馳せるベネツィア貴族のレオーネは、秘密裏の会談のためオスマン・トルコから使者を迎えた。だが、そこにはいるはずのない男がいた。かつて兄のように慕った従者のアンドレア。彼は戦死したはずなのに…。 敵国の使者となった彼は国(ベネツィア)の不手際の代償にレオーネの身体を要求する。「ずっと夢見ていた。おまえに最高の屈辱を与える日を」国のために応じるしかないレオーネは、夜ごとアンドレアから快楽を教え込まれることになり…!? ◆



レオーネにとってアンドレアは
かけがえのない大切な存在だった。
そのアンドレアを救うためにしたことが
結果として見捨てた形になってしまったのです。
アンドレアに誤解されたまま。

自分が彼を守りきれなかったことで

レオーネはずっと自分を責め続けているのですが、
戦死したと思っていたアンドレアとの再会は
さらにレオーネを過酷な状況に追い込んでいきます。

アンドレアから向けられるのは憎しみだけ。
自分を見捨てたレオーネに対する復讐のために
彼をオスマン・トルコのスルタンの男娼に仕立てようとします。

レオーネ、誤解を解こうとしないんですよ。
それが自分の罪だからと。
アンドレアの憎しみを真っ向から受け入れようとします。

たとえ自分の首がはねられようとも
男娼として慰み者になろうとも
それでアンドレアの心が救われるならいいと…。

アンドレアの調教が始まりますが
そこには愛のカケラもないです。
本当に憎しみだけなんですよ。

読んでて辛くてね。
冷酷にレオーネの身体を嬲るアンドレアの描写のどこかに
愛は含まれてないのか、伏線は張られてないのかと
救いが欲しくて、探しながら読んでましたが、
見事なまでに、ありませんでした。

ただただレオーネに対する憎しみだけ。
でも、レオーネは酷い仕打ちを受けながらも、
自分のアンドレアへの感情が愛だと気付くのです。
単なる罪の意識だけではなく、
アンドレアを愛しているのだと…。


そして、話が進むと
その憎しみと復讐には
もっともっと深い因縁があったのだとわかってくるんです。

レオーネにとってアンドレアと過ごした10余年は

とても幸せな日々だった。
でも、アンドレアにとっては
全く逆の復讐の為だけの日々で、
その要因に自分の存在があると知るんです。

それでも、アンドレアに対する想いは変わらない。
報われることはない想いだと知りながら。

復讐のためだけに生きる男と
復讐されながらも、愛し続ける男。
そのすれ違いがとてももどかしくて切なくて…。


厚めの文庫ですが
終盤の切なく甘い展開を
もっと深く読みたかったくらいです。
その後の二人の様子も知りたかったし。

レオーネの兄というのが脇役で出てきますが
美麗で華奢な外見に反して
かなりの策士みたいで
なかなか味のあるキャラのようですwww

スピンオフでこの兄ちゃんの話も読みたいです。
それに、アンドレアとレオーネのその後も盛り込まれてたらいいなぁ!
なんて思いました。(≡^∇^≡)


そして、階さんの絵、いいですよ~!
中世なんで衣装もステキで!
特にトルコの民族衣装のアンドレアが!
黒髪、いいなぁ~黒髪!
ターバン巻いてるのもいいですよね~!

高階さんのあとがきの絵はアンドレアですが
これがまたかっこよくって!めっちゃ滾ります!



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