昔、“ポジパン”というムーブメントがあったのをご存知でしょうか?
セックス・ピストルズやダムドといった初期パンクから発展し、ムチャクチャ速いビートで社会の絶望や不満を吐き捨てるように叫ぶハードコア・パンクに対し、色んな音楽性を取り入れ、そのひとくくり出来ないようなスタイルからポジティブ・パンク・・・略してポジパンと呼ばれるようになったのですが、まぁ世紀末を象徴したような雰囲気と死と絶望、狂気を唄い上げるといった歌詞の内容は、とってもネガティブなんですが・・・
このポジパンの中心だったのが、70年代後半から80年代前半のロンドンだったのですが、当時の日本でもこのムーブメントが存在し、オートモッドを中心とした全13回の『時の葬列』というシリーズGIGがありました
今回、その『時の葬列』が27年ぶりに復活したので行ってまいりました!

当時、『時の葬列』に参加したバンドは、オートモッドの他にサディ・サッズ、マダム・エドワルダ、ゲー・シュミット、ソドム、あぶらだこ、リビドー、アレルギーなどがいまして、その中のオートモッド、サディ・サッズ、ゲー・シュミット、マダム・エドワルダが参加したオムニバス・アルバム『時の葬列』は数あるオムニバスの最高傑作だと思います
オートモッドのヴォーカルのジュネさんと今回の『時の葬列』に参加したガラのヴォーカルのハヤトさんは、バンド時代なにかとお世話になった間柄でして、今回のライブはさながら同窓会のようで楽しかったです!
まず、ガラですがヴォーカルのハヤトさんは、普段は温厚そうなのですが、昔からかなりエキセントリックなパフォーマンスをする方で、ホームグラウンドの某ライブハウスは、よく彼の正拳突きで壁に穴を開けられていました
そのエキセントリックさは、今回のステージでも健在で跳ねる、絶叫する、客席に網を投げ込む・・・硬質なサウンドに叙情的なメロディーが絡む独特の世界を持ったバンドです
ポジパンの代名詞といえば白塗りです
もうなんとなく、お気づきでしょうが、ポジパンというムーブメントは、その後のV系のミュージシャンたちにも多大なる影響を与えていると思います
実際、当時の『時の葬列』にXのhideさんも通いつめていたみたいですし、ルナシーや黒夢、マリスミゼルなど、その影響を公言しているミュージシャンも多いですし、研究熱心なマリリン・マンソンは、ロンドンのムーブメントだけでなく『時の葬列』の資料も取り寄せていたらしいです
そんな現在のV系ミュージシャンの原型とも呼べるバンドが“マダム・エドワルダ”です

写真は当時のものですが・・・
でも、ヴォーカルのジンさんの雰囲気はあまり変わっていないのは流石です!
当時の曲も「プリンセス・リーター」や「ロウ」、「マリオネット」など演奏してくれました
当時の雰囲気と掛け離れていたのが、“ソドム”

もともとハードコア・パンク出身の彼らは、時の葬列に参加した時、バースディ・パーティーに傾倒したサウンドに変化しており、さらにオートモッドやマダム・エドワルダ同様寺山演劇に影響を受けたステージを展開してました
その後、ハウス・ミュージックに傾倒し、この日もバンド形態ではなく、パソコンとPAをばっくにかなり洋楽ぽいサウンドを展開していました
昔の名曲「ART OF LAB」なども演奏してたのですが、まったく違ったアレンジで面影をあまり感じませんでした
この日のサウンドは、これはこれで完成度は高く、ヴォーカルのザジの飄々としたMCも面白かったのですが、あえて白塗りで登場して、寺山演劇のみたいなことしてほしかったなぁ・・・
この日、一番昔のイメージ通りのステージを展開したのが、“サディ・サッズ”

いゃあ~、かっこよかった!
ヴォーカルのコーサカさんが、顔半分をメタリック・シルバーに塗り、痙攣するかのように動き、バックのスクリーンにはイメージ的なスライド映しだされ、「アンゴラ」、「グラスブラハ」、「A,H,O,Q,」など、当時の代表的ナンバーを次々と演奏してゆきます
サディ・サッズの歌詞は、何語でもない言葉なんですが、何故かみんな口づさんでいるんですよね~!インダストリアルなサウンドなんですがポップなんですよ!
リズムを全面に押し出したサウンドは、下手なパンクより聴いていて凶暴な気分にさせてくれます
当時、ノイバウテンやテスト・デプトといったメタルパーカッションを使うバンドのカテゴリーに入れられてしまい、彼ら自体後期にはメタルパーカッションを取り入れてしまったのですが、バンド編成の彼らは世界中の何処にも見当たらないオリジナリティ溢れるバンドだと思います
演奏終了後に鳴りやまない拍手とアンコールの渦が巻き起こったのも納得の結果でしょう!
黒夢の清春氏がSADSを作った時、バンド名を考える時、おそらくサディ・サッズのバンド名の響きがあったんじゃないかと思われます
清春氏自身もオートモッドのトリュビートに参加したりしたほど、この辺りのムーブメントのバンドを研究していたみたいですから・・・
ちなみに「KISS×××」のマンガ家楠本まき氏の「Kの葬列」という作品は、今回出演しなかったゲーシュミットというバンドの代表曲のひとつからインスパイアされているみたいです
そしてトリは、もちろん“オートモッド”!

何度も繰り返しますが、これらの写真は昔のものです!現在のオートモッドのヴォーカルのジュネはツルツルです・・・
オートモッドは、歴代の参加メンバーが伝説で、BOФWYの布袋さんに高橋まことさん、レベッカや筋少にいた友森昭一、パーソンズの貢さん、ハウンド・ドッグに参加していた河野さんなど・・・当時のオートモッドは、曲でドラマチックに盛り上げ、そこにパフォーマンスが絡むという感じだったのですが、現在のオートモッドは、当時に比べるとそういった部分は薄くなってしまっているかもしれないですね・・・
いゃあ~でも、またこの企画、やってほしいものです!