桂米紫のブログ

米朝一門の落語家、四代目桂米紫(かつらべいし)の、独り言であります。


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落語もお芝居も、生身の芸というものは総じて“一期一会”ですから、出来の良い時もありゃ、あんまし良くない時というのもあります。

「プロなれば、常に同じクオリティの芸をキープすべきだろうが!」
というご意見もありましょうが…でも「常に同じクオリティをキープする」って、確かに「すごい!」と思う反面、「それってとってもつまんねー事なんじゃねぇの?」とも、思ったりしちゃう訳です。

「絶対に、いつもヒットを打つバッター」とか、「絶対にホームランを打つバッター」というのが存在したとして、それでゲーム自体が面白くなるんだろうか…という話ですね。

DVDを再生するみたいに「いつも同じ芸が披露出来る」って噺家が存在したとして、それは果たして本当に面白いのか!?


生身の芸というのは、僕はある意味「スリルを伴う」ものだと思っています。
「スリル」こそが、生身の芸の“欠かせないスパイス”なんじゃないかと。


例えば、僕がとってもとってもスベっちゃったとして(現にとってもとってもスベっちゃう事、ありますしねー)、その時初めて僕の高座を観てしまった…というお客様は、僕の事を「コイツ面白くねぇ噺家だな」と思う事でしょう。

でもそれは(もちろん避けたい事態ではありますが…)、逆の意味でも“一期一会”な訳ですから、仕方ない事なんでしょうね。たぶん。


今日は『落語中毒SHOW』の開催日でありました。
あ、“今日”というか、正確にはもう“昨日”ですけどね。


トリで「まめだ」というお噺を演じさせて戴きました。

「まめだ」っていうのは、何て言うか…とっても僕好きな噺なんです。

噺に登場する、タイトルロールの“豆狸”がとってもいじらしくて…それがウチのこじろうの姿ともダブってしまう所があって…何だかとってもとっても、好きな噺なんです。


感情がグッと高ぶるネタですから、それこそ“一期一会”で、気分がノッた時とノらなかった時の差が、とっても激しい噺なのでありますが…今日の「まめだ」は、とっても気分が良かったんです。

“出来が良かった”なんて、エラそうな事を言うつもりはありません。

実際、一部の台詞でカミカミでしたし、大事な所で声がガスガスになっちゃって、「クッソー!」と悔やまれる点は何点もありました。


でも、気分が良かったんです。


主人公である、大部屋の歌舞伎役者…市川右三郎青年と、上手く気持ちが通じ合ったというか…架空であるはずの彼ら登場人物が、ふと実在したというか…。


たぶんそのうち、全然気分がノらない「まめだ」をやっちゃう時というのも、来るかも知れません。

それは僕の稽古不足かも知れないし、僕の根本的な力量不足かも知れない。


でも(出来不出来はこの際置いといて…)、こんな気持ちを味わえる事こそが、落語を演じる喜びなんだ…という“一期一会”だけは、記憶していたいものだと思うのです。


本日ご来場下さった全てのお客様と…あと僕にインスピレーションをくれた、こじろうに感謝しておきます。


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