近代五輪が始まった1896年の第1回アテネ五輪の優勝メダルを盗まれたとして、展示していた秩父宮記念スポーツ博物館(東京都新宿区)が15日、警視庁四谷署に盗難届を提出し、同署は窃盗事件とみて捜査を始めた。

 メダルは金メダルができる前だったため銀製で、直径約5センチ。体操競技の鉄棒で優勝したヘルマン・ワインゲルトナー選手(独)に授与された。その子息が日本びいきだったことから、1964年の東京五輪の際、西ドイツ紙の特派員に「体操で最も優れた日本選手に贈ってほしい」と託し、同大会で金メダル3個を手にした遠藤幸雄氏(昨年3月に72歳で死去)に贈呈。94年6月に遠藤氏から寄贈された日本オリンピック委員会(JOC)が展示していた。

 運営する「日本スポーツ振興センター」によると、盗難が発覚したのは今月14日午前11時半ごろ。受付の女性が2階の展示台からメダル4個のうち1個がなくなっているのを見つけた。展示台は正面の扉は施錠されていたが、上部のガラス板は素手で開く状態だった。

 遠藤さんの長男で日本体操協会常務理事の遠藤幸一さん(48)は「初めは書斎の真ん中に飾っていた父も『自分個人ではなく、日本とスポーツ界のためにいただいた』と考えを変えたようだ。盗んだ人がいるなら、ぜひお返しいただきたい」と話している。

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