2007-04-18 13:39:37
「翻訳夜話」村上 春樹 , 柴田 元幸
テーマ:観た・聞いた・読んだ
「翻訳夜話 」を読んだ.作家であり翻訳家である村上春樹氏と,大学教諭であり翻訳家である柴田元幸氏が行った3つのフォーラムを,本として収録したもの.「目からウロコ」な内容とまではいかなかったけど,僕が普段,「村上春樹の小説や両氏の翻訳の文章にそれぞれ感じているようなこと」を,本人達の口から語られる言葉で確認するという楽しさがあった.
1.村上春樹がシークレットゲストとして招かれた東大の柴田ゼミでの学生達との質疑応答
2.翻訳の専門学校で行われた翻訳者を目指す人向けのワークショップ
3.「海千山千」と題された二人の競訳(かつて村上が訳したレイモンド・カーヴァーを柴田が訳し下ろし,柴田が訳したポール・オースターを柴田が訳し下ろしている)
4.さらにそれを踏まえた若手翻訳家達との対談
翻訳の方法論を突き詰める為の本ではない.むしろそういう部分から遠ざかった個人的な視点で「翻訳観」みたいなものが語られていく.二人の翻訳に対する愛情や人間性が滲み出ていて,なかなかおもしろかった.学生のなんでもない疑問から,章を追うごとに,突っ込んだ議論になっていく.「これ以上マニアックになると僕としてはあんまりおもしろくないな」というギリギリのところでちょうど終わり.翻訳文学をまとめ読みする準備運動として借りた一冊.返却期限の関係で「さっと読む」,のはずだったけど,なかなかにじっくり読んでしまった.巻末に附録する原文をもう一度読みながら二人の訳を緻密に比べてみるのも面白いかもしれない.
収録されている短編も気に入ったので,カーヴァーとオースターを読んでみたくなった.
翻訳夜話
村上 春樹 , 柴田 元幸
新書: 260ページ
出版社: 文藝春秋 (2000/10)





