2006-03-27 09:15:20

痛い人々 ~カルロスと私~

テーマ:ブログ

これも前に住んでた町でのこと。

私達は敷地が広く何十棟もあるアパートメントで暮らしていた。



ある日。

ESLからの帰り、アパートの駐車場を自転車をつきながら歩いていると

アパート専用の修理屋さんがゴルフカートに乗って近づいてくるのが見えた。


「ハーイ!ご機嫌いかが?」


彼とはこの程度の挨拶しかしたことがない。

この日もいつも通り、差し障りのない会話で終わろうとしてた時、


「キミはどこから来たんだ?」


と尋ねられた。


「日本ですよ。」





      

「ウッソ!!! 蛍か??」 「いいえ、純です。どちらかと言うと。」



五郎さんそっくりのおったまげた顔で、カートを停めて歩み寄ってきた。

右手を差し出し握手を求められる。全く意味が分からないが、握手してあげる。



「イヤー、キミのことずっとベトナム人だとばかり思ってたよ。

 僕カルロス、キューバから来たんだ」


「そうですか。私、日本人ですよ。」


「僕が若かった頃は、キューバにも日本女性がたくさんいてね、

 皆親切でキレイだったんだ。僕は日本女性と結婚するって決めてたんだよ」



イヤだわ。ナンパね、これ。見たところ50代後半のオジサンだ。



「キミ、日本に女友達いるだろ?

 僕、英語で手紙書くから友達の住所教えてくれない?」



.........唖然とする私。


「友達いますけど、皆英語読めませんよ。それに最近の日本女性は

 アメリカ女性と同じぐらい強くなってます」


「いいから、いいから住所を教えてくれ!」


カルロスの必死さは伝わるが、答えはNO!だ。



「じゃあ、こっちで日本の女友達はいないか?」


「いますけど、皆結婚してます。」


「頼むから日本の友達の住所教えてよ!」


呆れた根性だ。


「そんなことできません!」



しばらく妙な沈黙が続いた。


「そうかぁ、ムリかぁ。キミは結婚してるのか?」


カルロスの表情と話の展開からして、どう考えても

最悪アンタでもいいという投げやりな聞き方だ。



全く、呆れた根性だな、カルロスは。



「結婚してますよ、私」


といって、左手の結婚指輪をジャーンと見せた。


「もし日本女性でいい人がいたら是非紹介してくれ!」


そう言い残して、カートで去っていった。




夕方、夫が帰ってきてからカルロスとのやり取りを一部始終話した。


「私ベトナム人に間違えられたんだけど、どうしてかしら?」


「時々ベトナムのTシャツ着てるからじゃない?」



   

サイゴン、ベトナムと背中に書かれたTシャツ。

親友と二人でベトナム旅行した時に購入したものだ。
部屋着として着てたが、うっかり着たまま外に出たのかもしれない。

それを偶然見られたのかしらね。

顔が日本人に見えないってことではないのね。




それから何度かカルロスを見かけた。

また、挨拶程度の会話しかしなくなった。



カルロスは未だに、日本女性は皆親切でキレイだと信じているのだろうか?

それとも私が日本人であると知り、その幻想がぶっ壊れてしまったのだろうか?

哀れなイカロス、じゃなくてカルロス。



オマエが一番痛いヤツだと言われる前に、お開きお開き。




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