エチェヴリー盤タイス | Intermezzo ~幕間のおしゃべり~

Intermezzo ~幕間のおしゃべり~

しがない歌劇愛好家Basilioの音盤鑑賞録。
備忘録的に…

マスネの数あるオペラのなかでも瞑想曲でとりわけ有名な本作、実は個人的にはいまひとつピンと来ていなかったので、今回改めて。バリトンとソプラノの重唱がかなりの部分を占めるので、そこを味わえるようになることが大事なのかなと思った。バレエはいずれも悪い曲ではないけど、ちょっと長いし多いかな。

エチェヴリーはいつもながら仏もののしっとりとしたよさを遺憾なく発揮する優雅な音楽作り。

タイスを演じるドーリア、やや高音の音程が安定を欠く場面もありつつも、この役の多面性をよく描いているように思う。娼婦のときの或意味での品の悪さと、改心してからの宗教的な静謐さの両面感じられる。
もう一人の主役アタナエルのマッサールもまたそうで、1幕の苦々しげな歌い口とその反面どこかに憧れというか生臭さも滲み出ていて趣ぶかい。感情の激するところなんかも、仏的ながらも荒々しさもありお見事。
残りは小さい役なのだが、ニシアスのセネシャルがやはりいい。リリックなときの彼らしいのびやかな声が程よくノー天気。パレモンのセルコヤンも威厳ある歌。