今度会う時に全て決着を着けよう。
アタシはそう考えていた。
今の彼と別れて待ち続ける事を望むか。
それとも二度と会えないと分かっていても
その手を離してしまうのか。
本来なら悩む必要なんかない選択肢。
今の彼にだって失礼だろうと思う。
だけどあの時のアタシはまだ自分の中に居て、
あの人の手を失う事を恐れている。
だから最後の賭け。
自分の身体が感じるままに。
頭で考えがまとまらないなら全てをその一瞬に
かけてしまおうと考えた。
これで今の彼も失うかもしれない。
それでもあの人との決着を着ける方法を
他には思いつかない。
あの人の仕事に合わせ待ち合わせをする。
事前に今日は帰るつもりは無い事を伝えておいた。
どういう意味か分からないはずはない。
食事を済まし、いつもよりも言葉少なめにホテル街を二人で歩く。
色々な事が頭をよぎり、そしてかき消されていく。
のどがカラカラに渇いて言葉もうまく出てこない。
手を繋いでホテルに入り、その中のひとつを選ぶ。
やけに古びたエレベーターの音を聞きながら、
二人して部屋へと運ばれていく。
部屋に入ってお互い別々にシャワーを浴び、
もう後戻りは出来ないと覚悟を決める。
それでもくだらない話を続けてしまうのはきっと、
少しでも決断を先延ばししたいと言う不甲斐なさからなのだろう。
ベッドで暫く笑い話を続けた後、
ふいにあの人の腕がアタシを引き寄せた。