《ブラッド・オン・ブラッドBGM





まずは「ブラッド・オン・ブラッド」の100話達成、おめでとうございます。そしてありがとう御座いました。

大変興味深く読ませて頂きました。






タグ最初のレースが行われた1997年の12月といえば、僕は岡山で大学4回生なんぞをやっておりました。ゲームクリエイターに憧れて、作家になりたくて、卒論を近代競馬史で書いているという、まあ煮ても焼いても食えないバカ学生だったわけです。





自分がネットへ接続したのはその前年の1996年なんですが、最初にやったのは物書きとしての自己アピールだったんですね。ゲームクリエイターや騎手になるのは無理でも、物書きにはなれるだろうと思っていたようです。どうやら。





その後はゲームを題材にしたエッセイを書いたり、競馬の研究データを公表したりしながらホームページ制作の知識とかを身につけて行って。で、その集大成としてやりたかったのが競馬を舞台にした長編小説だったんです。 そう、元々僕がやろうとしてたのは「ブラッド・オン・ブラッド」のような読み物だったわけです。それが何故「グリーンワールド」というオンライン競馬ゲームになったのかと言いますと。





僕がその小説の中で描きたかったのは「シルの最後の牡馬とそのライバル達」のお話でした。後に「グリーンワールド」で「マルゼンエッジ」と呼ばれることになる、あの競走馬の物語です。彼は美しさと脆さを併せ持った孤高のサラブレッドであり、そして個性豊かなライバル達に愛され、語り継がれる存在でした。 残念ながら彼は最初からその競走生活を全う出来ない宿命にありましたが、「マルゼンエッジその後」にこそ物語の醍醐味、価値があるのだという設定をしていました。





それが小説ではなく「グリーンワールド」という格好で世に出ることになったのは、そうした方が読者(=参加者)に、より身近に競走馬を感じてもらえそうだということと、何より僕自身がその世界を楽しめそうだと思ったからです。一方的に書き綴る物語よりも、参加者の采配でともすると物語の進行が変わってしまうような、そんな世界を味わってみたいと思いました。そして1997年12月、当時まだ珍しかった多人数参加型のオンライン競馬ゲーム「グリーンワールド」がスタートします。





そういう成り立ちですから「グリーンワールド」は物語であり、商業化を伴って徐々に歴史を重ねて来た現在の「タグホース5」はゲームである、という捉え方が出来ると思います。そして古参の方々に「古き良き時代」と仰って頂く意味もよく分かります。しかし毎日ほとんど寝ずに一人で運営していた「グリーンワールド」は、三十を越えて二児の父親となってしまった今となってはちょっと想像出来ない領域になってしまいました(笑)





あの頃は毎日実況を書くのが楽しくて、結果処理自体は「Lotus1-2-3」のマクロで書いたショボイものでしたが、それに肉付けして行く作業は自分にとって特別でした。各馬のキャラクターやレースの細かい流れは自由に書くことが出来ますし、そうした作業を通じてこの世界と競走馬達に感情移入する事が容易かった時代です。





グインは大好きな馬でした。不運にもあのダービーを勝ったことで割を食ったところがありますが、もっと巧く鍛えていればもう一つや二つ大きいところを獲れたはずです。当時の藤川調教師の思い入れにもそれがよく現れていますね(笑)





バカダトップガンは潜在能力の多くが競走以外に発露してしまった、馬にしておくにはあまりに惜しい逸材。本当にイジリ甲斐がありました。





ミラクルスターは何よりレースセンスが良かった。センスだけで勝ち負けしていた印象です。あれだけ利口であれば幅広い距離で活躍出来たのも当然でした。最初から完成度の高さはズバ抜けていましたが、懸念していた成長力という点に弱みがありました。





オーバーザワールドやヒデノブライトはいつも展開に泣いていた記憶があります。あとほとんどベストコンディションで走ったことのないダンシングデビル。能力は高いのに併せたら走る気を無くするフウリンカザン。牝馬戦線ではグルーヴダイナとメジロトップレディの戦いが忘れられません。





そしてマルゼンエッジ。





考えてみると、自分が何かを世に送り出せたとしたのなら、それはこのマルゼンエッジという競走馬だけなのかも知れないと思うことがあります。10年という長い年月を思うにつけ、その気持ちは重くのしかかるばかりです。





僕はまた、マルゼンエッジに会えるのでしょうか。返し馬で全力疾走するバカダトップガンの雄姿を再び拝める日はやってくるのでしょうか。





これからの10年が、自分にとっても正念場だと思っています。









最後に。





ここまで参加と支援をして頂いたユーザーの皆様に心から感謝申し上げます。

本当にありがとうございました。



そしてこれからも何卒よろしくお願い致します(_ _)m





                                 2007年2月  31歳のグリーングラス(GG)







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     「オーバーザワールド物語」 - 一つの伝説 -






「岡辺さん、ごめんなさい…」



「いいんだよ、オーバーザワールド。これも経験だ。オーナーと調教師にはうまく言っておくからね!」



てっきりおこられるものとばっかり思っていた僕は、岡辺さんの言葉に少し意表をつかれた。
やっぱり岡辺さんはやさしいや…。



それから僕は2歳チャンプを決める「チャンピオン杯」に向けて調整を続けていった。
伊藤調教師の話では、ダンシングデビルも出てくるらしい。「今度は負けないからな!!」
調教中ではあったけど、僕はふと空を見上げ、あいつの後ろ姿を思い出していた。




「よーしっ!!!」気合いを入れて走り出そうとした時、風に乗って話し声が聞こえてきた。



「重賞を勝ったダンシングデビルや、ヒデノブライトも強いけど今度のチャンピオン杯はマルゼンエッジで決まりだろう!」



またあの名だ!今度ははっきりと聞き取れた!
”マルゼンエッジ…うわさのもう一頭のラムタラの仔!”
そんなにそいつは凄いのか?!…あのデビルよりも…?




「…ワールドどうしたんだい?また言うことを聞いてくれないのかな?」



岡辺さんの声で僕は我に返った。



「また?」



伊藤調教師が岡辺さんに聞き返したが、岡辺さんは笑ってごまかしてくれた。
僕は二人のやりとりを見て少しあたふたしてしまったけれど…。






そして、いくつかの朝が過ぎ、運命のチャンピオン杯当日を迎えた。
その日、何が起きるかを僕はまだ知る由もなかった…。



決戦を迎えた京都競馬場。
これまでにない歓声に包まれながら僕はターフに立っていた。



周りを見回す…いた!あの黒い馬体はデビルだ!



「おい!今度は負けないからな!」



僕はデビルの方に歩み寄りあいつに向かってそう言った。
するとデビルは少しこちらを振り向いたが、すぐに向こうに歩き出してしまった。



「なんだよ!あいつっ!こっちがせっかく声をかけてんのに!!」
「ん…?!」



一瞬デビルの顔が曇った…様な気がした。



「おい!待てよ!お前…」



そうデビルを追いかけようとした時、岡辺さんが僕の手綱をすっと引いた。
「ワールド、どうしたんだい?」
「デビルが…、い、いえ、何でもないです…。」



ごく一部のサラブレッドにはそのあまりの強さ故に、自分の脚元を傷つけてしまう場合があるというのを聞いたことがあった。もしかしたら、あいつも…



デビルの心配をした時、僕の後ろにとてつもない何かを感じた!



”ばっ”と後ろを振り返ると…そこには一頭の鹿毛のサラブレッドが立っていた。



体は僕と同じか少し小さいくらい。デビルほど筋肉がついているわけでもない。
…しかし、間違いなくそいつが”マルゼンエッジ”であると直感的に感じた。
ぱっと見た感じはそれほど目立つ馬ではない。毛色も鹿毛だし、流星もおでこに一つ。
しかし、なによりその存在感が違った。そこだけ別の空気に包まれているようだった…。



「…!!」



走る前からこいつの強さが伝わってくる…。
”僕はホントにこいつに勝てるのか?”
不安で揺れ動く気持ちを岡辺さんの「いつもどおりにね。」の声がかろうじて僕を救ってくれた。



スタートは刻一刻と近づいてくる…。



「あんさん、緊張してはるんでっかぁ?」
「そない恐い顔してもダメでっせぇ!勝つのはなんたってこのわいやからっ!!」
「ぬわっはっはっはっはっは…!!!!」



(なんだぁこいつ?!)



僕と同じく栗毛、だけど品素のかけらのまったくない、ベタな関西弁の馬が話しかけてきた。
名前は…オカダトップガン?…聞いたこともない。どこにでもいるんだよなぁ、こういう場の空気を考えない奴!
僕はとりあえず、そいつのことは無視した。…けど、こいつのおかげで少しは緊張がほぐれたかもしれない。



そしていよいよゲートインが始まった。



僕は…エッジの隣だった。
ゲートの中で静かに待っていた僕の横にエッジが入ってきた。
エッジは何も言わず、ただ前だけを見ていた。目の前に広がるターフを。その先に見えるゴールを。そして…。
僕がエッジの横顔をそっと見たとき…確かにあいつは笑っていた。
これから始まるレースを心から楽しみにしているかのように…。



「勝つのはわいやでぇーっ!!」
反対側の隣にはさっきのやつがいた。まだ言ってやがる…。



…僕はゆっくりと目を閉じた。
やがて隣のやつの声が、歓声が小さくなる…。聞こえてくるのは自分の心臓の音だけ…。
”ドクンッ ドクンッ…”
そして、僕は深く深呼吸をし、目を見開いた!



”ガチャン!”



スタートが切られ一斉に12頭の優駿が深緑のターフへ飛び出した!
以外にも好スタートから先頭を伺うのは、相変わらず叫んでいる隣のオカダトップガンだった。
しかし、外から関西若駒Sで2着だったグインも負けじと行った。前2頭が飛ばす。
そしてエッジはそのあとの3番手だった。



僕は岡辺さんの手綱に導かれ、馬群の後方につけた。
最後方まで下がり、僕が一番後ろかと思ったけど、僕より後ろにまだもう1頭いた。
僕より小さな体。デビルを一回り小さくしたような感じの黒鹿毛の”そいつ”は少年のようにまだ幼く見えた。



「誰だろう?ついていけないんだろうか?」



そして、”本当”のデビルは僕より少し前の位置にいた。
後ろから見ていたが、やはりデビルの様子がどこかおかしい…。



3コーナーを周り前の2頭が相変わらず飛ばす。
けれど、僕は自分の競馬をすればあの2頭には勝てると思った。



問題は…そうエッジ!
そう、思うのとほぼ同時にあいつは動いた!
ジョッキーの手綱は持ったまま、スーっと前との差を詰める!



「岡辺さん!」
「よし!」



僕も岡辺さんに押され、前を捕らえに行った。



「悪いな!」



僕の後ろにいた黒鹿毛のそいつにそう言い残し、少しずつ前との差を詰めていった。



デビルの横に並んだとき、デビルの苦しそうな、そして悔しそうな顔を見た。
やはり今日はどこか痛めているようだった。ジョッキーも無理には押していない。
今日の敵はデビルではなかった。




残るはマルゼンエッジただ1頭っ!!
早くもあいつは先頭に立っていた。最後の直線に向かいスパート…というときに背中に気配を感じた。
さっきの少年(と言っても同い年だけど)がまだ僕の後ろについてきていたのだった。



「君にかまってる暇はないよ。」



そう言うと岡辺さんからのスパートの合図が振り下ろされた。
そいつを引き離して、エッジを…と思っていると、後ろのそいつは僕にぴったりついてきた!



「えっ?!」



信じれらなかった。こいつの小さな体のどこにこんな力があるというのだろうか?!
そう、そいつも僕と同じく追い込み馬だったのだ!名は…スーパーキッド!!
キッドは僕と同じ、いや、むしろそれ以上の末脚で僕の真横に並んでくる!



「くっ!!」



そして僕達は馬体を併せエッジを追いつめる!!



エッジとの差がぐんぐん縮まる!!
3馬身、2馬身、1馬身…僕達はエッジを捕らえる勢いでどんどんあいつを追いつめていった!!
そして、僕達があいつに並ぼうとしたその時…!
僕の目に信じられない光景が映った…本当に信じられなかった…。
エッジのジョッキーが、その時初めてムチを振り上げたのだった。



やつの体が深く沈んだかと思うと、永遠と感じる一瞬の中で、僕達の手が届かない遥かな”領域”まで駆けていってしまった。



あまりにもあっけない幕切れ…。
あまりにも衝撃的な幕切れ…。



「強い…」


それ以外に言葉は出なかった…。



結局、僕はキッドとの首の上げ下げでハナ差の3着に敗れた。



僕とキッドが息を切らしゴールした後、エッジが僕達に向かって一言「楽しかったよ!」と言ってきた。
その瞳はどこまでも澄んでいて、そして強い光を放っていた。今までみたことのないくらいに…。




そしてその日、”一つの伝説”が生まれた…。





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以前、自分の企画で「歴代の名馬を走らせたら誰が勝つか?」というのをファン投票をベースに記事にしたことがあった。よく「時代が違う名馬達を比べることはナンセンスだ」と言われるが、一ファンとしては正直興味深いところである。





では、タグホースでもしそれをやったら誰が一番強かったか。





ラストエンペラー」?「トワイライトカフェ」?「エルサレム」? - 




古くから居る人なら必ずこう言うだろう。





マルゼンエッジ」 と。






エッジとは不思議な馬で、なぜか負けても悔しくなかったのである。「エッジなら仕方ない」と。余りにも絶対的過ぎて勝とうなんて気にもならない。そんな存在は、他にはないのではないか。タグ史上おそらく今後含めて唯一の”永遠に無敗”の競争馬である。





エッジがどれだけ愛されてたか、どれだけ多くの人に受け入れられてたかはダービー以降に分かる。おそらく当のエッジのオーナーよりも周りがエッジの存在を受け入れていた。





(エッジが競走中止となった)ダービー後の中断期間もエッジの無事を祈る掲示板への書き込み。言い方は悪いがホントは「単なるゲーム」の競走馬なのに、あたかも本当に存在した生命に対する励ましのように。また《EDGE 》という名のオンライン雑誌も出版された。





残念ながらこのエッジの輝きは、いくら口で伝えようとしても伝わらない。アンチ・エッジ(つまりミラクルスター派)の人々も含めて、当時をエッジと共に過ごした人しかわからないだろう。





もし、現実で例えるなら、”強さ”はディープインパクトで、”存在”はサイレンススズカと言った感じか。
(存在がディープじゃない、この微妙な感じ)






奇しくも私がはじめて作ったホームページがタグホース(当時GreenWorld)に関するものだった。それだけでも私がどれだけタグホースに嵌っていたか多少はわかっていただけるかと思う。そして、当時作成したページ(原稿)がたまたま見つかった。





マルゼンエッジが登場するシーンを寄稿したいと思う。   






                                       

(後編につづく)




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タグホース、タグシティ・・・ 呼ばれた名前は時期によって違えど、自分の人生を変えたという意味ではこの世界が間違いなく1番だと思う。



自分自身はあと3ヶ月でこの世界に入ってから丸10年が経つわけだが、その間に大学を卒業して就職し、24年間過ごした関西を離れ関東に引っ越すなどリアル世界での生活は大きく変わっても、この世界には変わることなく住みつづけた。




当初はコミュニケーション中心の世界だったが、その後は大きく方向性を変えていきながらたまに迷走し寄り道をし、それでもなぜか離れずにいる不思議。多くの仲間が離れていく中で、数人のメンバーと居座りつづける現実。



図らずも調教師という立場になってからは丸9年になるわけだが、その間は中断中を除けば1日も休むことなく毎日調教という作業を続けている。



これを馬鹿といわずしてなんと言うのか。まさに生活の一部と化しているのである。




奇しくもGW誕生から10年が経った今、この世界の終焉はいまだに見えないが、結局はとことんまで付き合うことになるのだと思う。



この世界の最後を見届ける覚悟で・・・





この世界に足を踏み入れて早10年。幾度となく名を変え、幾度となく行方不明になりながらも、未だにこの世界にとどまり続けている理由は、正直自分でもよくわからないです(笑)




第1回ダービー直後の休止期間中、GG(グリーングラス)氏が「伝説の名馬」「悲劇的な結果」に対してどう対応すべきか、ユーザーの想いを受け止めたが故に苦悩した日々・・・


個性的な職業をみんなが楽しみつつも、多くの議論と冤罪を生み出した裁判システムを伴い、ロケットと共に消えた都市・・・


監督はトイレに行くことさえ許されない過酷な野球の試合が毎日行われ、換金の魔力に多くの人がとらわれたアダルトな世界・・・

全ての光と闇がこの世界の魅力であると思います。




数多くの個性的な人が集い、数多くの名馬が生まれ、そしてその人と馬の数だけドラマがある。

しかし、そのドラマを私が語る必要はないでしょう。



私が語るならば・・・競走馬セリをチャットでリアルタイムで行ったり、ごく当たり前に公式チャットに現れては世間話をしたり、突然の仕様変更を「ロケット発射~」で終わらせたり・・・ そんな素敵な人が生み出した素敵な世界を、10年という歳月が流れ、形を様々に変えようとも『楽しんでいる』人がいる事実だけ。

愚痴掲示板の役割が2chに移ったように、この先この世界がどんな形に変わろうとも、どんなに歳月を重ねようと、そこに集う人たちが、「あの頃は~」とみんなで話し合える世界であり続ける事を夢見て、私は今日も明日もWEBマネーを買い続けるのです・・・。


最後に・・・


GG(グリーングラス)さん、10周年記念オフ会を「やってくれ」とは言いません。

でも、「来て下さい」(笑)




グリーンワールドで出会った濃い面子でお待ちしております。







ブラッド・オン・ブラッド ― ブログとして昨年より始まったタグホース初期の競馬を物語形式で面白くまとめた読み物になっている。グリーンワールドからはじまった古くさくても、なんとなく暖かい日々を思い出させてくれる。




今、思い起こせばやはりあの世代の馬たちはあまりにも強くキャラクターになりすぎていたのかもしれない。それはレース文章を書き上げていたGG(グリーングラス)氏の技だったのかもしれないが、あまりにも型にはまって居て、今思うとなんだか物語を読んでいたようだったなとも思う。




あの古き良き時代に強いキャラクターが居て、そのキャラクターが思い通りに存在をアピールし、まるでテレビ番組のキャラクターのようにああだったとかこうだったとか、思い起こせるのが本当に不思議な事だ。




GW(グリーンワールド)という真新しい世界に魅了され、GG氏という主催者の物語に引き込まれて、今の時代までここにいるわけだが、今となってはあの頃のような強いキャラクターは、やはり生まれては来ない。最近強くてどうしようもなかったキャンユーワンダーですら別に好まれるキャラクターとも言えず、本来、そうだったはずの ”ただのギャンブル” に成り下がっている。




これでよかったのだろうか、とちょっと考えるが、あの時分にあったような競馬の物語や漫画ももうなくなってしまったし、優しい物語、哀しい物語、寂しい物語など別に何も感じられなくなった今日この頃。




あの頃の思い出を、多少なりとも思い起こせるような物語を書き募っていくブラッド・オン・ブラッドに、今後も期待していきたい。



        (12/31早朝・ガミラス邸)







「それじゃあ、行くよ。トモミ。」

荷物を鞄に詰め終わった多良崎が降り返って言った。

「何もこんな日に出て行かなくても・・・。」

「悪いな。今日は、古来のオヤジさんの1周忌なんだ。」

「そう。気が向いたら戻ってきて、なんて言わないわよ。」

「へへ、分かってるって。」

「じゃあな、トモミ。」

「さよなら、多良崎さん。」


                          :




プルルルル!

1人部屋に残されたトモミの携帯が鳴った。

トモミは急いで電話をとったが、電話口の声の主は執事のセバスチャンであった。

「アウ、奥様大変です!」

「朝からうるさいわね・・・。どうかしたの?」

「アウ、ミラクルスターが・・・まだ栗東に帰厩してないようです!」


「なんですって?!」


「アウ、これはきっと、江草理音のしわざに違いありません!」

「あの男・・・まだあきらめてなかったの?!」

「アウ、とにかく、スタッフ総力をあげて追跡中です。香港で不信な船を見つけたという情報が入ったので、私もすぐに現地に飛びます!」

「た、頼んだわよ、セバスチャン!絶対にミラクルスターを取り戻して!」

「アウ!」





                          :







 (3年後 パリ・ロンシャン競馬場)







「ねえ、パパ!それからミラクルスターはどうなったの?」

「それ以降、ミラクルスターの姿を見たものは誰ひとりいないんだよ。くるみ。」

「フーン、そうなんだー。トモミのおばちゃん、かわいそー!」

「そうだね、くるみ。それでも、レッドバロンは翌年の日本ダービーを制覇したのさ。すごいだろ?」

「くるみ、知ってる!”プラスチックゴー”って強いお馬さんだよね?」

「ハハハ、”エキゾチックゴー”だよ、くるみ。翌年のダービー、菊花賞、有馬記念を制覇して、ミラクルスターのいなくなった穴を十分に埋めたのさ。」

「パパ!トップガンは、鉄砲で撃たれたんでしょ?よく生きてたよねー!」

「ああ、あれは麻酔銃だったからね。マスター富士川は、あの頃からかなり病んでたな。」

「フーン。それじゃあ次は、トップガンのお話してー。」

「そうだね。トップガンや神戸HCのその後の活躍は、また今度の機会にお話してあげるね。」

「えー、つまんなーい!」

「ほら、見てごらん!もう本馬場入場の時間だよ、みんなでトップガンを応援してあげよう。」

「あー、トップガンが出て来た!オーイ、がんばってー!」


さあ、ロンシャンのターフに解き放たれたアジアの核弾頭・オカダトップガン!ばんばのカツを背に、勇壮とキャンターに入ります!


「ウワアアアアア!」





















    - 第2章 『Livin' on the EDGE』 【完】 -







今年を締めくくります、今日の中山競馬メインレースは有馬記念。スタンドは歓声というよりざわめきに近い状態、それほど緊張感が高まります二十万に迫るお客さん達。ギュウギュウ詰めの状態。人気の高さを感じさせます。






さあスターターが壇上へ歩いていきます。ここで歓声、歓声上がってファンファーレ、ファンファーレが鳴り響きます!

大歓声、大歓声。ゲート前で輪乗りをしている各馬、徐々にゲートへ導かれて参ります。ミラクルスター、メジロトップレディ、グルーヴダイナなどスムーズなゲート入り。ミスカトニックちょっと五月蠅いところを見せますが・・・大丈夫。今入りました。

さてさて偶数番。オカダトップガン、このあたり注目されるところですがどうでしょう。っと、入ってしまいましたね。すんなり入って拍子抜けであります。さあ最後ヒデノブライト収まりまして全馬のゲートイン完了。

「ガシャン!!」スタートしましたっ!

おおっと!いきなりオカダトップガンが出遅れ!馬体が大きく傾いて西郷が懸命にしがみつくが・・・


あぁぁぁ、落馬、落馬!






ばんばのカツがターフに叩きつけられたゾ、大丈夫か?!






「ドオオオオオオ!」






場内は騒然!オカダトップガンは落馬!さあ波乱の幕開けとなった有馬記念、まずは何が行きますか。グインか?ダービー馬グインがいつものようにハナを奪って、グルーヴダイナも行くようです。

ん?オカダトップガンか、真ん中からオカダトップガンがスーッと出て参ります。なんと空馬となったオカダトップガンがハナに行くつもりか。オカダトップガンがグインをかわして先頭に立って早くもスタンドから大歓声、大歓声が上がってオカダトップガンが猛然とハナを奪って逃げていきます。

二番手に付けますのはグイン。外から内へ、スーッと入ってきたフウリンカザンがこれに差が無く続いて行って一馬身差、グルーヴダイナがおります。

そのあとはどうか、ミスカトニックがちょっと行きたがっている様子、ああ、今日はスタート良かっただけに馬群の中ミスカトニック。今日は中団から行く構え。気が悪いくせになかなか器用なところを見せております。

王者スルーザターフが内目を進んでロックブライアンも差が無く行きます。このあたりは九番手くらいか、トウショウキャロル外、ヒデノブライトあたりも差を詰めて行って一馬身と開きます。

一馬身と開いてリエマリアと的馬等、そして最内、ミラクルスターはここにおります。結構後ろ、後ろから行ったミラクルスター、海老名ジョッキーさすがにスタミナを気にして後方の位置取りか。

そしてこのミラクルを見る形でサジタリアス、メジロトップレディ、そして最後方からオーバーザワールドとこのあたり有力どころ固まっておりますが前からは十六七馬身くらい。ペースはかなりのハイペース。

さあ前は速い速い!空馬オカダトップガンに負けじとグインが飛ばしに飛ばす!これは速すぎないか?スタンド正面を進んで行く全馬16頭、大歓声上がっておりますがどうか。うーん、やはり外に出したミスカトニック。この歓声の中にあっては致し方ないところ、徐々に前に上がって行きます。

正面を通り過ぎて先頭はグイン、二コーナーから向こう正面に向かうところ、二馬身差でフウリンカザン、そして早めにグルーヴダイナが並んで付けています。ハイドレスソング、オフハンドジョーク相変わらず併走であります。

その後ろはどうなっているか、スルーザターフ、ロックブライアンなど追走してヒデノブライトも差のない体勢、気になるのはミラクルスター、前からはまだ十馬身以上の差があります。スタミナ温存策か、やはりこの馬のスタミナに不安があるのか海老名正義。

しかもこれを終始マークする形で末脚鋭いメジロトップレディ、オーバーザワールドなど。ミラクルスターこの位置取りはちょっと苦しいか、窮屈なところ、ここからどんな末脚を見せてくれるのか。

前はグイン、グインがトップガンに煽られて大逃げを打っております。これはいけないグイン!第三コーナーに差し掛かってグインと、そして空馬オカダトップガン、

二番手グルーヴダイナとフウリンカザン並んでいる、ハイドレスソング、オフハンドジョークがそのあとを行ってミスカトニック、スルーザターフなど、後続も徐々に差を詰めてきて各馬三コーナーから最終コーナー、

「ガッデム!バカダトップガンめ、このままレースを台無しにする気デスカ?!」

「ちょっとマスター!ライフル銃なんて持ち出して何をする気ですか?!」

「沖田クン、これはインド象用の麻酔銃デス!こんなこともあろうかと、王子動物園から借りてキマシタ!」


「えええええええええ!  (((゜д゜;))) 」



「ズキューン!!」



おおっと?先頭を走っていたオカダトップガンが倒れこんだ! いったい何が起こったのでしょう?!





「YES!見事に命中シマシタ! (*^-^)b 」


「ナニ考えてるんですか?!(▼Д▼#) 」













トップガンは止まった!暴走特急はようやく止まりました! さあ、先頭グインのリードは二馬身、フウリンカザンが上がって来た、上がって来たぞフウリンカザン、単独二番手から前を捕まえに行く、激しくグルーヴダイナ手が動いている、そしてそのあと、後ろはどうなっているか、

番群真ん中割ってヒデノブライト、内目からミラクルスター手が動いてくるがまだ後方、まだ後方だ、さあいよいよ、いよいよ今年最後の決戦、今年最後の直線だ!





「ウワアアアアアア!」



前はグイン、ハイペースがたたってさすがに疲労困ぱいか、グインがヨタつきながらも先頭だ!リードは一馬身、これを追うのはフウリンカザン、

グイン、グインが逃げているっ、追って来るフウリンカザンだがどうか、懸命にフウリンカザンが追っている!後方ちょっとあってグルーヴダイナだが、真ん中割ってスルーザターフ上がって来た、

大外持ち出してメジロトップレディとオーバーザワールド、ちょっとミラクルスターの姿が見えないがどこか、馬群の中にいるのか、

さあグイン、グインが逃げる逃げる逃げるっ!!フウリンカザンやや詰めたかっ、やや詰めたかフウリンカザン、しかしグイン先頭だ、この二頭に迫ってくるのはスルーザターフ、ああっ、スルーザターフの脚が良いかっ、詰めて来る詰めて来るスルーザターフ三番手から前二頭を追って来る、

グイン、グイン頑張った、並んでくるかフウリンカザン、半馬身差から懸命にムチが入ってフウリンカザン、これを見てスルーザターフにもムチだ!岡辺のムチに応えてグルーヴダイナが伸びてくる、ヒデノブライトも直後迫って、

坂、中山最後の坂を駆け上がる、最後のドリームレースを制するのはどの馬か、グインか、フウリンカザンか、やはりスルーザターフか・・・いや、いやぁ・・・

ミラクルスターだぁぁ!!内だぁ、内にいたぞミラクルスター!

最内、内ラチ沿いギリギリを突いてミラクルスターと海老名正義、これは抜けるぞっ、抜けてくる脚色、五六番手から四番手、一気に先頭窺うか、さあ踏ん張れ前三頭!踏ん張れるか前三頭!

外からも二頭、メジロトップレディとオーバーザワールド、やはり来たっ、やはりこの二頭もやって来ているが、大歓声だ、大歓声だっ!

前はグインに並んで交わしたかフウリンカザン、フウリンカザン先頭に立ったが矢のような伸び、矢のように伸びて来た内のミラクルスター、最後の根性を見せるかフウリンカザン、さあもう一伸びだフウリンカザン、

しかししかしっ、しかししかしっ、

抜けたぁー!内から抜けたミラクルスター、やはりこの馬か、なんとまあ強いっ!ミラクルスターが先頭だ、二番手フウリンカザン、詰めて来るスルーザターフ二番手に上がれるか、

そしてそのあとでありますがこれは大混戦、グインちょっと一杯、外からオーバーザワールドとメジロトップレディほとんど並んだまま突っ込んで来たところ、




今、ゴールイン!!!




ミラクルスターだぁ!見ているかエッジ、見ているかこの走りをっ!見えない敵に向かってガッツポーズの海老名正義、そしてミラクルスター!凄い馬です、強い馬であります。すさまじい衝撃がターフをのみこみました!ゴール板前、取ったリードは二馬身くらい。あの位置から直線だけで二馬身千切って見せましたミラクルスター。これでは他馬、為す術無し。






二着はどうやらフウリンカザン粘っておりますがこれは勝ち馬に脱帽でしょう。三番手スルーザターフ、ほとんど並んでオーバーザワールド、そしてメジロトップレディ、グインなど。

距離不安を吹き飛ばす快走でありました、ミラクルスター。今ホームストレッチを逆に走って歓声に応える海老名とミラクルスター。大歓声が巻き起こっています中山競馬場、さあミラクルコールが鳴り響きます・・・






「ウワアアアアアア!」


                           :

「ガミラスさん、おめでとうございます!ミラクルスターが見事に有馬記念を制しました!」

レッドバロンHC総帥、ガミラス・トモミの周囲を記者達が取り囲んだ。

「ありがとうございます。これもスタッフとファンの皆様のおかげです。ねえ、多良崎さん?」

「アウ、奥様。多良崎様は血相かえて飛び出していかれました。」

「そう・・・。どこに行ったのかしら?」

「アウ、奥様!・・・あそこに多良崎様が!」

セバスチャンがTVモニターを指差した。二人の男が言い争っている光景が映し出されている。

                           :

「富士川!テメー、ぶっ殺す!!!」

ボゴッ!

「NO!血が、血が~!タ、タスケテクダサーイ!」

「うるせー!」






ドガッ!バキッ!



「多良崎、それくらいでやめとけ!」


「はなせ、有田!このオージー野郎が、オレのオカダトップガンを撃ちやがった!」

「あのバカには、ああするしかなかったんデス!」

「なんだとー!」

「やっぱりテメーらにトップガンは任せておけねぇな・・・。」

「多良崎・・・」

「トップガンにG1タイトルを獲らせられるのは、このオレしかいない!」

「神戸HCに戻ってきてくれるのか?レッドバロンはどうするんだ?!」

「オレがいなくても、むこうは何も変わらんさ・・・。」

「ガミラスはどうなる?」

「”あさき夢みし”さ。有田、またオレを”メルセデスの馬運車”にのせてもらえるかい?」

「・・・おっしゃ!待ってたぜ、多良崎。」





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「・・・・さあ、ウイナーズサークルに行くわよ、セバスチャン。」

「アウ、奥様。多良崎様は・・・」

「アナタも見たでしょ?彼はもうここへは戻ってこないわ・・・。」






「奥様・・・」





「おめでとうございます!ガミラスさん!これでミラクルスターの年度代表馬は確定ですね!」

「ガミラスさん!来季の抱負を一言お願いします!」


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( 次回、最終話『ロンシャンの空に』 )



    (有馬記念本馬場入場)







満員のスタンド、晴れ渡った空、そして迎えますのは有馬記念、グレードワン。集いました精鋭達は16頭。この頂上決定戦を制するのはどの馬なのか。

本誌本命に推されましたのはゼッケン1番、最内枠を引きましたミラクルスター。説明不要のスターホースであります。連を外したのはダービーのみで九戦七勝。圧倒的な力を誇ります同馬、やや長い感じの2500mではありますが絶対能力でどこまでカバーできるか。

対抗に推されましたのはディフェンディングチャンピオン・スルーザターフ。宝塚記念ではミラクルスターの後塵を拝しましたが、王座の座をそう簡単には譲れません。

フウリンカザンは休み明けの菊花賞を叩いて万全の構え。本番をこれほどの状態で迎えたのは恐らく初めてでありましょう。ダービー、菊花賞の時は七、八部のデキに見えましたが今日は100%。無事に走り切りさえすれば結果は自ずと付いてくるはず。見物であります。

夏を越えて本格化した菊花賞馬オーバーザワールド、昨年のオークス馬メジロトップレディと、見応え十分のレースとなること必至、今年の有馬記念でありますが・・・さあ本場馬入場が始まります。


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「ウワアアアアアア!」



まずはゼッケン1番を付けたミラクルスター。結果もゼッケンの通り行きたいところ、大歓声が巻き起こりますがすました様子でミラクルスター、堂々としたものであります。さすがに歴戦の強者、歓声に動じる様子もなくキャンターに入って行きます。オーナーはレッドバロンHC。鞍上は海老名正義、前走はマイルチャンピオンシップ勝ち。

種牡馬フジキセキの名を知らしめた功労者といえばミラクルスターとリエマリア。フジキセキ産駒の大物が二頭続いていきます。層の厚い古馬牝馬勢、侮ることは出来ません。鞍上は的馬等、前走はエリザベス女王杯3着。

さあ本年のダービー馬グインであります。逃げて逃げて二つ目の大勲章を勝ち取りたいダービー馬、その実力をもう一度証明したいところでありましょう。前走は菊花賞八着。鞍上は松長幹男。

昨年のこのレースも制している古馬スルーザターフ。この秋は天皇賞、JCも制して名誉という名誉を余すことなく手に入れた感じのスーパーホースであります。ミラクルスターの挑戦も堂々と受けて立つぞスルーザターフ、鞍上は柴多吉富、今シーズンのラストステージで再度その強さをアピールすることが出来るかどうか。

さあ貴婦人の登場であります。スタンドから大きな拍手に迎えられてメジロトップレディ。今日もあの末脚が炸裂するのかどうか。牡馬との力関係、グルーヴダイナとの兼ね合いと興味は尽きません。鞍上は喜田豊、オーナーは目白美智子さん。前走はエリザベス女王杯勝ち。

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暴れていると思ったら案の定、オカダトップガンでした。ああっ、五月蠅いところを見せているオカダトップガン。かなりエキサイトした様子であります。ヤクザも顔負けの暴れぶり、おーっと、今、係員から財布をくすねた模様、泣いております係員!いろんな意味で期待させます同馬、勝ったらどうしようという不思議な不安さえ感じさせます。鞍上は”ばんばのカツ”こと西郷勝美、所有は神戸HC。前走は菊花賞5着。

さあ歓声上がって女傑グルーヴダイナの登場であります。やはりこの血統、この成績、人気は相当のものがあります。母エアグルーヴの為し得なかった偉業をここで果たしたいところであります。鞍上は岡辺幸夫、オーナーはタカナシ・ホールディングス。前走はエリザベス女王杯2着。

実力あってもなかなか栄冠に手の届かないゼッケン9番はロックブライアン。ここを勝てばその株も急上昇を見せることでしょうが果たしてどうか。鞍上は犬西騎手、オーナーはロック界のカリスマ萩氏。前走はJC5着。


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高馬サジタリアスは前走休み明けを叩いてここは絶好調か。恐い伏兵一頭であります。条件は揃った感じ、さあ一発行こう。鞍上は富士田、オーナーは成宮氏。前走はJC8着。

希代の癖馬がまた一頭、ミスカトニックであります。菊花賞で久々に見せたあの豪脚。思い出した人も多いのではないでしょうか。菊花賞三着は決してフロックではありません。それをまたここで証明したいところ。

さあ最有力候補の一頭、入って参りましたフウリンカザンと横谷典弘。威風堂々とした雰囲気、そして大歓声にも物怖じしない肝っ玉、どれを取ってもスターホースの逸材であります。今日は万全、力を出し切ればミラクルスターも恐くないぞ。松戸氏所有、前走は菊花賞2着。


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成長著しい菊花賞馬、まだまだ伸びるぞオーバーザワールド。後方から目の覚めるような鬼脚を今日も披露してもらいたいところ。もう脇役とは言わせない、立派に主役を張れる存在。狙うは当然ミラクルの首。鞍上は頼もしい竹本豊、オーナーは今日二頭出しの成宮氏。

最後の登場になります、ゼッケン16番はヒデノブライト。前走からコンビを組んだ川内ヒロシとは相性がいい様子。元々力のある同馬だけにここも勢いで取ってしまうか。ローテーションから来る疲労だけが敵でありますがそのあたりはどうか。

揃いました精鋭16頭。さあ緊張が高まります。最後を締めくくる有馬記念、発走はこのあと、存分にお楽しみ下さい!

(つづく)



  (北新地・マイルCS打ち上げ)







「ミラクルスターのマイルCS優勝、乾杯!」

「乾杯!」



ワイワイガヤガヤ



「まいったよ、ガミラスさん。おたくの”赤い彗星”は強すぎる。」

「光栄ですわ。ルストマ代表に褒めていただけるなんて。」

「短距離界のスペシャリスト達が束になってかかっても、敵わないんだからね。」

「たしかにミラクルスターは、レッドバロンHC史上最高の名馬ですわ。オホホ!」

「いや。日本競馬史上、最高の名馬かもしれないですよ。」

「まあ若林さん!お世辞でも嬉しいですわ。」

「今のミラクルスターなら、マルゼンエッジにだって勝つかもしれません。なあ、多良崎?」

「たしかに、江草の野郎が海外挑戦を夢見たのが分かる気がするよ。つい欲が出てきちまう危険な馬だ・・・。」




「とにかく、ミラクルスターは強い。有馬はいったい何馬身差で勝つんでしょうな?ガハハハ!」

「嬉しいですわ、ルストマ代表!オホホホ!」

「古馬王者・スルーザターフや菊花賞組との勝負付けも済んでないってのに。トモミはお調子者だな・・・。」

「そうかしら?ホラ、多良崎さんももっと飲んで!」



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 (1ヶ月後・有馬記念最終追いきり)










「ズキューン!!」






「ちょっと、マスター!馬房の一部を改造して、射撃場なんか作らないでください!」

「【栗東のビリー・ザ・キッド】とはミーのことネ!沖田クンもどうデス?ストレス解消に最適デスヨ!」

「結構です!ライフル銃なんて撃ちたくありません!」

「今度ランニング中の馬に、栄養剤入りの注射を撃ち込んでみようと思いマス。半マイルまでなら射程距離カナ?」



「ナニ考えてるんですか?!(▼Д▼#) 」

「にぎやかだな?お邪魔するよ。」

「あ、有田さん、こんにちは!」

「やあ、沖田くん!今年も色々世話になったね。」

「こちらこそ、今年は神戸HCさんにとっても最高の年になりましたね!」

「ああ。念願のG1を制覇できたからね。でも、失うものも多かったよ。」

「古来さんと多良崎さんですね・・・。」


「ああ。あの二人がいたから、ここまでやってこれたのにな。多良崎の野郎なんて久々に飲みに誘ったのに、断りやがった・・・!」

「マアマア、有田サン。Love is Blindって言いマスヨ!」

「やれやれ・・・。それより、有馬記念だよ!どうだい?オカダトップガンの調子は?」

「順調そのものデス!有田サン!」

「ほんとかね?どうせ出走しても勝ち目なんてないぜ。マスターが”どうしても”って言うから出走させるけど、登録料はドブに捨てるようなもんだよ。」

「そんなことアリマセン!トップガンとグインの”タンデム大作戦”で、今回も必勝態勢デス!」

「あの二頭が逃げたら、後ろから行く馬が有利になるだけじゃないか?」

「それは願ってもない展開ですわ、オホホ。」

「あ、目白さん!」

「ご無沙汰してます、みなさん。」

「メジロトップレディ、有馬記念でも人気になってますね。」

「牡馬相手にどこまでやれるか、私も楽しみですわ。」

「先日のエリザベス女王杯も圧勝でしたものね。”貴婦人”は健在ですね!」

「ありがとう、沖田くん。」

「うーむ・・・マズイ。マスター!”タンデム大作戦”は中止だ!」

「有田サン、富士川厩舎はコレしかアリマセン! (´Д`;) 」

「作戦中止は困りますね。私もハイペースを期待してるんですよ!こんにちは、みなさん。」

「あ、成宮さん!菊花賞馬・オーバーザワールドも調子はいいみたいですね!」

「おかげさまでね、沖田くん。あとは展開が向くことを祈るのみ、だよ!」


「”世界を目指す神の脚”も健在か・・・。マスター、やっぱりトップガンの出走取消てもいい?」



「ワハハハハ!」




(つづく)