すぅ.....
ガラス製の自動扉が両脇に開く。
あごを引き、胸を張り、道の真ん中を歩く。
目に見えない、いろいろなものものを掻き分けて進む。
その向こうに受付。
二人の女性、一人は男。
みんなマスクをしている。
チャンスだ。
二者択一。
どっちだ....
一歩半。
「こちらへどうぞー!」
「はい.....。」
男性に呼ばれたのだった。
この二日間、いろいろなものに追われながらもどこか気になっている。
写真を見れば見るほど悪いことを考える。
そんな生殺しの二日間。
それももう終わりだ。
とりあえず結果はでる。
胃カメラ。
その悪名は千里を超えて人々の耳に伝わっている。
最近はどんどん細くなっていて負担も少ないとは言うが、私の知ったことではなかった。
鼻からいれるのもあるという。
いいだろう。
逃げ場はないのだ。
なんでも入れたらいい。
もうこれ以上する覚悟は残っていなかった。
「それでは麻酔を塗りますね。口を開けてください」
んが
しゅっ!
「んんんがぁぁああ!」
し!しみる!凄い。
「そのうち効いてきますから、少し待ってくださいね。」
ベッドに横になりながら先生の話を聞く。
「えーと....初めてですか?」
「は、はい....」
「話は聞いてますか?」
「は、はい...」
モニターの横に目を移す。
なにかがぶら下がっている。
その黒く長くぶら下がったものこそカメラである。
決して細くはない、人差し指ぐらいはあるだろうか.....
あまかった。
「では最初に言っておきましょう......」
「はい.....」
「言われているほどではありません。」
信じない....だってそれだろ? 太いじゃんか......
「はぁ....」
「いろんな悪い話を聞いてると思いますが、それほどじゃありません...
ふた通り.....ふた通りの方がいます。」
「はい.....」
「一つはやってる間苦しむ方.....
もう一つは最初だけ苦しむ方です。」
「は....はい.......」(((゜д゜;)))
どっちにしても苦しむんだよね....大丈夫、わかってた.....わかってたよ.....
「どうしても最初の場所で うぇえ! ってなります。 これは生理機能なので仕方ないのです。」
「はい.....」
「ここで一度止めます。 そこで盛り上がってしまった気持ちを落ち着けてください。
盛り上がったままだと終わるまで苦しまねばねりません。」
「すうっと落ちつけるんです.....いいですね...? 喉を広げて腹式呼吸にしてください....」
心か...心を試されているのか......
な...なんなんだこの試練は.....
「これがカメラです。」
こちらを向いたカメラは不気味に光っていたのだった....
そう、もうすぐやつは俺の中にはいる。
すまない、まだつづくようだ。
次号本当の最終回!