札幌の繁華街「すすきの」の近くにあるワインバーです。お料理も出します。
http://t-desk.net/grenier/

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May 29, 2012 14:09:42

今宵のワイン / シャトー・フィジャック 2002

テーマ:ワイン好きの日記
Bar-a-vins Bistro  Au GRENIER-シャトー・フィジャック 2002
札幌は、ただいま「リラ冷え」中なり。

Ch. FIGEAC 2002
シャトー・フィジャック 2002

一気に気温が高くなり、もはや初夏か、と浮かれたのも束の間。この数日間というもの、ストーブを炊きたくなるような低温がぶり返してきた。…とはいいつつ、これは毎年恒例のことで、ちょうど大通公園のライラックが満開になるころに、ほぼ必ずといっていいほど冷え込む期間があるのだ。いわゆる「花冷え」というヤツなのだが、ここ札幌ではライラック(リラ)の咲く時期にかけて「リラ冷え」という。なんだか風流。こういうところ、札幌が好きだ。

さて。久々に素晴らしいワインをご注文いただいた。tatiも大好きな、サンテ・ミリオン地区のシャトー・フィジャックである。エティケット(ラベル)のデザインがポップというか、書体がなんとなくアール・ヌーヴォー(特にロートレックあたり)っぽいせいか、あまり威厳が感じられず、ともすると安ワインにみられてしまいそうだが、れっきとしたグラン・ヴァンである。
サン・テミリオン(Saint-Emilion)地区はボルドーを縦に二分するドルドーニュ河の右岸に位置する5,000haほどの産地で、AOCにより赤ワインのみの生産が認められている。格付けが行われたのは1955年。最近までしばしば内容が見直されているようだ。歴史的にも、格付けに左岸のような厳格さがない。表土は高台で粘土質の「コート」と、砂利質の「グラーヴ」に分かれており、前者はメルロー、他方はカベルネ系を中心に栽培されている。

シャトー・フィジャックは、サン・テミリオン地区のワインの中で、もっともカベルネ・ソヴィニヨンの比率が高いことでも知られる。従って、同地区では際立ってエレガントだ。個人的な印象をいわせてもらうと、80年代はわりと薄めの仕上がりで、ともするとピノ・ノワールのワインと見紛うほどだったが、90年代以降はしっかりした作りに変身したようで、今回ご相伴させていただいた02は、まだまだ熟成させてもいい感じの、洗練されつつも頑強な骨格を味わうことができた。大満足。

てなわけで、5月もそろそろ終わりなのだが、なんとか土壇場でブログを更新することができた。やれやれ。今日はワケあって朝から店にいるから、多少、気持ち的に余裕があるのだ。…そうはいっても、明日は8名様のフルコース。じゃんじゃん仕込みをしないと、また、ぎりぎりで苦労することになりそう。分かっちゃいるけど、つい「だらっ」としてしまう、この悲しい性格。自分の娘には「やらなきゃらならいことを先にやりなさい!」と小言をいいつつ、自分は、これだ。そもそも娘も遺伝的性格なのだからして、もしかしたらいうだけ無駄なのかもしれない…などと、どうでもいいことを考えてみたりして。

さて、「だらだら」を切り上げて、そろそろ牛タンの赤ワイン煮込みを仕込むかーっ。

May 22, 2012 16:05:01

今宵のビストロおやじ / ホワイトアスパラガス

テーマ:今宵のビストロおやじ
Bar-a-vins Bistro  Au GRENIER
ああ…、最終の記事から20日以上経過してしまった…。

今宵のビストロおやじ / ホワイトアスパラガス

季節は巡り、札幌も初夏の雰囲気が漂いはじめた。梅雨のない北海道は(ここ数年、蝦夷梅雨っぽい日が多いが)、これからがまさにベストシーズン! 暑苦しくて空気の汚い大都会を抜け出して、北海道に旅行に出かけよう! そして、いっぱいお金を落とそう! 

さて。この時期の旬の味といえば、やっぱりホワイトアスパラガスだ。今年は、冬の積雪が多かったため出足がかなり遅れたが、5月に入って一気に気温が上昇したこともあり、収穫は順調な様子。例によって、安平(あびら)町の八木響子さんから、今年もぶっとい初ものが届いた。響子さんのホワイトアスパラは毎年仕入れているが、いつもながら争奪戦で、なかなか手に入らない。大量に仕入れる東京のレストランに優先的に送られるから、「太いのくれー」と懇願しても、実際にはなかなか難しいものなのだ。天候が崩れたりして収量が減ると、まったく届かなくなる。自然相手のことだし、こればっかりは仕方がない。…といいつつ、そこはやさしい響子さん、こんなチンケな店の分も、きっちり確保してくれるからありがたい。「いつでもドタキャンしてくれていいのよー」というおまけつき。ほんとにキャンセルしてもらいたいのかもしれない…。

ホワイトアスパラガスの食べ方は、いろいろある。最もオーソドックスなのは、茹でてそのまま食べること。香り、苦み、甘み、食感のすべてが高いバランスで楽しめる。あとは網焼き、フライなど。原型をとどめなくてよいなら、ムースなんかもおいしい。変わったところでは、薄ーくスライスして、フェットチーネみたいに軽めのソースと和える食べ方。これは、先日、フレンチのシェフから伝授していただいたレシピだ。試してみたいが、なんかもったいない。結局、ぜんぶ茹でて提供してしまいそうだ。

…というわけで、ブログも更新しないまま、季節は夏に向けてまっしぐらだ。これからは食材がほんとーにおいしくなる季節。料理をしていてもすごく楽しい。今年も、懇意にしている農家さんの手伝いにでかけて、おいしい野菜をゲットしてきたいと、いまから楽しみにしているのである。


*すみません料理の画像は、昨年撮影したものです。今年は、撮影する余裕がない…。以上、言い訳でした。

April 30, 2012 16:57:21

今宵のワイン / シャンボル=ミュジニ 2007 ジェラール・ラフェ

テーマ:ワイン好きの日記
Bar-a-vins Bistro  Au GRENIER-ジェラール・ラフェ
大好きな生産者のワイン。

CHAMBOLLE-MUSIGNY 2007 / Gerard RAPHET
シャンボル=ミュジニ 2007 / ジェラール・ラフェ

巷間、GWに突入だ。わが札幌でもここ数日にわかに気温が上昇し、街路樹がいっせいに芽吹きはじめた。店の窓から見下ろす「札幌弐番街」の桜並木も開花が始まっている。この溢れるような生命力には、いつも感動させられる。春だなぁ。
前回の記事で、4月の営業が悲惨だと泣きを入れたばかりだが、終盤に入り、6名様のフルコースにてかなりいいワインをご注文いただいたり、ちょっとご無沙汰だったお客様が戻ってきたりと、なんだかんだで帳尻が合い、結果的には「まぁまぁ」といった感じに収まった。まったく、水商売は読めない。…なんて、このフレーズ何回使ったかな。どうせ読めないんだから、もう口にするのを止めた方がスマートだな。

さて。ジェラール・ラフェだ。店長tatiがこよなく愛する生産者のひとりである。モレ=サン=ドニのドメーヌだが、シャンベルタン=クロ=ド=ベーズの第一人者として知られる。畑は樹齢25年以上の古樹で占められ、低収量でていねいなワイン作りをしている。あまり市場に出回らないのは、葡萄の多くをネゴシアンに売却するからだとか。父ジャンは2001年を最後に引退。息子の代に入り、それまでのクラシカルな作りから、濃度の高い、現代的な作風に変化したといわれている。実際のところ、この評価はまっとうで、ジェラールの手になるものは、ヴィンテージの差以上に力強さを感じる。自分的にはジャンもジェラールも大好きで、いかにもブルゴーニュらしい高貴な香りとフィネスに、いつも脱帽している。こういう「鉄板ブルゴーニュ」は、いつもセラーに常備しておきたいところだ。ただし、評価と比例して価格もそれなりに高い。気軽に飲めるクラスとはいえない。

…というわけで、GWだ。連休中は妻が娘を伴って実家に帰省してしまうので、その間、ひとり事務所にこもって黙々と仕事をこなすのが通例。どうせ家に帰らないのだからして、試しにGW中も通しで営業してみようかと思っている。まぁ、閑古鳥が鳴きまくっちゃいそうだが、いいのだ。昼の仕事もたまっているし、店の細かい掃除もしたいし。そんなこんなで、今年も世の中の動きに逆らって、引きこもりの日々を送ることになりそうだ。

ワインは、引きこもりにもやさしいのである。



April 23, 2012 17:31:45

今宵のビストロおやじ / 野菜のテリーヌ

テーマ:今宵のビストロおやじ
Bar-a-vins Bistro  Au GRENIER
このところ、ちょっと弱り気味。

今宵のビストロおやじ / 野菜のテリーヌ

また、「弱音」である。
新規で飲食業に足を踏み入れて、はや一年弱。なにをするにも初めてのことばかりで、振り返ってみれば、それこそ喜んだり落ちたりを積み重ねつつ、どうにかここまでやってきたかんじ。
昨年5月の開店から3ヶ月ほどは、まさに手探り状態で、結果を気にする余裕すらなかった。少し落ち着いてきた8月は、飲食一般に言われているように売り上げがたいへん厳しく、さっそく落ち込むことに。しかし9月以降はそれなりに安定してきて、自身の「慣れ」もあり、なんとなく上向きなトレンドにほっとひと息。そして、12月はご他聞にもれず好調で、ちょっとぬか喜び(…好調といってもたかが知れているのだが…)。1月も、その流れを汲んでか、意外と良好。さらに、恐れていた2月は聞いていたほど酷くなく、それなりに手応えをかんじ始めたりして。3月は店舗改装のためまる4日間ロスしてしまったこともあり、まぁ、それなりといったところ。…そうして迎えた4月は、これまたとことん悪いときた。
いまのところ、「まる一日ノーゲスト」という悲惨な日はない。ただ、ひと組、ふた組…といった、寂しい日が多月に比べて多い。特に、4月半ば以降が振るわない。幸い、「どかっ」とくるフルコースのご予約がピンポイントで入ったりするので、ヒマな夜は、そのメニューの試作や仕込みをしたりしてそれなりに時間を使っているから、夜な夜な「ぼーっ」としているワケではない。逆に集中して時の経つのを忘れてしまうくらいだ。だがしかし、お客様が少ない夜が続くというのは、なんというか、ボディーブローのように「じわじわ」と神経を蝕むもので、やはりテンションは下がる。そして、「弱音」である。まったく、情けない。

彩りがきれいな野菜のテリーヌ。フルコースのサラダで提供した。画像は端っこの部分なのでちょっとカタチが崩れているが、色とりどりの野菜が「金太郎あめ」みたいに寄せ集まっていて、楽しい一品だ。カットされたときの断面をイメージしながら野菜をバランスよく配置していくワケだが、作例は「まだまだ修行が足らん」といったところか。手間はかかるものの、それなりに見た目のインパクトがでかいので、しっかり練習したい。難しいのは、ジュレの固さ加減。固すぎると食感が悪いし、柔らかいと、カットする際にカタチが崩れてしまう。実は、今回はちょっと緩すぎた。なんとかごまかしたが…。

…というわけで、このところちょっと落ちている。そうはいっても店は開けなくてはならない。「今夜も寂しい夜かな」と想像すると、正直、自宅を出るときはちょっとだけ憂鬱になったりして。こんなんじゃ、いかんなぁ。なんだ、かんだで、ブログの更新もサボりまくっているし…。

こんなときだからこそ、開店前のあのモチベーションを思い出して、自分も楽しみつつ、数少ないゲストを厚くおもてなししたいところだ。そうだ。それが一番大事なのだ。…と、自分を奮い立たせてみたりしている、寒い春の夕暮れなのであった。






April 07, 2012 08:57:36

今宵のワイン / ペリエ=ジュエ ベル・エポック 2002

テーマ:ワイン好きの日記
Bar-a-vins Bistro  Au GRENIER-ベル・エポック
いやはや、もう4月だ。

BELLE EPOQUE 2002 / PERRIER=JOUET
ベル・エポック 2002 / ペリエ=ジュエ社

ほんと、あっという間に4月だ。なんか、このところ記事の前置きが似たような言い回しになってきた。更新してないわりにワンパターンなのだが、ほんとうに月日の流れの速さを実感しつつ意味もなく焦っているので、つい口をついて出てきてしまうだから仕方ない。店のほうはというと、改装完了後の整理や導線の改善もほぼ終了し、グラス洗浄機の活躍をはじめ、格段に楽になった各種オペレーションに夜な夜な感動している。いやー、ほんと、こういうことはやってみないと分からない。どっかの格言にあったっけ。「3度目に建てる家でようやく満足できる」みたいなの。まさに、それだ。次に店を造ることができるなら、もっと効率的に、安く、いいものになるに違いない。

めずらしく、高級シャンパーニュの登場だ。「美しき時代」という名の、ヴィンテージシャンパーニュ(単一収穫年の葡萄により醸されたシャンパーニュ)。アール・ヌヴォーの巨匠、エミール・ガレがデザインしたボトルは、ワインに詳しくない方でも、一度は見たことがあるのでは? モチーフはアネモネの花で、なんとプリントとかシールとかじゃなくて、1本1本エナメルで焼き付けてある(商標はシール)。ボトルの原価を考えただけでも怖い。もちろん、その分は売価に転嫁されているのだが…。いずれにせよ、小市民的に、飲んだ後のボトルは棄てられない。飾っておくものなのである。
ペリエ=ジュエ社は、1811年にエペルネで創業したシャンパンハウス。それ以前から会社自体は存在していたようだが、当初はシャンパーニュ用のコルクを製造していたという。年産300万本のうち、70%が輸出。原料は30%が自社畑とのことだ(データが古いので参考程度に)。ベル・エポックのボトルデザインが語るように、ガレをはじめ、マジョレル、ギマールなど当節を代表する作者の多数のアール・ヌヴォー作品を所有しており、それらを展示したゲストハウスもあるらしい。機会があれば、ぜひ見学したいものだ。

…というわけで、4月である。それも、早くも1/3が過ぎ去ろうとしている。このところの札幌は、市街の雪はほぼ融解したものの、あいかわらず気温が低い日々が続き、ときどき狂ったように雪が降る。まぁ、実は例年こんなもんなのだが、なんか今年に限って春の訪れが遅いような気がしてならない。それだけ、春が待ち遠しいということか。とはいいつつ、陽光は確実に冬のそれとは違い、どことなく「ゆるゆる」と柔らかい。逡巡しているとはいえ、日々、春は近づいているのだ。

来月は、なんと「開業1周年」である。光陰矢の如しなので、いまから何かしらの周年イベントを企画しておかないと、結局何もせずに終わりそうだ。やれ、やれ…。まったく、やること多すぎ。自身の手際の悪さを呪いつつ、「やることリスト」に向かってあれやこれや思索を巡らせる、土曜の朝なのであった。


March 25, 2012 15:50:34

ビストロの話 / 店内改装

テーマ:ビストロの話
Bar-a-vins Bistro  Au GRENIER
オープン1年を待たずして、早くも店内改装。

ビストロの話 / 店内改装

3/19~22までの間、店を休業して改装工事を実施した。昨年の3/25に引き渡しだったから、1年未満で早くも店をいじったことになる。で、なにをしたかというと、ボックス席のスペースをまるまる潰して、その分、厨房を拡大したのだ。1年未満で改修するくらいなら、最初からその事態を予見しろってなもんだが、そこは「ぽっと出」の飲食店オーナーのこと。実際にやってみて、気づくことばかりなのである。

Bar-a-vins Bistro  Au GRENIER-Winterhalter 今回の目玉は、なんといってもグラス洗浄機の導入。そもそも、このマシンを入れるスペースを確保するために、厨房を広げたようなものだ。当店のグラスは、リーデルのクリスタルグラス『ヴィノム』シリーズで統一している。一般的にクリスタルグラスを洗浄機で洗うのはさまざまなリスクを伴うと言われているのだが、お世話になっている知人宅に「リーデルのクリスタルを洗える洗浄機がある」という情報をキャッチし、さっそく見学しにいった次第。そこにあったのがドイツのWinterhalter(ウィンターハルター)というメーカーのマシンで、実際に自身のグラスを持参して洗ってみていただいたところ、実によい仕上がりで一目惚れしてしまったのだ。

このマシンの問題は、とにかく高価なことだ。なんと、まともに買えば100万を超える。一度に洗えるグラスは、せいぜい1ダース程度の大きさなのに…。さすがに、この期に及んで100万超の出費は…と逡巡していたところ、運の流れというのは存在しているもので、たまたま代理店に型落ちのデモ機があって、それを中古価格で販売してもいいという。元値が元値だけに、中古価格とはいっても十分に高価(国産の新品食洗機が軽く買える)なのだが、こういう巡り合わせは思し召しとばかりに、その場で即決してしまった。

工事終了後、現時点でまだ2日しか営業していないが、厨房が広くなったことで格段に作業効率が上がった。これまで店奥のヤードに格納していた冷凍ストッカーや冷蔵ケースも一堂に会することになり、導線も大幅に改善。なんだか、仕事していて気持ちいい。

そして、グラス洗浄機。これまでは、たくさんのお客様をお迎えした夜などは、閉店後にどっちゃりたまった使用済みグラスを洗う気力が残っておらず、翌朝出直して洗ったりしていたものだが、Winterhalterのおかげで、その日中に完結できるようになった。スイッチ「ぽん」で、こんなにもきれいにしてくれるなんて…。しかも、洗浄時間はたったの2分程度。じゃんじゃん洗える。これは、もう感激ものなのである。詳しい機能の話は割愛するが、汚れが層状に付着していないかぎり、理論的には洗浄後の拭き取りは不要と説明されている。つまり、洗いっぱなしでもいいってわけだ。まぁ、そうはいっても、一応、気分的にも拭き取りはしているのだが。拭き上げたあとは、もう「ぴっかぴか」の「つるっつる」。手洗いよりははるかにきれいに仕上がるので、グラス拭きが快感になってきたりして…。

そんなわけで、工事とグラス洗浄機のために、これまた多大な出費をしてしまった。営業のほうは相変わらずなので、どうにも資金回収のイメージがつかない。まった成り立ってないのだが、まぁ、ここまできたら、あまりみみっちいことは考えず、とにかく理想を追い求めてしまおうと、かなり危険な考え方になりつつあるのがちょっと怖くもある。

なるように、なるのである。



March 11, 2012 10:02:10

今宵のビストロおやじ / リドヴォーのフリット サラダ仕立て

テーマ:今宵のビストロおやじ
Bar-a-vins Bistro  Au GRENIER-リードヴォーのフリット
震災から1年。

今宵のビストロおやじ / リドヴォーのフリット サラダ仕立て

昨年の今頃は、まさに店の新装工事の真っ最中で、大震災の瞬間も工事現場にいた。数分間にわたって「ゆらゆら」と大きく揺れ続け、まるで船酔いみたいになったあの感覚は、いまも記憶に生々しい。あれから一年。自分にはいつもどおり「あっという間」の一年だったが、被災した方々にとっては永遠に感じるほど長い一年だったに違いない。あらためて亡くなった方々のご冥福をお祈りすると同時に、いまも不自由な避難生活を強いられている方々に、心よりお見舞い申し上げたい。

さて。またまた食い物ネタである。2月の記事で、「料理に力を入れる」宣言(?)をしたとおり、このところ、ロスを恐れず新しい料理や食材に積極的にトライしている。リドヴォーも、その一環だ。
リドヴォー(Ris de veau)とは子牛の胸腺肉のことで、日本では「シビレ」と呼ばれているそうだ(子牛肉以外も含んだ総称)。フレンチの定番高級食材である。これまで食べたことはあっても、自分で調理したことはなかったので、これを機にトライしてみることにした。今回は、カナダ産の乳飲み子牛の肉を調達。贅沢だ。

この手の内蔵食材は、調理自体はシンプルでも事前準備に手間(というか時間)がかかるものが多い。リドヴォーもご他聞にもれずだ。調理前にひと晩冷水につけて血抜きし、熱湯で湯がいてから膜をむくという作業が必要。ここで悩ましいのが、単純に「膜をむく」といっても、どこまでむくべきなのか迷うことだ。神経質にむいていくと、果てはばらばらになってしまったりする。レバーや砂肝の「掃除」なんかもそうだが、このへんは実地で学んで行くしかないのである。ベテランシェフに教えてもらうと、意外と「こんなもんでいいんだー」ということが多い。…とういうわけで、次回の「ル・ジャンティオム」の料理教室では、いろんな部位の「掃除」について大川シェフに質問してみよう。

…で、そのリドヴォーをひと口大に切りわけて塩こしょうをし、小麦粉をまぶしてフリットにする。付け合わせはなんでもいいのだが、ここではサラダ風にしてみた。試食をかねたまかないだし。味については予想通りというか、フツーにおいしい。なんてったって高級食材。うまくて当たり前である。特に難しい調理ではないので、今回は下処理の練習、ということで記事にしてみた次第。我ながら、あまり面白くない。


それでも、ヒヨッコシェフのあくなき挑戦は続くのである…。



March 01, 2012 12:11:06

今宵のビストロおやじ / ○○のパートフィロ包み(習作)

テーマ:今宵のビストロおやじ
Bar-a-vins Bistro  Au GRENIER
先週、「春の香り」がした。

今宵のビストロおやじ / ○○のパートフィロ包み(習作)

そして、あっという間に3月だ。札幌でも、日中はこのところプラス気温に転じることが多く、夜はまだまだ冷えるものの、冬がたしかに終わりつつあることを知る。そして、先週、「春の香り」を感じた。気温は低くても、ふと、春の香りを乗せた風が吹く日があるのだ。そんな時は、思わず犬のように鼻を「くんくん」してしまう。「春の香り」を感じるのは、たいてい2月の終わりくらいで、その日のうちにまた真冬日になってしまったりするのだけれど、札幌に暮らして20年弱、毎年必ず実感してきた。北国ならではの風物詩? いいものである。

「ワイン好きの日記」というわりには、このところ食い物の話題ばかりだが、気にせず話を進めよう。「○○のパートフィロ包み」だ。なぜ「○○」なのかというと、今回は外側の包みが重要なのであって、中身はどうせ見えないから、実はなんだっていいというノリで作ったのである。因に、中に包んだのは、傷んだパプリカとキャベツを炒めたもの。ロスの有効活用だ。ナムプラーなどでアジアンな味付けにしてある。これだけでもおいしい。

「パートフィロ」とは、とうもろこしまたは小麦粉、あるいはその両方を原料に、紙のように薄っぺらく延ばした生地の名称で、肉や魚介などの食材を包んだり、上からかぶせたりして加熱調理する。スイーツにもよく利用される。ギリシヤあたりが原産らしい。決して珍しい食材というわけではないと思うのだが、札幌市内の一般小売店では、ほぼ入手不可能。プロの食材屋さんから仕入れるしかなさそうだ。しかも、それなりに高い。使用頻度的に考えても、なかなか常備しづらい食材といえる。それだけに、ちょっと面白い。

実は、今回の習作は、スーパーで売っている一般的な春巻きの皮で作ってみた。どんなになるか、試してみたかったのだ。やっぱり、ちょっと分厚いかなぁ。見た目は、「まぁまぁ」か。自分が知っているパートフィロはもっとずっと薄いもので、ライスペーパーに近く、「パリンパリンっ」というよりは、「パリクシャパリっ」というイメージ。自分が知らないだけで、パートフィロにもいろいろ種類があるのかもしれない。次回は、春巻きの皮を綿棒で延ばしてみるか?

さて。「魔の2月」が終了した。振り返ってみると、売上げはさほど通常月と変わらないというか、思っているほど落ち込まずに済んだ。前半、フルコースのお客様がふた組入ったのが大きかったか。もっとも、通常月そのものが低位安定なので、単純によろこんでもいられないのだが…。引き続き、粛々とやっていくしかあるまい。

3月は、「店が完成した月」でもある。昨年の今頃は、毎日のように工事現場に足を運び、工事の進捗を見守ったものだ。将来への不安はあったが、期待感に胸がわくわくしていたのを思い出す。あれから1年か…。長いような、短いような。これから毎年、この時期になると、あの「わくわく感」が胸をよぎるに違いない。そして、「いまの自分」と比べてみて、ほくそえんだり、切なくなったりするのだろう。いずれにせよ、歳は確実にとっていく。この一瞬を大切にせねばと、あらためて気を引き締めたりする、今日この頃であった。

…確定申告やらなきゃ…orz。


February 19, 2012 13:23:56

今宵のビストロおやじ / 鶏もも肉のタンドール風 クスクス添え

テーマ:今宵のビストロおやじ
Bar-a-vins Bistro  Au GRENIER
本日は、手短に。

今宵のビストロおやじ / 鶏もも肉のタンドール風 クスクス添え

2月も下旬にさしかかってきた。店のほうは相変わらず静かだが、昼の仕事の仕込みなんかもあったりで、なにかと時間を取られる。今日も休日返上で店に「おこもり」だ。

先日、久々に「お客様ゼロ」の晩があった。このところ少しずつだが常連のお客様がついてくださるようになり、昨年の暮れあたりからは、間断なくどなたかが訪れてくださっていたのだが、その流れがついに途切れてしまったカタチだ。ほんとのゼロは久々。やっぱり、2月はヒマなんだなぁ…と、妙に実感している。

ヒマだから、というわけではないが、ビストロっぽいプレートを試作してみた。鶏もも肉のグリエなのだが、タンドール風に味付けをして、ブランシールした野菜、じゃがいものフリット、そしてビストロの定番「クスクス」を添える。鶏ももは安価でおいしい。皮を「パリっ」と仕上げてやれば、もうサイコーだ。皮目を軽くソテーしたあと、フライパンごとオーヴンに突っ込んで仕上げる。途中、何回かアロゼして、乾燥を防ぐのを忘れずに。クスクスはストレートに用意したが、こちらはラタトゥイユなどで絡めたほうがベターかと思った。実際のご提供は、それで行く。

ここ最近、ロスを恐れるばかり、ちょっと料理に消極的になっていることに気づいた。売れる売れないはさておいて、「その日のスペシャル」を定期的に入れ替えながらメニューアップしなきゃいかんな、と、改めて反省。危うく初志を忘れるところだった。ヒマな夜は、自分と真摯に向き合う時間をくれる。そういう意味では、あまり歓迎はしないが、ヒマな夜もときには必要なのかもしれない。いや、ぜんぜん歓迎しないのだが…。

「魔の2月」も残りあと10日間。いまんところ、かなり厳しい状況なので、終盤に期待したい今日この頃である。


February 14, 2012 13:33:48

今宵のワイン / シャトー・カロン=セギュール

テーマ:ワイン好きの日記
Bar-a-vins Bistro  Au GRENIER-シャトー・カロン=セギュール
バレンタイン、ということで。

Ch. CALON-SEGUR 1993 (マグナムボトル)
シャトー・カロン=セギュール 1993

光陰矢の如し。2月も半ばに入った。このところ更新頻度が月2回程度にまで落ち込んでいるので、そろそろ我慢強い読者諸兄にも見放されそうだが、知らないふりして久々の記事を書く。

世の中、バレンタインデーである。昨年まで、ほぼ7年間にわたり「道産食材の通販ビジネス」に深く関わっていたので、毎年この時期は繁忙期だった。バレンタインデーは、多くのネットショップにとって「書き入れどき」なのだ。連日商品を撮影し、サイトのページを更新し、必要に応じて取材に出かけて…。まぁ、とにかく忙しかったものだ。それが、今年はまったく状況が違う。忙しいどころか、飲食店にとっては「魔の2月」。実に寂しい限りである。それでも、昼の仕事が「ぼちぼち」あったり、店のことを「ちょこまか」片付けたりしてると時間だけは経つ。時間は経つが、収入は乏しい。まったくもって、人生とは波瀾万丈である。やるせないが、面白くもある。

バレンタインといえば、必ず話題になるワインが「カロン=セギュール」だ。ボルドー地方、サン=テステフ地区の格付第3級。バレンタインやクリスマスなど「恋の季節」になるとわかに露出が増えるので、ご存知の方も多いだろう。なぜ、このタイミングで登場するかというと、エティケット(ラベル)に、ハートのデザインがあしらわれているかにほかならない。ロマンティックなイメージなのである。

このデザインには、美しい故事が伴う。時は18世紀。当時の所有者、ニコラ・アレクサンドル・セギュール侯爵(1755年没)が、シャトー・ラフィット、シャトー・ラトゥールという最高の銘醸地を同じく手中にしながら、「我ラフィットを作りしが、我が心カロンにあり」と、この畑を寵愛していたことに由来するのだ。現地を訪れたことはないが、実際、とても美しい丘だという。行ってみたい。

しかし、ロマンティックな外観とはうらはらに、味わいはシブイ。タンニンが強く、固い。メルロに由来する甘みも感じるが、華やかさとは無縁だ。カリフォルニアやチリ、あるいはローヌのような「分かりやすい」濃さではないし、ブルゴーニュのような、やさしさもない。いわゆる「ツウ」好みなワインといえる。さらに、飲み頃を迎えるまで最低でも15年といわれるように、熟成にたいへんに時間がかかる。これを知らないで「ジャケ買い」すると、もしかして失望してしまうかもしれない。…が、適切に仕上がったカロン=セギュールには、時に五大シャトーを凌駕せんばかりの魅力があるのだ。これだから、ワインというヤツは…ということなのである。


…というわけで、更新した。やれやれ。なんか、ノルマを果たした気分だ。実は、今回撮影したカロン=セギュール1993は、未開封。撮影用にセラーから引っ張りだして、また格納した。約18年の熟成を経て、状態やいかに。93年の評価は高くないが、マグナムボトルということもあり、なんか、いいかんじに仕上がっている予感がする。


…どなたか、開けてくれませんか…(^^;)



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