滑川重油流出事故 | 海の家組合長の夏ブログ

滑川重油流出事故

7月20日(金)そぼふる雨の中、津波の避難訓練が終わり市長を見送って事務所へ帰る。少し仮眠して夜の部へ出勤!との時、隣組のケンチャンから入電『滑川に重油が流れ込んだ!』。自転車で滑川へ急行すると鎌倉市環境保全担当のE氏が携帯で怒鳴りながら何かを要請している。観光課の若手S君も河口を覗き込んでいた。
この時点で原因は医療法人養生院清川病院のボイラー用燃料が雨水管から扇川経由で滑川へ流出したと特定。


■市議会議員向け広報
本日、16時頃、鎌倉市小町一丁目付近の滑川支流の扇川で、油膜を確認しました。
上流を調査したところ、鎌倉市小町二丁目付近での鉱物油(A重油と思われます)の流出元を確認しました。当該地での流出を止めるとともに、扇川にオイルフェンスを設けました。
流出した鉱物油の一部は、滑川河口まで達している状況です。
今後、流出した鉱物油の回収を進める予定です。




この状態を河口で確認していたわけである。環境保全のE氏は河口にオイルフェンスを敷設して海への流出を避ける為の手配をしていた。なんと鎌倉市にはオイルフェンスが一つしかない。それが扇川に行っている。携帯に出た相手は『車がないから移設は無理』と答えていた様子だ。川面をキラキラ油がながれて居るのが目視できる。風の下手に入れば独特のガソリン臭がしている。早くオイルフェンスを!現場に居た役所の二人は上長や消防所へ要請を急いでいるのだが埒が明かない様子である。もれ聞こえた会話で『市長が記者会見の準備を指示』がわかった。
僕は二人の職員に「水質の安全が担保されない限り海水浴客を海に入れる事はできない。」と早急な水質検査を依頼した。しかし明日は土曜日。公的試験機関は休みである。どうなるのか?
すっかり日が暮れた19時30頃、僕は扇川に設置したオイルフェンスを見たくなった。同時に翌朝7:30現場で海水浴場として遊泳を許すか否かの判定をすることとなった。

扇川は段葛と平行して暗渠を流れる滑川の支流である。スルガ銀行のパーキングに車を停めて、東急ストア駐車場へ入る橋にさしかかるとあたりはガソリン臭。川を覗き込むとそこには黄色い6・7M程度のオイルフェンスが浮いていた。非力の僕でも引き上げられそうなシロモノであった。残念ながらA重油とやらは目視できない。『うちのPANDAでも運べるじゃん。』とつぶやいたその時、鎌倉消防の軽自動車が到着した。





20:00オイルフェンスを滑川へ移設作業開始。




さすがにおなかがすいたのでラーメンHANABIで夕食。
21:00滑川河口へ戻ると市役所職員と作業にあったた消防職員らが現場を確認していた。
『兎に角明日!』と現場を後にしたのは22時過ぎであった。




21日朝6時50分、滑川河口へ。何も知らないのかサーファー十数名が小波のインサイドセクションで遊んでいる。現場は潮が上げたときに外れたオイルマットが数枚砂浜の上に散乱し明らかに黒色茶色の油シミが付いていた。
満潮時にはオイルフェンスが届かない部分からかなり海へ油が流出したと思われる。
7時過ぎENEOSの作業着を着た7名ほどの作業員が到着。重油回収のプロ集団である。『イメージと違うな。』そのうちのリーダー格がつぶやいた。三々五々役所の職員(部長級を含む)が集まってきた。見知らぬ男性から声をかけられた『この度は大変申し訳ない.....清川病院の.....』


遊泳禁止を決断した。


滑川河口の護岸から護岸へオイルフェンスを敷設する為、逗子消防から借りたブルーのオイルフェンスと鎌倉の黄色のオイルフェンスが繋がれ仮設橋の橋げた付近に設置された。その一時間前には海上保安庁が少し上流に長尺物のオイルマットを設置してくれていた。
鎌倉市環境保全担当のE氏が検査用のバケツを持って川の中央へ入って行く。


■市議会議員向け広報
昨日、16時頃、鎌倉市小町一丁目付近の滑川支流の扇川で、油膜を確認しました。
上流を調査したところ、鎌倉市小町二丁目13(清川病院)での鉱物油(ボイラー用燃料油・特A重油)の流出元を確認し、当該地での流出を止めるとともに、扇川にオイルフェンスを設けました。
流出した鉱物油の一部が滑川河口まで達している状況を踏まえて、その後滑川河口にオイルフェンスを移し、オイルマットを敷き拡散防止に努めました。
本日、早朝より、鉱物油の回収を進めています。
なお、こうしたことから、安全確認のため、本日は材木座海水浴場、及び由比ガ浜海水浴場は遊泳禁止です。
再開は、水質検査を行ってから発表します。



水質検査を鎌倉山崎の浄化センターと清川病院が外注する検査機関で行う事が決まった。検査結果のリターンは15時と17時を予定した。
風評やお客様の動揺を考慮し、市の広報担当、ライフガードと遊泳禁止のリリース原稿と監視放送のアナウンス原稿を検討。『安全確認のため。』がキーワードと決定。
僕は隣組のケンチャンと全店集合を決めた。

8:30材木座・由比ガ浜の波打ち際に遊泳禁止を告げる赤旗がさされる。と同時に由比ガ浜海の家「とき」に40人ほどの関係者が集合した。
車座になった経営者へ事の顛末を説明し、お客様と報道関係者へのコメントを統一したい由を伝える。40人の経営者が呆然と店を出て行く様を鮮明に記憶している。

滑川河口には警備員2名が配置された。







『未検出!』の一報は15:30鎌倉市の観光推進課長からであった。清川病院が依頼した検査機関からの結果は17時前にFAXと電話で来た。『未検出!』






遊泳禁止解除!





一刻も早く事態の収拾を伝える記者発表を行って欲しいと市に要請した。
今晩中じゃなきゃ意味がない。明日は日曜日。


■市議会議員向け広報
昨日発生した、滑川流域での水質事故については、昨日夕方の時点で流出元(鎌倉市小町二丁目13清川病院屋上のボイラー配管から流出)での流出は、止まっています。
流出した鉱物油(ボイラー用燃料油・特A重油)の拡散防止については、引き続き、河川における鉱物油の回収作業を進め、昨夜、河口に設置したオイルフェンスに加え、本日午前中に海上保安庁、逗子市の協力を得て新たなオイルフェンスなどを設置して、更なる拡散防止に努めました。
また、既に本日午前の時点で、海域での油膜や臭気を確認できない状況でありましたが、水質検査を行った結果、鉱物油は検出されませんでした。
こうしたことから、海水浴場としての安全確認ができたとして、材木座海水浴場、及び由比ガ浜海水浴場の遊泳禁止措置を解除します。
設置したオイルフェンスなどは、明朝に撤去するとともに、今後、これまでの経緯を踏まえて、監視等必要な対応を続ける予定です。







明けて21日(日)オイルフェンスは撤去され、遊泳可能な海岸には悪天候にも関わらず多くのお客様が集まってきた。今後の風評被害等を加味すると2012年7月20日におきた重油流出事故がわれわれに与える影響は莫大なのではないか?
そう考えると、若い後輩に進められるまま飲むテキーラにも酔えず、未だに睡眠不足が続いている。




鎌倉市環境部環境保全課環境保全担E氏の的確な判断と迅速な行動、関係諸官庁の暖かく手厚い支援に心から感謝する。



まだまだ後日談のネタが増えそうな事件である。