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~イスラエルとの交流による日本における新産業創出への期待~

 

 知る人ぞ知る、アルバート・アインシュタインが中心となって1912年に設立し、MIT(マサチューセッツ工科大学)と並び、飛びきり優秀な人材が集まっているテクニオン(国立イスラエル工科大学)のペレツ・ラビエ学長からの依頼で、看板の1つのコンピュータサイエンス学科で、特別講演をするためにイスラエルを訪問し、イスラエル政府、そして多くのベンチャー企業経営者との会談を行いました。今回は、その概要についてご報告させて頂きます。

 

【イスラエルの概要】
●建国:1948年5月14日 ●面積: 22,072km2(153位) ●人口:8,157,300人(2014年)、
●一人あたりの名目GDPは37,222.38米ドル(2015年)で、36,221.81ドルの日本より高い。OECD加盟の先進国。
●GDP当たりのベンチャー投資額ダントツの世界1位、2位の米国の約2倍。
●GDP当たりの科学技術研究費(国家予算)は、ダントツの世界1位。
●イスラエルの支配地域は、22,072km2である。国土は狭く、南北に細長い。南北には470kmあるが、東西は一番離れた地点間でも135kmと狭い。車での走行時間は、北のメトゥーラから最南端の町エイラットまでは約9時間かかるが、西の地中海から東の死海まで約90分の細長さ。


【イスラエル小史】
 約3000年前のダビデ王によるイスラエル国家の確立の後、流浪の民となったユダヤ系の人々にとって、イスラエル建国は、悲願でした。3000年の歴史の中には、宗教戦争に翻弄された時期が長く続きましたが、1914年に第一次世界大戦が勃発、オスマン帝国はドイツ、オーストリア=ハンガリー帝国の三国同盟側で参戦。イギリスは戦争を有利に進めるため、「三枚舌外交」を展開し、1918年に勝利を収め、イスラエルとパレスチナ自治区は、イギリスの占領統治下となりました。その後も、1929年「嘆きの壁事件」勃発など、不安定な時期が続きました。決定的だったのは、ナチスのホロコーストが伝わり多くのユダヤ系の人々が震撼し、移民が加速したと言われています。その後、イギリスは委任統治を諦めパレスチナ問題について国際連合の勧告に委ね、結果として、国連の調査委員会では、ユダヤ人の国家とアラブ人の国家を創設する分割案と連邦制国家案を提出し、最終的に分割案が国連総会で採択。イギリスは1948年5月15日をもって委任統治を終了し、緊迫した状況下で、ユダヤ人は1948年5月14日イスラエル独立宣言が実施されました。


 その後、イスラエルには、第1次から第4次中東戦争を含めて、動乱の近代史と現代史がありました。しかし、今は、比較的安定しています。イスラエルは、人口シェアで0.3でありながらノーベル賞シェア約25%、フィールズ賞約40%を占める頭脳集団であります。ユダヤ系の人々による悲願の国であり、インターネット時代にGDPが3.6倍に増え1人当たりGDPは、日本を追い越し、最も発展を遂げている国なのです。

    
 戦後、アメリカや、多額の賠償金を支払って関係を修復したドイツも含めて欧米がどれだけ、この小国との連携によって発展を遂げたかは、言うまでもありません。日本は、主として、石油と天然ガス資源の確保の観点からアラブ諸国との外交は、重要ですが、同時に、無資源国としての今後の方向性を探るとき、イスラエルとの連携は、極めて重要な時期にさしかかっているのではないかと思います。


 以下に主なイスラエルの人々との面談結果を以下に紹介します。
●イスラエル最大のベンチャーキャピタル=JVP訪問
イスラエル政府の特別な取り計らいで、充実したテルアビブ訪問となりました。最初に、後述のOCSの会議室で、JVP(Jerusalem Venture Partners)は1993年設立、総額900M$で、同パートナーのKobi Rozengarten氏(テクニオン〔国立イスラエル工科大学〕のボードメンバー)と面談し、イスラエルでの様々な共同事業の可能性について意見交換をしました。


●MATIMOP〔イスラエル経済省による国際的な研究開発の支援組織〕
ここは、Office of the Chief Scientist (OCS))の人々で、意見交換して、日本企業を色々誘って、イスラエルにR&Dセンターを作ろうという話をしました。因みに、インテル社のR&Dセンターの中で、最も強力な頭脳集団は、イスラエルにあるとされています。

経済省のNoam Bar-Gal氏・Dagon Alony氏、MATIMOPのHadas Kroitoru氏

    

●SecuriThings社のCEO=Roy Dagan氏との面談
 IoT 時代の様々なセキュリティリスクの把握とそれに基づくシステム設計の重要性について意見交換し一致しました。


●Cloud of Things社のCEO=David Chouraqui氏との面談
 IoT時代のクラウドサービスについて、無線モジュールからエッジコンピューティングとクラウドコンピューティングのエンド・トゥ・エンドのシステム設計が重要だということで意見が一致しました。


●イスラエル政府経済省・投資関係部門長 Hovav Ref氏との面談
 私が、日本とイスラエルとのスタートアップ投資の窓口を務めようということでかなり前へ進みました。

 

●TTT(Technion Technology Transfer)社のCEO=Benjamin Soffer氏とのディナー
 テクニオン(写真14、国立イスラエル工科大学)で開発された技術移転のためのライセンス会社で、日本企業との連携の支援をしようということで意見が一致しました。

 

【国立イスラエル工科大学(テクニオン)を訪問】
 私は、このたび、テクニオン・ジャパンの諮問委員に就任したことをきっかけとして、テクニオンを中心とするイスラエルと共に新たな変化を起こしたいと考えています。それは、これまで日本が辿ってきた「改良」による経済ではなく、「創造」による新しい経済を創ることです。


 そのためには、偏差値教育による試験勉強で良い成績を取ることとは異なるアプローチが必要だと思います。イスラエル人と日本人との類似点は、ノーベル賞とフィールズ賞受賞者が多く、単一民族国家で、西欧社会から白人優越主義者から差別を受ける側にいた点です。


 「科学」にとって、最大の障壁は、権威主義や権力主義や拝金主義や差別主義に陥る点にあると思います。事実に基づき、真理を追究することが「科学」だとすれば、「科学」にとって、「権威」や「権力」は無意味であり、「金銭」は「目的」ではなく「手段」です。かつて、アインシュタインがナチスドイツの迫害を受けて、イスラエルに思いを馳せてテクニオンとヘブライ大学を創立し、米国に渡り、カリフォルニア工科大学、プリンストン大学等で学ぶ多くの科学者を育てました。


 このたび、ペレツ・ラビエ学長室を訪れた時、どこか愛嬌のあるアインシュタインの人形が飾ってありました。私は、これを見て一瞬にして価値観を共有した気がしました。この人と、この大学と、この国と新しい世界を創っていきたいと思いました。意気投合するのに、多くの言葉も時間も必要ありませんでした。自己紹介をするまでもなく、私のことは、色々調べていたようで、直ぐにこれから、こんなこと、あんなこと、一緒にやろうよと、話が一気に進みました。

 


【テクニオン・イスラエル工科大学とは】
(http://www.technion.ac.il/en/) 歴代のノーベル賞受賞者の約4分の1、フィールズ賞受賞者の約40%を占めると言われる世界に散らばったユダヤ系の人々の研究者の頭脳ハブセンター。
http://www.technionjapan.com/about/about02.html
https://www.coursera.org/technion
 1912年に設置されたイスラエルを代表する同国最古の国立工科大学であり、当時アインシュタインが中心となり理工学研究を行い、ナチスのヨーロッパ、旧ソ連から逃れてきた10万人ともいわれる科学者、技術者を中心にそのレベルを上げました。
●合計18の学部及び教育機関を擁し、ノーベル賞受賞者2名も教鞭をとる。
●研究・教育水準はマサチューセッツ工科大学と肩を並べ、世界最高水準を誇る。特に大学病院及び医学部がある点はMITと違う特色。
● 世界の多くの一流企業(マイクロソフト、Google、Apple、Facebook、Intel、Philips、Siemens、etc.)が人材を囲い込むなど、優れた学生、研究者の輩出機関としても有名。
● 卒業生の大半が自ら事業をスタートアップ。今までに米国NASDAQに70社以上が上場を達成。この点が他大学と違う大きな特色。

 

平成28年6月22日
代表取締役会長兼社長CEO
藤原 洋

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