東京都美術館 「ターナー展」

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今日(10月12日 土曜日) 東京都美術館で開催中の「ターナー展」見てきました。

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーはイギリスで最高の風景画家として知られています。
彼は幼い頃から画才を発揮し、優れた水彩画家として活躍、その後油彩も手がけ、若干26歳でロイヤル・アカデミーの正会員となり、以後、風景画に取り組み、イギリス絵画の地位を大いに高めました。
印象派にも大きな影響を与え、明治時代の文豪夏目漱石が愛した画家としても有名です。

彼が幼い頃、画才があることを知った彼の父親が経営する理髪店で彼の絵を店内につり下げてお客さんに売っていたというエピソードがあるそうです。

もっとも、日本ではイギリス絵画については他の西洋絵画よりもあまり知られていないようなので、ターナーの名はあまり知られていないかもしれません。(私の誤解かもしれませんが。)
イギリス絵画はホガース、ゲインズバラ、このターナー、コンスタブル、ロセッティ、ジョン・エヴァレット・ミレイなど優れた画家を輩出していますけどね。

余談ながら、昨年東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催された「英国水彩画の世界」展でターナーの水彩画が多数紹介されており、この展覧会で彼が優れた水彩画家でもあったことを知りました。
実を言うと、彼が当初水彩画家として名を知られたことはそれまで知りませんでした。

今回の展覧会はターナーの遺贈により彼の作品を多く所蔵することになったテート・ブリテンのコレクションを中心に構成されています。
テート・ブリテンは15年ほど前に一度行ったことがあり、当然彼の作品も見ているはずですが、すっかり忘れていました。

会場には午後12時40分頃着きました。まだそれほど混雑していませんでした。もっとも時間が経つに連れて、少しずつですが観客が増えていました。

 


今回の展覧会は
Ⅰ.初期
Ⅱ.「崇高」の追求
Ⅲ.戦時下の牧歌的風景
Ⅳ.イタリア
Ⅴ.英国における新たな平和
Ⅵ.色彩と雰囲気をめぐる実験
Ⅶ.ヨーロッパ大陸への旅行
Ⅷ.ヴェネツィア
Ⅸ.後期の海景画
Ⅹ.晩年の作品
の10章で構成されています。

 

なお画像は入手できなかったので、以下文章のみとさせていただきます。

展覧会の冒頭には、ターナーの自画像に基づく版画が掲げられています。ターナーはかなり美男子だったんですね。
Ⅰは主に水彩画中心の展示です。ここで印象に残ったのは「月光、ミルバンクより眺めた習作」でした。これは油彩画です。習作ですが、かなりの完成度で、月がとても印象的です。すでに晩年の印象派的な作品の趣を見せています。

Ⅱは当時の政治思想家バークの提唱した「崇高」と言う概念に共鳴して描かれた作品を展示。水彩画の「アンデルマット付近の「悪魔の橋」、サン・ゴッダルド峠」が印象に残りました。
そして大画面の油彩画「ディドとアエネアス」も優れた作品です。この作品、有名な「カルタゴを建設するディド」のおそらくは続きの場面なのでしょう。

Ⅲはいわゆるナポレオン戦争の時代に描かれた風景画を展示。ここでは「スピットヘッド ポーツマス港に入る拿捕された二隻のデンマーク船」が良いです。
「イングランド リッチモンド・ヒル、プリンス・リージェント(摂政王太子)の誕生日に」は明らかにクロード・ロランに影響を受けたことがわかる風景画です。

(ところでターナーの作品ですが題名が長いものが多いですね。何か理由があるのでしょうか。)

Ⅳは彼がイタリアに行って描いた作品を展示。彼は40歳を迎えてからイタリアをしばしば訪れています。この当時流行ったグランド・ツアーに倣ったものらしいです。
ここでは「ヴァティカンから望むローマ、ラ・フォルナリーナを伴って回廊装飾のための絵を準備するラファエロ」が優れています。題名のとおりルネサンスの巨匠、ラフェエロを描いています。
「レグルス」はこれまたクロード・ロランに影響を受けた作品。どこかで見たような?、と思って先ほど調べてみたら、ロランの作品「クリュセイスを父親のもとに届けるオデュッセウス」を左右反転させるとかなり似ています。恐らくこの絵を模倣しているのではないでしょうか。

Ⅴはナポレオン戦争後に訪れた平和の中で描かれた作品を展示。
「「トラファルガーの海戦」のための第二スケッチ」はかの有名なネルソン提督の戦ったトラファルガー海戦を描いた作品です。
この他、「座礁した船、ヤーマス、見本用習作」に興味を覚えました。この習作、座礁船というテーマがまずかったようで、本作は描かれなかったそうです。何でこのテーマで習作を描いたのか、そこに興味を覚えます。

Ⅵはターナーが色彩などについて試行錯誤した作品を展示。ここでは水彩画が多いです。
ほとんどが実験作品のため、ここの展示について語るのは難しいです。もっともこのように試行錯誤したからこそ、後年の印象派的な作品が生まれたのですね。

Ⅶはターナーがヨーロッパ各地を旅行して描いた作品を展示。ここでも水彩画が多いです。

Ⅷは彼が愛したヴェネツィアで描かれた作品を展示。ここは「ヴェネツィア、嘆きの橋」が良いです。

Ⅸは海景を描いた作品を展示。ここでは「オラニエ公ヴィレム3世はオランダを発ち、荒海を越えて1688年11月4日にトーベイ上陸」が優れています。名誉革命を題材にした作品ですね。もっともこの作品は実際起こった場面とはかなり異なるらしいのですが、それは印象的な作品を描くためには許されるフィクションでしょう。

Ⅹは晩年の作品。彼が晩年試行錯誤を重ねたらしい抽象的な作品も展示されてます。
「湖に沈む夕陽」がそうです。ここまで来ると、もう風景画とは言えませんね。果たして彼は何を描こうとしたのか、彼はこのような作品について多くを語らなかったためなのか、よく分からないようです。
「平和ー水葬」はターナーの友人を水葬に付した場面を描いています。ターナーは「もっと黒い絵の具だったら良かったのに」とつぶやいたとか。印象派を先取りしたかのような、光と黒のコントラストが印象的な作品です。

以上、合計116点もの作品が展示されています。
作品はかなり多いですが、それほど見るのは苦になりませんでした。恐らく彼の作品がバラエティに富んでいるからでしょう。
鑑賞時間は1時間程度だったと思います。

特設のミュージアムショップで絵葉書を6枚購入。なお、絵葉書は1枚150円で、袋に入れられています。
また、会場でターナーの生前に制作された彼の銅版画を販売しています。

http://www.turner2013-14.jp/index.html

この後、近くの東京藝術大学美術館で開催中の「興福寺仏頭展」に行きました。

その鑑賞日記は後日書きます。




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