不思議な音の世界

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8月もすでに半分を過ぎましたが、みなさまお変わりありませんか?

今年の夏は全国各地で異常な事態が起こり、体調の不調を感じられておられる方も多いと感じます。

今日ご紹介するのは、音の世界を香りの世界で表現する作品です。

ある出来事がきっかけでピアノの音を聴くと「香り」を感じるという「共感覚」を獲得した調律師、鳴瀬の喪失と再生を描く連作短編。仙台在住の直木賞作家が、3.11の後に初めて描く現代小説。

愛する人をなくすことは普通の人でもとても喪失感の大きい出来事で、生活にもかなり影を落とします。

この主人公は絶対音感をもつピアニスト出会ったが故に、愛する調律師の妻亡き後、ピアノの音に香りを感じ始め、ピアニストを辞めて、亡き妻の父が経営する調律師に事務所にて調律師を始めます。

物語は調律に行き、出会ったピアノの醸し出す香りから、そのピアノの弾き手である持ち主の苦悩に寄り添うことになるという短編集です。

自分自身がピアニストであった経験も含め、やがて経験する3,11 東日本大震災で自身のこれからを見つけ出していく物語でもありました。

仙台在住の著者が、この作品をまとめ上げるのに際し、3,11は避けて通ることはできなかったのは至極自然のことだと思います。

宮下奈都氏の本屋大賞以後、調律師という職業に光が当たっていると思いますが、ストレートに調律師を取り上げたこの作品を先に読んでおきたかったという気持ちが残った作品でした。
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