「国が権限を行使しなかったため、石綿粉塵(ふんじん)の抑制が進まず被害の拡大を招いた」。19日の大阪地裁判決は、国の不作為責任を明確に認め、無策ぶりを断罪した。

 認められた賠償額は従来の基準よりも高く、石綿による健康被害の大きさと国の責任の重さを示すものだ。国民の生命・健康を守る責任を国に再認識させたといえる。

 しかし、工場労働者とその家族や近隣住民とを“救済のふるい”にかけ、労働者以外の暴露を認めなかったことには不足感が否めない。泉南地域ではかつて、零細工場が密集した「石綿村」と呼ばれる地区があり、工場から石綿粉塵が大量に吐き出されていたことを考えると、近隣住民を「公害被害者」と言っても過言ではない。

 また、原告の大半は高齢で、提訴後に亡くなった人も3人いる。石綿の潜伏期間は15~50年と長期に及び、今後さらに被害が拡大することも予想される。

 こうした現状を考慮すると、国は司法判断を受け入れて率直に責任を認め、アスベスト救済新法の改正を行うなど幅広い救済策を急ぐべきだ。(梶原紀尚)

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