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立ち読み 当然の権利? 発売翌日に古本化/犯罪抑止の期待も
産経新聞 10月30日(土)7時56分配信


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悪質化するコンビニの立ち読み。取り締まるルールはなく、店員の声かけや張り紙で対応している=東京都内(写真:産経新聞)
 コンビニエンスストアでの本の立ち読みが常態化し、悪質さを増している。主に若者系の雑誌が読み荒らされ、発売日の翌日には“古本”同然、売り物にならなくなるケースも少なくない。立ち読みを規制するルールはなく、長時間に及ぶ悪質な客に対しては店員が声をかけるなど個別に対応している。一部の若者の中には立ち読みを「当然の権利」と思う意識があり、両者のギャップは埋まらない。(日出間和貴)

【グラフでみる】何を目的にコンビニに行くか

 ◆ひもで縛れば20%増

 ジャーナリストの鷲巣力(わしず・つとむ)さんが女子大生を対象に行った「若者のコンビニ観」に関するアンケート調査によると、コンビニに行く目的で立ち読みは買い物に次いで多かった。好きなコミック(単行本)は買っても、漫画雑誌は買わないという若者が増加。立ち読みはモノを買わない若者の象徴的な光景といえそうだ。

 『コンビニのレジから見た日本人』(商業界)の著者で、東京都下に4店舗のコンビニを構える竹内稔さんも立ち読みに頭を痛めてきた一人だ。雑誌の付録のDVDを抜き取られた経験は数多く、長時間にわたる“座り読み”をする悪質な若者と対峙(たいじ)してきた。業を煮やし、漫画雑誌や週刊誌にビニールのひもで縛るなどの対策を講じたところ、皮肉なことに売り上げが約2割伸びたという。

 「だれだって手あかで汚れた商品には購買意欲がわかない。そもそも、漫画系の雑誌を立ち読みする人は最初から買う気なんてない。言葉は悪いですが、長時間の立ち読みは万引と変わらない行為です」と語気を強める。

 当然のことながら立ち読みは店側に1円の利益ももたらさない。商品にダメージを及ぼし売れるはずの商品を売れなくしてしまう恐れもある。

 ◆「無人になるより良い」

 一方、業界団体の「日本フランチャイズチェーン協会」はコンビニの立ち読みを半ば容認し、現在のところルールづくりに向けた動きはない。

 協会は「夜間、店内が無人に近い状態になるよりは、(立ち読み客とはいえ)人目にさらされていることで犯罪抑止につながる」と説明する。また、立ち読み客が新たな客を誘引する「呼び水」効果に期待する経営側の事情も見え隠れする。

 最近、インターネット上には「無料立ち読みサイト」が登場し、多くのジャンルで雑誌の中身が“立ち読み”できる環境が整備されている。また、一部の大手書店ではフロアごとにイスやテーブル付きの「読書空間」を提供。コンビニでの立ち読みが当然の権利として主張されてきた背景には「読者寄りのスタンスが影響している」と指摘する声もある。

 コンビニの「セーフティーステーション」としての役割が高まり、防犯上の観点から女性や子供の駆け込みへの対応を掲げる店舗が広がる中、社会的要求に対応しきれないオーナーも出てきているという。

 竹内さんは「コンビニへの期待感が増し、もはやオーナーの使命感だけではどうにもならない。公衆道徳や最低限の購買マナーについて義務教育の段階で教えていかないと、コンビニの現場はさらに混乱するのではないか」と苦言を呈した。

 ■オーナー9割「無料サービスに困惑も」

 野村総合研究所が行った「コンビニエンスストアの社会的役割に関するオーナーアンケート」(平成21年)によると、無料サービスの提供で「困ったことがある」と答えたオーナーは9割に達した。困った内容は、(1)ごみの持ち込み(2)トイレの利用マナーの悪さ(3)長時間、店の駐車場を利用する-の順だった。

 トイレの利用マナーの悪化は社会問題化し、トイレットペーパーなどでいたずらされるケースが少なくない。コンビニのトイレが公衆便所代わりに当然のように利用されることも多く、「そうであれば、コンビニのトイレの管理は行政が行うべきだ」というオーナーの訴えも出ている。