【リライト】バス繋がり
2009-06-08 23:50:20
テーマ:【超-1】2009 リライト
昔、ある山道でバスが崖下に落ち、一人を除いた乗員乗客が全て死亡する事故があった。
地形的な問題があり、今でもそのまま崖下に放置されているのだ、という。
一種の都市伝説に近いものだが、ちょっとした興味を覚えた亮平がこの噂を調べたのは高校一年の時。
場所は亮平の住む地域からそれ程遠くない山らしい。
その年の夏、亮平は原付バイク仲間十人を誘い、ツーリングがてらそのバスを探しに行く事にした。
件の山に着いた一同は道路脇から崖下を覗きながら、車通りのない二車線の道をバイクでゆっくりと上って行った。
夜である上に街灯もない山道はほぼ真っ暗で、崖下に向けられた懐中電灯の明かりも所々に生い茂る木々に遮られて、思った程見通しが利かない。
半ば本気で期待していなかった事もあり、そろそろ切り上げて帰ろうかと思い始めた頃、仲間の一人である明雄が皆を呼び止めた。
明雄が懐中電灯で照らした辺りをよく見てみると、所々塗装が剥がれ錆が浮き出て老朽化しているガードレールの、ある一帯だけが色合いが異なっていて、他と比べても年代がやや新しいようだ。
それはまるで車が突き破った箇所を修復した跡のようにも思える。
では、ここがその場所なのだろうか。
そこの崖は他よりも傾斜が比較的緩やかで、降りようと思えば出来ない事もない。
そう判断したのか、明雄はバイクから降りるとガードレールを乗り越えてそのまま崖を降りていく。
「バス、あったぞー! 」
暫くして響いた明雄の声に、亮平と仲間達は顔を見合わせた。
半信半疑で崖下へと降りてみる。
十メートル程下に平坦になっている部分があり、明雄の懐中電灯の明かりがチラチラしているのが見えた。
そしてその明かりに照らし出されていたのは、随分と長い間放置されていたと思しき、ボロボロに錆び付いた横倒しの大型バスの車体。
噂は本当だったのか。
だとしたら、これに乗っていた人々は殆どが亡くなっている筈だ。
この場所にはそうした人々が、突然命を絶たれた無念さや浮かばれぬ想いに未だ成仏出来ずにいるかも知れない。
そう思うと、亮平は少し背筋が寒くなった。
皆、同じ事を考えたのだろうか。
すぐに誰からともなく言い出した、「帰ろう」という言葉に異を唱える者は誰もいなかった。
そうして再び崖を登ろうとする間際、振り返ると明雄がバスに向かって手を合わせていた。
無事に崖を登り切り、皆それぞれのバイクに乗ると帰路を急ぐ。
暫く山道を走り、左へ曲がる急カーブに差し掛かった頃。
突然、前の方から悲鳴が聞こえたかと思うと、集団の先頭を走っていた仲間が転倒、ガードレールに激突した。
驚く間もなく、後を走っていた仲間も転倒したりお互いで接触したりと、次々に事故に巻き込まれていく。
亮平も慌ててブレーキレバーを引いたが手応えがない。
何度も何度もレバーを引くが、その度にスカスカという軽い反応しか返って来ないのだ。
辛うじて先に転倒した仲間は回避出来たものの、そのまま曲がり切れずにガードレールにバイク側面をぶつけ、車体と右足を擦って走った後に何とか停まった。
「お、おい、大丈夫か? 」
一番後ろを走っていた明雄が転倒した皆の近くにバイクを停める。
どうやら彼だけは無事だったらしい。
その他の者は何故か皆揃って右手足を怪我していたが、あまりスピードを出していなかったためか、それ程重症ではなかった。
どうやら明雄を除く全員のブレーキが効かなくなっているようだ。
改めて背中を冷たい汗が流れる。
早くこの場から逃れたい一身で、それぞれに怪我を庇いながら急いでバイクを押して山道を下り始めた。
苦労しながらどうにか山を降りると、いつの間にかブレーキは正常に戻っていた。
そこからは皆、普通にバイクを運転して帰る事が出来たのである。
地形的な問題があり、今でもそのまま崖下に放置されているのだ、という。
一種の都市伝説に近いものだが、ちょっとした興味を覚えた亮平がこの噂を調べたのは高校一年の時。
場所は亮平の住む地域からそれ程遠くない山らしい。
その年の夏、亮平は原付バイク仲間十人を誘い、ツーリングがてらそのバスを探しに行く事にした。
件の山に着いた一同は道路脇から崖下を覗きながら、車通りのない二車線の道をバイクでゆっくりと上って行った。
夜である上に街灯もない山道はほぼ真っ暗で、崖下に向けられた懐中電灯の明かりも所々に生い茂る木々に遮られて、思った程見通しが利かない。
半ば本気で期待していなかった事もあり、そろそろ切り上げて帰ろうかと思い始めた頃、仲間の一人である明雄が皆を呼び止めた。
明雄が懐中電灯で照らした辺りをよく見てみると、所々塗装が剥がれ錆が浮き出て老朽化しているガードレールの、ある一帯だけが色合いが異なっていて、他と比べても年代がやや新しいようだ。
それはまるで車が突き破った箇所を修復した跡のようにも思える。
では、ここがその場所なのだろうか。
そこの崖は他よりも傾斜が比較的緩やかで、降りようと思えば出来ない事もない。
そう判断したのか、明雄はバイクから降りるとガードレールを乗り越えてそのまま崖を降りていく。
「バス、あったぞー! 」
暫くして響いた明雄の声に、亮平と仲間達は顔を見合わせた。
半信半疑で崖下へと降りてみる。
十メートル程下に平坦になっている部分があり、明雄の懐中電灯の明かりがチラチラしているのが見えた。
そしてその明かりに照らし出されていたのは、随分と長い間放置されていたと思しき、ボロボロに錆び付いた横倒しの大型バスの車体。
噂は本当だったのか。
だとしたら、これに乗っていた人々は殆どが亡くなっている筈だ。
この場所にはそうした人々が、突然命を絶たれた無念さや浮かばれぬ想いに未だ成仏出来ずにいるかも知れない。
そう思うと、亮平は少し背筋が寒くなった。
皆、同じ事を考えたのだろうか。
すぐに誰からともなく言い出した、「帰ろう」という言葉に異を唱える者は誰もいなかった。
そうして再び崖を登ろうとする間際、振り返ると明雄がバスに向かって手を合わせていた。
無事に崖を登り切り、皆それぞれのバイクに乗ると帰路を急ぐ。
暫く山道を走り、左へ曲がる急カーブに差し掛かった頃。
突然、前の方から悲鳴が聞こえたかと思うと、集団の先頭を走っていた仲間が転倒、ガードレールに激突した。
驚く間もなく、後を走っていた仲間も転倒したりお互いで接触したりと、次々に事故に巻き込まれていく。
亮平も慌ててブレーキレバーを引いたが手応えがない。
何度も何度もレバーを引くが、その度にスカスカという軽い反応しか返って来ないのだ。
辛うじて先に転倒した仲間は回避出来たものの、そのまま曲がり切れずにガードレールにバイク側面をぶつけ、車体と右足を擦って走った後に何とか停まった。
「お、おい、大丈夫か? 」
一番後ろを走っていた明雄が転倒した皆の近くにバイクを停める。
どうやら彼だけは無事だったらしい。
その他の者は何故か皆揃って右手足を怪我していたが、あまりスピードを出していなかったためか、それ程重症ではなかった。
どうやら明雄を除く全員のブレーキが効かなくなっているようだ。
改めて背中を冷たい汗が流れる。
早くこの場から逃れたい一身で、それぞれに怪我を庇いながら急いでバイクを押して山道を下り始めた。
苦労しながらどうにか山を降りると、いつの間にかブレーキは正常に戻っていた。
そこからは皆、普通にバイクを運転して帰る事が出来たのである。






