王の華~Ⅰ ⑧~
テーマ:【王の華】
2012年02月17日(金) 21時00分00秒
~Ⅰ ⑧~ 呆然としている紫龍に同情しながら、 バッグの中に用意してあった 封筒を取り出す。 左手は使えない。 だが紫龍とは距離をとりたかった。 紫龍が冷静になるように祈りながら、 言葉をかける桜花。 「あなたに似たとても可愛い娘よ。 あなたの名前と私の名前からつけたの」 ベッドを離れ、 恐る恐る桜花へ近づこうとする紫龍を、 封筒を持ったままの右手で制する桜花。 「写真と必要な書類が入っているわ」 差し出された封筒を受け取る紫龍。 「写真と……なんだって?」 意味がわからずに繰り返す紫龍。 「必要な書類よ。 とにかくあなたはそれを、 落ち着いた時に開けて読んで。 意味がわかって、 冷静に話し合える状況になったら 連絡を頂戴。 私はここを出て、 落ち着ける場所で眠りたいわ」 今まで腕の中にいたのに、 いつの間にか遠くにいる桜花。 近寄りたくても近寄れない。 これ以上近づけば、 桜花の中の大切な何かを失う気がして 怖かった。
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