2009-02-23 07:00:00

『日本海海戦とメディア 秋山真之神話批判』(続きはここまで)

テーマ:政治・経済


鞭声粛粛、夜本を読む 面白い本のガイド
  サーチ『日本海海戦とメディア』 の著者は、 心に深い傷を受けたのは誰よりも秋山であったに違いない。最後の1カ月間、全霊で取り組んだ作戦はついに実現しなかった。…戦役後、奇矯ともとれる行動には深いトラウマがあったことをうかがわせる と深い同情を寄せています。


  この苦悩に満ちた日本海海戦までの「最後の1カ月間」は、『坂の上の雲』で描かれたバルチック艦隊の航路予測などではなかった、のが真実だと立証しています。


  どっちつかずの東郷長官のもとで、作戦案が迷走し、最終版はおよそ現実離れしたものになり果てたのが 「 最後の1カ月間 」だったことが、 克明に、平易に描かれています。 筆者は言います。 アイデンティティの核心部で秋山は敗れた と。



サーチ役回りを演じた秋山参謀


  しかも、バルチック艦隊壊滅の主役は、 東郷長官が乗り組んだ巨艦揃いの第1艦隊ではなく、 実は小振りの軍艦ぞろいの第2艦隊で、 しかも、第2艦隊は戦闘中に東郷長官の命令に反し、 機転を利かし追撃したことが大きく奏功したのでした。


  さらに、 海戦勝利の最終決定打は、 駆逐艦や水雷艇による夜間の雷撃だった。 それなのに、 秋山参謀は、 事実と異なる国民向け戦況報告を書き、 公式の戦史史料作りに関わり、 講演では武勇伝を語り、 著名人になるなど、 かつて秋山本人があからさまに批判した無能の米軍の代将と同じような役回りを演じざるを得なかった…。


  この本には書かれていないが、 秋山参謀はのちに、海軍では雲の上の伝説の人になり、それでいて、本人は新興宗教に没入し、 海軍軍人に信徒が多かった大本教の信者だった後の井上成美提督を、盛んに自分の宗教へ引き込もうと勧誘し、 井上提督は、雲の上の人の熱い勧誘にたいそう苦しんだ、という実話が残っています。


  ちなみに、 秋山参謀は風呂嫌いで、 退官後、 異臭がすることもあったとか。 坂本竜馬の風呂嫌いも有名。 中岡慎太郎は折り目正しく、清潔好きだったことも有名。


  『 日本海海戦とメディア 』 著者の木村勲氏は、1943年生まれの神戸松蔭女子学院大教授で、専攻は日本近代思想史など。朝日新聞学芸部で近現代史や近代文学の担当記者だったことがある。

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