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総務省ICT戦略会議「生活資源対策会議」の審議を終えて

~初の省庁間連携で経済成長戦略のエンジンとしてのICTの役割~

 

 去る516日を以って総務省ICT戦略会議「生活資源対策会議」(http://www.bbtower.co.jp/ir/pr/2012/1127_000092/ )全8回の審議が終了しました。私自身、郵政省時代から総務省の情報通信政策に関わる有識者会合の構成員を約25年に亘って務めさせて頂いております。想えば、パソコン通信のモデム推奨方式、デジタル動画の通信方式、デジタル放送方式、NTT分割に伴う研究開発のあり方、インターネット基盤、光の道、ホワイトスペース、プラチナバンド(電波)の割当方式等の政策審議に関わらせて頂いてきました。基本的に、これらは、他省庁とは独立の総務省に閉じた純粋な情報通信政策審議でした。

 しかしながら、このたびの「生活資源対策会議」は、縦割り行政の壁を超えて、省庁間連携が基本となっていることが大きな特徴です。最終回の第8回会議にオブザーバーとして環境省、経済産業省、国土交通省、農林水産省の方々も出席されました。また、文部科学省もJAMSTEC独立行政法人海洋研究開発機構)との連携等から本会議による政策提言で連携されています。

 正式には、本会議の報告書の内容については、追って報道発表がなされる予定ですので、詳細は省略させて頂きますが、以下のような骨子で本会議の議論を進めてきました。



『生活資源対策とは?』

1.概念

・世界人口の急増と都市化

・新興国・途上国経済の急成長

鉱物・エネルギー・水・食料等「暮らし」に不可欠な資源需要が急増・天然資源確保

 ・道路等の社会インフラが急速に老朽化

・笹子トンネル事項以降の国民的不安

  「暮らし」に密着した社会インフラの安全・安心の確保

 以上のことを背景に世界最高水準の効率的で持続可能な社会を実現する。



2.使命・目標

・使命:「便利で安心なくらし」を創る!

 ・目標:生活資源対策の高度化・効率化/国際競争力の強化/共通基盤の強靭化



3.取組の方向性(短期:実証、中長期:研究開発)

  具体的な重点プロジェクトの推進:鉱物・エネルギー、水、食料、社会インフラ



4.具体的な取組(重点4分野)

・鉱物・エネルギー:海のブロードバンドによる資源探査

・水:ICT活用による水利用の最適化

・食料:農業の生産性向上と高付加価値化

・社会インフラ:効率的な維持管理



5.経済効果

約20兆円



 このような『生活資源対策』をICT(情報通信技術)によって実現するには、当社が注力しているビッグデータに関わるオープンデータ連携基盤の確立が必要で、そのためには、データ利用とデータの共通化を追求することが求められます。また、セキュリティ、共通ID、認証・課金、クラウド技術に基づくビッグデータ処理が不可欠です。

 さらに、既に急速に整備が進んだ、ブロードバンドネットワーク、ワイヤレスネットワーク、衛星通信ネットワークといった情報通信インフラに加えて、M2M(機器間通信)プラットフォームとエネルギー・ハーべスティング(環境発電。太陽光や照明光、機械の発する振動、熱などのエネルギーを採取し電力を得る技術。)の整備が不可欠です。

 以上に述べた「生活資源対策会議」に参加して、私も、他の構成員の方々と共に多くの提言をさせて頂きましたが、その内容は、間もなく報道発表される報告書に盛り込まれる予定です。最終会合でも発言させて頂きましたが、インフラ整備段階を終え、ICT自身が目的ではなく、手段としての役割を果たす段階に入ったと思われます。従って、新市場創出のためには、行政機関として、総務省だけではなく、他省庁との連携が必須となることでしょう。

 本会議の最終回に、柴山総務副大臣は、この他省庁連携によって、初めて資源問題に取り組んだ、この会議の結論に対して、予算措置を取ることが目的ではなく、この結論を検証しながら如何に進めるかが重要であると述べられました。また、批判を恐れて何もしないのではなく、批判を恐れず前へ進むことがイノベーションの本質であると結ばれました。

総務省が主催した今回の会議は、有識者が集まり、政策提言をまとめ、予算措置を講じるというスタイルは、踏襲されていますが、他省庁連携であることと、ICT関連産業に対する経済効果ではなく、社会全体における経済効果を追求したことに大きな意義と革新性があると思います。

安倍政権によって始動したアベノミクスの3本の矢、即ち、金融緩和、財政出動、新成長戦略において、最も重要なのは、言うまでもなく新成長戦略です。本会議の結論から予算措置が取られることになるだろうと思われますが、これに留まっていては、柴山総務副大臣が指摘されたように財政出動の域を出ないことになります。民間企業による事業投資が活発化し、投資回収が進み、続いて更なる事業投資への連鎖反応が、起こる状況を創り出す必要があります。本有識者会議に参加を求められたのは、民間企業としては、トヨタ自動車、インテル、NTTデータ、東芝、日本電気、日本ユニシス、野村総合研究所、ブロードバンドタワー(当社)でしたが、参加民間企業の中では当社だけが高い成長率を誇る、いわゆるベンチャー企業です。当社は、「ブロードバンドネットワークにおける情報発信拠点となること」を目指して、2000年に設立した企業ですが、日本最大のポータル企業や日本最大のネット証券企業を顧客とすることで年商200億円を超える企業グループへと成長することができました。今後は、今回本会議において各構成員によるプレゼンテションとこれに対する質疑応答等から得られた貴重な体験を、当社の中長期経営計画へ活かすことで、更に当社グループの成長率を高め、新成長戦略に貢献していきたいと考えております。



2013521

株式会社ブロードバンドタワー

代表取締役会長兼社長CEO

藤原 洋













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