ばるとろまいの薬コラム

大学病院にてDI担当の薬剤師をしております。
新薬についての考察を書かせていただいています。
より良い記事にするために先生方のコメントをお待ちしております。


テーマ:
クラビットは我々医療従事者には非常になじみのある抗生剤である。
風邪を引いた時などに出される事もある。(本当はこんなにスペクトルが大きいものをいきなり出すのはよくない事なのだが)
そのクラビットから静注用の注射薬が出た
現在、クラビットの仲間のニューキノロン系抗菌薬では注射剤はシプロキサン注とパシル注がある。

このニューキノロン系の抗生剤であるが、その中でも特に肺炎などの呼吸器感染症によく効くものをレスピラトリーキノロンと特別に呼称する。基本的には呼吸器感染症原因菌に対して高い抗菌活性を持ち、肺組織への移行性が高いものであるが、くわしくは日本呼吸器学会での「呼吸器感染症に関するガイドライン」にて細かく定義されている。

現在日本にて市販されている中ではジェニナック錠、アベロックス錠、スパラ錠、オゼックス錠、であり、クラビット錠は1日1回500㎎の用法になってからレスピラトリーキノロンの仲間入りをした。このようにレスピラトリーキノロンはいままでは内服しかなかったのだ。

今までのシプロキサン注やパシル注は肺炎起因菌として重要なマイコプラズマやクラミジアについての適応がとれていないため、レスピラトリーキノロンにはなれなかった。

クラビットはマイコプラズマ、クラミジアについては適応があるためレスピラトリーキノロンへと襲名。(1日1回500㎎になってからどこまで適応が増えたのか不明)
レスピラトリーキノロンでは初めての注射薬となる。

クラビットはほとんど未変化体で尿中に排泄されるため女性の膀胱炎を始めとした尿道、腸管感染症に用いる。
ほぼ腎排泄型の薬剤であるのでCcrごとに投与方法が異なる。(添付文章参照)
1日1回投与でいいところもシプロ、パシルと比べてよいところである。(薬価の面でも1日2B使わなくていい)クラビットに限らずニューキノロン系の薬剤はヒスタミン遊離作用があるので、
急速な静注はしてはいけない。60分かけて点滴しなくてはいけない。しかし、それでもニューキノロン系の薬剤は点滴時にかゆみや紅斑が出現するようだ。

抗菌薬の世界は厳しい、スペクトラムが広くなんの菌でもやっつけてしまうものは本来リーサルウェポンとして残しておかなくてはならない。(シューティングゲームのボムみたいなものだ)
しかし、この最終兵器は便利なので、こぞって使われる。その抗生剤の独壇場となるのだ。そうすると他の抗生剤は売れないので廃盤となっていく。しかし、やられている菌もいつも同じ手でやられているわけではない。学習して耐性化するのだ。そんな時独断場で使っていたから薬がない(汗)ってことにもなりかねない。(これは大げさな例であるが)

さながら抗生剤の世界は売れたら一時期は山のようにTVにひっぱりだこで、飽きられたらすぐぽいっといった具合の昨今の芸能界のようである。


AD
いいね!した人  |  コメント(2)

[PR]気になるキーワード