桂米紫のブログ

米朝一門の落語家、四代目桂米紫(かつらべいし)の、独り言であります。


テーマ:
未見だった『ミラーズ』(2008年 アメリカ)というホラー映画を、DVDで観ました。

名作『シャイニング』に、『シックス・センス』とJホラーのエッセンスを振りかけたような感じで(多少ごった煮的ではありましたが…)、まぁまぁ楽しめました。


はい。ホラー映画が好きなのです。

「ホラー好き」という趣味に、眉をひそめる向きもございましょうが…好きなものは仕方ないじゃん。


“ゴシック小説”と呼ばれた18世紀の昔から、ホラーは元来「悲劇」と密接な関係にありました。


テーマとなるのは“死”や“苦しみ”。

それらに対して誰しもが抱く「潜在的な恐怖心」を具現化した物語が、ホラーなのではないかと思います。


そんな“現実的な恐怖”をカリカチュアして「寓話」として見せる事で、ホラーはある種の癒しの効果を我々に与えてくれます。

つまり、“死”や“苦しみ”を凝縮した形で疑似体験する事によって、逆説的に我々は“生の喜び”を実感する事が出来るのではないかと思うのです。


ホラーが描き出す「最悪の状況」に比べれば、我々が日々感じる不幸や苦しみなど、まだ軽いもんだと思えてきます。

だから恐ろしければ恐ろしいほど、悍ましければ悍ましいほど、悲しければ悲しいほど、ホラーはその価値があると言えるんじゃないでしょうか。


完全な問わず語りで、「大好きなホラー映画」のベスト10を書き出してみますね。
興味のない人、あっち行てんか。


1.『シャイニング』(1980年 イギリス/アメリカ)
名匠スタンリー・キューブリックが撮り上げた、格調高くとんでもなく恐ろしい傑作ホラー。
画面の端々から禍々しさが漂ってくるようで、本当に恐ろしい!!


2.『ローズマリーの赤ちゃん』(1968年 アメリカ)
こちらも名匠ロマン・ポランスキー監督による名作。
怖い上に、スリラーとしても一級品の面白さ。
『シャイニング』もそうですが、コケ脅し的な演出は一切なし。
そこらの凡庸のホラーとは違う、さすが名匠の成せる業。


3.『オーメン』(1976年 アメリカ)
リメイク版じゃなく、オリジナルの方ね。念のため。
こちらは娯楽派リチャード・ドナー監督作。
『エクソシスト』も怖い映画だけど、『オーメン』のスタイリッシュな映像テクニックで魅せる恐怖は、映画のワンダーに満ちています。


4.『ゾンビ』(1978年 イタリア/アメリカ)
ここらで下世話なスプラッターも入れときます。
“下世話”と書きましたけど、中身は結構骨太の社会派アクション大作。
愛する人や大事な友人が、「人ではなくなる」恐怖。生き残った人間同士で繰り広げられる、不毛な争い。
バージョン違いがたくさんありますが、僕は長尺のディレクターズカット版が好き。


5.『MAY ~メイ~』(2002年 アメリカ)
ここまでメジャーな作品ばかりが並んできましたが、これはとびっきりマイナーな作品です。
センチメンタルで、哀しくて…でもこの上なく残酷な物語。
ラストシーンは、ホラーがファンタジーに変わる瞬間。
隠れた名作だと思います。


6.『回路』(2001年 日本)
Jホラーからも一本。
黒沢清監督作品。
黒沢清監督作は『CURE キュア』も本当に厭な映画でしたが(“厭な映画”はホラーとしては最高の褒め言葉)、Jホラーらしさを重視してこの作品を。
黒沢清監督は、きっとロマンチストなのでしょう。
目の前にある幸せが、指の間をするりと零れ落ちていく悲しさと、その恐怖。
名状しがたい恐ろしさ。


7.『屋敷女』(2007年 フランス)
この作品に関しては、本当にコワ過ぎるので、鑑賞をお勧めしません。
この作品と『REC/レック』の一作目は、見終わってドッと疲れが出るぐらい、観るのに体力を消耗します。
特にこの作品はしんどい。救いが無さすぎる。
でもだからこそ価値がある、凄い映画です。…決してお勧めしませんけど。


8.『遊星からの物体X』(1982年 アメリカ)
『エイリアン』と並ぶ、SFホラーの金字塔。
『エイリアン』が未来の宇宙空間を舞台にした完全SFだったのに対し、こちらの舞台は現代の南極基地。
閉鎖された空間の中で、親しい仲間が未知のものに同化されていく恐怖。
そしてCGにとって変わられつつある特殊メイクの職人芸が、これでもかと堪能できる作品。
「自称・良識ある人」がどれだけ眉をひそめようが、それはジョルジュ・メリエスが『月世界旅行』を撮った映画の黎明期から脈々と受け継がれる、“映像のマジック”に他なりません。


9.『フランケンシュタイン』(1994年 イギリス/日本/アメリカ)
ユニバーサルの古典ホラー『フランケンシュタイン』とその続編『フランケンシュタインの花嫁』は、名作中の名作ですが…ここでは敢えて1994年版を。
実力派シェイクスピア俳優のケネス・ブラナーが監督&主演を務め、怪物役にロバート・デ・ニーロを配した、重厚な大作。
望まれぬ誕生と愛の喪失を、“悲劇”としてガッツリ描いた、恐ろしくも悲しい物語。


10.『ぼくのエリ 200歳の少女』(2008年 スウェーデン)
“ラブ・ストーリー”を前面に打ち出した宣伝&パッケージで、DVD店の棚にも“ホラー”のコーナーには置かれていない事の多い、この作品。
誰にも理解してもらえない“愛”に囚われた、孤独な少年の物語。
とても切ない作品ではあるのですが…ホラー描写には一切の容赦なし。
切なさと残酷さが見事に調和した、昨今では稀有なホラーの名作。


他にも大恋愛ホラー映画『ザ・フライ』や、アングラ人体破損コメディ『ZOMBIO/死霊のしたたり』、問答無用の極悪映画『悪魔のいけにえ』なども触れたかったのですが…それはまた、別の機会に。


一段下に見られがちな「ホラー」というジャンル。

しかしそこには、人間の欲望やら悲しみやら、愚かさやら弱さ…という、誰しもが胸の内に秘めている“暗黒面”が、紛れもなく描かれているのです。




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