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英検1級合格体験記(一次試験編④)

■ライティングはラスト15分で何とか形に…

一次試験のライティングは、200~240単語の英作文です。その回によって問題は様々ですが、国際問題や社会問題が多く取り上げられている印象です。私が受験した2020年度第3回のトピックは、

Agree or disagree: Globalization is a positive force in today's world

という、比較的オーソドックスなものでした。

 

ライティングは、内容・構成・語い・文法の4項目がそれぞれ8点満点で採点され、英検CSEスコアへと換算されます。以下が、私のライティングの得点と英検CSEスコアです。

 

  内容: 5点/8点

  構成: 7点/8点

  語い: 6点/8点

  文法: 7点/8点

  技能別得点数: 25点/32点

  英検CSEスコア: 675点/850点満点

 

リーディング+ライティングの試験時間100分間のうち、ライティングに最低25分は残しておくことが望ましいです。私もそのタイムスケジュールで練習を重ねていたのですが、長文読解に時間がかかり、ライティングに15分しか割くことができませんでした。英検準1級ではかなり時間が余り、問題用紙にライティングで記載した内容を書き写す余裕すらありましたが、英検1級は本当にギリギリでした。

 

再現答案を書く時間がなかったため、どのような内容のエッセイを書いたのかあまり覚えていないのですが、私の問題用紙の余白には、「No、①Pandemic→rapidly、②Forgetting nationalism、③Blindly accept」というメモ書きが残されていました。おそらく、disagreeの結論をとり、①グローバリゼーション下では今回のようなパンデミックが瞬く間に世界中へ広がってしまう、②愛国心を失ってしまう、③他国がやっていることを盲目的に真似してしまう、という3つの理由付けを挙げたのでしょう。

 

一見それっぽいことを書いているようにも思えますが、採点結果を見てわかる通り、内容が8点満点中5点と、あまり伸びていません。おそらく、私のエッセイは出題趣旨から少し外れていたのでしょう。出題者の意図に沿った答案を書く…司法試験受験生時代に一番心掛けていたことでしたが、今回は明後日の方向に行ってしまいました。一方、構成は8点満点中7点と高得点でした。問題文で与えられた条件を守り、順序良く書けば、しっかりと評価されるのでしょう。

 

■おわりに

私のリーディング・リスニング・ライティングの英検CSEスコアは下の図の通り。合格基準のスコアが2028であるのに対して、私のスコアは2033と、本当にギリギリでの合格でした。どこかであと1問落としていれば不合格だったのです。

 

一次試験合格の目安は素点で7割と言われています。私の正答数はリーディングとリスニングで48問(68問中)でちょうど7割だったため、ライティングで大崩れしなければ合格するラインでした。数字的にはボーダーなのですが、ドキドキしながらも、「まぁ合格しているだろう。」と思っていました。「あの司法試験に合格したのだから、よほどの試験じゃなければ落ちないだろう…。」と根拠のない自信があったのです。結果的にギリギリではありましたが、一発で一次試験を突破できてよかったです。

 

英検1級と聞くと、「ネイティブレベル」「雲の上の存在」などと言う人もいます。私も合格するまではそう思っていました。しかし、いざ自分が合格してみると、「このレベルでも合格できるのか」と感じます。勿論、合格へ向けて勉強しましたし、合格できた時にはとても嬉しかったです。しかし、英語がペラペラになるためのスタート地点に立ったに過ぎないのです。

 

私が英検1級を受験するにあたり、インターネット上に掲載されている合格体験記を多く読みました。その多くは、「レベル高すぎ」「このレベルに届くのは無理」というものでした。私は、この合格体験記を読んで、英検1級の受験を考えている皆さんに、"英検1級合格のリアルな最低ライン"が伝われば、と思っています。一人でも多くの人が、「この人で合格したなら自分も大丈夫そう」と感じていただければ幸いです。近日中に二次試験編も書く予定です。お楽しみに!!

 

英検1級合格体験記(一次試験編③)

■リスニングのカギは前半で崩れないこと

一次試験のリスニングは、【Part 1】(Dialogues)、【Part 2】(Passages)、【Part 3】(Real-Life)、【Part 4】(Interview)で構成されています。以下が、私のリスニングの正当数と英検CSEスコアです。

 

  【Part 1】: 8問/10問

  【Part 2】: 7問/10問

  【Part 3】: 5問/5問

  【Part 4】: 2問/2問

  技能別正当数: 22問/全27問

  英検CSEスコア: 693点/850点満点

 

【Part 1】は、2人または3人の会話とその内容に関する質問を聞いて、問題用紙に印刷された選択肢から正解を選ぶ問題です。オーソドックスな問題ではありますが、これがなかなか厄介で、問題によってはかなり長い会話文もあります。途中で集中力が切れそうになりましたが、何とか2問ミスで切り抜けることができました。

 

【Part 2】は、英文とその内容に関する質問を聞いて、問題用紙に印刷された選択肢から正解を選ぶ問題です。パッセージは(A)~(E)の5題あり、それぞれ2つの質問に回答します。パッセージのテーマは、科学や歴史といった専門的なものから、テレビ番組や授業の一コマなど、さまざまです。リスニングの中では、ここが一番の難所でしょう。私も苦手としていたパートですが、それぞれキーワードを聞き落とさないよう心がけ、3問ミスと大崩れはしませんでした。

 

【Part 3】は、問題用紙に印刷されたSituationとQuestionをあらかじめ読み、英文を聞いて、Questionに記載された選択肢から正解を選ぶ問題です。公共施設でのアナウンスや留守番電話の伝言メモなど、実生活で耳にするであろう場面設定です。SituationとQuestionを読む時間が10秒あり、内容も馴染みのあるものであるため、リスニングの中では一番の得点源です。私も【Part 3】は練習の時から一番得意としていたところで、本番でも全問正解でした。

 

【Part 4】は、一対一のインタビューとその内容に関する質問(2問)を聞いて、問題用紙に印刷された選択肢から正解を選ぶ問題です。インタビューを受ける人は、とある分野の専門家や経営者などです。比較的長いインタビューではあるものの、問題文の選択肢とインタビューの流れからある程度正解を導くことができるため、そこまで難しくはありません。2問いずれも正解することができました。

 

リスニング全般の難易度は、そこまで高くはありません。TOEICや英検準1級のリスニングで高得点を取ることができていれば、それぞれのパートの傾向を押さえることで、比較的すぐに高得点を取ることができると思います。とはいえ、【Part 1】では3人の長い会話があり、【Part 2】では馴染みのない分野のパッセージがあるなど、英検1級ならではの難しさもあります。前半で大量失点しないよう、しっかりと準備しておくことが重要です。

 

4技能の中では一番リスニングが得意だったこともあり、いち早く合格レベルに持っていくことができました。本番でも自信をもって臨むことができ、【Part 1】~【Part 4】まで大崩れすることなく解くことができました。解き終えた直後は、正答率85%くらいかな、という感触だったため、それよりは下回ったものの、正答率81%はまずまずといったところでしょう。

 

 

英検1級合格体験記(一次試験編②)

■開始早々途中退室を考えたリーディング

一次試験のリーディングは、大問【1】(短文の語句空所補充問題)、大問【2】(長文の語句空所補充問題)、大問【3】(長文の内容一致選択問題)で構成されています。以下が、私のリーディングの正当数と英検CSEスコアです。

 

  大問【1】: 11問/25問

  大問【2】: 6問/6問

  大問【3】: 9問/10問

  技能別正当数: 26問/全41問

  英検CSEスコア: 665点/850点満点

 

おそらく、多くの英検1級受験者にとって最大の難所が大問【1】の短文の語句空所補充問題でしょう。難しい英単語が並ぶ4肢択一式問題が25問続きます。それなりに対策をしていたのですが、最初の小問⑴から「なんじゃこれ!?」という感じでした。何を隠そう、25問のうち、自信をもって回答できたのはわずかに5問でした。

 

大問【1】の中で、私が自信をもって回答できた数少ない問題の一つが小問⑵です。ardent(形: 熱狂的な)が正解肢だったのですが、これは私が海外のサッカー選手へファンレターを書く際によく用いる単語だったのです。最後に詳述しますが、私は、あと1問間違えていれば一次試験で不合格になるところでした。サッカー選手へファンレターを書いていたおかげで一次試験を突破することができたと言っても過言ではないでしょう。

 

大問【1】を解いている最中は、あまりの難しさに心を折られ、途中退室も考えたところでしたが、少なくとも次の試験に活かせるよう、気持ちを切り替えて長文読解へと進みました。大問【2】の長文の語句空所補充問題では、幾つか悩んだ問題はありましたが全問正解。続く大問【3】の長文の内容一致選択問題も、長文の内容を理解するのに時間がかかった箇所もありましたが、1問ミスで乗り切ることができました。SDGsや国際問題など、日頃からアンテナを張っていた部分の出題があったため、比較的自信をもって解くことができました。

 

多くの英検1級合格者が指摘する通り、大問【1】は合否を大きく分けるところです。いくら難しい単語が並ぶとはいえ、心理的に余裕をもって一次試験の合格発表を迎えるためには、少なくとも18問は正解しておきたいところです。この部分の正当数が11問で一次試験を突破した受験生は、あまり多くないのではないでしょうか。

 

ただ、結局のところ、リーディングの英検CSEスコアは大問【1】~【3】の合計点で判断されるため、私のように大問【1】で崩壊しても、長文問題で充分に巻き返すことができるのです。これから英検1級を受験される皆さんも、大問【1】で手応えがなくても、最後まであきらめずに食らいついてほしいです。