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~GITV(グローバルIoTテクノロジーベンチャーズ)とAIスクエアの目指すもの~

 IoT時代の到来を予感させた2015年には、IoTに関するいくつかの業界団体が始動しました。当社も、私が理事長を務めるインターネットに関する業界団体のIAjapan(一般財団法人インターネット協会)内にIoT推進委員会(委員長:藤原洋、最高顧問:坂村健 東京大学大学院情報学環教授)が設置されたことを受けて、同委員会の事務局機能を果たすと共に、2015年7月より、積極的な委員会活動を開始致しました。具体的には、IAjapan加盟企業が参加する3つのワーキンググループを通じて、IoT産業の創出に向けた、参加企業間連携による共同事業の可能性の検討に着手致しました。この流れを受けて、2016年には、IoT共同事業における企業間連携の枠組みを確立したいと考えております。当枠組みにおける当社の役割は、高度なセキュリティ機能が要求されるIoTサービスに最適な、堅牢なインターネット・データセンター、STAR認証(英国規格協会と米国クラウド・セキュリティ・アライアンスの合同認証)ゴールドレベル認定を受けたクラウドサービスの提供、ストレージ・ソリューション、およびIoTデバイスから収集される非構造化データのビッグデータ分析です。
 
 また、既存の枠組みを超えるイノベーションについては、新技術の研究開発を担うIoT分野における国内外のベンチャー企業に投資する新会社、グローバルIoTテクノロジーベンチャーズ株式会社(GITV)の設立を決定しました。同社の代表取締役には、15年のベンチャーキャピタル業界の代表的存在である安達俊久氏が就任する予定で、ファンドマネージャーには、技術をバックグランドとした上場経験者、米国系インターネット・テクノロジー系企業の経営幹部経験者等が就任予定です。当社は、近未来における連結子会社GITV社の連結収益への貢献を期待すると共に、同社が出資する先端ベンチャー企業との提携による新サービスの企画・立案・実行を模索していく予定です。

 AI(Artificial Intelligence、人工知能)研究は、第3次ブームを迎えました。当社も、研究活動の成熟度から、ビジネスとして参入機会が到来したと判断しております。そこで、AI研究の歴史を振り返ると、第1次ブームは、1956年のダートマス会議でジョン・マッカーシーによって命名され、人間の脳とコンピューターのCPUは類似性が高く、記憶に相当するメモリがあり、コンピューターは人間と異なり、24時間寝ないで働き続けられるから、圧倒的にコンピューターのほうが有利だと考えられ、米国政府が莫大な予算を投下したのでした。特に、自然言語処理による機械翻訳の研究で、米ソ冷戦時代にロシア語の翻訳者が求められていたからですが、1965年に機械翻訳は無理というレポートが出て、冬の時代に入りました。第2次ブームは、1970年代後半から80年代にかけてで、「エキスパートシステム」の開発が注目され、医療で特定分野の病気の治療法と薬の処方箋を教えてくれるコンピュータ・システムの方が、新米の医者よりも診断成績が良かったためです。この結果、日米の大手電機メーカーが人工知能部門を設置しました。当時の通商産業省は550億円を投じて「第五世代コンピューター」プロジェクトを立ち上げましたが、成果は、期待外れでした。今日の第3次ブームは、第2次ブーム中に登場した「ニューラルネットワーク」の進化型で、脳の神経細胞の回路に近い仕組みをコンピューターでつくると、脳と同じようなことができるのではないか、という発想を進めたものです。これは、特定入力に対応する出力をたくさん設定し、ネットワークの重みを機械学習させると、正答率が上がるというものですが、目立った成果は上がらずじまいでした。2000年代半ばに、トロント大学の英国人ジェフリー・ヒントンが、ニューラルネットワークの階層を4層、5層と増やし、精度の高い機械学習の実現に成功し、「ディープ・ラーニング」(深層学習)の研究が、今の第3次AIブームの幕開けとなりました。当ネットワークの階層を7層、8層と深くするにつれて、例えば、画像認識率が一気に向上します。

 当社としては、この深層学習に基づくAIに加えて、別のAI(After Internet、インターネット登場以後)の概念を併せた、インターネット企業に相応しい、AI(Artificial Intelligence、人工知能)ビジネスを実行する事業主体として、AIの二乗という意味で、当社100%出資の株式会社AIスクエアを昨年(2015年)12月に設立致しました。同社の代表には、富士ソフト株式会社やコールセンター企業の合理化プロジェクトでAI事業責任者を歴任してきた石田正樹氏が就任しました。同社は、2つのAI技術を基礎とし、石田氏のAI研究的視点ではなく、AIビジネス的視点での事業展開を行う予定で、本年(2016年)をその最初のAIビジネスが始まる年にしたいと考えております。

                                                         平成28年1月20日
                                                        代表取締役会長兼社長CEO
                                                        藤原 洋 

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