「この世界の片隅に」を家族で観てきました。
予約してあったのでいい席でした。
なんとも優しい画面に乗せて、「悲しくてやりきれない」がコトリンゴさんの声で流れてきます。この日初めてコトリンゴさんを知りましたが、2010年にカバーだそうです。優しい、いい声です。これまでフォーククルセダーズや吉田拓郎、松本伊代の声で聴いてきましたので、新鮮でもあります。ああ、おおたか静流さんや奥田民生さんも歌ってましたね。
白状しますと、オープニングからもう、ちょっとぐっと来てました。
3人で泣きました。
すずと周作に自分たちの姿を重ね合わせ、それぞれがそれぞれの居場所となっていくという思いをわがものに感じていたのは、二人の身長差がちょうど私たちと同じだったのと関係ないかもしれませんしあるかもしれません。
そして、後半、身体的にも悲劇が襲い。
子供の魂のままいろいろなものを失って、大人にもなり切れず自分の居場所を見つけられない主人公に自分を投影して、やっぱり泣いたものです。
館内は、すすり泣きが本当にあちこちから聞こえ、明るくなってから振り返ると、男の人も結構涙を拭いていました。
エンドロールの間、観客は誰一人席を動こうとしませんでした。
(原作にない、それからの物語が映し出されていたせいでもあるでしょうが)
そのことにも、私たちは深く感動を覚えたのです。
原作漫画を初めて読んだのは4年前。
少し精神的に落ち着いて、つらい物語も読めるようになってきたころ。
こうの史代さんの世界に圧倒されました。
ふわふわした絵柄―とおもったが、どうしてどうして。深い。
見慣れた光景やしぐさや表情が、心にするっと入り込んで、心を揺さぶっていきます。
しかし、我が子がその本を手に取り、感動を表明し、映画公開が発表されたとき「映画館で観たい!」とまでいいだすとは意外でした。
どんなに好きでも、映画館に行きたいなどとは言わないやつであるのに。
日ごろの教育が感性の成長を邪魔せずにいられているのかな、とうれしく思います。
あらためて我が子に「ありがとう」といいました。
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プロフ画像は「彼女」シリーズの悲恋の主人公・美緒さんの高校生時代のポートレートです。
作中では登場時(高校2年)ふくよかと言われてました。
大学で再会するとほっそりとしていたのです。
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