黒く染まる自由なわたし

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とうとう、30歳になった。
学生の頃は自分が三十路になるなんて、想像したこともなかったけど。
なーんにもなかった20代。
ただ周りに惑わされまいと、一生懸命壁を高く厚く塗り上げた。
そして30になった今、自分に何が残ったかと言えば、どこまでも高く分厚い壁と、私だけが入れる小さい空間。
ここは狭くて、息が詰まる。
これを作ったのは私だから、きっと壊せるのも私だけ。
分かってはいるけど、壊せなかった。
壊せないまま、30になった。
壊したら、きっと私には新しい未来が待っていて、明るい明日がやってきて、違う自分になれるって分かっているけど。
怖かった。
壊した後、私に残るのは何かって考えたとき、本当に何もないって思ったから。
ここは狭すぎて、自分の入るスペース以外はなかったから。
丸裸の私を人前にさらすなんて、怖くて仕方ないじゃない。
ひとりでも、ひとりぽっちでも、私はこのままの方が幸せかもしれないって、どこかで思ってる。
全部分かってる。
このままじゃ、本当にひとりぽっちになっちゃうって。

そろそろ、本気で壊してみようか。
染まってもいいじゃないか。
本当に?
うん、本当に。
それは私が選ぶ自由だから。
今度はもっと大きくて、カラフルな壁を建てよう。
今みたいに、狭くて一色じゃなく。
もしかしたらそれを、受け入れてくれる人もいるかもしれない。
その中に建てる、真っ黒な塔も、全部全部。

私は30歳になった。
きっと私には、ステキな10年間が待っている。




お題提供元:人魚(星を水葬)
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