ラッシュの金色石鹸をご存知だろうか。#GAYISOKと刻まれている金ぴかのあれである。こないだ店の前を通りかかった時に店員さんと話が弾んであの石鹸を持ってレインボーフラッグの前で写真を撮ってきた。

 その時は言わなかったことがあるんだけど、ここでちょっと書いておこうと思う。

 これは個人的体験によるものなんだけど、”OK”という単語には一般的に日本人が使うニュアンスとはちょっと違う意味がある。

 アメリカ西海岸にいたころのことだけど、友達から遊びに行こうと誘われた時に”OK”と返した。特に深い意味は無い。イエスという意思表示だった。そうしたら友達が少し不服そうな顔で「それってなんか口うるさいお母さんに『はいはい』って言ってるみたいな感じ(笑)。」と返してきた。

 「えっと、そんなつもりはないよ」

 「ほら、母さんてのはさ、『宿題しなさい』だの『部屋を片付けろ』だのいうでしょ。そのときに『オーケー、ママ』、『はいはい、ママ』って言うみたいな感じだったよ」

 「じゃあ、なんて言えばいいかな?」

 「好きなように言えばいいけど、たとえば、イイね! とか、行きたい! とかでいいんじゃない?」

 というやりとりがあって、その後はなるべく”OK”という単語を使わないようにして”Sounds good”とか”Awesome”とかを使った。

 このほかにも”OK”という単語にはちょっと苦い思い出があって、また別の友達、その子も西海岸出身なんだけど、が日本に遊びに来た時にせっかくだから本場の日本食を食べようという話になりなぜか居酒屋に行った。

 その友達は納豆が苦手だった。というか出会ったことのあるアメリカ人はだいたい納豆が苦手だったけど、その居酒屋では寿司の盛り合わせに納豆巻きがついてきた。

 「あ、納豆は無理しなくていいからね」

 友達はお通しの酢の物で顔をしかめながら、
 「これはオーケーだけど、納豆は無理だからいらない」

 「酸っぱすぎたかな? お通しの味付けはお酢だよ」

 「まあまあ、オーケーかな」

 というやりとりがあって、”OK”には「まあ別にいいんじゃない」という意味合いがあることを知った。それからもうそろそろお開きかな、という頃になって、

 「おなかいっぱいになった? もしよかったらこれも食べる?」

 と、ホッケを差し出したら、

 「私はオーケー、おなかいっぱい」

 と返ってきて”OK”には「大丈夫」という意味があることも知った。実に汎用性の高い言葉である。その友達は日本にいる間中、ホストファミリー宅でも断固として納豆を食べなかった。臭いがダメだったらしい。

 この後もいろいろな会話を通して学んだのは、”OK”という単語は「悪くないけど、良くもない、まあまあ良いんじゃない、別に」という意味を持つということだった。

 ここで話はラッシュの金ぴか石鹸にもどるけど、あの石鹸に書いてある#GAYISOKを見た時にまず思い浮かんだのが「ゲイでもまあいいんじゃない別に」とか「ゲイはこわくない、大丈夫」という訳だった。おっとっと、これはこれは、と思ったけど、店内を見回すとLGBTに肯定的なメッセージや、レインボーフラッグが垂れ下がっていた。

 ラッシュジャパンのホームページを見ても、本家イギリスのラッシュのホームページを見ても、なぜ#GAYISOKという文言にしたのか書いてなかったから、先に述べた経験を思い出してちょっと気になった。

 どんな文言にするかはじっくり時間をかけて話し合われたと想像するし、文言ではなくメッセージ性やアクションが大事なのもわかってはいるんだけど、#GAYISOKにした理由があれば知りたい。イギリスでは”OK”という単語はアメリカ西海岸とは違うニュアンスで使われているのかもしれない。でも、一番おもいあたるのは……

 たぶん、文字数、だよね(笑)。

 というのは冗談だけど……

 ラッシュは以前からLGBTを応援する活動をしていたし、それはとても嬉しいことだった。店に入って店員さんと話すのも楽しい。とても感謝している。だけど、LGBT支援をセンセーショナルな企業活動として行える期間は今後そんなに長くないだろう。

 日本では2015年3月31日に渋谷区で同性パートナーシップ条例が成立したし、世田谷区にもその動きがある。2015年6月26日にはアメリカ全州で同性婚が合法化した。

 近い将来、LGBTを支援することが当たり前になる。支援するという言葉すらおかしくて、そうすることが当然で、支援しないことが不自然な未来がくる。少なくとも10年後には今の状況が大きく変わっているだろう。

#GAYISOKキャンペーンに関するニュース記事
The Huffington Post:みんな笑顔になる。同性愛を応援する世界キャンペーン、LUSHが展開(画像)

わと
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