大分時間が経ってしまいましたが、

フランコ・ファジョーリ  初来日公演について。

 

私は

11/18 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール

11/22 東京オペラシティ コンサートホール

11/25 水戸芸術館 コンサートホールATM

に行ってきました。

 

 

〜プログラム〜

 

ヴィヴァルディ: シンフォニア ト長調 RV 146
A. VIVALDI : Sinfonia in G major for strings and basso continuo, RV 146 

ヘンデル: 「あなたはどこにいるのか、愛しい人よ?」ベルタリドのアリア-歌劇「ロデリンダ、ロンバルドの王妃」より

G. F. HANDEL:  ‘Dove sei, amato bene?’ from the opera Rodelinda,Regina de'LongobardiHWV19     

ヘンデル: 「激しい嵐に揺さぶられても」オレステのアリア- 歌劇「オレステ」より G. F. HANDEL: ‘Agitato da fiere tempeste’ from the opera OresteHWV A11     
ヴィヴァルディ: シンフォニア ト短調 RV 156
A.VIVALDI : Sinfonia in g minor for strings and basso continuo, RV 156
ヘンデル: 「愛しい妻よ、愛しい人よ」リナルドのアリア- 歌劇「リナルド」より
G. F. HANDEL: ‘Cara sposa’  from the opera RinaldoHWV7                                              
ヘンデル: 「風よ、暴風よ、貸したまえ」リナルドのアリア - 歌劇「リナルド」より  G. F. HANDEL: ‘Venti, turbini, prestate’ from the opera RinaldoHWV7

 

【休憩】

 

ヘンデル:  「もしも私のため息が」ティリントのアリア - 歌劇「イメネーオ」より G. F. HANDEL: ‘Se potessero i sospir miei’ from the opera Imeneo, HWV41       
ヘンデル: 「私は胸にきらめくのを感じる」ミルティッロのアリア- 歌劇「忠実な羊飼い」より

G. F. HANDEL:‘Sento brillar nel sen’ from the opera Il Pastor FidoHWV8         

ヴィヴァルディ: シンフォニア ハ長調 RV 717-歌劇「ジュスティーノ」より  
A. VIVALDI :  Sinfonia in C major from the opera  Il Giustino, RV717                              

ヘンデル: 「嘲るがいい、不実な女よ、情人に身を委ねて」アリオダンテのアリア- 歌劇「アリオダンテ」より  
G. F. HANDEL :  ‘Scherza infida, in grembo al drudo’  from the opera  AriodanteHWV33
 ジェミニアーニ: コンチェルト・グロッソ  ニ短調(コレッリのヴァイオリン・ソナタ「ラ・フォリア」Op5-12による)
F. GEMINIANI : Concerto grosso in D minor  “La follia” (after A. Corelli Op. V n.12) 

ヘンデル: 「恐ろしい地獄の残酷な復讐の女神が」セルセのアリア - 歌劇「セルセ」より

G. F. HANDEL: ‘Crude furie degl'orridi abissi’ from the opera  Serse, HWV40   

 

初日11/18のコンサートは当初発表された曲順でしたが、11/20の福岡公演よりプログラムの曲順が上記のように一部変更となりました。

 

やっと実現した来日公演!

でも大きなホールばかりだし、お客さんはどのくらい入るのだろうか。。と心配でしたが、初日の11/18兵庫芸文の2141席がほぼ埋まっているという状況!

(その後の11/20のアクロス福岡は残席が目立っていた模様、11/22のオペラシティや11/25の水戸芸術館も少し残席がありました)

 

11/18、登場した時には初めての地での公演で少しナーバスになっている?という表情にも見え、またファジョーリ が日本に居て目の前にいることが信じられない。。という気分でもありました。私自身は日本での公演、皆さんの評価はどうだろうか?とかホールも大きいし声量とかも大丈夫だろうか?という気持ちもあり、歌に集中できないかも?という不安もありましたが、始まってみたら彼の歌の世界にしっかり入っていきました。

 

今回3箇所で聴いてみて、同じ歌手とオケでも全く音の聴こえ方が違うという事もよくわかり、こちらも興味深かったです。

兵庫と東京は前の方に座っており、偶然にもだいたい同じような位置だったのですが、兵庫は直接音と反響音が別々に聴こえるような感じ、東京はステージ上で良く音が響くようでそれがこちらにも聴こえてくる。。そんな印象を受けました。ダ・カーポでの装飾、特にカデンツァ部ではホールの音響によって変えている印象で、東京では声の響きを聴かせるような部分もあったかと感じました。

 

また、曲目がアリア名だけだったので、いわゆるリサイタル的なものをイメージしていましたが、何曲かレチタティーヴォも聴かせてくれてまるでオペラのよう。以前ファジョーリ を聴いたのは2011年のカールスルーエでの「アリオダンテ」と、2016年パリでの「エリオガバロ」で、その時や他のオペラ映像から「オペラの人」という印象を持っていて、コンサートってどんな感じなんだろうか?と思っていましたが、しっかりオペラしていてある意味で歌手が全員揃うかどうか分からない「オペラ」よりも彼のコンサートの方が満足感高いかも?と思いつつ、やはりオペラも見たい!という気持ちもまたフツフツと。。

 

しかし、今回前の方で聴いた事も関係するのかどうか分かりませんが、本当に全てのコンサートが神がかっていて、素晴らしかったです。今回の日本公演のプログラムはファジョーリ にとっては慣れ親しんだアリアでオケとさらっと合わせるだけで何の問題もなく歌える類の物だと思うのですが、イタリアでリハーサルをし、来日後も完璧な体調等コントロールをして(「チェンバロ漫遊日記」より2018年11/17〜26の記事)挑んでいると知り、頭の下がる思いです。

 

それからプログラム後半ではもう指揮をせんばかりのファジョーリ でしたが、あれだけのコントロールされた歌を歌いながら、きちんとオケの楽譜も頭に入って正確に指示を出しててもう意味不明wでした。

 

アンコールは

「アリオダンテ」のDopo notteと

「リナルド」Lascia ch'io pianga (客席にも歌わせる)を全会場で。

東京ではリュドミラさんの要望に応えて

ヴィンチ「アルタセルセ」Vo solcando un mar crudeleをア・カペラ追加!

この経緯に関してはリュドミラさんのブログをご覧ください!

水戸では「セルセ」Ombra mai fùを歌ってくれました。

 

あ、そうそう水戸は客層が若かったですね。

プログラムの最後Crude furieで足をタタタン!ってフラメンコみたいにやるのですが、その瞬間「きゃあ!!」って黄色い声が良いタイミングで客席からかかって、これも最高でした♡

 

兎に角、コンサート自体私にとっては神懸かり的でしたし、日本でのお客さん集中力が凄いし、反応も上々(欧州での反応と違って、彼はバルトリじゃない、弱音がすごい、ヴィブラート云々言う人もいない(そもそも気になるようなヴィブラートは私は無いと思ってる))そしてアンコールでのLascia ch'io pianga 合唱、むっちゃ声出てるお客さんたち!サイン会は長蛇の列!で全公演素晴らしかったです。また日本に来てくれたらいいなと思います。

 

 

招んでくださった招聘事務所の方々にも感謝です!

Twitterでの反応を登校日順にまとめました。よろしかったらご覧ください♪

https://togetter.com/li/1289811

 

 

フランスの音楽誌「カダンス」2018年9/10月号に掲載されたフランコ・ファジョーリのインタビュー谷川かおるさんが訳してくださいました!

 

ありがとうございます!!ドキドキ

 

以下に転載させて戴きます!

なお誌面全体はこちらPDFで見ることもできます。

 

 

 

フランコ・ファジョーリ 

驚天動地の声 

 

フランコ・ファジョーリは、「オペラ界の殿堂」入りを果たしうるほどの実力を備えた稀有なカウンターテナーの一人である。もっとも得意とする作曲家はやはりヘンデル。今シーズンのプログラムが語るとおりだ。しかしいっぽう、その比類のない歌唱力によって驚くほど多様なレパートリーもこなしてきている。 

 

実を言うならば、フランコ・ファジョーリの名は、2003年に彼が非常に権威あるコンクール「新しい声」で優勝した(カウンターテナーで初の優勝者だ)ときから、音楽通の間では囁かれはじめていた。それに、その翌々年2005年には、24歳にして、チューリッヒで「ジュリオ・チェーザレ」のタイトルロールを堂々とこなしている。相手役のクレオパトラはチェチリア・バルトリ。指揮はマルク・ミンコフスキ。とは言え、その驚愕の声が広く一般に知られるようになったのは、彼が2012年、レオナルド・ヴィンチのオペラ「アルタセルセ」においてアルバーチェ役で登場した時からと言っても良いだろう。カウンターテナー界では類を見ない、コントラルトからソプラノに至る音域を悠々とカバーする驚きの声だ。歴史的な出来事、と形容しても良いほどの舞台であった。以来、彼は世界中のオペラ会場で、17世紀イタリア・オペラであれ、モーツアルト、さらにはロッシーニのであれ、その無比な歌声を響かせてきている。

 

しかし、やはり何と言っても、彼がことのほか愛しているレパートリーは、バロック期の傑作である。たとえばメゾ・ソプラノのカレスティーニ(アリオダンテや、アルチーナのルッジェーロ)、カファレッリ(セルセ)や、アルトのセネジーノ(ジュリオ・チェーザレや、ロデリンダのベルタリド)などなど、ヘンデルの偉大なるカストラートたちによって築き上げられた役柄を演じる歌い手としては当然だ。実際、今シーズンはほとんどすべてヘンデルに捧げられているように見える。考えた末の選択だろうか、はたまた単なる偶然なのだろうか。どうやら前者であるらしい。ファジョーリは語る「もちろんです。企画の人たちの希望もありますが、最終的に引き受けるかどうか決めるのは私ですから。ヘンデルに捧げるソロアルバムをDGGから出して以来ずっと、ヘンデルと共にありたい、その音楽を追求し続けたい、と願っていました。ですから、先シーズンは、コンサート形式でポモドーロと「セルセ」」を始め(今シーズン初めに再演)、2019年6月(訳注1)にはカールスルーエで今度はそれを舞台形式でやることになります。それにこの9月には、ハンブルグで「アルチーナ」のルッジェーロ役に初めて挑みます。ヘンデルは、とても、とても長い間、私の人生の大事な一部となるだろう、そんなふうに確信しているんです」

 

ベルカントへのノスタルジー 

 

パリを中心としたコンサートはすべて、慣れ親しんだオケを相方として開かれる。「長く続くコラボが好きですし、ポモドーロへの信頼は、これから長い間ヘンデル音楽を探求する備えにもなってくれます。このグループがすごく好きなんです。私たちは、とってもたくさんのことを共にしてきました。たとえば、2013年の、カファレッリに捧げたアルバム(レーベルはナイーヴ)。これは、実際の意味で、広くメディアに乗った私の最初のアルバムと言えます。」ファジョーリはまた、舞台で取り組む音楽に関して、いわば現実を見据えた視点も見せてくれる。「ヘンデルは、カウンターテナーが歌うことを聴衆が前もって期待している音楽に属しています。自分はモーツアルトやロッシーニも歌いましたけれど、そうしたレパートリーでは、誰もがカウンターテナーを聴くのに慣れているわけではありません。もちろん、面白いと思ってもらえることはよくあります。でも、こうした作曲家たちの作品では、新しい歌の形を迎え入れる準備が整っているわけではないのでしょう」

 

歴史的に見るなら、初期のロッシーニのオペラ・セリアにもカウンターテナーが登場して然るべきである。ちょうど、カストラート芸術が最後の輝きを放った時代なのだ。思い起こしてみよう。’’ペーザロの白鳥’’ことロッシーニは、1813年に「パルミラのアウレリアーノ」のタイトルロールを伝説のカストラート、ヴェルッティのために作曲したことを。そして、ナポレオンが去勢手術を違法行為として禁じたため、自分が崇めていたカストラートの歌の魔力をほとんど諦めてしまったことを。(とは言え、ナポレオン自身もじつは別の天才カストラート、クレシェンティーニの熱烈なファンであったのだが)。「ベルカントの唱法は、とっても古くから続くひとつの伝統をわかりやすい形で私たちに見せてくれます。ロッシーニは、すごくノスタルジックなやり方でそれを自分の音楽に使いました。ロシーニやドニゼッティ、ベッリーニはイタリア・バロック歌の継承者である、彼らは、カストラートに代表される黄金時代を彷彿とさせるコロラトゥーラや装飾音を通じ、イタリアバロックの歌を幾分か蘇らせようとしたのだ、と言われることがよくありますけれど、そう言われるにはちゃんとした訳があるんです。19世紀になっても、かなり長い間、皆が愛好したのはやはりオペラ・セリアでした。聴衆の好みもオペラ興行主たちの好みも変わりません。ただいっぽう、カストラートは起用できなくなったんです。去勢手術は完全に違法になっていましたから。ですから作曲家たちは、カストラートの芸術に沿った歌を作り、しかしそれを女性歌手の声に委ねたわけです」

 

補足となるものの豊かさについて 

 

マイケル・マニアチ(素敵な歌声ではあるが、幅広い真の支持を得るには特殊すぎた)、あるいは、もっと最近ではエマニュエル・チェンチッチといった先達はいるものの、フランコ・ファジョーリこそが、19世紀初頭のイタリア・ロマン派オペラに小さな革命を引き起こすだけの力を備えた最初のカウンターテナーであることに異論はないだろう。2016年にDGGから出されたロッシーニのためのアルバムや、ナンシーオペラ劇場での「タンクレーディ」におけるアルサーチェ役は(訳注2)、それを遺憾なく示している。

 

余計な言葉遊びを弄しないで言うなら、このカウンターテナーの「スター」は、その声域の王者としての地歩を固め、メンタリティーの真の変革を願い、そしてそれを呼び寄せている。たしかに、声の比類ない力量のために、彼にとってはあまり意味のない比較をされることもある。「たいがいの場合、私はカウンターテナーのレパートリーで、「ロデリンダ」のベルタリドや「ジュリオ・チェーザレ」など、けっこう低い音程の代表的な役柄を歌っています。でも、「アリオダンテ」や「時と悟りの勝利」の快楽役のように、ふつうは女性歌手の声が期待されるような歌も歌います。歌手になってから一貫してそうでしたし、それが自分に合っているとも感じている。私は女性ではありませんから、声の響き方も違いますし、女性歌手の場合とは別のヴァージョンになっているんです。この曲は女性がいいとか男性がいいとか誰が良いとか、そういうのは大した問題ではありません。ただ単に、いろいろなヴァージョンがあり得るということでしょう。自分にとっては、ヴァージョンの持つ豊かさこそが大事な問題なのです」
 

訳注1 6月ではなく、2019年2月の誤りと思われる 

訳注2 「タンクレーディ」ではなく「セミラーミデ」と思われる

 

 

♪♪

 

 

ミラノ・スカラ座 ヘンデル「タメルラーノ」

フランコ・ファジョーリは現在ミラノ・スカラ座  ヘンデル「タメルラーノ」に出演中です。

役はプリモ・ウオーモのアンドローニコ。

 

こちらで初日(9/12)の放送を聴くことができます。

http://www.dr.dk/radio/p2/p2-operaaften/p2-operaaften-2017-09-16

 

また、ファジョーリは写っておりませんが、こちら10分30秒過ぎあたりから

ニュース映像をご覧いただけます。

http://www.rsi.ch/la1/programmi/cultura/turne/Monuments-Men-9526315.html

 

そして、初日のフィナンシャルタイムズ紙の評をまたBonnJourが訳してくださいました!

いつもどうもありがとうございます。

 

以下にそちらを転載させて貰います。

 

9/12にミラノ・スカラ座で初日を迎えたヘンデル「タメルラーノ」のオペラ評(フィナンシャル・タイムズ)、高評価です。以下要約します。 

Tamerlano, La Scala, Milan — utterly arresting

https://www.ft.com/content/51fd2268-9868-11e7-8c5c-c8d8fa6961bb

 

【要約】 「スカラ座のタメルラーノ-徹底的に印象的」 イタリアでは古楽リバイバルへの動きが遅かったが、今や進行中の兆しが見えてきた。スカラ座が初めて舞台にのせたヘンデルの「タメルラーノ」は今までのところ、今シーズンで最も優れた演し物のひとつ。 

シネマ的な今回のプロダクションはエイゼンシュテインの「10月」の重苦しい雰囲気を引用しており、ヘンデルの緩やかに燃焼する緊張感が不思議な力を発揮している。

フランコ・ファジョーリの豊かで技巧的なカウンターテナー声は、悩めるアンドロニコに理想的。同じくカウンターテナーのベジュン・メータはタメルラーノの温厚だが脅迫的な人物像を鋭い音色で表現。

狡猾なイレーネ役のマリアンヌ・クレバッサは恐ろしいほど断固としている。アステリアのマリア・グラツィア・スキアーヴォは滑らかでむらのない声。76歳のプラシド・ドミンゴは2014年以来のテノール役。レチタティーヴォの長いパッセージでは不安定さをみせたが、堂々たる死のシーンで挽回した。

このように考え抜かれたキャスティングはスカラが古楽オペラに真剣であることの現れであり、指揮のディエゴ・ファソリスという貴重な人材を得た。ピリオド楽器を演奏したスカラ座オーケストラのレギュラー団員とファソリスの手兵の音楽家たちの混成チームは鮮明で活力に満ちた演奏で、徹底的に印象的。

観客は、この意欲的な作品の初日に共感を寄せていた。唯一の心残りは、来シーズンにバロック作品が一つもないことだ。 ***END***

 

 

 

 

「グッド・フライト、グッド・ナイト パイロットが誘う最高の空旅」マーク・ファンホーナッカー著

 

 

 

久しぶりに本について。。

 

空の旅をなんて素敵に描くのだろう。。と読み進めていましたが

航路の事、高度の事、天気・風・気圧等々

当然ではあるのですが地上とは全く感覚が違うという事に

改めて気づかされました。

 

高度を測るのがとても難しいという事も知りませんでしたし、

(そもそも基準点が曖昧でもある、但し高高度になると障害物は他の飛行機のみになるので

それぞれの相対的高さ関係さえ分かれば良いので基準点を揃えるようです。)

その他計測されるものに結構誤差があったりもするようです。

 

管制官とのやりとりも離着陸時だけだと思っていたのですが、

そうではないようで、とにかく私にとっては知らない事が多く

大変楽しく読みました。

 

今度飛行機に乗るときは、もう少し色々と注意してみたい気持ちになりました。

 

又、訳者の岡本由香子さんが元航空自衛隊の方という事で、

訳者あとがきでの旅客機とは違う空の旅も面白く読みました。

古楽アンサンブル コントラポント 第23回定期公演

 

モンテヴェルディ生誕450年記念演奏会1

〜ルネサンス対位法の集大成のミサ曲と

 初期イタリア・バロックの器楽作品

 

2017年3月17日 カトリック東京カテドラル関口教会聖マリア大聖堂

 

演奏プログラム

ミサ《イン・イロ・テンポレ》Missa In illo tempore

 

演奏:古楽アンサンブル コントラポント(器楽アンサンブル)

特別出演:ヴォーカル・アンサンブル カペラ

 

 

残響7秒と言われている東京カテドラル大聖堂での演奏会を聴いてきました。

今回のミサ曲は、モンテヴェルディの「聖母マリアの夕べの祈り」と一緒にまとめて出版されたとの事ですが、今回プログラムのミサ曲は古い様式の物。

 

また、このミサ曲だけでなく当時の典礼に則り、器楽のみの作品も挟み込んだプログラムとのことでした。

 

 

 

まず、モンテヴェルディの古い様式で書かれたミサ曲。

ポリフォニーの美しい事!そしてホールの響きを活かした歌も!

そして一口に美しいと言っても受け手の私の印象はその時々で様々で

歌が体の中にドーンと入ってくる感じや

私の周りに声があってフワフワと体が浮かび上がりそうになる感じ、

又マッサージを受けてるかのように、首や肩の力が抜けフワーッとなったり

最後のアニュス・デイでは自然と涙が湧き上がる。。という感じでした。

 

そして、

残響の多い会場での合唱というのはまだなんとなく想像が付く部分があったのですが、器楽演奏、特にヴァイオリンの弾き方・鳴らし方がこの音響にあっているような気がしたのは発見でした。 

イメージとしてはエンリコ・オノフリなどが、このような弾き方をしているイメージがあったのですが、力の抜けた音で(勿論悪い意味ではなく)短い音の中にも音の強弱がしっかりとあるような音の鳴らし方はこのような残響の長い会場にはとてもあっているような気がしました。

 

よく古楽奏法でノンヴィブラートという言葉を目にしますが、

今回のコンサートを通じて、ノンヴィブラートで歌ったり、鳴らしたりというのも

多数の奏法のうちの一つなのではないかと思いました。

ノンヴィブラートと言っても、兎に角真っ直ぐな物もあれば、

短くても音のニュアンスを沢山含んだノンヴィブラートもあるし。。

 

演奏の良さもさる事ながらやはり会場の音響なども当然音楽に影響を与えるという事を改めて感じながら、展覧会で見る絵ではなく、その場にある壁画を見るというのに近い経験が出来たかなとも思います。

 

次回は5/24に同会場でモンテヴェルディの「聖母マリアの夕べの祈り」だそうです。