今までの山本作品とはちょっと異質な感じが、なによりも理想的な人間気質的なものを美しく意識して表現している・・・登場人物のすべて江戸の華のようだ。
江戸の義賊として名を馳せた鼠小僧次郎吉が獄門になった後、相棒でもあった材木問屋「新宮屋」の祥吉は、残された次郎吉の妻と息子・大次郎を守ることを誓う。
ある大商いをものにした祥吉は、熊野杉の買い付けのために大次郎、川並の健次とともに七日船に乗り、紀州・新宮へと向かうが…。
大次郎は旅の途中、幾多の苦難を乗り越え、たくましく成長していく。市井に生きる人々の義理と人情と誇りを描く・・・。
東京人と江戸人の違いが見える。
粋や鯔背や華が・・・たっぷり。