クビオ「ここは」
ミィに案内され着いた場所は、所謂日本家屋のような、背中で鯉を飼ってるような人が集まりそうな場所だった。
クビオが戸惑ってるにも関わらず、ミィは木製の門に手をかけた。
その時背後から声がした。
背後の男「なんだぁ?お前ら」
背中で鯉を飼ってるかはわからないが顔に傷がある。
クビオはさらに汗が噴出した。
背後の男はクビオをだらりと睨み、ミィに目をやった。
背後の男「お前、うんこ味のカレーとカレー味のうんこの話知ってるかぁ?」
ミィ「・・・」
背後の男「カレー味のうんこはよぉ、便器にこびりついてたもんがカレー味だったのかもな、へへへ。でもよぉ、うんこ味のカレーはもはや、カレーじゃあねぇよな?にんじんやらたまねぎをコトコト煮込んでできたもんなのか?」
クビオ「ちょ、ちょっと!」
背後の男はふたたびクビオに目をやった。
背後の男「こげ茶色で、どろっとしてて、うんこ味。そりゃあもううんこだろ?あぁ?」
そう言い男はミィの手のかかった門から入っていった。
背後の男「俺はミツコシ、ミィだろ?入れよ」
ミツコシと名乗る男、言われるがまま門をくぐるクビオとミィ。
池や竹林がありとても広い庭園をミツコシの後に付いていく。
クビオ「知り合いなのか?」
ミィ「ミィは案内人、ミツコシは情報屋」
クビオ「なるほど」
客間のようなところに通され、それなりにもてなされているようだ。
客人になってしまったということか。
ミツコシ「話は、お前の親父さんから聞いてるよ、そいつの事も知ってる」
親父と言うのは博士のことだろうか、‘お前’と言うのはクビオなのかミィなのか、どちらにせよ産みの親は博士なのかも知れない。
一息おいて、クビオは自分の名前を告げた。
ミツコシ「クビオか、変な名前だな。お前も災難だったな。そして、これからも災難だ、お前のおふくろさん殺されたんだろ?犯人知ってるよ、親父さんの娘、お前の妹だよ、へへへ」
クビオは声も出なかった、信じがたいし信じたくも無かった。
それにこのいかにも胡散臭い男の言うこと、だがすぐに信じなければならなくなった。
ミツコシ「信じらんねぇのも無理はねぇ、けどよもうお前はいじられちまってんだろ?やるしかねぇだろうが、お前の優しい妹がなんでてめぇのおふくろを殺しちまったのか、それを知る必要があるだろうよ」
クビオ「・・・そうだな、落ち込むのは慣れた、驚くのは疲れたよ。ただ、そのあんたは情報屋だろ?金でも受け取ってるのか?」
ミツコシ「こんな時に言うのもなんなんだが、今がその時なのかもしれねぇな、俺は昔からヤンチャばっかしててよ世間からも煙たがられてたんだ。この組入ってからもオジキとの絆なんか感じたこと無かった。けどよ、お前の妹は優しかったんだ、誰も近づかない俺にポケットティッシュをくれたんだぜ」
クビオは苦笑いをし、でも情報屋なら力を貸して欲しいと思った。
ミツコシ「気質なのかな、なにがあったのかあの娘が自分の親をバラしちまうなんて」
クビオ「理由はどうあれ手を貸してくれるならお願いしたい、俺もあんたと同じだ」
ミツコシ「同じだぁ?ククク、お互い‘カタギ’の人間じゃあねぇもんなぁ!」
ミツコシは笑い、立ち上がり背を見せた。
ミツコシ「女ぁひとり救うのに理由なんかいらねぇだろ」
そこに鯉はいなかったが、心に龍を飼っていた。
ミィ「とりあえず、妹を探しましょう」
ミィは口の周りに付いたきな粉を一生懸命拭きながら言った。
まさか優しく可愛い妹が本当に自分の母を殺したのか、クビオは自分の理性や感情が次第に薄れていくような気がしてならなかった。
つづく