解体されるソフトバンク:山本一郎(イレギュラーズ アンド パートナーズ代表取締役







自転車操業を続ける通信会社 IT業界も他のあらゆる業界と同じく、栄枯盛衰や成熟カーブの呪縛からは逃れられない宿命をもっている。一時期は情報革命は永遠に続くなどといわれたものの、日本経済の失調とともに、IT業界にも不況の波が押し寄せている。本来なら再編待ったなしの状況だが、茹で蛙の逸話どおりに、保有株式や不動産を切り崩しながらリストラ策をせっせと組み立てている不振企業が多いのも実情だ。 IT業界といっても、経済の「へそ」のようなもので、いまやデジタルに関連しない業界など見当たらないというほど、社会全体に影響力が広がっている。かつて日本経済を戦国時代に例え、鉄砲の普及が合戦の様式を変えた逸話になぞらえる言説が目立ったが、狭義のIT業界で考えるならばそれほどバラ色の業界ではなく、成長率自体は大きく鈍化しはじめている。 ネット広告業界は毎年2割以上の伸びを示したが、ここにきて伸び率自体は8%台に低迷。売り上げの急成長を前提に投資家の人気を集めてきたIT関連銘柄は、他業種と同じく不振に陥った。 デジカメや液晶ディスプレイなどIT周辺のハイテク関連や部品においても、不況で在庫が積み上がり、「デジタルだから」良いのではなく「デジタル関連は手掛けて当たり前」の状況となった。成長率の低下で誰もが成長できる状況ではなくなり、不況下日本での勝ち組IT企業と、負け組で文字どおり倒産や身売りの危機に瀕する企業とに、くっきり明暗が分かれる状況になっている。鉄砲だけあれば戦争に勝てるというわけではないのだ。 大まかに分けて、IT業界自体はいくつかのセグメントに分かれる。「サービス層」「プラットフォーム層」「ネットワーク(インフラ)層」「物理(端末)層」の4つに分けるのが一般的だが、どのレイヤーでも生き残っている企業は「市場を寡占しうる勝ち組企業」と、「専門性に特化して特定の嗜好の顧客をがっちり掴んで高収益を誇る企業」とに大別される。 このあたりは、経済の成熟とともに小売業の業態が変わっていく現象ときわめて似ている。IT業界が未熟で一部の好事家がネットに没頭している市場であるうちは、コンテンツもインフラも決済もポータルもすべて取り扱うオールインワンのプロバイダー会社やケーブルテレビ会社が支持された。駅前の百貨店が流行の先端だった時代に等しい。 やがて、ケータイからのネット通信が当たり前になり、自宅でのブロードバンド人口も7000万人に近づき市場が成熟化すると、ネット通販専門の楽天、ポータル専門のヤフージャパン、コミュニティサービスのミクシィなど、そのカテゴリーに特化したメガサイトが人気を集めるようになる。まさに車1人1台時代にともない客の流れが変わり、街道沿いの大型店や駐車場付きの家電量販店が百貨店から客をかっさらうようなものだ。 規模の経済という点では、多大な投資が必要となるネットワーク層において市場原理が働きすぎたことで結局、従来の電電公社と新電電の二社体制のような先祖返りに向かいつつあるのも特徴だ。とりわけ、携帯電話ビジネスではドコモ、au、ソフトバンクモバイル、イーモバイル、ウィルコムなどが割拠しているものの、十分な利益体質はおろか全力で自転車操業を続けているソフトバンクほか通信中堅は、いつ競争から脱落し事業再編の対象となってもおかしくないところまで追い込まれている。 通信キャリアが潰れるのは経済に対するインパクトも大きいが、いつまでも膨大な有利子負債を抱えたまま、暗い将来しか見えない経営を続けるわけにもいかない。グループ全体で2兆4000億円を超える負債に喘ぎ、手元キャッシュも頼りないソフトバンクなどは、折からの市況下落で資金の外部調達の道もなかなか険しいものがある。携帯事業を含む既存事業の不振から、株価は1600円台から一時700円台にまで下落。 さらに、将来の業績不安定を機関投資家に嫌気され、CP(コマーシャルペーパー)500億円分を前倒しで全額償還するよう求められた。仕方なく子会社をヤフーに切り売りするなどして償還資金を捻出する始末で、まさにダイエーの最期にも似た風雲児の切なさだ。 一方、デジタル技術の進展でIT業界が経済全体の構造を一変させた影響で、いままでまったく関連のなかった業界同士が再編に追い込まれるという事態に直面しつつある。 その最たる例が新聞社や出版社、テレビ局などメディア関連産業だ。日本国内に限らず、多くの国で新聞社の倒産や廃業が相次いでいるが、日本市場ではポータルサイトのヤフーが、ケータイではミクシィやモバゲータウンなどに代表されるコミュニティサイトがニュース発信の拠点となり、芸能やスポーツ、社会問題などあらゆるニュース記事を無料で配信するサービスが人気を集めている。 その結果、パッケージとしての宅配新聞や駅売りの雑誌などにお金を払って情報を摂取する消費者の割合が減り、なし崩し的にビジネスモデルの崩壊に直面しているのがメディア関連産業の構造的な問題となっている。細やかなニーズが発生したぶん、顧客がより高い費用を負担してくれるのであれば企業も成り立つが、問題はネットの情報は原則無料が定着してしまっていることにある。これでは年間1000万円以上払って雇っている新聞記者やテレビマン、広告代理店社員を養えなくなるのも道理だろう。 ヤフー独り勝ちの国内再編 一方で、それだけのインパクトを与える無料のビジネスモデルを支えているのは株式市場とコンピュータ技術である。IT企業は財閥系などの縛りの少ない独立系が多いため、市場を通じて投資家から自在に資金を集めることのできる時期があった。これをネットバブルというが、主に無料でネットから顧客を掻き集めて、そこに広告や物販を置いて現金化したり、顧客情報を集めてマーケティングに使ったりすることで収益を上げる計画であった。 いまでこそこれらのネットバブルは崩壊し、無原則な資金調達を市場から行なうことはできなくなったが、ヤフーや楽天、カカクコムなどネットで大手とされるまでに成長したサービスの多くはいまだに情報は無料で提供している。 ヤフーは、日本市場においてはユーザーのじつに95%が日常的に利用するサービスにまで成長し、利用頻度や利用回数では日本のネットサービスで上位5つを独占。時価総額1兆5000億円は、日産やソニーなど日本を代表する企業と並びつつある。まさに独り勝ち状態で、押しも押されぬ勝ち組企業へと成長した。 日本に限らず、世界のIT業界の特徴は、サービス層やネットワーク層それぞれに圧倒的な勝者が1社ないし若干社存在し、これらの寡占企業がそこで発生する収益の大半をもっていく構造になっている点にある。逆に、椅子取りゲームに敗れた企業を待っているのはかなり容赦のない再編や身売り、撤退である。 NEC系のビッグローブ、富士通系のニフティなど、健闘していても親会社による株式売却が噂される企業もある一方、ソニーのパソコン向け動画サイト「ブランコ」は不振により撤退に追い込まれた。テレビ局系でも、日本テレビの携帯電話向け動画サービス「第2日テレ」が迷走の果てに無料化にシフトして事業の収益性よりまずは利用者の確保に乗り出したり、フジテレビも動画系サイト「ワッチミー!TV」を華々しく打ち出したものの顧客を集められず、苦戦が続いている。 システム開発事業でも、NEC、日本IBM、NTTデータ、富士通、日立など大プレイヤーが乱立し、携帯端末でも撤退した三洋電機も加えると9社も参入している。携帯キャリアでも、十分な利益を出しているのはドコモとKDDIだけで、ソフトバンク以下は惨憺たる状況だ。規制の緩和が行なわれ、新しい事業者がIT業界やその周辺に参入している状況ではあるが、経済が右肩上がりの成長曲線を描いているときは各社利益を出すことができても、マイナス成長の局面となると、それほど多くの企業が存在できるほど日本市場は大きくなく、競争も甘くないという現実が降り掛かる。 したがって脱成長路線の経済下では、大幅な規制緩和によって徹底した競争を促すよりも、適正な利益を上げうる管理された業界秩序をどう維持するか、という方向へ着眼する必要があるのかもしれない。それほど大きくなく増えもしないパイに多くの企業がぶら下がった結果、イノベーションに対する投資が十全に行なわれず、結果として国際的な競争に敗北するケースが相次いでいるのである。 かつての自動車業界や製鉄業界、製薬業界なども経験したことであるが、日本土着の大企業が日本市場でだけ競争を繰り広げた結果、日本独特の市場風土に順応しすぎて規模の経済が利かず、世界的な多国籍企業との競争に勝てない現象がある。日本はたしかに携帯電話文化では先進国であるが、そこで流通している携帯電話端末は高機能方面に進化しすぎ、国際的にはまるで存在感のないシェアしか各社が取れていない現状がある。 携帯電話市場では、ノキアやモトローラなどの欧米企業に加え、サムソン、LGなどの韓国企業が上位をめぐって激しく争っているのに対し、日本勢はソニーとの合弁のソニー・エリクソンが4%でようやく5位、日本市場では強いはずのパナソニックや富士通などは世界ではほとんど誤差の範囲でしか顧客を獲得できていない。参入各社ごとに研究開発を進め、小口の投資に留まった結果、大きな資本を投下し、大口のビジネスを手掛ける海外勢に各個撃破されたも同然の状況だ。 同じく、日の丸半導体と高らかに謳ったはいいが、エルピーダメモリや富士通など各社各様に投資を小口で行なった結果、資本力で圧倒する他国企業に価格支配力を奪われ、日本各社が全社赤字に転落するといった事例もある。 ソフトウェアの分野でいうならば、日本で大企業とされ大規模システムの開発では有数と称されるNECや富士通、NTTデータなどシステム関連企業が、世界的な汎用ソフトウェアでデファクト基準に採用されたという話をあまり聞いたことがない。開発外注をインドや中国に振り分けることがニュースになっても、海外から大規模な開発案件を獲得して収益を上げたという事例もとくになく、相変わらず売り上げの大半は国内に依存している。比較的元気なウェブサービスの分野でも、楽天がアメリカ進出を志して失敗したり、日本独自のサービスが海外では見向きもされないのが現実だ。 日本のIT業界の再編話で、どちらかというと後ろ向きな事例ばかりが目に付くのは、縮小する日本経済の動向に合わせて、社内の最適化を図って利益を出すための縮小均衡に経営判断が傾きがちだからである。経費削減や解雇、賃金引き下げなどの利益捻出はもちろん必要であるが、パイの縮小速度に見合った企業の「間引き」や売上高に占める海外比率引き上げのための積極的な進出計画というものが見当たらないのは、非常に残念なことでもある。何らかの動きが起きはじめるのは、日本人なら誰でも知っているような大手IT企業がどこか破綻に追い込まれてからだろう。どこかが大きな仕掛けを打ち、再編がブームになることも考えられるが、しばらくは蛙のどこかが茹で上がってしまうまでは静観するしかないのかもしれない。それがどんな結果に繋がったとしても、結果が出ないで待ちつづけるよりはマシなのだ  

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東証は上場出来るのか?



 大和証券が業界一の安値水準での取引手数料を打ち出し、証券界に激震が走りました。この水準での手数料ならば、もはや他のネット証券の価値はないと言っても過言ではありません。また、ネット証券でもこの様な状況であるのですから、対面営業が中心の多くの地場証券は、もはや生き残る事すら厳しい状況になってきたと言えるでしょう。

 バブル崩壊後10年ほどしてから株式の売買手数料が自由化され、更にはネット技術が進歩して格安のネット証券が乱立し、手数料は格段に安くなりました。それまでは往復で2.5%もの手数料が掛かっていたものが、今や往復で1%未満は当たり前ですし、一日定額なんてコースもあったりします。我々一般投資家は、やっと手数料を気にしない取引が出来る様になった訳で、非常に喜ばしい事ではあるのですが、その陰では証券会社が相当苦しい思いをしているのも事実です。

 昨今、牛丼の値下げ競争ばかりに目が行ってしまいますが、このデフレの波はあらゆる業界を蝕んでおり、証券界もまたデフレの波に飲まれているのです。こうして大和証券という大手までもが値下げに走ったのは、牛丼の値下げの構図と何も変わりやしないのです。

 証券会社は、株の取引手数料で儲ける会社でありますから、それを仲介する会社がそんなに多くあっても仕方がないと思いますし、競争して手数料が安くなってくれれば、取引のリスクはそれだけ低くなりますし、値下げは大歓迎であります。ただ、当然ながら高い手数料を取る対面営業の地場証券なんかは、生き残れるはずもないし、当然のように潰れていくところが続出するはずなのですが、これ程競争が激化しているというのにあまり廃業しただとかそんな話は聞きません。

 実は、東証の正会員は東証に何億かのお金を積んでいたのですが、その見返りとして発行されたのが東証の株券でした。多くの地場証券は、これが上場されればかなりの金額になるだろうと見ており、上場を夢見て無理矢理営業を続けているというところも多いのです。

 また、上場までの夢をつなぐため、銀行が担保として受け入れて融資をしているケースもありますし、上場を確実と見た東証マザーズ上場の日本アジアグループの子会社の日本アジアホールディングスという会社は、経営が困窮した多くの地場証券から東証株を買い取っております。時間が掛かろうとも上場さえしてくれれば、何とか片付く話なのですが、果たして東証は本当に上場出来るのでしょうか?

 東証は売り上げを伸ばすために取引の高速化だとか、色々な知恵は絞っている様ですが、出来高は減少する一方でありますし、そもそも先進衰退国と呼ばれるような状態に陥っているのです。人口構造を見ても分かるのですが、どう考えても東証の売り上げが伸びるような状況ではないのです。

 今はまだ何とか耐えている地場証券ですが、大和証券までもがネットを中心にという状況でありますし、そろそろ悲鳴を上げるところが出てきてもおかしくはありません。まずは数社が合併し、リストラで経営体質を改善とか、そんな話が出始めるかとは思いますが、完全に東証が上場する見込みが消えたならば、本当に大変な事態に陥ってしまう事でしょう。

 東証の売り上げが伸びなくなるのは何年も前から分かっていた事ですし、証券会社がそうした状況を読めない方が悪いとしか言いようがなく、完全に自業自得の世界でありますが、ある意味では未上場株の売買での詐欺事件と大差はない様な気がしてなりません。

 何億も積んで正会員になったのに、その後に手数料が自由化されて儲からない業界になり、それでも、もらった株券が上場すると思って頑張っていたのに、結局は上場も夢のまた夢・・・。ある意味気の毒ではあります。何せ東証に積んだお金は戻って来ないのですからね・・・。

 何とか業界が活性化し・・・とは思うのですが、そもそもこの人口減とデフレに歯止めをかけない事にはどうにもしようがないのです。ここで絶対に必要なのが政治力ですが、これもまた混沌としておりますし、なかなか道は見えてこないというのが現状であります。

「岡本ホテル」巨額詐欺事件 月給5千万円 参考はホリエモン

産経新聞 2月20日(日)7時57分配信

【核心】

 月給は縦に置いても倒れないほどの分厚い5千万円の札束-。静岡・熱海の老舗「岡本ホテル」グループを舞台とした預託金ビジネスは、約8千人が200億円以上をだまし取られたとされる巨額詐欺事件に発展した。警視庁に逮捕された元オーナーの指定暴力団山口組系元組員、大東(おおひがし)正博容疑者(59)は営業トップに多額の月給を現金で与えて競争心をあおり、勧誘を続けさせた。(伊藤弘一郎、大泉晋之助)

 ▼すし店で現ナマ

 毎月10日に支払われるグループ社員の給料。事件の舞台となった会員制温泉クラブ「岡本倶楽部」の会員を勧誘する営業担当者はすし店などに呼び出され、大東容疑者らと食事をした。その最中、次々と札束が置かれていく。“現ナマ”で給料が支給された。

 金額の多寡にかかわらず、札束は縦にして置かれた。数千万円を稼ぎ出したトップクラスの給料はテーブルの上に立つが、成績が芳しくないと札束は立たない。営業担当者は差をまざまざと見せつけられた。

 ホテル関係者によると、会員から集めた金は最盛期で月8億円。営業担当者の給料は、その月に自身がとりまとめた契約総額の7~8%程度で、月に3千万~5千万円を手にした担当者もいたとされる。

 ▼マネーゲームのとりこ

 大東容疑者は平成12年ごろ、数十億円の負債を抱えた岡本ホテルの資金調達役として名乗りを上げ、15年ごろには経営に参画するようになった。しかし、業績は不振。次第に「やつら、やりよるな」と、村上ファンドやライブドアのマネーゲームに心を奪われていった。

 大東容疑者は岡本倶楽部運営会社元社長、山脇一晃容疑者(56)に、投資ファンドを参考にした集金システムを考案させた。

 こうしてできあがったのが、100万~1千万円を預けると約1~2割を除いた残額が5年後には預託金として返還され、さらにホテルに宿泊できるポイントも使用しない場合は一定割合で買い取る-という預託金ビジネスだ。17年4月から始まり、5年間で約8千人から200億円以上を集めたとされる。

 ▼クルーザー、高級車…

 大東容疑者の手元には貸付金名目で約40億円がわたり、多くは大東容疑者のプライベートに使われたとされる。熱海だけで少なくとも3件のマンションを購入し、交際相手を住まわせていた。約6千万円の高級クルーザー、フェラーリやポルシェなどの高級車も購入していたという。

 山脇容疑者も約10億円を得ていたと証言するホテル関係者もいる。また、数億円が指定暴力団山口組傘下の組織に送金されていた。

 巨大化する預託金ビジネスはホテルの経営悪化を加速させた。ホテルの従業員は「大東さんも初めは『ホテルでもうけるぞ』と頑張ったが、預託金でもうかることが分かると、ホテルは詐欺の“仕掛け”でしかなくなった」と語る。

「老人民主主義」時代を若者が生き抜く法/江川達也(漫画家)、堀江貴文(SNS株式会社 ファウンダー)
2011年2月21日 VOICE


日本人はやがて「没落貴族」になる

 江川 現在、日本ではデフレが長引くなか、多くの企業は新卒採用を抑制することで苦境を乗り切ろうとしており、大卒者の内定率の低下が著しい。さらに、年功序列賃金制度のもと、中高年の賃金は高止まりしたままで、若い世代の給料は抑えられがちである、という問題もあります。特定の世代のみが不況の痛みを負わなければいけない構造があるとすれば、やはり不公平というべきでしょう。いわゆる「世代間格差」の問題です。
 私は、そうした若者に対しては、かなり同情的です。戦後、日本はある程度まで経済成長を達成したところで、別のモデルによる社会を構築すべきだったのに、さらに成長を求めて走ってしまった。それが1980年代後半のバブルの発生と、90年代の崩壊を生んだ。その後も、ITバブルの崩壊、リーマン・ショックと続き、日本経済は痛めつけられていった。彼らはその犠牲者といえなくもない。
 堀江 たしかに、困窮する若者や独居老人の孤独死が現在問題になっており、これを救うシステムの構築は必要でしょう。しかし、一部の国民の生活ぶりと、マクロ経済の問題を一緒くたに論じてしまうと、かえって視野を狭めるだけだと思います。そもそも、僕はバブルが起こること自体は、これからも決して避けられないと思います。それも、バブルの周波数は、どんどん高くなる一方でしょう。
 江川 これからも、大きなバブルがくるということ?
 堀江 いやいや、僕がいっているのは、揺れ幅ではなくサイクルの問題です。周波数でいえば、長波から短波に変わったようなイメージです。実際、リーマン・ショックが起きて、“100年に一度の不況がきた”などと大騒ぎしましたが、いま、日本の景気は悪くないでしょう。東京をみれば、「どこが不況なんだ」という実感をもつはずです。
 江川 まあ、たとえば、ここ六本木ヒルズの周辺はそうかもしれないけれど(笑)。しかし、地方の経済はかなり疲弊していて、職を失う人も多い。とくに若い人ほど、リストラや派遣切りに遭いやすい傾向があるといわれる。
 堀江 でも、日本は外国に比べれば、すでにセーフティーネットが充実していて、失職してもなんとか食いつないでいけるでしょう。
 江川 それがいまは、正社員から派遣、日雇い、最後はホームレスに転落する若者が増えているらしい。
 堀江 それは日本経済の問題というよりも、個々人の「プライド」の問題ではないでしょうか。みっともない仕事はしたくない、というような。げんに、いまも中小企業のなかには、人集めに苦労しているところがあります。
 江川 「プライド」の問題もあるけれど、「能力」の問題が大きい気がする。もちろん、バブルの波に乗って儲ける人もいるけれど、大半は流れについていけず、経済競争から脱落してしまう人が多いわけでしょう。
 堀江 だから、うまく適応してもらうしかない。それが今回の「結論」になるんですよ。
 江川 むしろ、バブルの波に反応しなくても生きていけるような社会を、日本人は構築すべきだと私は思う。そもそも、みんなが無理に世の動きに合わせようとするから、バブルみたいなことが起きるわけだから。
 堀江 それは無理でしょう。
 江川 無理なんだ。(笑)
 堀江 では、明日から携帯電話やインターネットを使わない。そんな生活が想像できますか。
 江川 私はどちらもほとんど使わないよ。(笑)
 堀江 それは、江川さんはそうかもしれませんが、普通の人は違います。結局、ITによる情報化が進めば進むほど、日本も例外なくグローバル化の波に巻き込まれていかざるをえない。しかもそうなると、格差の「是正圧力」が日本にまで及んでいることになります。なぜ日本人に生まれただけで、あんなに豊かな生活を送っているんだと、やがて世界中の人が思うようになるでしょう。たとえば、日本人が東南アジアの国に現地法人をつくったとして、日本人の社長や上司が現地人よりも無能だった場合、「なぜ給料が俺よりも10倍高いのか。もう日本人の下では働けない」ということになりかねない。世界的にいえば、まだまだ日本の経済レベルは高い状態にありますが、このまま胡坐をかいていれば、日本人全体がやがて「没落貴族」のようになっていくでしょう。
 江川 堀江君のメルマガの読者というのは、どちらかというと、既存のシステムからは弾き出されたような人のほうが多い気がする。彼らに対しても、そんな厳しいことをいっているわけ?
 堀江 現在、僕のメルマガの読者はおよそ1万人ですが、100%厳しいメッセージを送っています。「日本人に生まれたこと以外に、君たちにどんなスキルがあるのか」「このままでは生き残れない」「世界中の優れた人たちと伍して戦えるだけの戦闘力をつけろ」と繰り返しいっていますからね。
 江川 ただ一方で、現在の社会保障や医療制度は、明らかに高齢者優遇になっている。いまの若い人はそうした現状を知っているのかな?
 堀江 僕はそれを「老人民主主義」と呼んでいますが、ほとんどの人が、知らないでしょう。さすがに、僕のメルマガの読者にはしつこくいってあるので、わかっているとは思いますが。結局、戦後できたシステムの恩恵を最大限に享受できた世代は、10年間ほどしかいないはずです。いまの70歳前後の人たちですよ。よく「団塊の世代まで」といわれますが、実際はもう少し上の世代でしょう。
 江川 結局、日本のいまの制度はほとんどの世代が損する仕組みになっている。そんな制度は変えるしかないと。
 堀江 そのとおりです。たとえば、僕は相続税に関しては「100%論者」です。そうすれば、高齢者はもっと消費にお金を回すようになるし、あるいはもっと寄付が増えるかもしれない。財政問題の深刻さもかなりの程度、緩和されるでしょう。
 江川 でも、地方の造り酒屋のようなところは、相続税が100%になると存続できなくなって、せっかくの伝統が途絶えてしまう恐れがある。税制を一気に変えると、そうした問題も出てくるでしょう。
 堀江 だから、必ずしも家族が永遠にオーナーシップをもっている必要はなくて、法人化するという方法もある。農家についても同じで、たとえば、ドイツのマイスター制度に倣い、血縁でなくても若い人が農家を継げるような仕組みをつくればよい。日本の野菜はとてもおいしく、やり方次第では世界に輸出して、成長産業にできるはずです。
 江川 実際、かつて日本の家には伝統的に「養子」が多かった。たとえば、これまで江戸時代というと、強固な血縁主義の社会だったと思われがちですが、実際は武家でも、生まれた男子がみんな無能だったとして、周囲に優秀な百姓の子がいれば、そちらに継がせていたんです。要は、血縁よりも能力を重んじる社会だったわけですね。ところが、そうした日本の旧きよき伝統というものが、戦後社会に伝わらなくなってしまった。
 堀江 たしかに、日本の養子文化は、素晴らしいものだと思います。ただ、戦後それが途絶えたのは、避妊の知識が普及して、計画的に子供をつくるようになったためです。つまり、他家に養子に出す子供がいなくなってしまった、という面もあるとは思いますが。(笑)


歴史に学ぶ日本の国家モデルの「正解」

 堀江 それはともかく、歴史に学ぶという意味では、この国の「モデル」は、戦国時代から江戸時代の始まりの短いあいだに、じつはすべて出揃っています。第一は、信長がめざしたような「貿易立国」モデル、第二は、秀吉の「大日本」モデル、第三は家康の「鎖国」モデルです。
 江川 少し補足させてもらうと、東アジアの盟主になろうという秀吉の野望は、もともとは信長の発想によるものだった。しかし、それを真似た秀吉は、朝鮮出兵で大失敗する。では、信長が同じ失敗をしたかというと、私はそうは思えない。信長という人は、当時の日本人としては非常に西洋に関心が強く、また「合理的」な思考を得意とする人だったから、東南アジアに拠点となる貿易港を築いて、直接、西洋とつながろうとしたでしょう。
 堀江 もっとも、信長と秀吉と家康の3つのモデルのうち、結局いちばん長続きしたのは、家康の「鎖国」モデルでした。日本だけで回るエコシステムの構築に成功したという点で、家康はたいへんな政治家だと思いますが、それが日本の国家モデルの「正解」だったかというと、違った。明治維新が起きて、徳川幕府の仕組みはすべて「リセット」されてしまったわけですから。
 江川 しかしそれは、西洋列強が日本近海に押し寄せ、ここでグローバル化=脱亜入欧しなければ、植民地にされてしまうという恐れのためだったと考えられます。だから、西洋列強が来なければ、いまも日本は江戸時代が続いていたかもしれない(笑)。さらに、そもそも、江戸時代に日本は「鎖国」していたというこれまでの常識は、最近では間違いとされている。実際は、長崎でオランダや明・清と貿易をしており、かなりの情報が海外から日本に入ってきていました。だからこそ、すんなりと明治維新を迎えられたわけです。したがって、江戸時代は「鎖国」していたからこそ平和だった、という言い方をする人がいますが、それは誤りですし、むろん、このグローバル化の時代に、いまの日本が完全に「鎖国」していたらダメでしょう。
 堀江 ところが、戦後の日本は信長的な「貿易立国」モデルで経済復興を果たしたにもかかわらず、ここにきて、また「内向き」の議論を好むようになっています。とくにバブル崩壊以降は、その傾向が強いですよ。
 江川 結局、日本人というのは、景気がいいときには、グローバル化(脱亜入欧)をめざし、逆に調子が悪くなってくると、ローカルな仕組みのよさを見直したりする。大切なのは、この国の世論の背景にはそうした「構図」があると知っておくことで、目先の議論に惑わされないようにすることですね。


なぜ海外に興味がなくなってきたのか

 堀江 加えていうなら、グローバル化に向けて日本人の腰が定まらないのは、この国の中途半端な規模感が原因だと思います。たとえば、隣の韓国では、1997年の通貨危機以降、官民挙げて「貿易立国」モデルへの転換を図るようになった。人口がおよそ4,800万人の韓国では、「内需」だけでは国を運営していくことが難しく、「輸出」に懸けるしかない。一方、日本の人口は約1億2,700万人。韓国に比べれば「輸出」一辺倒ではなく、ある程度「内需」でやっていける面もあります。しかし、それがかえって問題なのです。
 江川 たしかに、「輸出」優先か、「内需」優先かで、政策が中途半端なものになってしまう問題はあるでしょう。とはいえ、個人の生き方としては、“信長的”に海外で儲けたい人は儲けて、“家康的”に国内にとどまって安定した生活を送りたい人はそうすればいい。個々人が両方の生き方を選択できる国というのは、じつはたいへん素晴らしい社会だと思う。かくいう私も、いまやほとんど海外に憧れがなくなってしまった。
 堀江 僕も外国に憧れたことは一度もないですよ。特殊な遊びをしに行っているだけです。たとえば、ゴルフだったらタイが楽しいし、カジノだったら、マカオかラスベガス。チキンライスだったら、シンガポールがおいしい。そういう感じです。
 江川 残念ながら、その三つにはどれもまったく興味がない(笑)。実際、日本のほうが飯はうまいし、治安もいいしね。日本にいても、そこそこの刺激は得られる。
 堀江 だからそれが、ITによるグローバル化という意味なんです。インターネットがあまねく普及した結果、世界で起きている事象の情報は、誰でも、またどこにいても、瞬時に知ることができるようになった。若者がいま海外に興味をなくしている原因があるとすれば、それがいちばん大きいでしょう。ただ、海外は住環境が日本よりもはるかに上ですし、メイドも安く雇えるから、生活環境はいいですけどね。自分で掃除とか洗濯をしなくて済みます。
 江川 でも、最近の若い人は、家事を自分でするのが楽しいらしいよ。
 堀江 え? そうなんですか。
 江川 家でつくる料理も、どんどん凝るようになってきているそうです。
 堀江 自炊が好きなんて、アジアでも日本人ぐらいなものではないですか。最近、僕が訪れたシンガポールでは、朝はだいたい近くの食堂に集まって、お粥をすすっていました。
 江川 なるほど。(笑)
 堀江 ただ、いくら日本にいながらにして海外の情報が収集できるからといっても、英語ぐらいは話せるようにはなっておくべきです。いちばんいい方法は、英語を「公用語」にしてしまうことです。そうすれば海外市場で、日本の企業人は英語が不得意なため韓国企業に営業で負けてしまうなんてことも、少なくなっていくでしょう。
 江川 しかし、漫画家としての立場からいわせてもらうと、日本で漫画が独特な発達を遂げ、また世界で持て囃されるようになったのは、日本の漫画家が情緒や感情を表わすのに適した、もともと「絵画的」な言語である日本語で育ったから、というのが私の持論です。欧米人が漫画を描くと、アメコミをイメージすればわかりやすいけれど、どうしてもカクカクした表現になってしまう。
 堀江 ですから、僕も日本語のよさはまったく否定しません。「英語を公用語に」というのは、なにも国語にせよ、ということではないんです。公式文書や公式の場では、英語の併記や口述を義務づけよ、というだけです。実際、すでに公共の交通機関や多くの商業施設などでは、英語併記が行なわれているわけですから。
 江川 たしかに、歴史を振り返れば、「公用語」という意味では、江戸時代において武士は和文ではなく、じつは漢文を使用していました。漢文には曖昧な表現が少なく、庶民が日常で使う「やまとことば」よりも、はるかに論理的だったからです。さらに戦前までは、日本人は漢文の素養があり、公式文書をみると、かなり漢文調ですね。現代では、実際にこれだけ英語が世界に広まっていることを考えれば、論理的な言語として英語を公式文書に使うのは、当然の選択といえるかもしれない。
 堀江 そうそう。シンガポールでは屋台のおじさんでさえ、英語を話していました。それは「シングリッシュ」と呼ばれる訛りのひどいものですが。日本もシンガポールと同じように英語を「公用語」とし、どんどん使わせる機会をつくってあげればいいんです。とくに、若ければ若いほど、適応も早いはず。それが彼らのためにもなります。


情報収集のスキルか、欲望を抑える技術か

 江川 今後のスキルとして英語は必須だとして、他に堀江君はどんなスキルを若者に勧めているの?
 堀江 やはり、情報収集のスキルでしょうね。「なぜか?」と問われても困りますが、つまり、役に立つからです。視界が狭いなかで考えるよりは、遠くまで見渡せるほうが、思考も広がるでしょう。
 江川 しかし、もともと自分のなかに確固たる指針がなければ、多くの人は情報を集めれば集めるほど、混乱するだけなのでは?
 堀江 それは、情報が多すぎるからではなく、逆に足りていないからです。たくさんある情報のなかから価値のあるものを見つける術を身につけるのは、結局、情報処理の場数を踏むしかありません。情報源は、口コミでもテレビでも本でも、インターネットでも何でもいい。仮に本を情報源とするならば、小説だけでなく、経済書、ノンフィクション、歴史書など、あらゆるジャンルのものを読む。雑誌なら、さまざまなジャンルの雑誌をとにかく全部読む。「iPhone」をもつ前は、僕は週20誌以上を読んでいました。WEBも時間を区切って、読みまくる。
 このように、とにかくたくさんの情報を収集することによって、効率的な方法とは何か、自ずとわかってきます。人より何倍も速く効率的に情報を収集、処理できるようになれば、人より先に未来を読むことが可能になるでしょう。そうすれば、おそらく圧倒的有利に立てるはずです。
 江川 まあ、堀江君によれば、税制や社会保障で不利になる「老人民主主義」の実態さえも知らない若者が多いわけだからね。
 堀江 僕自身、人から強制されるのが嫌いなので、「すべき」というよりも、「やったほうがいいんじゃないか」という程度ですけれど。
 江川 しかし、堀江君はそんなところが昔とまったく変わってないというか、ちっともへこたれていないよね。
 堀江 いや、以前はかなりへこたれていましたよ。
 江川 それがいま、立ち直った理由は?
 堀江 それこそ、歴史や海外の事例に学んだからですよ。そもそも、検察権力をいまのように強大なものにさせたのが、戦前に司法大臣や総理大臣を歴任した平沼騏一郎です。彼は、日糖事件や帝人事件などの疑獄事件をでっち上げて有力政治家を締め上げることによって、権力を掌握していった人です。
 同じような事例は海外にもあります。たとえば、元ニューヨーク市長のルドルフ・ジュリアーニ(市長在任期間:1994年1月1日~2001年12月31日)は、検察官時代に「ジャンク・ボンド(ジャンク債)の帝王」と呼ばれたマイケル・ミルケンを、インサイダー取引や脱税幇助などの罪で検挙して名を上げた人です。しかしいまでは、ミルケンは企業再生をスピードアップさせるジャンク債という手法をつくった人物として、再評価されています。要は、検察権力というのは、世界的に同じ「構図」だということが僕にはわかった。そのなかで、日本の制度の特殊な点を挙げれば、その本質が江戸時代と変わらない“お白洲”だったということです。
 江川 市中引き回しとまではいかないけれど。
 堀江 実際は、それを少しマイルドにしただけで。
 江川 いわば“さらし者”ということだね。日本の司法の恐ろしさというものを、身をもって経験したわけだ。そういう意味でも、自分で体験したことを価値判断のベースにすべきですね。先の情報収集の話に戻れば、私は他人の言うことを決して鵜呑みにするのでなく、なんでも疑ってかかれ、といいたい。
 最後になってこんなことをいうのも何ですが、私は、マスコミがいう「地方間格差」や「世代間格差」といったときの「格差」という言葉が、じつは、あまり好きではない。というのも、ここでいう「格差」というのは、結局、経済的な格差のことを意味しているわけでしょう。そこには、東京の一流大学を出て、中央の官庁に勤めるか、大企業の正社員になるのが幸せへの近道だというような、暗黙の前提があるような気がしてならない。しかし日本では、そんな生き方はとっくに破綻している。そこにたどり着ける人がいても、ほんの一部でしょう。その意味では、過度に経済的価値観に煽られないために、今後は欲望をコントロールする技術が必要になってくると思いますね。
 じつは私にも、駆け出しのころは、1日の食費が300円という時代がありました。しかし、漫画を描くことが好きだったので、毎日がまったく苦ではなかった。ところが、こういう話をいまの若い人にしても、結局のところ、まったくウケないんだよね(笑)。だから、いまはもう若いアシスタントを使うことは諦めて、「コミックスタジオ」というソフトを使って、一人で漫画を描いています。
 堀江 じつは、僕は最近、けっこう本を出しているんですが、活字の本が嫌いなので、ほんとうは全部漫画で出したかったんです。
 江川 では、一緒に何かやろうか。
 堀江 いいですね。ぜひ漫画で。だって、活字の本よりも売れそうじゃないですか。
 江川 まあね。(笑)

北方領土付近で平成18年に起きた銃撃・拿捕事件をめぐり、 カニ漁船第31吉進丸の船長だった北海道根室市の 坂下登さん(62)らが、根釧漁船保険組合(同市)に 船の損害保険金など計3460万円の支払いを求めた訴訟の 第1回口頭弁論が8日、釧路地裁(菊池憲久裁判長)であり、  組合側は「(事件の)損害は普通保険の対象外」として 請求棄却を求めた。 (以下ソース) ※元記事: 産経新聞 平成21年12月08日

男性の賠償請求を棄却/大和証券の不正引き出し問題で

昨年3月発覚した大和証券(本社、東京都千代田区)釧路支店に勤務していた元女性従業員(43)が顧客約40人の証券口座から預かり金約6億円を不正に引き出していた問題で、被害者らが同社などを相手取り、損害賠償を求めている訴訟のうち、道東に住む男性(64)が同社を相手取り1億3790万円の賠償を求めた訴訟の判決が16日、釧路地裁(菊池憲久裁判長)であった。菊池裁判長は「簿外取引全体を通じて必ずしも実質的な損害を受けていたということもできない」として男性の請求を棄却した。原告側は控訴する方針。
判決などによると、この男性は、当時営業担当者だった女性にだまされ、株の買い付け代金として合計1億3790万円の現金を支払ったとして、女性の使用者である同社に賠償を求めていた。
判決で菊池裁判長は、女性の簿外取引については詐欺と認定する一方で、原告が「特殊な形態の取引であることを熟知し、相当な利益を得ていたことが推認される」と指摘。原告に「故意に準ずる程度の過失があり、公平の見地上、原告に保護を与えないことが相当」と結論づけた。

実体経済の回復確度強まるも、日本財政への信認維持が気がかり 22時09分配信 ロイター 拡大写真  2月15日、日銀の白川方明総裁は、景気が回復軌道を歩んでいることに自信を示す一方、あらためて日本財政の持続可能性維持の重要性を強調した。写真は東京の日銀前で撮影(2011年 ロイター/Yuriko Nakao)   [東京 15日 ロイター] 日銀の白川方明総裁は15日の金融政策決定会合後の会見で、景気が日銀の想定通りに回復軌道を歩んでいることに自信を示す一方、あらためて日本財政の持続可能性維持の重要性を強調した。  現段階で日本の苦しい財政事情への懸念は顕在化していないが、市場の視線が厳しさを増しつつある中、混迷する政治情勢も絡み、気がかりな問題と意識しているようだ。  日銀が15日の決定会合後に公表した声明文では、足元の景気判断について前月の「改善の動きに一服感がみられる」との文言が外され、「改善テンポの鈍化した状態から徐々に脱しつつある」との前向きな表現にあらためられた。景気は、日銀が「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で描いた道筋をたどりながら回復しつつあるとの判断だ。  日本の経済・金融への影響が大きい米経済についても総裁は「これまでの指標では緩やかな改善が確認されている」と指摘。最近の国際商品市況の上昇では、2008年までの市況高騰時と比較して為替レートが円高に振れていることを挙げ、「交易条件の悪化が緩和されている」とし、「円高にはプラス、マイナスの両面がある」と円高の効用も取り上げた。  日本経済を取り巻く環境が明るさを増しつつある中、総裁が力説したのは日本財政の信認維持の重要性だ。総裁は日本の債務残高について「対名目GDP比率は約200%と、国際的に見ても極めて高い水準」と指摘。市場で日本財政の持続可能性に対する信認が低下した場合、「金融市場の動揺を通じて、実体経済も下押しされ、財政、金融システム、実体経済の間で、マイナスの相乗作用が生じる」と踏み込んだ。  その上で総裁は、こうした最悪の事態を回避するには「財政の持続可能性の確保が重要だ。財政バランスの改善に向けた道筋をしっかり示していくことが必要」と強調。具体的な取り組みとして「財政バランス達成はインフレによる名目成長で達成されない」とし、実質成長率の引き上げによる民間の経済活動の活発化が必要とする一方、「成長力の引き上げだけで、財政バランスの改善が自動的に実現するわけではない。財政バランスの改善は、実質的に歳出を減らし、歳入を増やす改革なしには実現しない」と政治主導による歳出入改革が不可欠と主張した。  総裁はこれまで欧州の財政問題を取り上げ、間接的に日本の財政に対する市場の信認が問われるリスクをけん制することが多かったが、今回は直球で日本財政に警鐘を鳴らした格好だ。  米景気改善による長期金利上昇と日米金利格差拡大で、昨秋のような急速な円高更新は再燃しにくいとみられる中、日銀内では長期金利の意図せざる上昇もリスクとして意識されている可能性がある。政府内からは、社会保障と税制の一体改革に不可分な財政再建について、4月の統一地方選をにらんで菅政権が議論を避けているとの指摘もあり、財政再建の実現性は未知数だ。衆参で与野党勢力が逆転する「ねじれ国会」となっており、2011年度予算・予算関連法案の年度内成立さえも危ぶまれている。政局流動化のリスクが払拭されないなかで、長期金利の意図せざる急騰には日銀が機動的な対応を迫られる公算が大きいが、国債の大幅な買い入れなどは通貨価値のき損につながる。白川総裁は、財政健全化の必要性を繰り返すことで、日本の財政健全化能力に対する国内外市場の信認をつなぎとめようとしているかにみえる。   (ロイターニュース 竹本能文 ; 編集 伊藤純夫)

長岡高専で女子学生死亡
校舎から転落か
 14日正午すぎ、長岡市西片貝町の国立長岡工業高等専門学校で、男女の学生2人が敷地内で血を流して倒れていると職員から110番通報があった。2人は病院に運ばれ、三条市の女子学生(16)が間もなく死亡。もう1人の男子学生(16)は意識不明の重体。

 長岡署は、2人が校舎4階から転落したとみて、調べている。女子学生の左脇腹には刃物による刺し傷があった。

新潟日報2011年2月14日