<一堂役の生田、紺野役の松村に関して書いていきます。コメントが辛くなりますので、読まれる際ご注意ください。>
まずは前回の補足。八十村役に関しては、長澤まさみの後輩である山崎紘菜もあっていると思う。朝比奈や高月よりも向いているのではないだろうか。
☆紺野
「あさひなぐ」という作品は、東島が主役であるものの、それのみならず、彼女が所属する二ツ坂高校薙刀部のメンバー、さらには、格闘技という題材もあって、「戦う相手となるライバル」にも相当焦点が当てられ、各々のエピソードが用意されている。
その人物描写の面白さがこの作品の魅力であると言えるだろう。
こと、東島と同学年である、紺野、八十村、そして東陵高校の一堂との邂逅がもたらすドラマは、今作を大いに盛り立てる。
当然であるが、この手の漫画は主役はもちろん、仲間やライバルに魅力がないと成立しない。
故にキャスティングも極めて重要になってくるのであるが・・・。
残念ながら、肝心かなめのこの3人の選出が、今作において最もダメなそれとなってしまったと言わざるを得ない。
紺野は苦労知らずのお嬢様育ち。スタイル抜群の美人で口は悪く、性格もひねくれている。何をやらせてもそれなりのレベルに達する反面、すぐに飽きてしまう悪い癖がある。
薙刀に関しては、173センチでモデル体型の長身と長すぎる手足もあり、平均レベルの身長のものではまともに面がとれないという反則レベルの特性を発揮し相手を倒していくが、話が進むにつれ、東島をはじめとした「真面目に練習し続けている面々」に徐々に勝てなくなってきて・・・、という点が彼女に関する重要エピソードとなるのだが・・・。
それをずんぐりむっくり下半身で162センチ程度しかない松村が演じることが理解できない。
美形のルックスにも全く合致せず。唯一性格の悪さだけが役と一致しているが、この点は役を考える上で関係がない。一癖も二癖もある人間で、実際に演じるにはかなりの技量が要求されるが、それに応えられる能力も経験も松村にはない。
まあ、演技面での未熟さは、今作の「矢口スタイル」的作風を考えると決定的な問題にはならない。とは言え、ビジュアルの問題は看過しえない。予告映像だけでも気が滅入ってきた。宣材写真を観るに失笑しかない。
乃木坂なら2期の相楽や3期の中村・梅澤の方がよほど向いている。ただ、相楽は肉付きが良すぎるのか・・・。
非乃木坂で選ぶとしたら、
泉はる、岡本杏理、鈴木優華あたりがイメージ合うと思う。
正直、松村を選出したことは、個人的にあほとしか言いようがないということだ。
☆一堂
で、ある意味今作のキャスティングで一番酷いと言えるのが、生田の一堂だろう。
作品では、強靭な精神力と徹底的な修練が培った孤高の強さをして、宮路や東島の強力なライバルとして作品ではもう1人の主役ともいうべき存在感を見せつける。紺野や寒河江程には長身ではないが、濃い目のきりっとした九州娘的美貌とスタイルの良さも彼女の大きな魅力だろう。
それを生田とは・・・。舞台版の堀と共にギャグでしかない。
生田のみならず今の乃木坂では一堂を「ビジュアル面」ですら演じられる者はいない。
実際の人物であてるのは難しいが、美貌とスタイルの良さ、野性味や鋭さのある目力は必須。
九州娘の濃い目の美貌と長身という点を考えると、今ZIPに出ている井桁弘恵が合っている。彼女は演技経験もある。
後は現役セブンティーンモデルの松岡花佳か黒崎レイナあたりか。とにかく現役モデルで、しかも現在売り出し中の勢いと華やかな美貌がなければならない。生田程度のルックスとスタイルでは話にならない。
東島役の西野が原作設定よりも背が高くはあるが、その点を考慮しても、重要役となる紺野・一堂・八十村は、西野よりだいぶ高いものを選んで欲しかった・・・。
これ、大倉役に普通体形の者を選んでいるのと同じくらいおかしい、ということを誰も感じなかったのか? 何もかも原作と同じにする必要はないが、人間性だけでなく、体格・体形が薙刀のスタイルや戦術・戦略に大きな影響を与えている以上、この点はしっかりとすべきであった。
デブの大倉以外、すべて乃木坂メンバーで選んだことによる決定的な弊害と言わざるを得ない。
<最後に>
「あさひなぐ」という作品は、ここ数年のみならず、格闘漫画の歴史に残るべき傑作だ。故に「映像化」の話が出るのは、今のご時世致し方ない事情であると、業界の末端に属するものとして理解できる。有名作品や人気作家にとにかく乗っかって食わせてもらっているのが、書店業界の偽らざる実情だ。
しかし、だからこそ、原作の名誉のためにもそのつくりやキャスティングに関して慎重丁寧であってほしいと切に思う。
キャスティングに関しては、大手事務所が誇る有力どころや可能性あふれる新鋭で固めてほしかった。
この手の作品は、どうあれ魅力あふれる原作の人物を実在の人間で再現することは難しい。
そこでとるべき方法は、
・それでも徹底的に原作に似せていく
か
・そのことをあきらめて、あくまで役者の魅力や実力を強く押し出していく
かのどちらかに絞られる。
前者の代表例が「3月のライオン」。後者の代表例が、「あさひなぐ」と同じ製作者が以前に作り、2018年に最終作が上映される「ちはやふる」だ。
千早役の広瀬も真島役の野村も原作キャラには合致していないが、当人のマンパワーと演技で押し切った。その開き直りぶりには潔さに満ちており、感動すらあった。いろいろ批判もあるにはあるが、個人的に「ちはやふる」は成功であったと考えている。
しかし、主要役を演じる乃木坂メンバーには、原作キャラとの合致性もなく、かといって押し切れるだけの魅力も実力もない・・・。
余程作り手側が良い演出、良い作りをしないと非常に厳しい結果となろう。ただでさえ、「ちはやふる」を筆頭に「矢口スタイル」的作品には、傑作が多く、そういった作品を契機に躍進した有力女優に事欠かない。
果たして乃木坂メンバーが如何程のものを見せつけてくれるのか・・・。
楽しみに待つとしよう。