神戸加納町「BAR志賀」と昼の顔(中毒性日記Blog版)

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火曜日。今年は相当枝豆の出来がよくて、仲良くしている塩屋の住民におすそ分け。そのまま自宅で仕事をするよりどうせならと、いつもより早くマチに出る。南京町を抜け、葉巻を仕入れに杉本酒店を覗き、少し社長と話す。

 

「平尾さん、モンテクリストNo.2を買いに来てくれてました」E・ヘミングウェイが好んだ葉巻だと教えてくれたのは平尾さんだったが、こんな場所であの人の足跡をなぞることになった。神戸のマチの其処此処に、あの人の記憶が染みついている。

 

少し雨が降り出した。スターバックスでPCを開いて仕事を始める。近頃はMacのディスプレイを開けることが少し恥ずかしくもある。それはまるで、偶然通ったポケモンスポットでスマホを見てしまった時の後悔にも似て、最近のMacユーザーへの移行動機「カフェでMac触ってるって、ナンかカッコイイじゃないですか」という風潮に、僕は30年ほど前からやってるぞ(無論ラップトップが出てからだけど)SNSか音楽しか聞かないお前らと一緒にすんなと、マイノリティを気取りたくなる。

 

思えば昔から、いつも対極に居心地を求めていた。願望じゃない。大多数を見るたびに疑いを持ち、皆がいいと思うモノに不安を感じ、無理だとか難しいとかいう言葉は僕の中のWikipediaにないと思ってた。それは「あの人」の影響も多大にある。

 

今もそれは同じで、例えば知り合った早々に「みんな私のことミキティって呼んでるんで」と言われたとしても、相当その人のことを知らない限りはあだ名など呼ぶこともなく、むしろオリジナルでミキプルーン、少しひねってみき竹城などと呼び名をつける方が楽である。それも他の人がまず言わないモノがスペシャルだと思うが、周りにはどうでもいい話だ。

 

そんな性格のせいか、原型を留めた名字の方がシンプルだと思っているし、差し向かいで深く話したことがない人から「志賀チャン」などと言われるのは苦手で、そういうことの裏返しからか、レディシガガと言ったりシガスカオと自らすることで(あとダジャレー男爵)適当で誰にでも使いやすいあだ名で言われないよう壁を作るのかも知れない。

実際のところ、SNSのコメントなどで「志賀チャン、また行くねぇ〜」と入れる人の中には、その人となりをよく解っていない人もあり、不思議なコミュニケーションのその人に、分かる人には分かる、つまりは「この人って誰にもこういうアプローチで仲良しを気取るよね」と、大半にバレてることに気付かない人に多い傾向を垣間見ることがある。これも時代の利器に浮き彫りに現れるキャラクターなのだろう。

 

ただし、「志賀チャン」が心地いい人はもちろんいて、その一人が昨夜前触れもなく突然やって来たのには驚いた。その人は、生田神社の近くのとても判りにくいビルの地下、それも奥にひっそりと、来年で30周年を迎えるMY BARの片山さんだった。

 

平尾さんの神戸の足跡、その最も濃いソクセキが残っている場所と言っていい。27、8年前、MY BARに連れて行ってくれたのは平尾さんだった。その後、最後に辿り着く場所、待ち合わせと言えば片山さんのところになった。震災を機に店を始めるまでそこに通い、自分のやってたラグビーでは雲の上の人「平尾(有名人は呼び捨てにされるもの)」から、平尾さんと素直に呼べる関係性がつくられた店、人だった。

 

同業だから互いの店に行くことはほとんどないが、店を早めに閉めて一人来てくれた。「今日来たのはなぁ志賀チャン、自分の意思で半分、あと半分は『誠チャン』に押されたんやと思うわ」『誠チャン』とは、片山さんが呼ぶ平尾誠二さんのことだ。この突然の訪問はたいそう嬉しくて、先に偶然いた、片山さんを知る濃い仲間のしょう太くんやかれんチャンともいろいろ話したあと、僕たち二人の写真を撮る気遣いを見せ、片山さんを一人残し彼らは帰ったのだった。

 

「志賀チャン、隣に座りぃな」誰もいないカウンターで男同士、並び酌み交わす。「全部言わんでも、僕らは『誠チャン』のこと見てきたやん。ナンか、志賀チャンと一緒に飲みたなってなぁ」片山さんは目から汗が出ると言って何度もハンカチで拭うが、僕が涙を見せそうになったら片山さんはすぐトイレに席を立つ。今夜は僕じゃなく、片山さんが心から泣ける日なんだなと思った。その場所に選んでくれた幸せに泣いた。

 

僕が知るだけでも、平尾さんのことを『誠チャン』と言う人がいるけれど、本人との関係性がどこまで親密なのかはさっぱり判らない。薄っぺらい出会いや、本人を目の前にして、そう言える人が何人いるのかも知らない。

 

ただこれだけは言える。『誠チャン』と呼ばれて、あの眩しいくらいの高笑いで応えていた平尾さんの姿は、片山さんの前でしか見たことがない。そしてそれは、もう見ることのない僕の永遠の記憶に刻まれたものだ。

 

「志賀チャン、遅うまで店開けさしてごめんなぁ これからも、よろしくなぁ ボチボチやろうなぁ」そう言って握手されると、僕がボロボロ出る「汗」を拭う前に、片山さんは出て行った。

 

………

 

「志賀、お前もめちゃくちゃたくさんの人に会うはずや そら、全部覚えられるわけがない でもな、その中でナンでか分からんけど、やたらちゃんと覚えてる人がおるねん それはお前にとって必要な人なんやで」

 

平尾さんの言葉を思い出していた。

 

片山さんには及ばないけど、僕もあの人を忘れない。

 

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