独立直観 BJ24649のブログ

流行に浮かされずに独り立ち止まり、素朴に真っ直ぐに物事を観てみたい。
そういう想いのブログです。


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 前回の記事で、水島総「国家百年の大計を謝った安倍政権」(「正論 2016年3月号」、104ページ以下)の一部を取り上げ、批判を述べた(http://ur0.work/scpg)。
 同誌掲載の他の論考と突き合わせると、水島氏が「大恥」だということがわかった。
 他の部分も酷く、この水島論考を読んで「我が意を得たり」と思う人はどれだけいるのかと、甚だ疑問だ。
 「大恥」に対応させた言い方をすれば、「大嘘」が含まれている。




 一言で言ってしまえば、いわゆる「報道しない自由」だ。
 水島氏は意図的に考慮すべき事柄を隠す。
 なぜそう言えるか。
 水島氏は第一次・第二次安倍内閣を振り返るが、触れて然るべき文脈で安倍総理大臣の実績に触れない。
 なんとなく論じて、こうはならない。明らかに意図的だ。
 「安倍政権不支持」に向けて、恣意的な事実の取捨選択が行われている。

 具体的な記述を見ていく。
 まず、第一次安倍内閣に関する記述だ。


106~107ページ

「 八年前(※)、地ならしとも言うべき事件があった。二〇〇七年七月三十日、米国下院本会議で可決された「アメリカ合衆国下院121号決議」である。この決議は日本軍慰安婦制度を「かつてないほどの残酷さと規模であった二十世紀最大の人身売買の一つ」とし、「性奴隷にされた慰安婦とされる女性達への公式な謝罪、歴史的責任、あらゆる異論に対する明確な論破及び将来の世代にわたって教育をすることを日本政府に要求する」と明記されていた。
 しかし日本政府は反論も抗議もしなかった。安倍総理も「残念だ」とコメントするにとどまった。この決議が八年後に日韓合意として結実し、下院決議が世界史的「正当性」を得たのである。今回の日韓合意は、安倍総理と日本政府公認の合意であり、河野官房長官談話とは比較にならぬほど罪は重い。

※ 日韓合意の8年前の意。本誌発売年からは9年前。


 まるで安倍総理大臣が何もしない無能のような書きぶりだ。
 安倍総理大臣は「対米従属「戦後保守」政治家」だという評価に持っていくため(110ページ)、水島氏は「安倍はアメポチ」という印象を抱かせようとしていると思われる。
 私の先月24日の記事をご覧になった方はお気づきだろう(http://ur0.work/scpz)。
 安倍総理大臣は、この下院決議の4カ月前、アメリカ下院がこの決議案を準備している時に、「強制連行の証拠なし」という趣旨の答弁書を閣議決定している。
 安倍自民党は河野談話の見直しをも検討していた。
 この閣議決定の前にも、安倍総理大臣は記者会見で同趣旨の発言をした(櫻井氏は上の閣議決定よりもこちらを重視している模様。「WiLL 2016年3月号」(ワック)32ページ)。
 残念ながら、この発言が朝日新聞やニューヨーク・タイムズに歪められて報道されてしまったことなどから、決議に反対していた共和党の議員まで賛成に回ってしまった(産経新聞社「歴史戦 朝日新聞が世界にまいた「慰安婦」の嘘を討つ」(産経新聞出版、平成26年)214ページ)。
 この下院決議の後も、安倍総理大臣は反論を試みている。ただし、この反論は曖昧過ぎて逆効果だったという批判はある。
 在米日本大使館の動きが鈍かったなどの批判もあるが(同上、「WiLL 2014年11月増刊号」(ワック)23ページ[櫻井])、とにかく、安倍総理大臣はこの下院決議に対して何も反論しなかったわけではない。
 むしろ、それまでの歴代内閣の中では最も踏み込んだ発言をしたと言うこともできる。
 水島氏はこれだけの出来事をなかったことにしようとしている。「残念だ」の一言でまとめられるものではないはずだ。


「衆議院議員辻元清美君提出安倍首相の「慰安婦」問題への認識に関する質問に対する答弁書(平成19年3月16日閣議決定)(抜粋)」 外務省HP平成19年3月16日
http://ur0.work/scyD

「慰安婦問題については、政府において、平成三年十二月から平成五年八月まで関係資料の調査及び関係者からの聞き取りを行い、これらを全体として判断した結果、同月四日の内閣官房長官談話(以下「官房長官談話」という。)のとおりとなったものである。また、同日の調査結果の発表までに政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかったところである。


櫻井よしこ編 「日本よ、「歴史力」を磨け 「現代史」の呪縛を解く」 (文藝春秋、2007年) 30~32ページ [櫻井よしこ執筆]

「私たちは安倍首相の「曖昧戦略」でよいのか否かを検証する必要があろう。
 首相は、二〇〇七年三月一日、記者会見で慰安婦問題に触れ、「強制性を裏付ける証拠はなかったのは事実ではないか」「(強制性の)定義が変わったということを前提に考えなければ」と語った。河野談話の継承については言及しなかったものの、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストなど米有力紙は二日の紙面で、「首相が河野談話を全面否定した」と、こぞって書きたて、さらに国粋主義者、歴史修正主義者であると批判した。
 知日派で保守派のマイケル・グリーン氏でさえ、日本側の反論に反対を表明したことはすでに触れた。ブッシュ大統領の支持層とも重なるエバンジェリカル(福音伝道派)の人々も安倍発言に強く反発したなどの情報も日本に伝えられた。
 一連の反発を受けて、四月に訪米した安倍首相はこう述べた。
「二十世紀は人権が侵害された世紀であった。日本国もその例外ではなかった」と。言外に「日本だけではなく他国も同様のことをした」というニュアンスを含めた
のだが、米メディアは「安倍首相は謝った」と報道した。
 首相発言は果たしてこれで良かったのだろうか。私は今でも、首相は二つの事を言うべきだったと考える。
 第一に、どんな個人的事情があったとしても、慰安婦として働かざるを得なかった女性たちには、心底、同情し、気の毒に思うということだ。女性たちに対する同情の念は、およそ全ての日本人の真情であり、首相には日本代表としてその想いを表現してほしい。
 第二に、日本人と日本軍は同じようなことは二度と繰り返さないとしたうえで、当時、日本政府や軍が強制連行した事実はないのだと、勇気をもって言うべきだったのではないか。

 それでも安倍首相は「二十世紀は人権が侵害された……」と、先述の発言をした。歴代の政権、歴代の首相らよりもはっきりと踏み込んで発言した。その点を評価する一方でただ、日本の立場としては、これだけでは不十分なのであり、首相発言の意味をよりよく伝えていく努力が必要だ。そのために議員レベルでの日常的な意見交換、情報交換を積極的に推進していかなければならないのだ。
 米国議会の多くの選良たちと日常的に交流して、冷静に、事実を語っていくことが欠かせない。人間が、誤ったデータを鵜呑みにして一度信じこんでしまったことを改めるのは、容易ではない。歴史問題について定着しつつあるおどろおどろしい日本のイメージを変えていくのは、その意味で、容易ではない。米国人の認識を改めていくのは、間違いなく非常なる困難を伴うであろう。しかし、誰かがどこかで、その課題に挑戦し始めなければならない。」


 櫻井氏のこの論述は、第三次安倍内閣の流れを想起させる。
 安倍総理大臣は、戦後70年談話と今回の日韓合意で慰安婦に同情を表現し、反省を示し、そして、勇気をもって、安倍政権は国連において吉田清治の「慰安婦狩り」証言がウソであるという事実を言っている。
 安倍総理大臣は、櫻井氏の提言などを踏まえて第一次安倍内閣の反省をし、実践しているのではないか。
 議員同士の交流については、慰安婦問題について意見交換しているかはわからないが、安倍自民党が議員外交をして拉致問題についてアメリカの議員と意見交換していることは13日に紹介した(http://ur0.work/scpE)。

 水島氏が言う「河野官房長官談話とは比較にならぬほど罪は重い」については、ここでは大まかな見方を示すにとどめる。
 今回の日韓合意を「罪」とする人としない人とは、どこに差異があるのだろうか。
 今回の日韓合意には、ざっくりと言えば、慰安婦問題を巡る歴史戦東アジア安全保障の2つの側面がある。この2つの要素の組み合わせで「罪」とするかどうかが大体決まると言ってよいだろう。
 1つの考え方は、②の要請があっても①で譲歩したら「罪」だというものだ(A)。藤岡信勝氏や中西輝政氏がこういう考え方だと思われる。水島氏はこの部類ではあるが、②の要請を極端に否定している感がある(下記)。
 もう1つの考え方は、①で譲歩しても②の要請を総合すれば「罪」ではないというものだ(B)。櫻井よしこ氏や西岡力氏がこういう考え方だと思われる。阿比留瑠比氏もこの部類ではあるが、①について櫻井・西岡よりも肯定的な感がある。
 (A)と(B)を極端に対比させれば、(A)は釜山に赤旗が立っても構わないとする立場で、(B)は釜山に赤旗を立ててはいけないとする立場となろう。
 拉致問題の視点も絡んでいて、(A)は拉致問題との関係性を特に見出さず、永続する国家の名誉の問題と考えるのに対し、(B)は拉致問題との関係性を見出し、(A)に加えて有限な国民の生命の問題をも加味する。
 ただし、(B)も、①について積極的な利益を見出してはいないようである(阿比留氏を除く)。櫻井氏は河野談話の否定ができなくなって残念だという旨を言い、西岡氏は今回の日韓合意は慰安婦問題の解決にはつながらないという旨を言う。
 言わば、(B)も今回の日韓合意は①について「罪」にあたるとしつつも、②に鑑みて「罪」は成立しないとしている節がある。(A)から見れば、「罪」は「罪」と言うべきだということになろう。
 そこで、何をしたら①について「罪」のない有益なものだと評価されるのか、①の「ゴールポスト」およびそこに到る道筋が気になるところではある。 
 今のところこういう見方をしているということを指摘するにとどめる。

 次に、水島氏の第二次安倍内閣に関する記述はこうだ。


108ページ

「 戦後七十年にして、「東京裁判」ででっち上げられた自虐史観と残酷で野蛮な皇軍という歴史捏造に、安倍政権は、それを肯定するが如き公式的な了解を米国と韓国、いや、世界中に与えてしまった。このままでは、私たち民間人が、自力でこつこつ実証的に調査し、発表し、抗議運動等を行い、朝日新聞の慰安婦の強制連行説を撤回させたのに、全ての努力は無に帰せられる。」


 朝日新聞が慰安婦問題の誤報を認める2カ月前に、第二次安倍内閣は河野談話の作成過程を検証し、結果を公表ししているのに、水島氏はこれに触れない(河野談合の公表。これが平成26年6月20日。朝日新聞が慰安婦問題検証記事を載せたのが同年8月5日。)。
 これは第二次安倍内閣の、慰安婦問題についての重要な実績だと言えよう。
 そのきっかけを作ったのは日本維新の会だ。杉田水脈衆議院議員(当時)が中心となって安倍政権に促した。
 松木國俊氏は河野談合の公表が朝日新聞を追い詰める上で効果があったことを指摘している。


松木國俊 「朝日は全国民の前に土下座せよ」 (「WiLL 2014年10月号」、ワック)74,75ページ

「(朝日新聞は慰安婦問題について誤報を認めてこなかった。)
 ところが、風向きが変わった。昨年十月一六日付で、産経新聞が「河野談話」の根拠となった元慰安婦の聞き取り調査が杜撰極まるものであったことを暴露したのだ。一挙に「慰安婦報道」に対する国民の関心が高まり、今年に入って政府有識者検討チームが結成され、「河野談話」の作成過程が明らかになった。
 新聞や雑誌が一斉にこの問題をとりあげたなかで、朝日の偏向ぶりが際立ち、朝日の読者もさすがに「おかしい」と気づいたのだ。もはや読者を誤魔化すことはできない。追い詰められた朝日は、ついに「虚報だと判断し、記事を取り消します」と自白して白旗を揚げ、同時に新聞社の命である読者の信頼を喪失し、日本人に自虐史観から目覚める機会を与えてしまった。


 従来、産経新聞くらいしか取り上げなかった朝日新聞の慰安婦問題についての捏造報道が、第二次安倍内閣による河野談合の公表によって、他紙や雑誌までも盛んに取り上げるようになった。
 そして朝日新聞は追い詰められていき、誤報を認めるに到った。
 水島氏は第二次安倍内閣のかかる実績も無視する。
 なお、水島氏が河野談合の公表を周知するのに消極的だったことは昨年末に述べた(http://ur0.work/scpG。関連記事としてhttp://ur0.work/sczk)。

 これだけでも水島氏が「大嘘」であることは明らかだと思う。
 しかし、これだけでは終わらない。
 驚くべきことに、記憶が新鮮な第三次安倍内閣の最近の事柄についても、水島氏は嘘をつくのだ。


106ページ

「 一月十八日安倍総理は参院予算委員会で、「軍の関与の下に」とは、慰安婦狩りなど強制連行や性奴隷化などではなく、慰安所の設置、健康管理、および衛生管理と移送についてのみであると答弁し岸田外務大臣も性奴隷という言葉は不適切だと答弁した。しかし、国内でいくら呟いても、合意発表以来、海外のほとんどのメディアが、皇軍が二十万人以上の処女を強制連行し、犯し、殺し、残虐非道を行ったと一斉に報道している。本来、日本政府は、総力を挙げ、その存亡を賭けても、反論反証しなければならぬ立場のはずである。このまま曖昧に放置すれば、海外メディアの捏造報道が、日本政府公認の世界史の事実として認定、確定されてしまうだろう。
 この点で、安倍政権は、先の衆議院選の公約にも違反している。「虚偽に基づくいわれなき非難に対しては断固として反論し、国際社会への対外発信等を通じて、日本の名誉・国益を回復するために行動します」との公約だったが、政府も自民党も、外務省も、年末の「合意」以来、各国主要メディアに対して、反論や抗議らしきことは一切行っていない。


 ネット保守の間で、日韓合意反対派が同日の宇都隆史参議院議員(自民党)の質問を「スルー」していることが話題に上ることがある(http://ur0.work/sczn)。
 宇都議員の質問に対する岸田大臣の答弁を見ると、水島氏が嘘をついていることがわかる。


「【参院予算委】 岸田外相「性奴隷は不適切で使用すべきでない」」 産経ニュース2016年1月18日
http://ur0.work/scyI

「 岸田文雄外相は18日午前の参院予算委員会で、慰安婦問題に関する昨年末の日韓合意に関し、欧米の一部メディアが慰安婦を「性奴隷」と表現していることに関し、「不適切な記述には適切に申し入れをしている。性奴隷という言葉が不適切であり、使用すべきではないというのが日本の考え方だ」と述べた。自民党の宇都隆史氏の質問に答えた。」


 「反論や抗議らしきことは一切行っていない」わけではない(ちなみに、「正論」同号の西岡論考はこの岸田答弁を引用している。その上で、国際広報の体制が不足していることを指摘する。84ページ)。
 なお、水島氏は安倍総理大臣の答弁を引用しているが、この引用部分の直後に「従来述べてきた通りだ」と言っている(http://ur0.work/scyK)。
 安倍総理大臣は、先月18日に初めてかかる発言をしたわけではない(http://ur0.work/sczp)。

 第一次安倍内閣から第三次安倍内閣にかけて、水島氏の論述は恣意的に考慮すべき事実を隠すという「大嘘」に貫かれている。
 これだけでも十分酷いのだが、水島氏の論考には他にも嘘が混じっている。


104,105ページ

「(安倍総理大臣が民主党の緒方林太郎衆議院議員から「拉致を使ってのし上がったのか」と問われ、激怒して反論したことを紹介)
 斯くの如き謂われなき誹謗中傷と名誉毀損に、激怒し、反論するのは当然である。そうすべきだし、そうしなければならない。
 では、やってもいない「強制売春」や「性奴隷」という謂われなき誹謗中傷を受け、名誉と誇りを傷つけられた皇軍将兵の場合はどうなのか。世界一軍律が厳しかった天皇の軍隊が、外国から悪逆非道のそしりを受けたら、一体、誰が天皇陛下と皇軍将兵に代って、激怒し、反論するのか。当然、今を生きる日本国首相や私たち日本国民ではないのか。総理は自分に対する誹謗中傷には激怒し反論しても、先祖や英霊だと反論や激怒をしないのか。


 水島氏は、安倍総理大臣は慰安婦問題に「激怒」していない旨を言う。
 これは嘘だと言って差し支えない。
 安倍総理大臣が若手の頃から慰安婦問題に激怒していたことは、先月18日に紹介した通りだ(http://ur0.work/scpK)。


安倍晋三 「軌跡 安倍晋三語録」 (海竜社、2013年) 133ページ

「 一九九七年、中学校の歴史教科書に「従軍慰安婦」に関する記述が掲載されることになった時も、一緒に闘いました。有志が集まり、「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」を結成、昭一さんがその代表に、私が事務局長となり、自虐教育の是正に奔走したのです。
 昭一さんが凄かったのは、歴史観や国家観に関わることは、妥協を一切しなかったこと。私たちは何回も勉強会を開き、徹底して理論武装に努め、意見の異なる学者らも呼んで議論をしましたが、今から振り返っても、圧勝だったと思います。証拠もなく軍関与の慰安婦連行を認めた河野談話の撤回を、河野洋平氏に直接迫ったこともありました。
 今、中学校の歴史教科書に、「慰安婦」の文字はありません。自国をマゾヒスティックに貶めるような内容も、まだまだ改善は必要ですが、ひと頃に比べれば良くなったと言えるでしょう。それは昭一さんの、闘いの成果なのです。」


 激怒しているからこそ、故中川昭一氏とともに「奔走」もするし、自民党の大先輩の河野洋平にも詰め寄るのだ。
 なぜか水島氏は在韓日本大使館前の慰安婦像について触れないが、これについて安倍総理大臣が「激怒」していることも9日に紹介した通りだ(http://ur0.work/scpM)。


「安倍晋三の突破する政治 慰安婦問題に垣間見える民主外交の敗北」 zakzak2011年12月21日
http://ur0.work/scyM

「大使館前の「慰安婦の碑」建立などは、自国の法律を無視して日本の尊厳を著しく傷つける暴挙といえる。」


 激怒しているからこそ「暴挙」という非難の言葉が出てくると解される。
 さらに、正論同号で阿比留記者はこう伝えている。


阿比留瑠比、秦郁彦 「安倍首相「最終的かつ不可逆的解決」の行方」 (「正論 2016年3月号」、産経新聞社)

101ページ

「韓国の経済力、これはGDPでみると九州と変わらない規模で別に韓国などなくても構わないぐらいの勢いでした。むしろ官邸には韓国への怒りが凄まじかったくらいです。」

102ページ

官邸は韓国に心底冷め切っています。もちろん表向き韓国は必要な国で、韓国が緩衝地帯として存在する日本の安全保障上の意義もきちんと認識しています。ですから表立っては言いません。しかし、韓国などどうなってもいいよと内心思っているのではないでしょうか。」


 これで激怒していないと言うほうが無理だろう。
 従来から激怒しているし、今も激怒しているのだ。

 水島氏は、安倍政権が「反論」しないと言う。
 これが嘘であることは上で紹介した岸田答弁で明らかだ。
 水島氏はなぜこのような嘘をつくのか。
 水島氏は、今回の日韓合意は日本政府に反論をできなくさせるものだと解している。
 だから、反論しているという事実は水島氏には都合が悪いのだ。


105ページ

「 平成二十七年の年末十二月二十八日、日韓両政府が慰安婦問題の決着で合意をしたとの報道が飛び込んできたとき、私はにわかに信じられなかった。完全に旧日本軍の関与する「強制売春」や「性奴隷」を追認するが如きの内容の「合意」だったからだ。
 「日韓合意」の日本側からの発表の主な内容は以下の通りである。
(中略。日韓合意の日本側声明の部分的引用。原文はhttp://ur0.work/scyN
 この文章は、どこをどう読んでも、安倍総理及び日本政府が、朝鮮人慰安婦問題について、「軍の関与」を公式的に認め、朝鮮人慰安婦が「数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒やしがたい傷を負われ」た事実も認め、日本国首相が「心からのお詫びと反省の気持ちを表明し」て謝罪し、「日本政府の予算で資金を一括で拠出し、日韓両政府が協力し、全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の癒やしのための事業を行う」ために十億円を支払うとしか読めない。そして、この「合意」は「不可逆的」なものだと言うのである。不可逆とは韓国側に適用されるだけではない。日本国側も、歴史の真実を正すための行動や反論批判情報の発信さえも出来なくなることを意味する。


 水島氏の解釈するように、国連等国際社会において「歴史の真実を正すための行動や反論批判情報の発信さえも出来なくな」ったのだろうか。
 周知の通り、安倍政権は国際連合で勝負に出た。


「【慰安婦問題】 「朝日新聞が『捏造』を報道」「20万人も混同」…政府が国連委でようやく反論」 産経ニュース2016年2月17日
http://ur0.work/scyO

「 【ジュネーブ=田北真樹子】日本政府は16日午後(日本時間同日夜)、国連欧州本部で開かれた女子差別撤廃委員会の対日審査で慰安婦問題に関する事実関係を説明した。

 政府代表の外務省の杉山晋輔外務審議官は強制連行を裏付ける資料がなかったことを説明するとともに、強制連行説は「慰安婦狩り」に関わったとする吉田清治氏(故人)による「捏造(ねつぞう)」で、朝日新聞が吉田氏の本を大きく報じたことが「国際社会にも大きな影響を与えた」と指摘した。また、「慰安婦20万人」についても朝日新聞が女子挺身隊を「混同した」と説明した。日本政府が国連の場でこうした事実関係を説明するのは初めて。

 杉山氏の発言はオーストリアの委員からの質問に答えたもの。この委員は、これまでの同委員会やほかの国連の委員会からの最終報告が元慰安婦への賠償や加害者の訴追などを求めていることを指摘、被害者中心の対応について質問した。

 杉山氏は昨年末の日韓外相会談で、慰安婦問題は最終的かつ不可逆的に解決することで合意したことを説明した。

 その上で、強制連行が流布された原因は吉田清治氏が執筆した本で「吉田氏自らが日本軍の命令で韓国の済州島において大勢の女性狩りをしたという事実を捏造して、発表したため」と指摘した。」

http://ur0.work/scyQ

「 吉田氏の本の内容が「朝日新聞社により事実であるかのように大きく報道され、日本韓国の世論のみならず国際社会にも大きな影響を与えた」とも述べ、内容は「複数の研究者により完全に想像の産物であったことがすでに証明されている」と明言した。

 また、朝日新聞が2014(平成26)年に「事実関係の誤りを認め、正式に謝罪した」と説明した。

 「慰安婦20万人」についても、杉山氏は「具体的な裏付けがない数字」として、朝日新聞が謝罪した際に労働力として動員された女子挺身隊と慰安婦を混同したことを認めている点も説明した。「性奴隷」との表現についても「事実に反する」と強調した。

 一方、杉山氏は、慰安婦問題は日本が女子差別撤廃条約を締約した1985(昭和60)年以前のことで、同条約は締結以前に生じた問題については遡(さかのぼ)って適用されないことから「慰安婦問題を同条約の実施状況の報告で取り上げるのは適切ではないということが、日本政府の基本的な考え方だ」とも述べた。」


 今までしてこなかった初の主張を展開しているとのこと。
 吉田清治証言が嘘であること、この嘘を朝日新聞が拡散してきたことを指摘する意義は大きい。
 なぜなら、国連はクマラスワミ報告書を採択し、慰安婦性奴隷論の発信源になっているが、同報告書の根拠の1つが吉田証言だからだ。そしてクマラスワミ報告書が、もっと激烈なマクドゥーガル報告書につながっている(「正論 2014年6月号」114ページ[阿比留])。
 「正論 2016年3月号」84ページで、西岡氏が吉田証言が事実無根であることを広報せよという提言を行っているが、安倍政権はこれに沿っている。
 朝日新聞というマスメディアを国際社会で批判的に取り上げたのも、勇気のある決断ではないだろうか。
 この伏線は、杉田前議員(現在は日本のこころを大切にする党所属)や「なでしこアクション」の山本優美子氏の、昨年7月から今年にかけての国連に対する働きかけにあった(http://ur0.work/scyR)。

 水島氏はたまに「具体的に考えよう」と言う。
 今回の日韓合意を具体的に考えるとどうなるか。
 注目すべき文言は、「互いに」「非難・批判することは控える」だ。
 まず「互いに」だが、慰安婦問題は一体誰が誰を非難している問題なのだろうか。
 日本が慰安婦問題を理由にして韓国を非難し、謝罪や賠償を求めているのだろうか。
 そんなことはなくて、韓国が一方的に日本を非難しているのだ。
 そして、韓国は慰安婦問題をひっさげて各国議会に働きかけ、台湾立法院、オランダ下院、カナダ下院、EU議会、フィリピン下院で対日非難決議を採択させることに成功した(松木國俊「こうして捏造された韓国「千年の恨み」」(ワック、2014年)41ページ)。
 今回の日韓合意によって、各国議会で対日非難決議が出されるという流れに歯止めがかかったと言えるだろう(「まず告げ口外交を展開する韓国を黙らせる必要があった」正論同号99ページ[阿比留発言])。
 「互いに」とはいうものの、事実上、韓国にしか適用されないのではなかろうか。
 また、考えようによっては、反日日本人を非難してもこの合意には反しない。
 今回のように、日本政府が国連の場で吉田清治や朝日新聞を非難したところで、合意には反しないと言えよう。
 中山恭子参議院議員(日本のこころを大切にする党代表)が先月18日の参議院予算委員会で述べたように、慰安婦問題は「私たち自身がつくった」のだ(「正論 2016年3月号」82ページ[西岡])。
 次に、「非難・批判する」という文言も、櫻井氏は事実関係を発信してもこれにあたらないと解している(「WiLL 2016年3月号」(ワック)39ページ)。
 政府は櫻井氏の解釈で動いていると見られる。
 なお、国連での反論はあり得るということは先月15日に述べた(http://ur0.work/scpN)。


「【慰安婦問題】 菅官房長官「事実関係述べただけ」」 産経ニュース2016年2月17日
http://ur0.work/scyX

「 菅義偉官房長官は17日午前の記者会見で、国連欧州本部で開かれた女子差別撤廃委員会で日本政府が行った慰安婦問題に関する説明について「昨年末の日韓両国の合意を踏まえつつ、質問に答える形で事実関係を答弁した。それに尽きる」と述べた。

 韓国側が反発する可能性については「事実関係を述べただけで、韓国政府を批判するものには当たらず、日韓合意に反するものではない」と強調。その上で「日韓両政府が合意を誠実に実施していくことが極めて重要だ」と語った。

 同委員会は16日にジュネーブで開かれ、外務省の杉山晋輔外務審議官が、強制連行を裏付ける資料がなかったことや、強制連行説をめぐる朝日新聞の誤報、昨年末の日韓合意など一連の経緯を説明した。」


 水島氏の「日本国首相が「心からのお詫びと反省の気持ちを表明し」て謝罪し」という書き方にも、一応注意した方がいいと思う。
 「」がついていないことからわかるように、「謝罪」の文言自体は入っていない(念のために言うと、水島氏のこの部分に嘘はない。)。
 今回の日韓合意を「亡国の大罪」だと批判する藤岡信勝氏は、この部分は「同情」を示すものだとしている(「WiLL 2016年3月号」68ページ)。
 おそらく、「謝罪」の文言が入っていない河野談話も謝罪扱いされているので水島氏はこういう書き方をしているのだと思うが、強制性を認めておわびをした河野談話と、強制性を認めないでおわびをする今回の日韓合意とでは、この文言の意味合いも違ってくるのではないかと思う。
 藤岡氏が紹介するように、慰安婦問題を理由に日本を批判してきたニューヨーク・タイムズなどは日本が謝罪したと報じているところではあるが(同67ページ)、この部分を謝罪したものと解すべきかどうか、疑問に思うところがある。

 嘘とまでは言えないが、水島氏は他にも不合理なことを述べている。


111ページ

「 もう一つの直感は、日韓合意が戦後七十年に実行された米国と日本国内の敗戦利得者たちによる「瓶の蓋」だということだ。つまり、「戦後体制脱却」の突破口となり得る慰安婦問題、南京「大虐殺」問題等の事実究明の動きを封印し、日本国内にヤルタポツダム体制を保持させる「瓶の蓋」として、日韓合意が為されたのではないかということだ。これは、時がその事実を明らかにしてくれるだろう。」


 安倍総理大臣は、従来より「歴史の研究は有識者や専門家の手に委ねるべきだ」と言っており(http://ur0.work/scEh)、政府をあげて「事実究明」をしようという動きはもともと存在しないし、民間人による研究も従来通り可能であるので、「事実究明の動きを封印」の意味がよくわからない。
 桜田義孝衆議院議員(自民党)が「(慰安婦は)職業としての売春婦だった。それを犠牲者だったかのようにする宣伝工作に惑わされすぎだ」という発言を撤回させられたことを念頭に置いているのだろうか(http://u0u0.net/sejx)。自民党に設置された「歴史を学び未来を考える本部」が動けなくなると考えているのだろうか(ちなみに、9日に第2回会合が開かれ、歴史捏造対策が議論された模様。http://ur0.pw/seKG)。
 国際社会に流布されている反日歴史捏造に日本政府が反論しなくなるという趣旨だろうか。
 水島氏は日韓合意によって慰安婦問題について反論が不可能になったという解釈をとるから話がさらにややこしい。
 確かに、慰安婦問題と南京「大虐殺」は、わが国を戦後レジームに封印するための歴史捏造であるという本質を同じくするとは言える(「WiLL 2013年8月号」34,35ページ[西村眞悟])。
 しかし、事実究明・反論の観点では、慰安婦問題と南京「大虐殺」は本質的に異なる。
 慰安婦問題には河野談話という公的な自白が存在するが、南京「大虐殺」にはこういうものは存在しないはずだ。
 慰安婦問題の事実究明・反論が仮に封じられたとしても、南京「大虐殺」もそうなるとは限らない。
 自白の有無は、事実究明・反論との関係では重要な差異だ。
 水島氏は論理の飛躍ではなかろうか。

 109,110ページの「言論テロ」のくだりは、今回の日韓合意を「大罪」「敗北」とする人には説得力を持つのだろうか。
 水島氏は、今回の日韓合意によって日本は「言論テロ」で恫喝し続ければ屈する国だと世界に恥をさらすこととなった、今後も同様の「言論テロ」を仕掛けられるだろう、ダッカ事件を想起させる、ということを言う。
 しかし、テロになぞらえるならば、慰安婦問題には過去の政権が自ら河野談話という恫喝のネタないし武器をテロリストに提供したという特殊性があるが、これを考慮しなくてよいのだろうかという疑問が湧く。
 むしろ、今後は、慰安婦問題に懲りて、恫喝のネタを相手に与えまいと、政権は慎重になるのではないか。
 このくだりが気になる人は本誌を見てみてほしい。

 水島氏が「日韓合意の本質」を言う部分は前回の記事でも紹介した。


108,109ページ

「 さらにこの合意は、我が国の安全保障体制にも重大な痛手を与える可能性がある。安倍総理は、一月十八日、参院予算委員会で、日韓合意は「日本の安全保障においても大きな意義があった」と強調し、「厳しさを増すアジア・太平洋地域の安全保障環境、特に北朝鮮の動向に対応していくためには、日韓が協力して対応しなければならない」と述べた。詭弁である。核兵器保有国とはいえ、現在、北朝鮮に日本を侵略する意図も理由も無い。その力も無い。可能性があるとすれば、第二次朝鮮戦争である。米国の国際金融資本は、米韓FTAによって、サムスン等の韓国財閥の過半数の株式を乗っ取り、韓国を経済植民地としたが、韓国経済は疲弊し切っており、米国が日本に韓国経済を救わせようとしたというのが、日韓合意の本質だろう。あるいは、日米韓の安保軍事協力が成立したとしても、朝鮮戦争が起きれば、最も負担を強いられるのは日本であり、うがった見方をすれば、参院選前に、米国は南北の軍事紛争を起こさせ、戦争の危機を煽り、日本の憲法改正への道を開かせ、日本をして米国の対中戦略に組み込み、軍事面の一端を担わせようとするかもしれないのだ。」


 これには同誌に掲載されている西岡論考が反論になっている。
 西岡氏は、日韓合意が慰安婦問題の解決にはつながらないとしつつ、こう述べる。


西岡力 「政府は名誉回復の戦いを止めてはならぬ」 (正論2016年3月号、産経新聞社) 83ページ

「 安倍晋三首相が強調するように、北朝鮮情勢が緊迫する中、同じ米国と軍事同盟を結ぶ韓国との政府間関係を緊密にすることは日本の国益にかなう。北朝鮮の独裁者金正恩が1月6日に核実験を行った。そのとき、すぐ日韓は電話首脳会談を開き、協力して対処することを確認した。北朝鮮に関する情報を世界で一番持つのは韓国政府だ。特にヒューミント(人的情報)においては、韓国は群を抜いて豊富な情報を持っている。たとえば、横田めぐみさん拉致情報も韓国情報機関が提供してくれたものだった。今後、北朝鮮問題で韓国から貴重な情報を得ることができるなら合意は意味があったことになる。


 朝鮮情勢の専門家から見て、安倍総理大臣は「詭弁」ではない。
 なお、今回の日韓合意が拉致問題と関係ありそうだということは先月15日に述べた(http://u0u0.net/sejL)。

 水島氏の言う「日韓合意の本質」だが、これが韓国経済にとって利益となること自体は否定しない。
 安全保障が高まれば高まるほど投資しやすくなると考えると、韓国経済にとってこの合意は利益だろう。
 しかし、それが本質かというと、どうだろうか。
 あくまで本質は安全保障だろう。
 北朝鮮や中国が危険な動きを見せ、日韓が反目し合っている場合ではなくなり、両国が連携して安全保障に当たるべく、慰安婦問題の解決を宣言したというところだろう。
 従たる利益を主たる利益にしてしまう水島氏の方が「詭弁」ではなかろうか。
 なお、安全保障が高まって投資しやすくなるのは日本も同じだ(韓国ほど利益はないにしても)。

 以上見てきたように、水島氏の論考は「大嘘」・不合理に溢れている。
 細かいところにツっこむときりがない。
 水島氏は安倍政権が「移民推進政策」という「政策選択の間違い」を犯していると言うが(110ページ)、これも勝手な決めつけだろう(http://u0u0.net/sejM <追記>「安倍総理「移民政策考えない」 成長戦略で激論(2016/02/24 11:48)」http://ur0.link/sg7s)。
 水島氏は、「韓国政府外務省は「満額回答」を得た」という久保田るり子記者の発言を紹介している(106ページ)。
 この「満額回答」が載っている久保田氏の記事は、こう締めくくられている。
「すでに首脳が決着を表明している以上、日本はあくまで韓国の国内問題と突き放して、しばし静観するのが賢い対応だろう。」(http://u0u0.net/sekp
 水島氏は安倍総理大臣に「猛省」しろと言う(111ページ)。
 今回の日韓合意が表明された翌日にこれに反対する抗議活動に突っ走り(http://ur0.pw/seM3)、先月8日にもこの合意の撤回を叫び(http://ur0.pw/sfHP)、静観とは真逆の賢くない軽挙妄動をしてしまった水島氏こそ、「猛省」が必要なのではないか。

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