詩人・作家の辻井喬さんが、新聞にこんなことを書いていました。彼は西武百貨店の会長でもありました。


「これからの時代は、共同体の再評価されるだろう。
 かと言って、昔の隣組とか村落共同体の復活ではない。
 人間は何らかの共同体を探し求める。最小のものとして家庭の復興、再建がある、
 もう一つはファンクラブ的な集まり 趣味や志向が共同な人たちの集団が
 政党、職場、労働組合などの共同体は魅力と信用をなくしてしまった。
 これらの復活は難しい。」


私も、共同体というのがキーワードになると思っています。
今の日本社会では、共同体が崩壊しつつあります。
かつては、存在した、家庭、地域社会、職場などの共同体が解体され、人々が孤立するようになりました。
このことが、人の精神を荒廃させ、いろいろな社会問題を起こしているのだと思います。
でも、共同体から逃げ出したり、離れようとしたのも私たちです。
かつてのムラ社会に代表される共同体は閉鎖的で、しがらみが多く、個人の自由をあまり認めませんでした。
人々はそういう閉鎖的な共同体を飛び出して都会の新しい共同体、すなわち会社に就職したのだと思います。
会社は、人々の生活を保障し、快適な生活を与え、家庭もこの会社を支える下部組織として統合されました。
社員の家族も、会社という共同体の一員として丸抱えされました。
地域社会は崩壊しましたが、家庭は何とか命脈を保ちました。

しかし、企業という共同体は今、崩壊しつつあります。
それに代わる共同体が求められています。
日本には宗教を核とした共同体はほとんどありません。
したがって地域の共同体を蘇らせるしかないでしょう。