約350年前の明暦の大火で焼失した江戸城天守閣の復元図が、広島大大学院の三浦正幸教授(文化財学)らの手で完成し、都内で開かれたシンポジウムで17日、公開された。同教授によると、当時の史料をもとに、詳細な復元図が作成されたのは初めて。再建を目指し活動する団体は「機運が高まるきっかけに」と意気込むが、江戸城は皇居にあるため、宮内庁からは「御所を見下ろす高さになるなら、両陛下のプライバシー上問題」と慎重な意見も。平成の世に江戸城は復活するのか。(篠原那美)

 復元図はNPO法人「江戸城再建を目指す会」(東京都千代田区)が制作を依頼。豪華絢爛(けんらん)というより質実剛健な城は5階建てで、石垣を含めた高さは18階建てのビルに相当する59メートルにも。スクリーンに壮大な城のCGが映し出されると、会場にどよめきが広がった。

 この日紹介されたのは、徳川3代将軍・家光が建てた天守閣の復元図。「再建にはまず復元図が必要」と同会の小竹直隆理事長が昨秋、城郭復元研究の第一人者として知られる三浦教授に制作を依頼。三浦教授の研究室が、大工の棟(とう)梁(りよう)が書き残したとされる設計図「建地割図」を基に完成させた。

 三浦教授は「江戸城の天守閣は織田信長の安土城の4倍もの体積を誇る一方、外観は正当に受け継がれている。日本の城郭史上、最大で最高の到達点」と歴史的な意義を語る。

 「目指す会」は平成16年、観光振興や文化継承のため、民間の手で江戸城を再建させようと設立。現在約1800人の会員がいる。小竹理事長は「今後会員を数千、数万に増やし、寄付を募って再建したい」と意気込むが、難しい面もある。

 江戸城があった一画は現在、皇居・東御苑に含まれて一般開放されているが、この地域は国有財産法上、皇室のために用いるとされる「皇室用財産」となっているのだ。宮内庁幹部は同会の活動について「コメントは差し控えたい」としているが、過去には江戸城再建の議論をめぐり、「景観や両陛下のプライバシー上、問題があるのでは」と慎重な意見が出たこともある。

 小竹さんは「江戸城は『戦い』ではなく、天下太平を希求した『平和』のシンボル。美しい城の姿を知ってもらえれば、いつか道が開けるのでは」と期待している。

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 ■江戸城天守閣 1606(慶長11)年に徳川家康が築いたのが始まり。1622(元和8)年に2代将軍秀忠、1638(寛永15)年に3代将軍家光が、それぞれ代替わりごとに築き直した。家光の建てた天守閣は1657(明暦3)年の明暦の大火で焼失。翌年、加賀藩前田家の普請で天守台が築かれたが、4代将軍家綱の叔父、保科正之が「城下の復興を優先すべきである」と提言。以後天守閣が再建されることはなかった。

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