テーマ:

~豊橋技術科学大学・マイクロソフト・ブロードバンドタワー・エーアイスクエアが共催~

 

 去る2017年4月24日に、豊橋技術科学大学、日本マイクロソフト株式会社、株式会社ブロードバンドタワー、株式会社エーアイスクエアの4者が機械翻訳に関して進めている、協働研究プロジェクトに関するシンポジウムを開催しました。今回、このプロジェクトの進捗についてご報告するとともに、AIで性能が急速に向上した機械翻訳のビジネスでの活用の可能性を探るために、最新の機械翻訳技術の解説とともに、多言語化の精度向上のためのデータ共有の必要性について議論しました。
 産業界や観光分野などで翻訳が必要な文書をお持ちの方々をはじめ、広く多言語での情報発信に興味を持たれる方々約250名が参加されました。以下に、当社グループとしても重点的に取り組んでいるAI(人工知能)分野の具体例として、その概要についてご報告させて頂きます。

●主催者挨拶 豊橋技術科学大学 副学長 原邦彦氏
 このたび、約1年前から4者で進めて来た世界的な精度を目指している機械翻訳に関する活動報告を行う。

●共催者挨拶 日本マイクロソフト CTO 榊原彰氏
 米国の地名は、東が英語系、西がスペイン語系、中部がフランス語系が多く見られますが、これは、入植の歴史によるもの。また、多くの世界の情報は95%が英語、企業関係は97%が英語。しかし、英語圏のGDPは30%超に過ぎない。独・中・日・仏語圏を入れて60%、スペイン・ポルトガル語圏を入れると80%となる。単一語でのビジネスではチャンスを逸している。このため機械翻訳は重要でマイクロソフトも60カ国語翻訳をリリースしている。

●ブロードバンドタワー 会長兼社長CEO 藤原洋
 豊橋技科大は、私も客員教授を務めており、学術研究のトップレベルの大学。榊前学長は、ヒトゲノム解析の日本代表、現在の大西学長は日本学術会議会長。そこに、経産省系の産総研で15年、総務省系のNICTで15年の長きにわたって機械翻訳研究、特に文法的に難易度の高い日本語翻訳の研究をされてきた井佐原教授がおられ、同研究室を中心に日本から英語の翻訳精度を上げるために、共同研究を同大学、マイクロソフト、ブロードバンドタワー、エーアイスクエアの4者で行っている。

●来賓ご挨拶 文部科学省研究振興局 参事官(情報担当) 原克彦氏
 政府は、科学技術基本計画を基に超スマート社会の実現に向けて、AI、ビッグデータ活用を掲げ、理化学研究所にAIセンターを設け、次世代AI人材の育成や産学官連携を進めている。今日の4者による取組みは、国策に則ったもので、大いに期待している。

●基調講演 『機械翻訳が広げるグローバルコミュニケーション』
豊橋技術科学大学 教授 井佐原均氏 : 後掲のスクリーン画面の写真参照

●特別講演 『機械翻訳の次の課題』
国際高等研究所 所長、京都大学 元総長 長尾真氏
 機械翻訳の精度は、60%は誰でもできる。60~85%はかなり努力がいる。90~95%はAI的手法が必要。しかし、95%以上は、もの凄い努力がいる。翻訳対象は、A文書、B対話文、C文学作品で異なり、難易度が高くなる、Cは対象外にした方が良い。

 

●プロジェクト進捗報告 
―実用化に向けて。研究からビジネスへ―
豊橋技術科学大学 教授 井佐原均氏
(株)ブロードバンドタワーAI2オープンイノベーション研究所担当執行役員 根本茂氏

●招待講演  
機械翻訳技術の最先端(同時機械翻訳付き)
Microsoft Research, Principal Group Program Manager Chris Wendt氏
 同時機械翻訳は重要でマイクロソフトも60カ国語翻訳をリリースしていますが、同社のデモのかなり完成度は高く、実用域に達していると思われました。

●パネル討論
―機械翻訳がもたらす新しいコミュニティへの期待―
モデレータ:豊橋技術科学大学 教授 井佐原均氏
パネリスト:東洋大学教授(前東大教授) 坂村健氏、日本マイクロソフト 業務執行役員 NTO 田丸健三郎氏、ブロードバンドタワー 代表取締役会長兼社長CEO 藤原洋、JTB総合研究所 主任研究員 熊田順一氏、メディアドゥ 取締役 溝口敦氏

○日本マイクロソフト 業務執行役員 NTO 田丸健三郎氏
 マイクロソフトの機械翻訳は、CPUとFPGAを組み合わせた高速処理を行っている。

○東洋大学教授(前東大教授) 坂村健氏
 東大での経験は、大学院研究生の10人中9人は外国人。日本語をそこそこ理解するのに2年きちんと理解するのに7年かかる。機械翻訳でこの語学の壁がなくなれば極めて有効。
 東洋大では、文・芸・理融合、多様性、連携の基盤、英語をマスターすることは有効だが、語学力よりもコミュニケーション力が重要。語学の負担が減りコミュニケーション力Upが重要。機械翻訳の理想は、One Source Multi lingual。ページめくりや編集が直ぐにできること。また、藤原さんのインバウンドによる経済効果(外国人観光客3名と自動車輸出2台が同等)の試算は、なるほどと思った。

○ブロードバンドタワー 代表取締役会長兼社長CEO 藤原洋
 機械翻訳は、2013年に日本の再興戦略にインバウンド(外国人旅行客)の増加とコンテンツ輸出の重要性が強調されている。当時のインバウンドの目標は、2020年に2000万人だったが、私は、2020年に4500万人、コンテンツはフォーカスされていない、電子書籍の輸出に注力すべき。そして機械翻訳は重要な手段となり期待される。後に話して頂くJTB総研の熊田さんとメディアドゥの溝口さんに期待したい。

○JTB総合研究所 主任研究員 熊田順一氏
 インバウンドについては藤原さんの高い目標2020年に4500万人をしかと受け止めたいと。読み手と聞き手の固有の思考、文化、美しさ、楽しさという深淵をテーマとすることが必要。そして対応言語への優しさをどう実現するかが重要。Copetition(CooperationとCompetitionの合成語)が重要で、それが文化となる。

○メディアドゥ 取締役 溝口敦氏
 メディアドゥの立場は、デジタル書籍の取次店。読書時間は、1週間に8時間以上が1時間超になってしまった。理由はスマホの普及。そこへデジタル書籍を配信するのが同社の役割。藤原さんの指摘にもあったが、日本の出版業界の海外ビジネスは2%に過ぎない。ここを電子出版と機械翻訳でブレークスルーとWiki的なアプローチが必要だと思う。

 以上、概要を示したように、本シンポジウムは、AIの発展によって、いよいよ4者で進めてきた機械翻訳がもう少しのところで実用域に達してこようとしています。当社グループも特にインバウンドと電子出版業界における事業展開へ向けて同分野の技術開発を尚一層強化してまいります。

 

 

平成29年4月28日
代表取締役会長兼社長CEO
藤原 洋

いいね!した人  |  リブログ(0)

藤原洋さんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

最近の画像つき記事  もっと見る >>