サン=サーンスの「オルガン付き」との出会いは高校生の頃に遡る。
ブラスバンド部の同級生でトランペットを吹いていたK本くんの家で聴かせてもらったのが最初だ。
トランペットがオクターヴ上げてハイDまで出すんださすがシカゴ響だね拍手と盛り上がっていた。
後にLPを買い、今でもCDで持っているバレンボイム/シカゴ響(オルガン:ガストン・リテーズ)の演奏である。
サン=サーンスといえば「動物の謝肉祭」ぐらいしか知らなかったから、この作品は衝撃的以外の何者でもなかった。
メランコリックな1楽章前半、オルガン(=神)が入りやさしさに満ちた1楽章後半、一転して苦悩の2楽章前半、そして神の啓示に始まる荘厳なフィナーレ。
時間を忘れて一気に聴き入った。そして、ハマッた。「いつかこの曲を演奏したい!」と強く思うようになった。
大学の時には当時高価だった輸入版(DURAND)のスコアを買って、2楽章全部を吹奏楽に編曲したこともあった。
半年かけてスコア100ページ!!よっぽどマーヒーだったんだな。
結局演奏はしなかった(チャペルオルガンもピアノピアノも原曲どおり入れたので実際には演奏はムリ)ものの、オーケストレーションの妙に触れることができてとても勉強になった。
今のオケに入ってからも、口には出さねど「いつかはオルガン付き」とずっと思い続けていた。

そんな夢が現実のものとなった。
総会で15周年記念のメインを決めることになり、タコ5と決選投票の末この曲に決まった時はもう狂喜ダンス乱舞。それから早2年の月日が流れ、いよいよ演奏できる時が来たのだ。
配られたメンフはKALMUS版。あれ?DURANDじゃないんだ…。まぁ問題ではないけど。

そして今回の練習は11月8日ミューザ川崎での『創立15周年記念演奏会』に向けた初合わせ。
団員が交代で指揮をとり、「古風なメヌエット」「小組曲」「オルガン付き」の3曲を通してゆくというヘヴィーな内容。
実は自分もコソ練していったのだが、それ以上にみなさんよくさらってきている拍手中1週間でよくやるもんだ。
いやいや、感心している場合ではない。練習しなければ!

<古風なメヌエット>
今シーズンの楽器はShires。もちろんラージベル。
この曲に関しては比較的高めの音が多いし、おとなしめのほうがよさそうなので、マウスピースは1-1/4Gをチョイス。
のっけからけっこうテンションの高い曲だ。「古風な」といいながらそんなに古風でもなく、十分にラヴェルの匂いがする。
出番ははっきり言って少ない。a-b-aの3部形式のaの部分でフレーズ最後のキメをやるぐらいなものだ。
ごくたまに何拍目だかわからなくなって落とすことがないではなかったが、おおむね問題なし。
トロンボーン3本+テューバの4声部のハーモニーをオシャレにキメるのがポイントになるだろう。

<小組曲>
この曲はtacet。
ホールの外で聞いている限り、なかなかいい雰囲気を出していると思う。
フランスのエスプリをどれだけ表現できるかがポイントだろう。楽しみだ。

<オルガン付き>
いよっ!待ってました!
マウスピースをパワフルな1Gに換え、満を持して臨む。ハコがでかいんだから思い切り鳴らしてもいいよね
ってなわけでスロットル全開チェッカーフラグフルパワーで吹きまくってしまった。今度からはちゃんとセーブしますです土下座ハイ。
ただただ感無量T▽Tの一語に尽きる。こんなすばらしいオケでこの曲が演奏できるなんて自分は幸せ者だ。
きっと神のお導きがあったに違いない。まじめに生きてりゃいいことがあるってもんだ。
6/8拍子の16分音符が合わなくてズレたりはしていたけれども、なんとか崩壊はせずに全曲やりとげた。
そういえば前回の演奏会の打ち上げで、弦トレーナの先生から「16分音符でキスしましょう」というコメントをいただいたっけ。こういう細かい微妙なタイミングで合わせられるようにならなければいけないんだよね。
さて自分はというと・・・コソ練の甲斐あって初めてにしてはよく吹けたと思うが、お休みの数を数え間違えたり(3と5が印刷上紛らわしいのだ!)周りの勢いに圧倒されてアタフタしてしまったところがあった。
特に2楽章後半のオイシイところを落としてしまったのは返す返すも口惜しい次第。

でもまぁ、このぐらいイケれば上等上等。

本格的には来月からということになるわけだし、まだまだこれからだ
11月8日はわが人生最高の日になるに違いない。

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小山台吹奏楽団 第25回演奏会
2009年6月27日(土)14:00開場 14:30開演 入場無料
大田区民センター
 (JR京浜東北線、東急池上・目黒線 蒲田駅 徒歩15分)
 不滅の光
 パイレーツ・オブ・カリビアン
 指輪物語より
 他
指揮:木村 圭太
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中央区交響楽団 創立15周年記念演奏会
2009年11月8日(日)昼公演
ミューザ川崎シンフォニーホール
 ラヴェル/古風なメヌエット
 ドビッシー/小組曲
 サン=サーンス/交響曲第3番ハ短調「オルガン付き」
指揮:石毛 保彦
オルガン:浅井 美紀