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2012-06-04 07:07:07

バトルボーラーはるか第三章 4・記憶-59

テーマ:小説

バトルボーラーはるか

作・徳島郷土史研究家 英樹(はなぶさいつき)

秀樹は何事も冷静(れいせい)沈着(ちんちゃく)に観察し、常に何かを感じようとしている。はるかもその手法を真似(まね)し、秀樹の助言から、自分の進むべき道を見出そうとしていた。そんなはるかから、今度は逆に秀樹が「はっ」とする言葉が返って来た。

 「その心の弱さが力を失わせた原因かも知れないわね。」

 「!?・・・そうかもな。だが、何故そう思ったんだ?」

 「お兄ちゃんの話しぶりからかな。」

 「と言うと?」

 「弱いってコトは、何かが壊れたってコトじゃないかなって思って・・・。例えば、病気は体のドコかが悪くなったからなるでしょ。それと同じで、お兄ちゃんの言う〝弱さ〟というのは、病気になったら健康な人のように生活出来ないように、力を扱う資格を失う負の要素なのかなって・・・例えが悪かったかしら・・・」

秀樹が暗くなったような気がしたので、はるかは自信なさそうに最後にそう付け足したが。

 「いや、言いたい事はよく分かる。お前が自分で俺の話しを理解したんで驚いただけだ。」

と、素直にはるかの成長に驚いた事を秀樹は明かした。そして、はるかの話しに更に補足(ほそく)を加えだした。

~つづく~

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2012-06-03 07:07:07

バトルボーラーはるか第三章 4・記憶-58

テーマ:小説

バトルボーラーはるか

作・徳島郷土史研究家 英樹(はなぶさいつき)


戸惑うはるかに、意外な秀樹の言葉が聞こえて来た。

 「ただ・・・この前のまゆみを見る限り、優しくはなくなっていたな。」

 「え!?どういう意味?」

 「だってそうだろ?正友にあんな乱暴(らんぼう)な事して・・・昔の彼女からは考えられない事をしていた。どんな事情があったかは知らんが、非情な行為だった・・・あれは弱さの裏返しと言った方がいいのかな。」

 「弱さの裏返し?」

 「あぁ。この前のまゆみを見ていて、俺はそう感じた。ヒステリックと言うか、まるで駄々をこねてる子供みたいな・・・。精神的に強い人間はあんな事をしたりはしない。不安定で(もろ)いからこそ、何かに八つ当たりをして平静を保とうとしているようだったな。」

~つづく~

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2012-06-02 07:07:07

バトルボーラーはるか第三章 4・記憶-57

テーマ:小説

バトルボーラーはるか

作・徳島郷土史研究家 英樹(はなぶさいつき)

 「なら一体、何が原因で〝聖なる力〟と言われるフェニックス心拳の継承者たる資格を失ったのか?つまりお前は、自分もまゆみと同じ失敗を犯してしまうのではないかと危惧(きぐ)してるんだろう。はるかもまゆみも人を押しのけたり陥しめたりしてまで、富や権力を求めるような人間性はしてないと俺も思ってる。だがお前先任者(せんにんしゃ)であるまゆみは、それにも関らず力を失った。自分も同じようになるのではないかと思い、まゆみの事が知りたいんだろうが、その事に関しては、はっきり言えと言われても俺にも詳細は分からないとしか言えない。心の問題とは口で伝えない限りは、なかなか他人には理解できないからな・・・。」

それを訊く事さえ叶わないのが、もどかしいといった感じで、はるかの瞳には秀樹の表情が曇ったように映った。

~つづく~


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2012-06-01 07:07:07

バトルボーラーはるか第三章 4・記憶-56

テーマ:小説

バトルボーラーはるか

作・徳島郷土史研究家 英樹(はなぶさいつき)

 「まゆみお姉さんは悪い人じゃないのに、何で力を失ったのかと思って・・・。」

 「・・・なるほどな。」

はるかが、どういう意図でそういう話しをしているのか分かったらしい秀樹は、そう言った後、ため息をつくかのように瞳を閉じ(うつむ)くと一呼吸(ひとこきゅう)置き思いを断ち切ったかのようにして再び語り出した。

 「確かにはるかの言う通り。まゆみは、欲ボケしたりする女じゃないし、悪どい人間なワケでもない。だが・・・それだけが人間の問題ではない(はず)だ。そうだろ?」

 「うん・・・そうだね。」

~つづく~

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2012-05-31 07:07:07

バトルボーラーはるか第三章 4・記憶-55

テーマ:小説

バトルボーラーはるか

作・徳島郷土史研究家 英樹(はなぶさいつき)

 「うん。できる限りそうしたいんだけど・・・。」

 「何か問題があるのか?」

 「問題というか・・・まゆみさんはどんな選択を誤って、ああなったのかなぁって・・・。」

 「・・・さぁな。あの(ひと)何も語らず俺達の前から姿を消したからな・・・。それがどうかしたのか?」

 「まゆみお姉さんの事情が知りたいってワケじゃないんだけど・・・わたしの知ってるお姉ちゃんは、聡明で優しくてとっても素敵(すてき)(ひと)だったわ。まだ小っちゃかったか(おぼろ)げな記憶なんだけど・・・。少なくとも悪い事を考えたり、しでかしたりするような(ひと)じゃなかったと思うの・・・。」

 「あぁ・・・そうだな。」

まゆみの事を思い出したからか、秀樹は少ししょげているように見えた。それを見て、胸が()めつけられる感覚に(おちい)るはるか。しかし、直視したくない状況にありながらも、秀樹に今の自分の不安を話したくて言葉を止められないでいた。

~つづく~


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2012-05-30 07:07:07

バトルボーラーはるか第三章 4・記憶-54

テーマ:小説

バトルボーラーはるか

作・徳島郷土史研究家 英樹(はなぶさいつき)


 「そして何なの?」

言葉に()まった秀樹に、はるかはその先を聞こうと尋ねたが、秀樹はすぐに応えようとせず、慎重(しんちょう)に頭の中で言葉を選んでいるようであった。

 「そして・・・力を超える力を得る為の〝心〟に辿(たど)りつくんだ。精神の世界は宇宙のように広大で、しかしながら目には見えない。なのにどうして自分の心の有りようを定め、力を超える力に結びつけるのか。そもそも心の有りとは何なのか。それすらも今は分からないだろうが、それは自分で(いく)ら考えても分かる物ではない。いずれ選択を迫られると言ったが、それまではな。時が来ればお前の前に現れる試練。今まではお前はそれに負ける事なく頑張って来た。これからも正しい道を歩んでくれ!」

~つづく~

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2012-05-29 07:07:07

バトルボーラーはるか第三章 4・記憶-53

テーマ:小説

バトルボーラーはるか

作・徳島郷土史研究家 英樹(はなぶさいつき)

 「そうだね。何か分かるような気がする。」

 「その先が分かるか?」

 「ううん・・・なんとなくしか・・・。」

 「お前はやはり頭の良い子だな。まだ上手く話せないんだろうが、今、聞いた話しを水平(すいへい)展開(てんかい)して自分なりに理解しようとしている。俺は先輩としての経験から、お前に助言しているだけなんだからちゃんとまとめて話そうとか伝えようとしなくていい。〝心〟とは感じる物であって雄弁(ゆうべん)に語る為の道具ではないからな。今ある環境直面する状況そこから導き出す自分の心。それは自分の未来の姿となる。そして―」

~つづく~


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2012-05-28 07:07:07

バトルボーラーはるか第三章 4・記憶-52

テーマ:小説

バトルボーラーはるか

作・徳島郷土史研究家 英樹(はなぶさいつき)

 「〝心の()(よう)〟ってコトだ。見えない心をどう見つめ、どうやってその位置を知り定めるのか。雲をむような話しに聞こえるかも知れんが、それは俺や鮎吉師匠でさえも定めてやれる物ではない。自分で知ってく物なんだ。だが、(あせ)る必要はない。いずれ選択を(せま)られる時が来るだろう。」

 「選択・・・?」

 「あぁ。知性と感情からなる精神世界を彷徨(ほうこう)する〝心〟。その心からバトルボール(神気珠玉)の力は発動される。〝心の有りよう〟とは、その指向性(しこうせい)というか・・・簡単に言えば、自分が心から想った事や考え方が未来の自分の姿になるってことだ。」

 「うーん・・・」

 「端的(たんてき)に言えばだ。お前はさっき高校卒業後の〝進路〟について俺に相談した。じゃあ進路は何が決めるんだ?」

 「わたし・・・の心?」

 「そうだ。自分の進路。すなわち未来とは、自分の事なら自分で決めるように、はるかならはるか。正友なら正友のそれぞれの道があり、他人にどうこう言われるものじゃないだろ?自我(じが)とか意識とか色んな呼び方はされてるが、早い話が自分の心が思った事を実行した結果が未来になってくんだ。」

~つづく~

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2012-05-27 07:07:07

バトルボーラーはるか第三章 4・記憶-51

テーマ:小説

バトルボーラーはるか

作・徳島郷土史研究家 英樹(はなぶさいつき)

 「実はな・・・もうお前に教える事はないんだ。」

思いがけない秀樹の言葉に、「はっ」とした表情をするはるか。

 「そして-これ以上、激しい修練をする必要もない。」

 「えっ!?・・・どういう意味なの?」

 「今までの修業と度重(たびかさ)なる激闘とで、体術ならびに技量などは成長しきったという事だ。まぁ基礎は全て習ったと考えればいい。道場で言えば免許(めんきょ)皆伝(かいでん)って所かな。あとは心・技・体の中の″心″。それを自分で自分を見つめながら探していけばいい。」

 「・・・心?」 そう言って、きょとんとするはるか。

~つづく~

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2012-05-26 07:07:07

バトルボーラーはるか第三章 4・記憶-50

テーマ:小説

バトルボーラーはるか

作・徳島郷土史研究家 英樹(はなぶさいつき)

 「だから考えても仕方ないって秀さんが言っただろが!」

正友は、先程問題になった詩音の件をはるかは言っているのだと思い、そう結論を告げたのだが。

 「・・・ううん。そうじゃないの。」

正友は外野(がいや)だと言わんばかりに、はるかは秀樹の方を向きそう言った。

 「うん!?何か他に問題があるのか?」

 「〝氷の一族〟についてなんだけど・・・。」

 「?・・・それがどうかしたのか?」

 「昨日、会った人達は、すごく敵意(てきい)ムキ出しで、多分また襲ってくるんでしょ?そうなったらそうなった時だみたいなコト、お兄ちゃんは言ってたけど。なんかあの人達、わたし達普通の人間よりは力とか断然(だんぜん)ありそうだし、もっと修業しないとイケないんじゃないのかなぁなんて・・・。」

 「チャン・リンシャンと戦った時みたいにか?」

 「・・・うん。」

~つづく~

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