幕間だけの天井桟敷

適当な湯加減で書いています


テーマ:

「たのもぉー」

 

そう言って入店してみたものの、事前偵察した通り、お客さんは皆無。

宮沢賢治の注文の多い料理店がなぜか脳内にPOP UPされる。

 

「どこでもお好きな席へGO!」と言われたので、

外の景色が見えるカウンターへちょこんと座ってみた。

 

程なくメニューが渡されたので、当初の目的どおり、"麺"のところを見てみる。


「担担麺」

 

うむ、狙い通り。

一品だけでやや忍びないけど、ええわい、容赦無く頼んだろって思ったその瞬間、

「担担麺」と書かれたその言葉の前に、なんとも魅惑的な枕詞が付されていた。

 

四川人の担担麺」

 

およ?

四川人とはまた結構ピンポイントな。

なんなんやろ、四川人て。僕らがいつも食べてる担担麺とは違うんやろか…と

思っていると、そのすぐ下にもう一つメニューがあった。

 

日本人の担担麺」

 

出たよ、究極の二者択一。

 

だけど、僕はいつも食べてる"フツーの担担麺"を食べにわざわざ歩いてきたん

ですがな、 "四川人"とか香ばしい接頭語がついた怪しいメニューなんか頼んで

どうしますのん、っていうかこんな得体の知れないやつ、そもそも誰が頼むのよ

 

 

「お前だよ!!」

 

どこからともなく天からの叱咤激励が聴こえてきたので、

とりあえず頼んでみることにした。

 

すると店員のおねえさんが、

「辛さはどうしますか?」と訊いてきた。

 

「辛めで」

即答した僕だったが、なんでそう言ったんだろうと軽く後悔してしまう。

 

そうこうするうちに、

10分近く経っただろうか、ついに「四川人の担担麺」が私のもとへ運ばれてきた。

 


幕間だけの天井桟敷-担担2


この運ばれてきた異次元のヴィジュアルを見て、

「あの、これ、とりあえず違います」

と即座に店員のおねえさんに言いそうになったが、 

おねえさんを見るに、満面の笑みで僕をずっと見て、

「心配しないで大丈夫よ」とテレパシーつっこみをどうも送ってきている。

 

なるほど、よくわからないがこれで正解らしい。

 

そして、いよいよ食すことに。

一口目の麺(であってほしい)を箸で口に運んだ。


………。

 

とりあえず、この世のものとは思えない辛さが、舌にダウンロードされる。

そして、いきなり、「水~!!」と身体より魂そのものが求めだしたので、

担担麺どころではなくなってしまった。

 

なんというか、"辛い"というよりは"危険"な味。

 

自分の舌が発酵しているのかと勘違いするほど、"ジョワジョワ~"と襲いくる

炭酸系の鋭さがもう物凄いのなんの。

"辛い"どころかむしろ"痛い"。

 

いやぁー、さすが"四川人"と名を冠すだけあって、胸元を深くえぐるインパクト。

日本人なんかに一切媚びてないどころか、本場四川の人たちにも「人でなし」と呼ばれたいがために料理してんちゃうのと勘繰りたくなるほどである。

 

この辛さは、きっと多量の"山椒"の影響なんだろう。

後に残る辛さではなく、一瞬の閃光のような刺激が特徴的。

だけども、別にまずいとかそういうわけでなく、野菜の甘味などもちゃんと感じら

れ、いかにも本場の中華を地で行ってるという感じです、本場知らんけど。

 

10分ほど格闘して、「辛痛い」ながらも、無事完食。

 

ともあれ、ほんともの珍しい経験でした。
中国には行ったことはありますが、四川地方には行った事がないので、

本場ではこんなスパイシーなワールドが展開されてるのね、、、と

違う意味で桃源郷だなと思った次第。
 

そして、最後に僕が思ったのは、

この店名が「普段着四川料理」という事実。

 

四川人のワードローブはいったいどうなっているのだろうと、

まだ見ぬ衝撃的な色とりどりの衣服に想いを馳せる日々。

 

次はあの服を着て外に出たい。

 


幕間だけの天井桟敷-担担3

 

 



テーマ:

この前の仕事帰りに歩いていたら、ふと、「ラーメンか担々麺が食べたい、嗚呼食べたい」とおもむろに炭水化物スイッチがONしたので、近くを歩き回いてそれらしい店を探してみることにした。

その日は昼飯を食べ損ねたので、空腹感は空前絶後。
そんなこんなで脳内Google Earthを最大限に活用してると、

程なくしてやや怪しげな中華料理屋が登場。

 
幕間だけの天井桟敷-坦坦1

 
店名に目をやってみる。

「普段着の四川料理 担担」
 

 
うむ、キテレツ度満開である。

 

「四川料理」や「担担」はまだわかるが、

何なの、「普段着」て。

 

で、写真を見てお分かりの通り、このアヴァンギャルドな外観を見る限りは

それが中華料理屋とは全く判別できず。

なんかのストリートアートかキッチュな画廊かとさえ思う。

 

すでに外装のスペックだけで不安度は最高潮。

そして外から店内を一瞥してみたものの、全く客が居ないというデカダンスな状況。

僕が訪れたのは19時半ごろ、平日とは言えども、ピーク時間帯のはず。

 

しかも、店員らしき人が私を発見したようで、

こちらをずっと見つめている。 おっと、これはいかんっ!

瞬間、雷がゴロリドカンと鳴る。

申し合わせたかのように、雷光にあわせて店員の顔面が蒼白フラッシュ。

なんかもう「リング」の女の人みたいになってはる。

 

嵐のような雨と相まり、これはちょっと不吉だ、

「あかん!もう帰る!」と痺れを切らしたのもつかの間、

気づいたら炭水化物スイッチの影響で、身体が自らの脳内指令を無視して、

自分が思うほうの真逆の道へとGO!しているではないか。

 

 

「たのもぉー」

そう言いながら、穿ち半分、好奇心半分で、僕はついに入店を果たしたのである。

 

※後編へつづく

 



Amebaおすすめキーワード