今回は私のお勧めのコラムの紹介だ.
サッカーの監督に興味がある方や,日本サッカー界の小さな成長を見つけたい方などには,是非読んでもらいたい.
「オランダに挑む日本人監督」
オランダ人の子供達に囲まれながら、林雅人は勢い良くトロフィーを掲げた。
「3位決定戦で負けたのは残念ですけど、トロフィーの大きさは同じだから良しとしましょう!」
2月中旬、ドイツのドルトムント近郊でU11の室内サッカー大会が開催された。
ドルトムント、シャルケ、ヘルタ・ベルリン、ハンブルガーSVといったドイツの名門クラブだけでなく、オランダからフィテッセ、ユトレヒトなど計24クラブが参加した。
GKを含めて5人対5人でプレーする、ミニサッカー大会である。
その会場に、ひとりの日本人監督の姿があった。
林雅人、29歳。日体大を卒業した後、オランダに渡り、オランダサッカー協会の監督講習に通い続け、ついに昨年夏、1級免許を取得した人物だ。
講習に通う傍らフィテッセのU19でコーチとして働き、その仕事ぶりが評価されて、今季U11の監督に抜擢された。日本人がオランダのプロクラブで監督になるのは初めてのことだ。
「自分がU19のコーチをしているとき、ユースから6人がプロに昇格したんですよ。そのうち4人が、1軍のレギュラーになった。コーチが優秀だったということですかね(笑)」
今、林のU11のチームには、オランダ中が注目するタレントがいる。
ドレッドヘアをなびかせて、まるでダンスをするかのように相手の間をすり抜ける天才ドリブラー。
その少年の名前はイサ・カロン。
インテルやASモナコで活躍したモハメド・カロンのいとこだ。
「このままいったら、イサは間違いなくオランダを代表する選手になる。すでにフェイエノールトが獲得に動いているのが嫌なんですが(笑)。彼は気分屋だから、常に声をかけるようにしています」
イサと廊下ですれ違うと、「ゲンキ!」と日本語で挨拶してきた。
林に習ったのだという。
「こっちがオランダ語で挨拶してるんだから、向こうも日本語で答えるのが礼儀でしょう」というのが林の主張。
いずれイサはフィテッセから羽ばたく日が来るだろうが、日本人から指導を受けたことは一生忘れないはずだ。
林が評価されているのは、育成の能力だけではない。
先日、林は1軍のアデモス監督からの依頼で、ローダ戦のスカウティングを担当することになった。
林はローダの試合に足を運び、分析結果を監督の前で発表した。
すると、アデモス監督は嬉しそうにこう言ったという。
「素晴らしい分析だ!10点満点のうち、8点をあげよう。これからは1軍の戦術会議に自由に出席してくれ」
戦術好きのオランダ人を、日本人がうならせる──。
林にとって、これほど痛快な瞬間はなかっただろう。
ドルトムント近郊の大会で、林率いるフィテッセU11は1次リーグを突破し、2次リーグでは2位になって3位決定戦にまわった。
残念ながらビーレフェルトにPK戦で敗れたが、ドルトムントやニュルンベルクを蹴散らして4位になったことは、子供たちにとっても、監督にとっても大きな自信になったはずだ。
「今日は、ホントいい経験をしました。今はまだオランダに残っていろんなことを吸収するつもりですが、いつか日本のクラブで働きたい。育成をレベルアップさせることで、日本のサッカーは変わると思うから」
日本人がオランダのサッカーを学び、オランダの指導者界でもまれている。
オランダ流でも、日本流でもない、新たなスタイルが生み出されることを期待したい。
優れた指導者がいないところには,優れた選手は育ちにくい事は間違いない.
また,今回取り上げられた林雅人さん以外にも世界で一流監督を目指す日本人はたくさん存在している.
そんな方達が,将来の日本サッカーの担い手になる事を期待したい.
W杯も予選リーグを全て終了し、折り返し地点を迎えていますね。
久々の更新となる今回はコラムの紹介となります。
今回のW杯の主役の1人であるリケルメについてのコラムです。
是非多くの人に読んでほしいと思います。
「試合を決めたリケルメの魔法」
今大会のアルゼンチンを、リケルメ抜きに語ることはできない。
この絶滅危惧種に属する古典的プレーメーカーは、広い視野と多彩なアイデアで、危険なパスを次々に送り出す。
その一方で運動量は少なく、守備も当てにはならない。
前監督のビエルサが、リケルメに見向きもしなかったのにはそんな理由がある。
だからこそ、現監督のペケルマンの決断は注目を集めた。
守備を免除する代わりに、攻撃のすべてをリケルメに託す。
それこそが、ペケルマンが採った戦術だと言ってもいい。
ある意味で、懐古主義的なこの戦術が、成功するか否か。
今大会の注目点のひとつである。
グループCの初戦、リケルメのリケルメたる所以は、早くも発揮された。
24分、左サイドのFKから、リケルメが鋭いボールをニアサイドに送ると、ボールはゴール前にこぼれ、これをクレスポが難なく押し込む。
コートジボワールの攻勢に、さしものアルゼンチンもタジタジになっていた時間帯での、それだけに貴重な先制点だった。
さらに、この試合最大の見せ場となる2点目は38分。
ドリブルで持ち上がったリケルメは、左に流れてきたM・ロドリゲスに一度パス。
そしてリターンパスを受けると、コンマ何秒というわずかな、それでいて決定的なタメを作り、右足でスルーパスを放った。
際どいタイミングで飛び出してきたサビオラは、ジャスト・オンサイド。
きれいにDFラインと入れ替わると、GKの鼻先でボールを突き、ゴールへと流し込んだ。
スルーパスとは、DFとDFの間、いわゆる“門”を通すパスのことだが、このパスを出したリケルメと、受けたサビオラの間に、相手選手は4人。
伝家の宝刀は、実にふたつの門をぶち抜いたのである。
前半を終えて、アルゼンチンが2対0でリード。
スコアほどに、実力にも、チャンスの数にも、差があったわけではない。
だが、限られたチャンスを決定機にまで仕上げるという点で、アルゼンチンが、いや、リケルメが一枚上手だった。
後半に入ると、アルゼンチンはこのまま試合を終わらせてしまえとばかり、自陣からゆっくりとショートパスを回し、時間を費やすことを優先した。
だが、ここにスキが生まれた。コートジボワールは高い位置からプレスを強め、怒涛の反撃に転じると、ついにワールドカップ初ゴールを奪う。
82分、右サイドを抜け出したB・コネのクロスは逆サイドへ流れたが、そのボールをディンダンが拾うと、そのままドリブルでゴールライン際まで持ち込み、グラウンダーで再びクロス。
これをドログバが左足できれいに合わせて2対1とした。
その後も猛攻を仕掛けるコートジボワール。
だが、必死の猛攻も、百戦錬磨の伝統国相手に、前半失った2点は大きすぎた。
アルゼンチンの出場14回、優勝2回に対し、コートジボワールは初出場。
歴史や伝統では到底及ばないが、志向するサッカーは、よりモダンなものであった。
マンツーマン・ディフェンスをベースに、攻撃ではリケルメに頼るクラシカルなサッカーを展開するアルゼンチンに対し、コートジボワールには、攻守両面にモダンな組織的戦術が採り入れられていた。
それでいて、ブラック・アフリカン特有の爆発的なスピードには、前回大会のセネガル以上のインパクトがあった。
しかし、その一方で、決定的に欠けていたものもある。
サイドからドリブルで仕掛けられる選手はいた。
決定力抜群のセンターフォワードもいた。
だが、これらの多彩な武器を最大限に生かし、しっかりと攻撃の道筋を整理してくれるパサーがいなかった。
勝敗の差は、伝統と新興の差でも、クラシカルとモダンの差でもない。
アルゼンチンにはリケルメがいた。
この試合に限っては、それこそが勝敗を分けた最大の要因である。
参考文献 Number 浅田真樹=文
守備に全く参加せず、攻撃の時も全力疾走をほぼ全く出さないそのプレースタイルは「1970年代の司令塔」と評されます。
時代錯誤な司令塔が大会のMVPになる可能性は決して低くありません。
そんな時が来た時世界は「時代は繰り返される」という言葉を発することになるでしょう。
今回はコラムの紹介をしたいと思います。
是非呼んでみてほしいコラム
の1つです。
「ロナウジーニョの笑顔に釘付け」
褐色の肌に白い歯を見せて会心の笑みを浮かべる青年の写真が、毎日、イタリアの紙面を飾る。
お世辞にも「二枚目」とは言えない顔立ちなのだが、彼のくったくのない微笑みは「ピッチ上でも気持ちよさそうに笑うこと」の必要性を我々に訴えかけている。
4月18日、欧州チャンピオンズリーグ準決勝。ジュセッペ・メアッツァでACミランを1-0で下したバルセロナのMFロナウジーニョが、イタリアで一大旋風を巻き起こしている理由は、「楽しみながらサッカーをする」彼のスピリットにあると思う。
世界一のレフェリーと言われたピエルルイジ・コリーナ元審判員も言った。
「いかなる試合でも決して笑顔を絶やさないロナウジーニョの心がけが美しい」。
欧州チャンピオンズリーグの決勝トーナメントは「ヨーロッパの覇者」という名誉あるタイトルがかかった試合ゆえに闘争心もことさら強い。
選手たちは形相を変え、さらに卑劣なファウルを連発することで揉め事も絶えない。
レッドカードの数が毎年増えている点も、激しいバトルであることを象徴している。
注目の一戦となったミラン-バルセロナ。
赤と黒に染まったスタンドは、試合開始直後から興奮が頂点に達した。
そんな熾烈な戦いの中でも、ロナウジーニョは満面の笑みを浮かべながらの多彩なパフォーマンスで、観る者、ピッチに立つものに好感をもたらした。
FWジュリのゴールを演出したキラーパスもさることながら、その前の、宙高く舞いながら、50センチメートル四方で自由自在にボールを操るテクニックは圧巻だった。
MFガットゥーゾやDFネスタがウルトラ級パフォーマンスに呆気にとられた末に、笑みをこぼしたその表情に、「ロナウジーニョ効果」が伺えた。
大観衆をのみ込んだスタジアムにはブーイングが一度たりとも起こらなかった。
「楽しんでプレーすること」を全うする彼の美学が、7万人の大観衆の心を奪ったのだった。
「見た目はたいしたことないが、ボクは年々かっこよくなってきた」
とびっきりの笑顔と謙虚な姿勢でサッカーの真髄を極める天才が、いまだ手にしたことのない「欧州一」のタイトル獲得に、イタリア中が熱気あふれる声援を送る今日。
ミランサポーターも3年ぶりとなる欧州チャンピオンズ覇権の夢が厳しくなったにもかかわらず、ロナウジーニョの健闘を称えている。
今回はコラムの紹介をしたいと思います。
「プロとして社会性を示した2人のJリーガー」
最後に名前を呼ばれて登壇した佐藤寿人は、最愛の妻、家族に続けて、自分が所属した4クラブすべてを挙げて(しかも正式名称で)、感謝の意を表した。
昨年のJリーグ・アウォーズ、ベスト11発表での一コマである。
なかには苦々しい思い出しかないクラブもある。だが、それも含めて、自身の成長の糧として受け止めている。
そんな彼の気持ちが伝わってくる、実にすばらしいスピーチだった。
受賞が5回目にもなる日本代表の常連が、「ありがとうございます」さえ満足に言えなかったのとは、比べ物にならないくらいに。
真のプロたるもの、子供たちに夢を与える存在でなければならない。
理想の姿として、しばしばそんなことが言われる。
それは何もピッチ上だけに限らない。
しっかりとした社会性を持ち、自分の言葉で気持ちを伝えることも、プロとしての立派な務めなのではないだろうか。
となると、宮本恒靖の突出した人気も合点がいく。
表彰が続く舞台上を眺めながら、そんなことを考えていると、そういえばと、ある選手のことが思い出された。
それは、'03年春。
3月にUAEで開幕予定だったワールドユースがイラク情勢の緊迫化により延期となったことにより、U―20代表は当初の登録メンバーに新たな選手を加え、リスタートしていた。
新加入の選手とはつまり大会延期により再びチャンスが巡ってきた選手たちである。
彼らはきっと、幸運な巡り合わせを喜んでいるはず。
私はそう考えていた。
ところがひとり、無邪気に喜びを口にするのでなく、ひとつ前置きをしてから、自分の思いを話し始める選手がいたのである。
それが、長谷部誠だった。
「延期の理由が理由なので、単純に喜んでいいのかどうか分かりませんが……」
正直、驚いた。19歳の、プロになりたてで血気盛んな少年が、きちんと周囲へ配慮し、言葉を選んで話したことに。
この度、その佐藤、長谷部が揃って日本代表に初選出された。
現実的には、彼らがドイツのピッチに立つ可能性はごくわずかと言わざるを得ない。
それでも、彼らのような“プロ”に、こうしてチャンスが与えられたことが、単純にうれしく、また、理屈抜きで頑張ってほしいとも思うのである。
彼らこそ、未来のJリーガーたちのお手本なのだから。
参考文献 Number 文 浅田真樹
今回はコラムの紹介です。
スポーツの世界において今や欠かせなくなったメディアについてのコラムです。
共感できる点も多くありましたのでここに紹介したいと思います。
タレントは必要ない。箱根駅伝の伝統の重み。
いまや正月番組として定着した『箱根駅伝』。
だが、日本テレビによる生放送開始は'87年、全区間完全生放送となると'89年からと、その歴史は意外に浅い。
レース最大の難所、山上りと山下りの五区と六区の模様を中継するのは、放送技術的に非常に難しい作業だからだ。
二日間に投入される機材は、カメラ84台、ヘリコプター3機、移動中継車3台、ロケ中継車13台、クレーン9台。
中継ポイントは50カ所、アナウンサー20名を含め動員されるスタッフは約850名。
機材や人は系列各社からも集められる。
箱根駅伝で論議を呼ぶのが、有力選手の失速や棄権といったアクシデントだ。
視聴者の涙を誘い、高視聴率をたたき出しもするが、局には「晒し者にするのか」という抗議電話も掛かってくるという。
「複雑ですが、これはレースです。僕らは、そこで何が起こっているのか、伝えたい。強い選手ほど無理するから、あの選手が……という場合が多いですが、そこにタスキの重みや箱根の凄さが出る。だからこそブレーキを起こした選手にはその後、いい成績を、と切に願います」
こう語る今村司チーフプロデューサーによれば、メディア側にもタスキをリレーする感覚があるという。
機材を忘れた、エントリー変更が伝わっていない、などの一つのミスを取り返すために舞台裏はすさまじいことになるらしい。
最近のスポーツ中継で話題になる過剰演出について、『ザ!鉄腕!DASH!!』などバラエティも手掛けたことのある今村氏は「箱根にタレントを呼ぶなんて、選手に申し訳なくてできません」という。
「戦時下、もう走れないと思って走ったとか、かつてのランナーたちは箱根の話をするとき、皆さん泣くんです。ブレーキを起こしてタスキを途絶えさせてしまった方なんか取材になりませんでした。凄い思いをして走っている……そういう伝統、魂を感じますからね」
82回を数える歴史、東京・湘南・箱根という土地、二日間で百万人以上の沿道の人出……主役は選手だが、これら全ての要素がシンフォニーをなす文化として受け継がれていけば、と今村氏は言う。
「だから、あまり手を付けないのがメディアの務め。バラエティではないので、視聴率ではなく内容を論じて欲しいと思っています」
参考文献 Number 文=渡辺勘郎
メディアの関係者から、「視聴率ではなく内容を論じてほしい」という言葉が出たことには非常に驚かされました。
それと同時に、この熱い気持ちを聞くことができ、とてもうれしかったです。
こういう関係者の方が増えてくれることがスポーツ界にとってプラスに働くことは間違いないでしょう。
今村氏には今後も強い意志をもち続け、自分の仕事に誇りを持ってほしいです。
ぜひ皆さんに読んでもらいたいコラムを発見したので紹介したいと思います。
二重奏を表す「デュオ(duo)」という言葉。
もともと音楽の用語だが、スポーツ界においても、日本語でいう「コンビ」の意味で広く使われている。
特に、NBAの世界ではよく耳にする単語だ。
多くの場合、NBAのチームには攻撃の主役となる選手がふたりいる。
チームオフェンスは彼らを中心に組み立てられ、その活躍が勝敗の行方を大きく左右する。
1980年代のレイカーズ(マジック・ジョンソン&カリーム・アブドゥル・ジャバー)、90年代のブルズ(マイケル・ジョーダン&スコッティ・ピッペン)、00年代のレイカーズ(コービー・ブライアント&シャキール・オニール)など、強豪チームの多くが優れたデュオを擁していた。
では、優秀なデュオを作るにはどうしたらいいのだろう。
よく言われるのは、選手としての相性だ。
ポジションやチーム内の役割が重ならず、互いに補い合える関係が理想的とされている。
そう考えると、ゴールデンステイト・ウォーリアーズのデュオ──バロン・デービスとジェイソン・リチャードソン──は異色の存在である。
デービスは26歳。NBAを代表する突進型ポイントガードで、スピードに乗ったドライブに定評がある。
24歳のリチャードソンはシューティングガードだ。運動能力に優れ、スラムダンクコンテストでは2連覇を果した。
共にゴールに切り込むアスリートタイプであり、ポジションも近い。
だが、それでもふたりはデュオとして機能している。
平均得点の合計は39.9点で、ガードコンビとしてはリーグ4位の好成績。
個々の数字を見ても、リチャードソンが平均22.4点(リーグ13位)、デービスも9.7アシスト(同2位)と、お互いキャリアハイの成績を残している。何よりも、チームが好調だ。
開幕25試合で14勝をあげ、一時は地区首位に踊り出た。
このふたりが、なぜかみ合うのか?
昨年まで、デービスは「わがまま」「コーチ不可能」と評されていた。苛立ちと故障を抱え、個人成績を落とし、チームも勝てないという泥沼の状況。
「スポーツ・イラストレイティッド」誌によると、昨季途中にウォーリアーズへ移籍したとき、彼はコーチ陣にこう頼んだという。
「俺がちゃんとやっていなかったら、文句を言ってくれ。怒り出すかもしれないけど、それでもちゃんと聞くから」
自分を変えよう、チームを勝たせよう、という気持ちが、ガードとしての視野を広げ、パスの精度を上げた。当然、その思いはリチャードソンにも伝わる。
もともと、「俺はダンクだけの選手じゃない」とジャンプシュートに磨きをかけていた。彼にとっても、それを証明する良いチャンスだった。
ふたりのプレースタイルが大きく変わったわけではない。
上を目指す向上心が、デュオの潤滑油になっているのだ。
相性や役割分担よりも、こうした意欲こそ、すべてのデュオに必要なものなのかもしれない。
デュオという単位で試合を見ることで、NBAの楽しみはまた広がる。
リーグ随一のバックコートデュオは、ウォーリアーズを12年ぶりのプレイオフへと導くことができるのか?
期待して見守ろうではないか。
スター達の舞台裏
現在、リーグ最強のデュオは、76ersのアレン・アイバーソン(PG)とクリス・ウェバー(PF)だ。
ふたりの平均得点は、何と、合計で53.1点。
もちろん、デュオとしてはリーグ1位の成績である。好調に見えるふたりだが、その裏側はどうなのだろう。
5月の1件──「あいつ(アイバーソン)とはプレーできない。あいつはドリブルし過ぎだ」というウェバーのコメントが新聞に掲載され、騒ぎになった──はまだ記憶に新しいし、最近も、ウェバーは起用法に不満をもらしているようだ。
どこの世界でも、仲良く仕事するのは難しい。
優勝という目標を持ち、ひとつにまとまることができればいいのだが……。
※ 引用文献 Number 文=小尾慶一
最近はバスケをやる機会が増えたことでこういうバスケのコラムにも目をとおしていたところこのような非常に興味深いコラムを発見することができました。
まだ、新たな発見があるかもしれないので他のスポーツのコラムも少しずつ読んでいこうかと思ってます。
ドゥンガが語る日本サッカーとブラジルサッカーの違い。
日本のサッカーにかかわる人には是非読んでほしいコラムです。
ブラジルが、次から次へと才能のあるタレントを輩出できているのは何故か。
それは、僕たちブラジル人がクリエイターだからなんだ。
今の時代はだいぶ変わったけど、サッカーをやるのにシューズも、ボールも、ピッチも、ゴールも何もない時代が長かった。
僕が子供の頃は、よく裸足でボールを蹴っていたものさ。ボールも、きれいなまん丸のボールじゃなかった。
靴下にぼろきれを詰め込んで作ったボールだってあった。
きれいなピッチなんてない。石ころや穴だらけの地面でボールを蹴れば、ボールは好き勝手な方向に飛んでいく。
自分が予想もしていない方向に行ってしまうこともしばしばだ。道でやる時もある。
道でできないときは、家の中でやる。
家の中には壊すと怒られる物があるから、壊さないようにしなければならない。
満足な環境がそろっていないから、自分で創意工夫しながらなんとかやっていくしかないんだ。
当然、ボールはどこに飛んで行くかわからないから、どこに行ってもいいように頭も体も準備をする。
物を壊さないようにボールと体をコントロールする。それらを繰り返すうちに反応は一瞬になっていく。
次に起こるべきことを想定して、体が動く。
ボールがまったく想定外の所に飛んでいく場合に備えて、一瞬で行動に移せるように無意識の準備をする。
そんなボール遊びを通して、自然と感覚が研ぎ澄まされていくんだ。
そうした創意工夫は練習にも表れる。
ブラジル人は、与えられた練習以外に自分のイマジネーションや考えを実践してみようとする自発性が強い。
自ら考えて技を開発してみたり、できなかったことに挑戦したりと。
日本人とブラジル人が一番違うと思ったのは、そこだ。
自分から進んでやる姿勢、イニシアティブだ。
例えば、練習の時、監督が到着するまでただ待っているだけじゃなくてボールを蹴ったり、自分で考えて何か練習を始める。
でも、日本だけじゃなく、欧州でも監督の指示が下るまで待つ選手が多いんだよ。
といって、ブラジルは単に個人の才能に依拠して、自由奔放にサッカーをしているだけじゃない。じつは正反対で、ブラジルでは監督は練習の時、ボールの位置、選手のポジショニングを細かく指導してミスを“修正”する。最初は、頭と意識と体がかみ合わないことが、繰り返し練習することで調和がとれ、自然に無意識にできるようになっていく。五感を働かせてボールに反応できるようにするんだ。
だから、練習は量よりも質が大切。
例えばクラブチームの場合、いつも一律2時間の練習というのもおかしな話で、シーズン当初は新しいグループでチームを作らなければならず、修正点が多いんだから、時間がかかるのは当たり前。
でも、だんだん石から宝石に生まれ変わるように、少しずつ修正という磨きをかけ、最後にはぴかぴかに仕上げる。
そのときは、もう2時間という時間は必要ないかもしれないね。
シーズン中盤は疲れも溜まるから、練習時間は調整すべきだ。
日本の練習で変だなと思ったことは幾つかある。
例えば、30mくらいのロングパスの練習。これが実際に試合で使われるのは、1試合で3回くらいしかない。
試合の80%はショートパスだ。
だから、もっとショートパスに磨きをかける練習をすべきだと思う。
それから、4対4の練習でも、何分やってシュートを何本打って終わり、そういう練習で満足していたら大間違いだ。
時間や回数よりも、修正できたかどうかが重要なんだ。
それも、頭で理解するだけでなく、実践できるようになること。
大切なのは、できないことを繰り返しやってできるようになることだ。
監督は試合までにボールの位置、選手の動きを細かく指導するが、基本的にピッチに入ったら、その瞬間から選手は自分で対応するしかない。
ボールが目の前にある時に、監督に尋ねている暇はないのだから。
サッカーは一瞬の競技だ。
相手がボールを持っているとき、次の行動を考えて1秒でも止まっていたら、手遅れになることが多い。
相手に右をやられたら、その攻撃をどこで食い止め、次は自分達がどうやってお返しするか。
そのためには、お互いが次にどう動いて、どういうふうに流れるかを瞬時に決めなければならない。
ボールを持った時、自分はどっちに向かうのか、相手が来たらどこで構えるのか、それぞれの状況に対応できるように、感覚と技術を高めておく必要がある。
もちろん、想定外のこともピッチでは起こり得る。
それは練習していなかったから対応できない、というのでは困る。
試合は想定内50%、想定外50%。この想定外にどう対応できるかは、選手の自主性と想像力にかかっている。
例えば、相手の情報が事前にあまりない場合もあり得る。
そんなとき、我々ブラジル人選手はそれまでの経験から相手の状況、弱点をゲーム開始の何分かで察知する。
それを仲間にすばやく知らせて、そこを攻めるようにする。それができるのは、やはりピッチに立った個々人の経験と、能力の高さなんだ。
逆に、相手に隙を与えずに、想定外のことを仕掛ければ、相手にとってはそれが一番怖いことになる。
ブラジルの強さはそこにある。ロビーニョやロナウジーニョがリスクを抱えながらも、奔放なプレーで攻める。
相手にしてみたら想定外のことが次々と降りかかってくるわけだ。
一瞬の判断ができないまま、どう対処していいかわからないうちに、あれよあれよという間にゴールが入っている。
ときには、攻めるためにリスクを冒す覚悟も必要なんだ。
日本人はリスクを背負う勇気が持てず、相手を脅かせないときがある。
もちろん、闇雲にリスキーなプレーをしろと言っているのではない。
肝心なことは、リスクを背負っていいところと悪いところをしっかりと理解することだ。
DFならリスキーなプレーは20%までOK、MFなら50%。そして、FWなら100%リスキーでも問題ない。
どんどん攻撃して、相手を脅かし続けることが必要なんだ。
ラジルは決して個人技だけで勝っているわけではないが、瞬間の個人の判断、想定外のプレー、相手を脅かすプレーができるという意味で、才能のある選手が前線にいることは非常に大きな武器になっている。
システムも関係ない。
3-5-2だろうが、4-4-2だろうが基本は一緒。
ボール捌きがうまく、次の一歩を準備できる能力の高い選手なら、どのシステムでも対応できる。
ただ、ブラジルは伝統的に4-4-2でプレーすることが多い。
理由は、そのほうが一番満遍なくピッチ全体に選手を配置できるからだ。空いているスペースが少なく、ポジショニング、カバーリングが一番効率よくできるんだ。でも重要なことは、システムは最後の入れ物であって、入れ物を最初に作ってはめ込むものじゃない。
まずは、選手ありき。個性が違う選手がそれぞれの役割、SBなら守って、攻撃参加をしてクロスを上げるという役割が大事なんだ。
自分の役割プラス周囲との連繋、サポート、カバーリング、パスの交換、チャンスを互いに作りあうこと。それをするのに、たまたま選手の配置が4―4―2というフォーメーションになっているにすぎないんだ。
ドイツW杯の優勝候補No.1は間違いなくブラジルだろう。
ちょっと距離を置いて、アルゼンチンとイタリアが続いている。
しかし、“無敵”なチームなどあり得ない。
一番怖いのは自分自身だ。
もう勝ったも同然という気が抜けた状態になったときは、間違いなくだめになる。その点、ドイツは侮れない。
彼らは最後の1秒まで絶対に諦めないゲルマン魂を持っているからね。
彼らはたとえ0―5で負けていたとしても、最初の1分と同じように最後の1秒まで走り続けることができる。
他の国だったら、絶対に諦めてしまう状況でもだ。
'02年のときも、ドイツはそれほどのチームではなかったが、決勝にまで残っただろ。
でも、1カ月もあれば大丈夫。
直前合宿、試合を通して、互いに修正して完成度を高められれば、ブラジルはすごく強くなる。
セレソンは大会の中で成長していくチームと言われる所以さ。
引用文献 Number 文=大野美夏
ドゥンガの語る全てが正しいというわけではありませんが、非常にしっかりとした芯の通った意見だと感じました。
共感できる点も多かったように思います。
1人でも多くの人に読んでほしいコラムの1つでしたのでここに載せることとしました。