キング・オブ・コメディ [DVD]/ロバート・デ・ニーロ,ジェリー・ルイス,ダイアン・アボット



あなたはどんな人生を送るのか。

ある人は言う。

「どん底で終わるより、一夜の王でありたい。」

あなたはどちらか。

もちろん、”一夜の王”が示す意味は人によって異なってくる。

少しこの言葉の意味の捉え方をずらすと、たくさんの人がなぜ大金をはたいて風俗やキャバクラに通うのかという答えも隠されている。

”一夜の王”となることで人は嫌な事を忘れ、ストレスを発散し、また明日の現実と向き合うエネルギーを手に入れている。

「でもそれって、ただの勘違い野郎じゃん」

と思ったあなたはきっと正しい。
けど、世界はそんな勘違いのおかげででまわっているのもまた事実だ。

愛にしろ何にしろ全て勘違い。
あなたが見ている世界は妄想によるところが大きい。

あなたはあなた以外の人間とコミュニケーションを取るたびに無数の勘違いを繰り返し、妄想の世界をつくりあげて行っている。もしあなたが20歳だとすれば、20年間ちょっとずつくみ上げてきたコミュニケーションの蓄積は、大きな妄想の連鎖の蓄積であり、非現実的な世界を構築しているに違いない。

そんな「妄想の世界」を容赦なく構築する人こそ、この映画「キング・オブ・コメディ」の主人公に他ならない。

映画「キングオブコメディ」はロバート・デ・ニーロの若かりし頃の作品で、監督はあのマーティンスコセッシ。作品自体は「タクシードライバー」の喜劇版とも言われる。ちなみに、コントで人気のキングオブコメディも名前の由来はここからで、各界に熱烈なファンを持つのもこの作品の特徴らしいです。

普通ならこんな作品なかなか借りる事も無いわけですが、今TSUTAYAでやっている「良品発掘」(おもしろくなかったら返金します的なキャンペーン)で、コメディのところで一位に君臨していたわけです。

それこそ、序盤の45分くらいは返金コールあと一歩手前なんだけれども、最終的に主人公がとる行動がキマりすぎていて、見終わる頃には前半とかなり違った印象を抱く事必至。

彼の生きる世界を見て、多くの鑑賞者は”とんでもない勘違い野郎だ”と思う訳ですが、結局それを見ているあなたも”とんでもない勘違い野郎”であり、同じ人間だということに気づきます。

そして、妄想して勘違いして狂っていくことが、現状を変革し、己を変えて行く手段の1つであるということに気づかされる訳です。

そういえば、過去にもappleが作ってたcm「Think DIfferent」もクレイジーな人達の話ですね。



で、演技で特筆すべきは、ストーカー女を演じるサンドラ・バーン。彼女の演技は100%うなります。神です。ちなみに、実は「アリー・マイ・ラブ」でも怪しい役を演じていたとか。。。必見です。



この映画を見て、自分に問いかけること。

「どん底のままか、一夜の王になるか。」

それに対する答えは、この映画が登場した1982年では無く、これだけネットが普及し、ソーシャルメディアが一般化してきた現代に置き換えて考えると、その頃とは少しまた違ったものになってくるのだと思います。

作中では「テレビ」がキーメディアとして使用されますが、今や王を一夜にして作り出せるのはそれだけではなくなりました。テレビ発でソーシャルメディアにのっかろうとも、ソーシャルメディア発でテレビにのっかろうともどっちでもいいわけですが、その大きな波にのるチャンスが過去に比べて多くの個人の前にたくさん低コストで用意されるようになった時代。

そんな時代だからこそ、今この「キングオブコメディ」という映画の中にいる狂った人間を見つめることに、大きな意味を見いだせるような気がしないでもないわけです。

最初の45分~1時間はきついですが、良作ですのでぜひ。
(アメリカンのセンスオブユーモアはなかなか理解できませんが...)

おもしろくなかったらTSUTAYAに「金返せ」と殴り込んでください。
僕は知りません。


ではでは。

AD