札幌の繁華街「すすきの」の近くにある完全ご紹介制のワインバーです。お料理も出します。
http://t-desk.net/grenier/

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February 09, 2016 18:47:48

今宵のビストロおやじ / たらば蟹のパートフィロ包み

テーマ:今宵のビストロおやじ

 

いつの間にやらもう2月。

当blogのことなどすっかり脳みその片隅に追いやって、日々の流れに適当に棹さしつつ過ごしていたところ、常連のお客様から「最近更新サボッてるね」とご指摘をいただいてしまった。こんな無気力なblogでも、定期的にご訪問くださる方がいらっしゃるとは…。例によって、反省しきりである。

 

…というわけで、久方ぶりにキーを叩いてみた。

『たらば蟹のパートフィロ包み』だ。

 

『パートフィロ(Pâte Filo)』とは、小麦粉(あるいはトウモロコシ粉)を原料とする薄い紙のような食材で、ギリシア地方が発祥といわれる。「フィロ」とは、ギリシア語で「葉」という意味だそうだ。春巻きの皮やライスペーパーのように、食材を巻いて調理する。やたらと薄いので、慣れるまで扱いがちょっと難しいかもしれないが、パリッパリの食感がとてもよく、中身の餡とのコントラストを楽しむことができる。

 

ペルノー風味にソテーしたスライスたまねぎと角切りリンゴを敷き、その上にタラバガニの肉を添えて、パートフィロで巻き、表面にオリーブオイルを塗って、200℃のオーブンで17分ほど焼いたらできあがりだ。仕込みさえしておけば、比較的短時間でご提供できる前菜料理である。作例のソースは鉄板のアメリケーヌだが、ベシャメルやブールブランなど、白いソースともよく合うと思う。ボナペティ。

 

札幌では、ただいま『第67回さっぽろ雪まつり』が開催中だ。市中心部は、たくさんの外国人で溢れている。この時期は、アジア系の方のみならず、欧米諸国の観光客も多い。このところ世界経済が不安定で、円高基調になってるような気がしなくもないが、ぜひたくさんお金を落として、本道経済に貢献していただきたいものだ。

 

もっとも、当店のような地元の常連様メインの飲食店にとって、この期間は「耐え難きを耐え」というかんじ。街が騒がしいので、地元民は静かに宅飲みしてしまうのでは、というのがもっぱらの説だが、はて、どんなものか。

 

札幌が盛り上がるのを期待しつつ、早くまつりが終わって欲しいと密かに思う、ちょっと暖かめな2月の夜なのであった。

 

 

 

 

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December 08, 2015 12:04:25

今宵のビストロおやじ / スープのパイ包み

テーマ:ワイン好きの日記


烏兎匆匆。

「もう12月ですね」「今年も終わりですね」「早いですね」などなど、お客様との型どおりの会話が増えてきた。2015年も終盤だ。

よくいわれることだが、歳を重ねるごとに、時の流れが早くなっている気がする。もっとしっかりと日々を過ごさないと、いつの間にか墓に入っていたなんてことになりかねない。

店のほうは…というと、今年も「前年同時期よりちょっとよい」という業績が続いていて、相変わらず「儲かりまっせ」にはほど遠い。それでも、前年よりは改善しているのだから、これでも善戦しているということか。元が悪すぎるという真相はさておいて、ここは前向きに捉えていきたいところだ。

さて。スープのパイ包みである。

スープを入れた器にパイ生地でフタをして、オーブンで焼き上げる料理だ。中身のスープはなんでもよいが、具沢山で濃厚なものがパイと好相性と思う。オニオングラタンスープ、クラムチャウダーが代表例。ポタージュなんかもよい。ボリュームが出やすいので、コースに組込む際は器の大きさを調整するなどバランスに配慮が必要だ。どうしたものか、女性のお客様に特にウケることもあり、冬季はわりと頻繁に登場するメニューである。

調理法じたいは極めてシンプルだが、いくつかコツがあるので列記しよう。
●スープは十分に冷ましておく(冷蔵庫で)
●パイ生地は破れない程度にうすくする
●器のふちに卵液を塗りパイ生地を接着する
●パイ生地表面にたっぷり卵液を塗り焼き色をつける

パイ生地の厚みについてはお好みなので別に分厚くてもよいと思うが、スプーンでサクサクと割るときの手応えとか、お腹の膨らみ具合を想定して、当店ではぎりぎりまで薄く延ばしている。パイ生地でフタをする前にスープを十分に冷やさないと、焼成時、パイ生地が膨らむ前に溶けてしまうので注意が必要だ。
魚介類を使用する場合は、生の状態から調理を開始すると、焼きあがったときにちょうどよい熱の入り具合になる。
焼成時間は、当店のTOSHIBAオーブンで180℃/20分程度。パイ表面の焼色を見ながら、都度調整している。


年の瀬ということで、そろそろ2015年の総括に着手するとともに、きたる2016年への展望に頭を巡らせる今日この頃。すでにいくつかの目標を設定し、そのための準備にも着手している。今年新たに取組んで奏功したイベント類を継続しつつ、さらにお客様に楽しんでいただける空間をつくっていきたい。

来年こそ、行雲流水的な経営から脱出だ!…などとひとり気合を入れる、冬の昼下がりなのである。


*烏兎匆匆(うとそうそう)
月日の経つのが慌ただしく早いさま。
太陽の中には三本足の烏「金烏(きんう)」が、月には兎「玉兎(ぎょくと)」が住んでいるという中国の伝説から転じて、歳月の意として用いられるようになった。
「烏兎怱怱」とも書く。烏兎=歳月。匆匆=急ぐさま、慌ただしいさま。

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November 24, 2015 17:20:44

今宵のビストロおやじ / 牛トリップトマトソースのペンネ

テーマ:今宵のビストロおやじ


また、雪の季節がやってきた。

11/24の未明より、札幌市内では突如大雪が降り、朝起きてみたら一面銀世界になっていた。この地に移住して23年ほどになるので、こういうことには慣れっこであるハズなのだが、それでも毎年びっくりすると同時に、ちょっとだけうれしくなったりするから面白い。…とはいいつつ、これから少なくとも4ヶ月ほどの間、街は雪に覆われ続けることになる。ちょっとだけ新鮮な気分は、1週間もすれば憂鬱に変わる。

さて。牛トリップの話である。

牛トリップのトマトソース煮込みは、店主の好物ということもあって、たいてい仕込んであるメニュー。一度の仕込みで、1.6kg前後の牛のハチノスから、保存用のジプロックコンテナ(大)にたっぷり3台分ほどできる。提供の仕方にもよるが、だいたい12~20人分といったところか。日々のオーダーに備えてコンテナ1台は冷蔵し、残りは冷凍しておく。

ハチノスは、牛の第二胃袋だ。肉の卸業者からふつうに購入することができ、安価である。たいていは出荷時に下処理がしてあって、手元には「掃除」された乳白色の物体が届く。未処理の場合は全体に灰色というか黒いというか、とにかく汚れていて、この黒ずんだ部分が臭みになるのだという。

「掃除」されたものでもそれなりに臭いので、当店では、そのまま15~30分ほどゆでこぼすことにしている。あまり臭みがなくてもトリップとはいえないので、このへんは具合をみながら。換気扇を回しても店の中が臭くなるので要注意だ。
ゆでこぼしが終了したら流水で洗い、食べやすい大きさに切って、白ワインと水とハーブ、香味野菜(主にセロリ)と共に30分ほど煮込む。それからホールトマト、トマトピューレを加えて、さらに30分。最後に水分量を調整しつつ味付けだ。ニンニク、タマネギ、セロリのそれぞれの分量や切り方などによって、味わいが変わる。

当店では、トリップはそのまま温めて皿に盛り、チーズとパセリをちらし、バゲットを添えて提供するか、ストウブのグラタン皿でオーブン焼きにしたり、あとはパスタソースにもしている。パスタはロングよりも、ペンネやフジッリなどのショートが合うと思う。


…というわけで、11月も終盤を迎え、いよいよ冬に突入した感がある。このところ、加齢のせいか寒さに弱くなってきた気がするので、先日、H&Mに新しいアウターを買いにいった。以前同店に立ち寄った際「これいいなぁ」と思っていたものを求めたかったのだが、あいにく完売してしまったようで、入手ならなかった。きっとそのうちセールになるだろうと、欲をかいたのが敗因だ。
それほど高価なものでもなし、あまりセコセコとするのもよくないな、とやや反省してみた雪の夜なのであった。


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October 07, 2015 17:53:38

今宵のビストロおやじ / ソイのポワレ

テーマ:今宵のビストロおやじ


霜草蒼蒼として虫切切…


今宵のビストロおやじ / ソイのポワレ

すっかり秋である。北海道はこの季節らしく朝晩の寒暖差が大きくなり、地域によっては、もうストーブが焚かれ始めたようだ。昨年は秋らしい秋を感じないまま夏から冬へと移行してしまった感があるが、今年は爽やかな晴天が続き、実に気持ちがよい。この気持ち良さが、1日でも長く続いてくれればと思う。

さて。ソイという魚の料理だ。

ソイは、フサカサゴ科のメバルの一種で、主に東北以北で漁獲される白身の魚。北海道では刺身としてポピュラーな食材で、本州でいえばタイのようなもの。淡白な味わいでクセがなく、食べやすい。マゾイ、シマゾイなど、いくつかの種類があり、クロゾイは少数だが養殖もされている。滅多にお目にかかれないが、40cm近くなる巨魚は身が厚く、美味。

今回は、本州からのお客様をお迎えするにあたって、あえてソイを使った料理を用意した。この魚の困ったところは、仕入れが安定しないことだ。基本的に通年漁獲があるはずだが、ほしいときに、手に入らないこともしばしば。さらに、歩留まりも悪い。巨大な頭が、魚体の1/3近くを占めるのだ。そんなこんなで、どう考えてもタイのほうが扱いやすいのだが、それでも「あえて」ソイを使うのが、おもてなしの気持ちというものなんじゃないかと思った次第。

ソイはフィレの状態にさばいたのち塩胡椒をふってしばらく置き、浮き出た水分をペーパーで取り除いてから皮目にうすく小麦粉をふって、多めのオイルとバターを熱したフライパンにて皮目から焼く。ひっくり返すと熱が入りすぎるので、身に熱々の油を回しかけながら様子を見る(アロゼ)。半分ほど火が通ったらフライパンからあげて、あとは余熱に任せる。皮目をバリッと、身をふっくらと仕上げたい。

ガルニチュール(付け合わせ)は、ラタトゥイユとサラダにした。バジルのソースを合わせている。くどくなく、爽やかにサラダ感覚で召し上がっていただくのが狙い。


冒頭の漢詩は、白居易という中唐の詩人の作。秋の寂しさを詠んだものだ。
「獨出門前望野田(独り門前に出でて野田を望む)」。
秋の夜、霜がかって草は青く、虫がしきりに鳴いている。自分は独り門を出て、田畑を眺めると、行き交うひとは誰もいない…。…というようなかんじ。

シルバーウィーク以降、毎晩静かな夜が続き、当店も存亡の危機…ということで、妙にこのフレーズが身にしみたりする秋の夜なのである。



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September 23, 2015 20:52:20

今宵のビストロおやじ / カルボナラ

テーマ:ワイン好きの日記


馬肥ゆる候。

今宵のビストロおやじ / カルボナラ

9月も終盤に入った。相変わらず、時の経つのが速い。札幌は、ここ1週間ほど晴天の日が多く、気温も高い。朝晩は13℃前後まで冷えるが、日中は25℃近くになる。ただ、湿度がない。空は抜けるように高く蒼く、とても気持ちがよい。今年の札幌の夏は、なんだかいつもジメジメしていて厭になる感じだっただけに、この爽やかさはなんともうれしい限りだ。

前回の記事で、豚の頬肉の塩漬け『グアンチャレ』を紹介したので、その続きとして、カルボナラを投稿してみた。イタリアの炭焼き職人の賄いが発祥とされる、前述のグアンチャレかパンチェッタを使った卵とじ(?)パスタである。いまさら説明の必要すらない、日本でも定番中の定番パスタだ。

それほどポピュラーなカルボナラだが、シンプルな料理だけに、店によってまったくといってよいほど品質が異なる。ペペロンチーノと比肩するほど、ある意味オーダーするのに勇気が必要なメニューだ。そんな難易度の高いカルボナラではあるが、当店も裏メニューとしてご提供している。

店主の個人的な好みとして、カルボナラを完食した後に、卵液がスープ状に残るものはどうもいただけない。パスタがスムーズにほどけつつ、完食後の皿には水分がほぼ残らないのが理想だ。

一般的に、イタリアンのプロの方々は、グアンチャレと茹で上げたパスタを和えたフライパンの余熱で、卵液を絡めていく。ところが、この塩梅がとても難しい。火が入りすぎると、卵が凝固して、パスタの「炒り卵和え」になってしまう。そこで、ヘタクソは見栄を捨てて、ボウルに準備した卵液に、グアンチャレとパスタを和えたものを投入し、トングでよく混ぜながら全体に熱を通す。卵は卵黄のみを使い、水分量は生クリームで調整する。これなら失敗がないね。


さて。世の中は食欲の秋ということで、大通公園ではロングランの『さっぽろオータム・フェス』が開催されており、連日盛況みたいだ。巷間、フード系のイベントはどこでも人気がある。まさに肥ゆる候だ。

そういえば、高校時代の同級生のFacebookで、「高校2年生の娘が自分の体重を超えた」という記事があった。その同級生自身、高校時代の面影がまったくないほどマッチョで肥えていることからして、お嬢さんもかなりのものと想像できる。まったく、馬肥ゆる候である。

体型はどうあれ、幸せなのがイチバン、ということで、ボナペティ。




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September 10, 2015 23:45:00

今宵のビストロおやじ / グアンチャレ

テーマ:今宵のビストロおやじ


Blog閉鎖の危機かな…?

今宵のビストロおやじ / グアンチャレ

もはや、ぺんぺん草が生えそうなblogになってしまった。

正直、このところ、なにかと多忙につき、Facebookの更新で精一杯で、blogまでなかなか手が回らない。これでも、いろいろとタイヘンなのである。
…というのはイイワケで、単にblogに対する関心が薄れて、更新がおざなりになっているだけだったりして。

こんなことでは、イケナイ。

グアンチャレは、イタリアの食材だ。豚の頬肉を塩漬けした、保存食のひとつである。イタリアやスペインは、気候風土が適しているのか、保存食として肉の塩漬けがポピュラーだ。豚のもも肉を塩漬け&熟成させた生ハム(プロシュートやハモンセラーノ)は、誰もが知るところのおいしい食材。豚のバラ肉を塩漬けにしたパンチェッタも有名だ。そのほか、耳を塩漬けにしたものとか、いろいろある。

当店は基本フレンチなのだが、とある常連さまのご要望で、グアンチャレを1本仕入れてみた。豚の頬の肉塊で、片側分で1.4kgもある。思いっきりもてあましそうだ。仕方ないので、使うだろうと思しき分量だけ切り出して、残りは真空パックして冷蔵庫の奥にしまってしまった。

グアンチャレで作ってみたいのは、なんといっても、カルボナラだ。

実は、はじめていじる食材だったので、おそるおそる切ってみたところ、そのほとんどは脂で構成されているようだ。切っても切っても脂しか出てこない。肉らしきものは、せいぜい10%あるかないかだ。世の中、わかっているようで、そうでもないと、あらためて反省。

上述の常連さまから、グアンチャレを使ったパスタを作れとのご命令だったので、さっそく、ほとんどぶっつけ本番で、グアンチャレの必殺カルボナラを作ってみる。

とにかく、切ってもぜんぜん肉が出てこないので正直アセッたが、「まぁ、こんなもんだろう」といつものように開き直り、ほぼ脂の塊を短冊切りにする。それを、オイルをしかないフライパンにのせ、弱火でじっくりとソテー。やがて、肉片(脂片?)は半透明になり、どんどんラードのような脂分がフライパンを満たして行く。すごい脂だ。まぁ、当たり前か。

あまりに脂が多いので、溶け出したものの半分はペーパーに吸わせて、棄ててしまった。もったいない? 

あとは、方程式どおりにカルボナラをつくってみたわけなのだが、試食段階で、やはり「グアンチャレはウマイ」という、なかば当たり前のことを実感してしまった。ベーコンは当然として、パンチェッタでつくるよりもおいしい。

グアンチャレは、すごいぞ! もて余しそうだが…。

…というわけで、やっぱりblogもちゃんと更新しなくては、と、思い立って記事にしてみたのが、グアンチャレである。相変わらず、行き当たりばったりだが、こんなふうにblogを継続していきたいと思い立った、今日この頃なのであった。


カルボナラをのレシピを発明した、食いしん坊に乾杯…。




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July 27, 2015 18:28:06

第7回 Au Grenier 6,000円ワイン会のご案内

テーマ:ワイン好きの日記


毎月恒例の、当店主催ワイン会。

会費6,000円で、ディナー3品とワイン4~5種類が楽しめるという、オトクなプランだ。

次回開催は、8/8(土) 19時スタートで、
テーマは、フィリップ&ヴァンサン・レシュノー。

ブルゴーニュ地方のニュイ=サン=ジョルジュに拠点を置く生産者で、派手さはないが、実直な美しさを持つ、店主好みのドメーヌだ。

当会は、初めてご来店の方も歓迎しているので、以下当店FBページの詳細をご確認の上、参加されてみてはいかがかな?

https://www.facebook.com/events/1681234052108910/

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June 26, 2015 17:55:40

Au Grenier 6,000円ワイン会!

テーマ:ワイン好きの日記


7/11(土)は、当店主催のワイン会。
当店は通常『ご紹介制』で営業させていただいているが、このときばかりは一般のお客様もお招きしている。とてもお得な内容なので、いちど当店を覗いてみたいと思っておられたワイン好きの方は、ぜひ、以下詳細をご覧いただきたい。

https://www.facebook.com/events/1633732186844665/

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June 15, 2015 17:28:47

今宵のビストロおやじ / 鶏肉のガランティーヌ

テーマ:今宵のビストロおやじ


5月は、平然とblog更新をさぼった。


今宵のビストロおやじ / 鶏肉のガランティーヌ

『ガランティーヌ』とは、骨を取り除いた肉(一般的には鶏肉)に詰め物をして調理したもので、輪切りにし、冷製のオードブルとして提供される料理だ。詰め物の断面の模様が美しい。オードブルといっても工程が多く、とても手間がかかる。当店では分厚く切ってソースや付け合わせを添え、温製のメイン料理として提供している。

主役(?)の丸鶏は、ブロイラーで十分。ぜいたくに地鶏などを使えばかっこいいかもだが、柔らかいほうがこの料理っぽく思うので、当店ではブロイラー肉を使用している。丸鶏はすべての骨をさばいて取り除き、全体的な厚みを馴らすべく、肉厚な部位をそぎ切りして、薄い箇所にパズルのようにはめ込んでおく。

詰める具としては、鶏のミンチ肉を必須として、野菜にオクラ、にんじん、しいたけ、ごぼう、いんげん、さつまいもなどなどを準備する。野菜はなんでもよいといえばなんでもよいのだが、調理して水分が出ないものを選ぶ。

野菜は、その性質に合わせて下ごしらえをする。結果的に、全体としてだいたい似たような食感になるまで、個別に火を入れておくことが大事だ。特に根菜は硬いので、火入れが甘いと輪切りにしたときに断面の模様が崩れる原因となる。あと、しいたけはアニスと出汁で煮るなど、それぞれに適した味をつけておくことも大事だ。

鶏ミンチは全体の「つなぎ」になるわけだが、卵白を加えると、ふんわり感が増す。クリームを加えるとさらによいらしいが、あまりゆるくなると取り返しがつかないので、ヘタクソな店主はそうしていない。いずれにせよ、ここでもしっかりめに味付けをしておく。ボウルでよく練って粘り気を出し、絞り袋に入れて冷蔵庫でスタンバイ。

具の下処理がすべて終わったら、いよいよ巻いていく。作業台にアルミホイルを重ね合わせて広めに敷き、オイルと塩胡椒をふったうえに、骨を抜いて「開き」になった丸鶏を広げ、さらに塩胡椒をする。冷製で提供する場合は、特に強めに味付けしておくこと。そして、気持ちを整えたら、中央から手前あたりに平行に鶏ミンチを絞って広げ、輪切りにしたときのイメージを思い描きながら棒状に野菜を配置していく。「金太郎飴」の要領だ。野菜と野菜の間は、鶏ミンチで埋める。この作業を、繰り返す。

ファルシ(詰め物)料理の場合、肝要なのは具の量を欲張らないことだ。慣れないうちは具を大量に作りすぎ、「もったいない」からどんどん詰め込んで、結果的に中身が飛び出したりして失敗したりする。家庭料理における餃子しかり、シューマイしかりである。具が余るようならすべてをプロセッサにかけ、小判状に成型してハンバーグにしてしまえばよい。その状態で冷凍しておけば、「いざ」というときに手早く一品用意できる。

さて。具の配置が完了したら、いよいよ巻いていくのだが、ここまでくればもう、勢いしかない。下にしいたアルミホイルと、丸鶏の肉の前縁を保持し、一気に畳む。アルミホイルの下に、さらに巻き簀をしいておくとやりやすいかもしれない。やったことはないが…。

うまく巻けたら、アルミホイルの両端を飴玉の包みのように絞り、さらに、たこ糸で焼き豚のごとく全体を縛る。あまりギュッと縛るとボンレスハムになってしまうので、あくまで「適度」な力で。

ここまでやれば、あとは火を入れるだけだ。180℃のオーブンで30分ほど。肉汁が染み出てくるので、肉塊の下にトレーを用意しておくとよい。肉汁は、とっておいて、スープやソースに利用する。

まともな性能のオーブンで30分もローストすればまず問題ないが、ブロイラー肉はしっかり火を入れる必要があるので、心配な人は、金串を塊の中心部まで差し込んで、それを下唇に当ててチェックすればよい。「あちっ!」というくらいに火が入っていればOK。ぬるかったらレアだ。オーブンから取り出し、室温で冷めるまで置いたら冷蔵庫に入れ、ひと晩放置する。

そして翌日、いよいよカットだ。たこ糸をほどいたら、アルミホイルに包まれた状態のまま、よく切れる包丁でカットする。包丁は、カットのたびに濡れたふきんできれいに拭っておこう。

さて。あなたは、イメージしたとおりの美しい断面と出会うことができただろうか? もしもYESだとして、さらに、あなたがプロでないとしたら、これはもう、たいへんなセンスの持ち主といえよう。このくだらない記事をここまで読み切った忍耐力にも感心するし、実際にこんな面倒な料理を実践してしまうチャレンジ精神にも脱帽だ。さらに、それがイメージどおりにうまく仕上がったとあれば…。

もう、お察しかもしれないが、店主はいまだかつて、このクソめんどくさい『鶏肉のガランティーヌ』で、いちども「これだ!」という結果を得られていない。自分はもしかして、料理のセンスがあるのではと思い込んでここまで走ってきているのだが、その根拠の薄さに気付かされる一瞬でもある。

…というわけで、久々のblog更新ということで、ちょっと気合を入れて長文にしてみた。最後までおつき合いいただいたマニアックな読者のあなたに乾杯、ということで、今夜の営業に突入します。

ア・ビアント!





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April 07, 2015 21:08:24

今宵のビストロおやじ / ハム・パイナップル

テーマ:今宵のビストロおやじ


うっかりしているうちに、5月になってしまった。

今宵のビストロおやじ / ハム・パイナップル

今年の札幌は、とにかく雪解けが早かった。2月なかばの記事でも「今年はやたらと春っぽい」と書いたが、その後もどんどん春らしさはその濃度を深め、3月の終わりには、街中の積雪がほとんど見られなくなってしまった。札幌に住んで22年あまり、ここまで春の訪れが早い年があっただろうか。少なくとも、3月から自転車通勤をスタートできたのは、今年が初めてである。

さて。ハム・パイナップルだ。ある意味「鉄板」な料理なのだが、一部の日本人にとってはあまり馴染みがないのか、ときにこの組み合わせに目をむかれたりすることがある。そもそも、肉とフルーツを一緒に食べること自体、違和感があるようだ。

ベルギー在住だった子供時代、母がこの料理をよくつくってくれた。分厚いハムを焼いて、上に缶詰のパイナップルをのせて少し蒸らす。このシンプルな調理法が、母にとっても都合がよかったに違いない。

そんなチョーシンプルな料理を、先日、お客様のコースメニューに取り入れてみた。ほんとうの評価はわからないが、少なくとも、そこそこご満足いただけたのではと思う。ハムは北海道産。ソースは、パイナップル缶のシロップでフライパンをデグラセして、別につくっておいたグレイビーソースと一緒に詰めたものだ。

たまには、こういうものもよいのではないか、ということで…。



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