「新日鉄住金」に続く再編を
2012/9/30付 ニュースソース 日本経済新聞 朝刊  


新日本製鉄と住友金属工業が合併し、10月1日から新会社の「新日鉄住金」が発足する。産業の大型再編は日本企業が国際競争力を回復し、世界市場で飛躍するために避けて通れない道である。鉄だけでなく、他の産業でも再編機運の高まりを期待したい。

 両社に合併を選ばせた最大の要因は、世界市場の急激な変化だ。欧州では世界最大手のアルセロール・ミタルが買収に次ぐ買収で台頭した。アジアでも中国勢や韓国勢が急速に規模を拡大した。

 かつて世界一の粗鋼生産量を誇った新日鉄をはじめとする日本企業の存在感は薄れつつある。

 今回の合併はこの流れを反転し、国内に閉じこもり気味だった日本の素材産業が世界に打って出る大きな契機である。新日鉄の宗岡正二社長は「合併によって人材や技術の厚みを増して、グローバル化を加速したい」という。

 世界の鉄鋼メーカーの主戦場は成長著しい新興市場だ。そこで足場を固めるには、日本からの輸出だけでは限界があり、現地生産を進めるしかない。

 だが、最近の中国情勢が示すように新興市場への直接投資はかなりのリスクを伴う。思い切ったグローバル展開をするには、企業の再編集約によって事業基盤を強化し、多少のリスクには動じない体制づくりが急務だった。

 日本企業で再編が必要なのは鉄だけではない。電機や自動車、化学などの主要産業で、概して競合会社の数が多すぎる。再編集約を加速し、各市場で世界に伍(ご)していける規模と力を持った企業を生み出す努力が欠かせない。

 再編にはタイミングも重要だ。各企業に強みが残っているうちに再編に乗り出さないと手遅れになる。業績の悪くなった企業同士が銀行など外からの圧力で一緒になるという、よくありがちな「弱者連合」では展望は開けない。

 強い企業同士がより強くなるために再編を選択する。そのためには経営トップの決断が何より重要なのは言うまでもない。