2011-12-11 21:40:43

温暖化対策  COP17、新枠組みに関するロードマップに合意 「先進国」対「途上国」の構図にも変

テーマ:環境

碧空-COP17
(12月10日 COP17で深夜に及ぶ交渉を続ける各国参加者 “flickr”より By DECCgovuk http://www.flickr.com/photos/deccgovuk/6491338979/

【ロードマップに合意するも、「悲愴な現実」】
南アフリカ・ダーバンで開催中の国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)第17回締約国会議(COP17)は、各国の主張が対立し、会期が2日間延びるという過去最長の締約国会議となりましたが、11日、すべての主要排出国が参加する新たな法的枠組みを2015年までに採択することを目指すロードマップ(行程表)に合意しました。発効は20年からとされています。

一方、2012年末で期限が切れる京都議定書は延長することで合意されました。17年までの5年間が想定されている延長の期間など詳細は来年のCOP18で決めるとされています。
日本は議定書延長への参加を拒否しており、13年以降は削減義務のない、自主的な削減目標を掲げて取り組む「空白期間」に入ることになります。

****法的拘束力を持った温暖化対策の形骸化*****
・・・・議定書で削減義務を負っている先進国の温室効果ガス排出量が世界全体で占める割合は現在、26%にすぎない。さらに13年以降、日本とロシア、カナダが不参加となり、EUなどだけに限定され、15%程度まで落ちこむ。環境NGOは「悲愴(ひそう)な現実」と嘆き、法的拘束力を持った温暖化対策の形骸化は誰の目で見ても明らかだ。
現在、数十カ国以上が国連に20年時点の自主的な排出目標や対策を提出し、日本は90年比で25%削減を掲げている。新枠組みが遠のき、各国の掲げた温暖化対策遂行を信じるしかない状況になった。【12月11日 毎日】
****************************

【中国:「議論に同意する」】
一連の議論のなかで、従来温室効果ガス削減義務につながる議論を拒んできた、最大の排出国である中国が、新枠組み交渉に応じる姿勢に方針転換しています。

****COP17:新枠組み「議論に同意」…中国、方針を転換****
中国で温暖化交渉団トップを務める解振華・国家発展改革委員会副主任(閣僚級)が4日、国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)会場内で記者団の取材に応じた。解氏は、20年以降と想定される京都議定書以降の温暖化対策の新枠組み(ポスト京都)について「議論に同意する」と述べ、交渉に応じる姿勢を鮮明にした。中国はこれまで、将来の温室効果ガス削減義務につながる議論を強硬に拒んでおり、明確に方針転換した格好だ。(後略)【12月5日 毎日】
**************************

削減義務受け入れを示唆しながらも、「我々は途上国であり、削減義務より、先進国から資金と技術の支援を受けるのが先」(解振華・国家発展改革委員会副主任)との中国の本音に対し、アメリカは「彼らの姿勢は何ら変わらない」(トッド・スターン国務省気候変動担当特使)と、中国の本音としての消極姿勢を批判しています。
しかし、会議の流れは米中の消極姿勢を批判する方向に動きました。

****米中、本音は削減義務回避 ****
削減義務を負っていない2大排出国の中国と米国。互いをにらみながらも、新体制で義務を負う確約を避けようと、EUと三つどもえの交渉を展開した。

COP中盤で中国は、20年以降の新体制について「議論することに同意する」と発言し、削減義務を受け入れることを示唆。一定の積極姿勢を見せることに成功した。
すると、会場では米国の交渉姿勢を批判するムードが高まった。8日、閣僚級会合の演壇に立った米国のスターン気候変動担当特使に向かい、傍聴席の女性が「アメリカは交渉で何もしていない!」と叫ぶ一幕があった。会場から大きな拍手がおこり、約1分間、鳴りやまなかった。

同日の記者会見でスターン氏は「米国が交渉を妨害している」と詰め寄られると、「とんだ思い違いだ。条件が合えばEUの行程表も支持できる」と感情をあらわにした。この発言以降、EUと妥協点を探るようになった。
この結果、混乱しながらも議論が前進することへの期待も高まっている。環境NGO気候ネットワーク東京事務所長の平田仁子さんは「交渉を妨害したという批判をかわそうと、各国は互いを非難するのをやめ、実質的な枠組みづくりを進めようという姿勢が見える」と指摘する。【12月11日 朝日】
****************************

【多様化する各国の主張 構図の変化】
こうした流れで、各国の主張が多様化し、従来の「先進国」対「途上国」という構図が変化しています。
とりまとめ役不在のまま混沌とした状態が続き、会議が延長期間に入るとともに予定を変更できずに帰国する閣僚もいる異例の事態となり、会議をいったん閉じて数カ月後に再開すべきだという先送り論も出て難航しました。

****COP17難航 米中の消極姿勢が影響 各国主張も多様化****
国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)の協議難航は、多様化する各国の主張の中で妥協点を見いだすのに時間がかかったためだ。
特に排出量が世界1、2位の中国、米国の新枠組み交渉に対する消極姿勢は交渉の行方に大きな影響を与えた。

中国は今回、20年以降に温室効果ガスの削減義務受け入れを示唆したが、「我々は途上国であり、削減義務より、先進国から資金と技術の支援を受けるのが先」(解振華・国家発展改革委員会副主任)と本音を漏らした。
これを見透かした米国は「彼らの姿勢は何ら変わらない」(トッド・スターン国務省気候変動担当特使)と喝破、一時は事実上、新枠組みの交渉開始を拒否。

欧州連合(EU)は米中間の動きを批判、議定書延長受け入れをカードに「米中も新枠組みに加われ」と迫り続け、交渉での柔軟性を失っていた。
さらに、温暖化被害が特に顕著な島しょ国やアフリカなどの途上国は、単に先進国に議定書の延長を求めるだけでなく、「新枠組みは20年以降」とする米中にも「遅すぎる」と早期の新枠組みづくりを迫った。「先進国」対「途上国」という図式が成り立たなくなったのも今回の交渉の特徴だ。(後略)【12月11日 毎日】
*****************************

【大半の途上国は雪崩を打ってEU提案に賛同】
混迷するCOP17で合意へ向けた軸をつくったのは、温暖化対策の柱である排出量取引制度を守りたいという思惑が働くEUでした。

****低開発国がEUに同調 対決の構図一変 ****
・・・・混迷するCOP17の対立軸をつくったのは、欧州連合(EU)だった。
9日朝、温暖化被害を受けやすい島国、低開発国の交渉グループと共同声明を発表。EU交渉団を率いるヘデゴー気候行動担当委員は「多くの国々が、我々の行程表に賛同している。ダーバンでの時間は残り少ない。会議の成否は、残る少数の国の手中にある」と拳を振り上げた。主要排出国の米国、中国、インドを念頭に置きながら、会議決裂に備え、予防線を張った。

EUが攻勢に出た背景には、温暖化対策の柱であるEU域内の排出量取引制度を守りたいという思惑が透ける。国際的な義務がなくなれば、削減へ向けた加盟27カ国の一体感が弱まり、取引市場が壊れかねない。
市場を続けさせるには、削減義務に切れ目が生じてはならない。ただ、先進国だけに削減を課す京都議定書は、2012年末で義務の期限が切れる。一方、すべての国が参加する温暖化対策の新たな国際体制に向けた議論は、米中など主要排出国の反対で進まない。

ところが、途上国の間で温度差が生まれていた。京都議定書の延長には、すべての途上国が賛成する。ただ、島国や低開発国など多くの途上国は、先進国だけでなく、中国やインドの排出量が急増していることに脅威を感じ始めている。さらに、先進国からの支援の仕組みができつつある新体制への移行を望む声が高まっていた。

そこへ、EUが切り崩しにかかった。「新体制への行程表に合意すること」を条件に、議定書延長を受け入れることを表明した。大半の途上国は雪崩を打ってEU提案に賛同し、これまでにない対立構図ができあがった。【12月11日 朝日】
*****************************

EUの思惑が排出量取引制度にあるのは事実でしょうが、何らかのインセンティブがないと、単に善意や使命感だけでは現実を変革する動きにつながりませんから、それはそれで・・・といったところでしょう。

COP17は難産でしたが、問題は山積しているものの、一定の合意は得ることが出来ました。
従来の「先進国」対「途上国」という硬直した構図がほぐれてきたようにも見えるのは、大きな成果ではないでしょうか。


2011-12-01 21:05:02

温暖化問題  ポスト京都に向けたCOP17の議論 カナダが議定書離脱のうわさ

テーマ:環境

碧空-マラウイ 貯水池
(アフリカ東部のマラウイ 新たな貯水池・灌漑設備の建設を喜ぶ人々 ポスト京都の議論だけでなく、将来への希望をもたらす地道な対応への努力も求められています。“flickr”より By CIDSE - together for global justice http://www.flickr.com/photos/cidse/6418432221/in/set-72157628189637715/

【「地球温暖化が現実の問題であることを示す何よりの証拠」】
地球温暖化については、暑かったり、寒かったり、個々の年によってはぶれが大きい気象について長期的趨勢を見極める必要があり、正確な把握・理解が困難です。
直近の状況に左右されやすい個人的な感覚より科学的データが求められますが、そうした“科学的データ”に対しても異論・反論も多々あるところです。

そんななかで、ここ10年間の世界の気温は過去最高になる・・・との報告が、南アフリカ・ダーバンで開催中の国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)で発表されています。

****2002~2011年も世界平均気温は過去最高、世界気象機関****
世界気象機関(WMO)は29日、2002~2011年は2001~2010年と並び、10年間の世界平均気温が過去最高になるとみられるという報告書(暫定版)を発表した。WMOは「地球温暖化が現実の問題であることを示す何よりの証拠」と、警鐘を鳴らしている。
気候の傾向と異常気象に関するこの報告書は、南アフリカ・ダーバンで開催中の国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)第17回締約国会議(COP17)で発表された。

それによると、正確な記録が残っている1850年以降で世界平均気温が最も高かった年の上位13位は過去15年間に集中していた。また2011年の世界平均気温は1850年以降で10番目に高かった一方、2001~2010年の平均気温を報告した国の中で、1961~1990年の平均気温を下回った国は1つもなかった。

報告書は、大気中の温室効果ガスの濃度は過去最高のレベルに達しており、世界平均気温を2~2.4度押し上げる水準に急速に近づきつつあるとしている。科学者たちの間では、世界平均気温が2.0度を超えて上昇すると、陸地と海の広い範囲で取り返しのつかない変化が起こりうると考えられている。

WMOのミシェル・ジャロー事務局長は声明で、人間の活動によって温暖化が進んでいることが科学的に証明されたとの見解を示し、政策立案者は今回の結果に留意する必要があると指摘した。
WMOのR・D・J・レンゴアサ事務次長は、「気候変動の最悪のシナリオを回避するための緊急行動が必要だ」と訴えた。【11月30日 AFP】
****************************

【空転する新たな枠組みづくり】
「気候変動の最悪のシナリオを回避するための緊急行動が必要だ」というのは以前から指摘されていることですが、実際にどのような変化が起きているのか、その原因が本当に温室効果ガスによるものなのか・・・という、そもそもの部分での疑問に加え、温暖化ガスの規制は将来的経済成長にとって大きな足かせになってしまうこと、そして何より、そうした痛みを伴う規制策受入れについて、先進国・新興国・途上国それぞれの立場が異なり、統一的な対応が困難なことから、規制に関する国際議論はここ数年空転を続けています。

現在の枠組み「京都議定書」には温室効果ガス排出の上位3国の中国、アメリカ、インドが参加せず、削減義務を負う日本やEUなどの総排出量は世界全体の27%に過ぎません。
その不完全な「京都議定書」も12年までしか規定しておらず、ポスト京都が求められています。

当然、日本・EUは対象国の範囲を広げることを主張していますが、規制による成長への足かせを嫌うアメリカや新興国、これまでの温暖化は先進国の経済活動によるものであるから、先進国が厳しい規制を実行しその責任を負うべきとする途上国の主張は対立したままです。

途上国側の主張は、日本の立場からすれば“とんでもない”ということになりますが、気候変動で実際に大きな被害を受けているのは途上国であり、どうして先進国のつけを自分たちが払わねばならないのか・・・という主張には説得力もあります。

“05年に13年以降の第2約束期間の設定について議論が始まった。さらに07年には、議定書で削減義務がない中国や議定書から01年に離脱した米国なども含む、すべての国が参加する枠組み創設についても交渉が開始された。
こうした流れで本来は09年のCOP15で新枠組みに合意する予定だったが失敗し、議論が先延ばしにされてきた。新枠組みについてEUなどは15年までに法的な新枠組みに合意し、20年までに発効するよう提案している。日本も法的枠組み実現を支持している。”【12月1日 毎日】

【新枠組みまで期限を区切った交渉開始の宣言(ダーバン・マンデート)を採択できるかが最大の焦点】
従来からの主張対立に加え、欧州の財政危機などで、各国が経済の立て直しを最優先課題にしているため、COP17では新ルールの採択は困難と見られています。
途上国・新興国が主張する京都議定書の延長に対し、日本は、13年以降は各国が自主的削減に取り組む「移行期間」とし、新たな枠組み作りを15年以降に先送りするよう主張しています。

そうした将来的道筋のないまま、現行の京都議定書が延長されることには強く反対しており、そうした場合は議定書に参加しないとの態度を表明しています。

****「京都」延長なら離脱 COP17政府方針を決定****
野田政権は29日、地球温暖化問題に関する閣僚委員会(座長・野田佳彦首相)を開き、南アフリカで開会中の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP17)の対応方針を決めた。

2012年末で温室効果ガス削減の義務づけ期間が終わる京都議定書について、次の約束期間をつくる「延長」には加わらないことを確認。仮に延長が決まった場合には参加を拒否し、先進国に削減義務を課す「京都体制」から離脱する姿勢を鮮明にした。閣僚委員会には、野田首相のほか細野豪志環境相ら11閣僚が出席した。

対応方針では、世界一の排出国である中国に義務がなく、2位の米国が批准していない京都議定書は世界の排出削減につながらないとして、米中も含めて削減義務を課す新体制を目指すとした。
記者会見した細野環境相は、議定書の削減義務国の排出量が世界全体の約27%にとどまることを指摘。「交渉では様々な判断があるが、(日本が)次の約束に参加しないことに変わりはない」と言い切った。

京都議定書のルールでは、新たな約束を設ける場合にはその国の同意が必要になる。約束を拒否すれば、日本は削減義務国のリストから外れ、12年までの削減義務や排出量算定のルールなどを含めた京都議定書の批准国としての位置づけだけが残る。 【11月29日 朝日】
*******************************

EUは、12年末で終わる京都議定書の延長を容認するのと引き換えに、2020年までに京都議定書で削減義務を負わない米中両国なども含む新たな枠組みの発効を目指す「ダーバン・ロードマップ(行程表)」を採択することに強い意欲を示しています。
新たな包括的な枠組み新設に向けた道筋をつけるという点では、日本も同じ立場にもなります。

****温暖化対策:COP17に作業部会…日本が提案****
国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)で日本は30日、京都議定書以降の温暖化対策の新枠組み(ポスト京都)実現に向けた来年以降の交渉のため、同条約の下に新たな作業部会を設置することを提案した。

新枠組みをめぐっては先進国と途上国、新興国の対立が激しく今回のCOPで合意するのは不可能な情勢のため、「交渉の場」の設定で議論の仕切り直しを狙う。
今回は、新枠組みまで期限を区切った交渉開始の宣言(ダーバン・マンデート)を採択できるかが最大の焦点で、日本提案は、このマンデート採択の後押しの意味もある。欧州連合(EU)も同日、日本と同様の提案をした。

京都議定書は先進国のみに温室効果ガスの削減義務を課している。来年末までの削減期間(第1約束期間)の延長を拒否する日本が、新たな交渉の場を提案することに反発する国も出てくるとみられる。最終日の9日までに各国の賛同を得られるかどうかは不明だ。(後略)【12月1日 毎日】
****************************

【カナダ離脱のうわさ 目標達成が絶望的で、やけくそ?】
そうしたなか、日本・ロシア同様に、京都議定書延長に反対しているカナダが、12月にも「京都議定書」からの脱退を表明する見込みだと報じられ、波紋が広がっています。

****「カナダ、議定書脱退」 地元報道****
カナダのテレビ局CTVは28日までに、温室効果ガスの排出削減を先進国に義務づけた京都議定書からカナダが脱退する方針だと伝えた。ハーパー政権が12月のクリスマス前に正式発表するという。
カナダが脱退すれば、議定書に定めのない2013年以降の新たな枠組み作りに深刻な影響を及ぼす可能性がある。

AP通信によると、カナダのケント環境相は28日、「(カナダが何らかの)発表をするのにふさわしい日ではない」と語り、報道を否定も肯定もしなかった。
カナダは議定書で、2008~12年の排出量を1990年比で6%減らすことを約束。
だが、世界第3位の石油埋蔵量を持つカナダは、採掘過程で多くの温室効果ガスを排出する新しいタイプのオイルサンド(油砂)の生産を増やしていることもあり、目標達成は困難な状況になっていた。【11月30日 産経】
*****************************

このカナダの方針が、“13年以降も議定書を延長することに反対”というだけでなく、“現行の京都議定書での約束をほごにする”という意味なら、その影響は甚大です。

“カナダのこの挙動に対しはさまざまな憶測が飛び交っている。カナダは「京都議定書」の期限である2012年末まで温室効果ガス排出量を1990年比で6% 削減すると約束したが、実際は、2009年時点で、排出規模は1990年を30%上回っており、目標達成は絶望的。やけくそになったという見方もあれば、 カナダがはっきりとしたコメントを発していないこともあり、これを交渉の切り札にし、交渉の結果が思い通りにならなければ、うわさを現実的なものにすると いう見方もある。

いずれにせよ、うわさの裏には危険が潜む。これはほかの国々にとっても悪い手本となり、「京都議定書」の効力を一段と薄め、気候変動に対応する国際法規や交渉体制にダメージを与える可能性がある。

カナダにとっていえば、こうした姿勢が有利であるかどうかが考え物だ。1つの国にとって、信用は国際上で存在感やイメージを左右するものであるからだ。 「京都議定書」は国際的に法的効力を持つ。この議定書の締約国として、これを放棄すれば、短期的に自らの利益を守るが、長期的には人類生存の大計に影響 し、自らの信用をも傷つける。うわさがうわさにとどまり、現実にならないことを願う。”【12月1日 毎日中国経済】

会議では他の国々からの厳しい批判が予想され、会議の雰囲気を険悪なものにし、日本への風当たりも厳しくなることも懸念されます。

****共同歩調国離脱なら日本にも飛び火 先進国への不信増幅も****
カナダが京都議定書から脱退すると報じられたことで、COP17の交渉はさらに厳しさを増す。カナダが議定書の目標達成を放棄すれば、先進国に対する途上国の不信が確実に増すからだ。
議定書の延長拒否で日本と共同歩調をとるカナダが途上国から総攻撃にあえば、日本が目指す全ての国が参加する枠組みの実現もさらに難しくなる。

細野豪志環境相は29日の会見で、カナダの離脱について「情報がないので確認したい」と述べるにとどめた。政府関係者は「カナダの『脱退』が、2013年以降も議定書を延長することに反対するという意味なら意外感はない」と話す。
だが、カナダが現行の議定書での約束をほごにするなら話は別だ。本来、目標達成が難しければ、他国から排出権を買い取ってでも達成する義務がある。それでも無理なら、議定書延長で合意した場合に削減目標を引き上げられるといった罰則もある。

日本も08~12年に排出量を90年比6%削減することが義務づけられている。東京電力福島第1原子力発電事故後に原発の活用が難しくなり、目標達成へのハードルは高いが、節電や排出権の買い取りなどで目標達成を目指す方針だ。
そんな中でカナダだけが削減義務を果たさず、延長にも応じなければ、議定書自体が空文化する。新興国やアフリカ、島嶼(とうしょ)国などから「先進国は自らの責任を果たすべきだ」という強い批判が沸き上がることは間違いない。

COP17で日本は、議定書が期限を迎えた後の13年以降について、全ての国が自主的な目標に向けて削減努力を進める枠組みを提案している。カナダの議定書脱退が先進国と新興国の溝を深めれば、日本案に対しても「先進国が責任を果たすのが先」との声が強まる懸念がある。【11月30日 産経】
****************************


2011-10-27 22:29:38

ナイジェリア  深刻な被害をもたらす原油産出による環境破壊

テーマ:環境

碧空-ニジェールデルタ
(1977に閉鎖された油井から長年原油がもれ続けていました。ロイヤル・ダッチ・シェル社は04年に20,000バレル以上の原油が流出したことを公表。流出した原油の回収・清掃作業にあたる下請け企業の現地労働者 “flickr”より By dawblog  http://www.flickr.com/photos/44157898@N05/4711530274/  )

【子供の頃から「川は黒いもの」】
西アフリカの地域大国、ナイジェリアの話題と言えば、南北の宗教対立(北部のイスラム教徒と南部のキリスト教徒)による住民間の衝突・虐殺、南西部ニジェールデルタの石油産出地帯(ナイジェリアはアフリカ最大の石油産出国です)における反政府勢力による石油施設攻撃に関するものが多いようです。
最近では、「ナイジェリアのタリバン」とも呼ばれているイスラム過激派「ボコ・ハラム(西洋の教育は罪)」によるテロ活動もよく見聞きします。

一般的にニュースというものはネガティブなものが多くなりますが、そうした点を割り引いても、いろんな問題を抱えるナイジェリアです。

きょう目にした記事は、上記の“ニジェールデルタの石油産出地帯”にも関連する、ロイヤル・ダッチ・シェルなど欧米石油資本による乱開発・環境汚染の問題です。

****黒い川、村を破壊=半世紀続く流出油汚染―輸出を優先、住民無視・ナイジェリア*****
黒く濁った川が半世紀の間、ナイジェリアの村々を破壊している。同国南部デルタ地帯はアフリカ最大級の油田だが、欧米の石油企業による乱開発が住民を無視して進められ、流出する黒い油膜で村は次々覆われた。現地から環境保護活動家ディネバリ・バレバ氏(33)が来日し、全国を回って実態を訴えている。

独立前の1950年代から始まった油田開発は、今やナイジェリアの国家歳入の8割を支える。しかし、欧米への輸出を優先し、油田やパイプライン周辺の環境破壊、住民の健康被害は放置されてきた。事態の改善を求めた環境活動家が軍事政権に処刑されたこともある。

デルタ地帯のボド市で生まれたバレバ氏にとって、子供の頃から「川は黒いもの」であり、そこで魚を釣って遊んだ。しかし、増水し畑に黒い水が入り込むと作物は枯れ、農地は使えなくなる。土を処理し肥料を与え畑を再生させても、また浸水する。両親の苦労を見詰めて育った。

大学を出て環境問題に取り組むようになったバレバ氏は2007年、大規模な流出事故に遭遇する。騒ぎを聞いて現場に駆けつけると「パイプラインの亀裂から噴水のように石油が噴き出している」のが見えた。原因は設備の老朽化。しかし「流出を止めるまで3カ月かかり、さらに翌年、同様の事故を再び起こした」と、事故の責任者、英オランダ系石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルの対応をバレバ氏は強く批判する。

この相次ぐ事故で「流出油から辛うじてボドを守ってきたマングローブの林は死滅」し、汚染は井戸にも及ぶ。「住民はどこへも行き場がない。他に飲めるものはないから、油の浮いた水を飲んでいる」とバレバ氏は窮状を訴える。【10月27日 時事】
*****************************

【4年間で3000回】
原油流出事故としては、アメリカ・メキシコ湾の大規模流出が記憶に新しいところですが、ナイジェリアでは4年間に3000回(!)の原油流出事故が起きているとの報道もありました。

****ナイジェリア、4年間で3000回の原油流失事故が発生****
世界第8位の石油輸出国であるナイジェリアでは、2006年から前月までの間に、少なくとも3000回の原油流出が確認されている。国営ナイジェリア通信が27日報じた。

同日、石油各社の首脳を集めて開かれた会議で、ジョン・オディ環境相が明らかにしたもの。なお、流出量の概算は示されなかった。
オディ環境相は、英エネルギー大手BPの石油掘削施設の爆発に端を発したメキシコ湾の原油流出事故について、被害者補償のための基金が設立されたことに言及。「わが国も同様の試みを検討していく必要がある」と述べた。
また、首脳らに、原油流出問題に関して社員教育や啓蒙活動を徹底するよう求めた。

同国で操業する石油各社は、原油流出事故について、ニジェールデルタで活動する武装勢力の仕業だと主張してきた。こうした勢力は、潤沢な石油収入を地元にも公平に分配するよう強く求めて武力闘争を繰り広げている。【10年7月28日 AFP】
********************************

高濃度ベンゼン汚染水を飲用】
こうした、ニジェールデルタにおける原油による環境汚染は国連の“お墨付き”でもあります。
****ナイジェリア・ニジェールデルタの石油汚染は史上最悪規模、国連****
国連環境計画(UNEP)は4日に発表したナイジェリア最大の産油地帯ニジェール・デルタに関する報告書のなかで、同地帯の一角を占めるオゴニランドを数十年にわたり荒廃させてきた石油汚染について、史上最大規模の除去作業が必要だとの認識を示した。
さらにUNEPは、除去作業の費用として10億ドルを拠出するよう、石油産業とナイジェリア政府に求めた。

報告書は、オゴニランドの石油汚染が及ぼす広範囲な影響について2年間、実施した科学的調査の結果をまとめたもので、同地域の再生には少なくとも30年かかると予想した。
報告書によると、オゴニでは少なくとも10の共同体で、飲み水が高濃度の炭化水素で汚染されていた。オゴニランド西部のある共同体の井戸は、世界保健機関(WHO)の基準を900倍以上も上回る高い濃度のベンゼンで汚染されていたにも関わらず、人々はこの水を日常的に飲んでいた。

人権活動家らは、石油汚染の元凶として、1993年に同国から撤退するまでオゴニランドで操業していたナイジェリア史上最大の石油会社、英・オランダ系アングロ・ダッチ・シェル(現ロイヤル・ダッチ・シェル)を強く非難している。
シェルが同地からの撤退を余議なくされたのは、住民らの貧困に加えて、同社のパイプライン建設は環境を軽視したものだとの疑惑がきっかけで、地元で騒乱が発生したためだった。

地元のボド村は、2008年と09年の原油流出事故をめぐり、シェルに損害賠償を求める訴訟を英国で起こしていたが、シェルは今週になって、この流出事故に関する責任を認め、損害賠償することを明言した。
その一方で、シェルは流出した原油量は4000バレルで、オゴニランドの環境破壊の主な原因は、違法な石油精製や(オゴニランドに敷設された)パイプラインからの原油の抜き取りにあると主張している。【8月5日 AFP】
*****************************

“油の浮いた水を飲んでいる”【10月27日 時事】とか、上記記事の“世界保健機関(WHO)の基準を900倍以上も上回る高い濃度のベンゼンで汚染されていたにも関わらず、人々はこの水を日常的に飲んでいた。”ということで、発がんなどの健康被害が容易に予想できます。

【住民による原油抜き取りと大規模事故、背景には貧困・格差】
ただ、ロイヤル・ダッチ・シェルなど大手石油企業を若干弁護すれば、彼らも主張しているように、原油流出・環境汚染は企業側の問題だけでなく、ニジェールデルタの反政府勢力が石油施設を攻撃目標にして、パイプラインなどを破壊していることや、住民らによるパイプラインからの原油抜き取りによる部分もあります。

そして住民による原油抜き取りは往々にして大規模な爆発事故を引き起こしています。
首都ラゴス周辺でも、そうした事故が多発しています。


****ナイジェリアの石油パイプラインで火災、少なくとも45人が死亡****
****ナイジェリア当局者が26日明らかにしたところによると、同国の首都ラゴス近郊の石油パイプラインで25日、住民が地中のパイプラインから原油を盗み取ろうとしている最中に引火して火災が発生し、少なくとも45人が死亡した。

ナイジェリアでは国民の9割が1日2ドル以下で生活しているため、大きな危険を冒して原油を盗もうとする者が多く、こうした事故がしばしば発生している。
昨年の12月26日には、別の地域でパイプラインが爆発し、250人以上が死亡した。(後略)【07年12月27日 ロイター】
******************************

06年12月の250人以上の死者を出した爆発事故もラゴス周辺でした。
98年には1000人以上の死者を出す事故も起きています。
ナイジェリアは世界有数の産油国の一つであるにもかかわらず、その利益は一部の者によって独占されており、ナイジェリア国民1億3千万人のうち、そのほとんどが深刻な貧困状態にあります。
そうした貧しい村人たちは、石油を盗むことを生まれながらの権利だと考えているというような指摘【06年12月26日 ヘラルド ・ トリビューン】もあります。

莫大な富と国民の幸せをもたらすはずの石油産出が、ナイジェリアでは利権まみれの政治腐敗、富の格差、更に環境破壊を生んでいます。

2011-10-11 20:34:24

温暖化対策:ポスト京都議定書、COP17では絶望的 「ダーバン・マンデート」や条件付き延長も

テーマ:環境
碧空-パナマ 作業部会
(パナマで開催された国連気候変動枠組み条約の特別作業部会 土砂降りに濡れまいとして会議場に駆け込む関係者 彼らに傘が必要なように、地球には新たな枠組みが必要? “flickr”より By ~MVI~ (recharging in LA) http://www.flickr.com/photos/bigberto/6214216515/

【日本は13年以降「空白期間」に突入】
現在の国際的温暖化対策である京都議定書の期限切れが2012年末に迫っていますが、13年以降の新たな枠組み(ポスト京都議定書)などを話し合う国連作業部会が7日に閉幕しましたが、従来からの先進国と途上国の意見が対立する構図は解消されず、年末に南アフリカで開かれる国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)に議論を先送りした形となりました。
これにより、COP17におけるポスト京都の新たな枠組みの採択は絶望的になったと見られています。

****COP17:ポスト京都議定書の枠組み採択絶望的に****
12年末に先進国の温室効果ガス削減義務の期限が切れる京都議定書後の枠組みを協議してきた国連気候変動枠組み条約の特別作業部会が7日午後(日本時間8日)、パナマ市で閉幕した。主要議題で各国の主張は対立し目立った進展はないまま1週間の協議を終えた。

今回は11月末から南アフリカで開かれる同条約第17回締約国会議(COP17)に向けた最後の事前交渉で、COP17でポスト京都の新たな枠組みを採択することは絶望的になった。
閉会後会見したクリスティアナ・フィゲレス条約事務局長は「政治レベルで解決が必要だ」と述べ、交渉が行き詰まっていることを認めた。

 ◇事前交渉、対立のまま終了
作業部会では終始、途上国にも対策を求める先進国と、先進国が率先して取り組むべきだとする途上国が対立した。途上国の取り組みを支援する資金援助の議論でも難航を極めた。このため、COP17では、新たな枠組みを採択する期限を定めた文書の採択も視野に交渉する予定だ。

また、締約国は交渉の途中から議定書を暫定的に延長することで調整に入った。延長案は、温暖化対策の法的枠組みが国際的に途切れることを回避する「つなぎ」の狙いがある。欧州連合(EU)や豪州、ノルウェー、ニュージーランドなどは近い将来、ポスト京都の確実な実現を条件に暫定延長に賛成する可能性が高い。ただし、暫定延長を反映した改正議定書を12年末までに各国が批准する時間がないため、「締約国決定(COP決定)」という形で運用上、13年以降も削減義務期間を設けるという方法も検討している。

 ◇13年以降、日本「空白期間」に
一方、日本は2大排出国の中国と米国に削減義務がないのは問題として反対。カナダとロシアも同様の立場で、日本を含めた3カ国は13年以降、削減義務がない「空白期間」に突入することが確実になった。削減義務のある国の排出量は世界全体の10%台になり、国際的な温暖化対策が一層形骸化しそうだ。

EU代表団は「日本、カナダ、ロシア、米国が第2約束期間(13年以降)に排出削減義務を課せられることを受けると予想していない。しかし、(日本の25%削減など)各国が掲げた目標は実行すべきではないか」と訴えた。

 ◇京都議定書
97年に開かれた国連気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3、地球温暖化防止京都会議)で採択された。先進国に二酸化炭素などの温室効果ガスの排出削減を義務付け、08~12年(第1約束期間)に日本は1990年比6%、欧州連合(EU)は同8%の削減義務を負う。同7%削減の義務を負った米国は経済影響などを理由に離脱。世界最大の排出国になった中国など途上国に削減義務がなく、現在では削減義務がある国の二酸化炭素排出量は世界の3割に満たない。【10月8日 毎日】
*****************************

【そう簡単な話ではない「ダーバン・マンデート」】
ポスト京都議定書が絶望的となるなかで、応急措置として出てきている議論が、「ダーバン・マンデート」と呼ばれる「一定の期限内に新枠組みの採択を求める」というものです。

****COP17:宣言案は「一定期限内に新枠組み採択」****
11月末に南アフリカ・ダーバンで開かれる国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)で協議される新たな宣言案が明らかになった。7日までパナマ市で開かれた同条約の特別作業部会で、12年末に期限が切れる京都議定書後の新たな地球温暖化対策の枠組みの採択が絶望的になったことを受け、「一定の期限内に新枠組みの採択を求める」としている。

宣言案は「ダーバン・マンデート」と呼ばれる。文書によると、COP17で「行程表と内容を明確にしたうえで、結論を出すことを宣言する」としている。先進国と途上国が温室効果ガス排出削減をめぐって対立、期限を区切って交渉を仕切り直す狙いがある。

温暖化交渉をめぐっては、95年にベルリンで開催された同条約第1回締約国会議(COP1)で、「先進国の削減量を定めた議定書を、97年のCOP3で採択する」と宣言した「ベルリン・マンデート」を決議し、京都議定書誕生につながった経緯がある。
このため「ダーバン・マンデート」がCOP17で決議されれば、新枠組み実現に向けた交渉継続の後押しになる可能性がある。

ただし、米国や中国などは「具体的な温暖化対策の実施が先だ」などと消極的だ。日本政府代表団も「マンデートが決議されればベストだが、そう簡単な話ではない」とみており、決議されるかどうかは不透明だ。【10月8日 毎日】
****************************

中身の合意ができないなら、期限だけでも決めようという「ダーバン・マンデート」ですが、制約を課せられることを嫌う国が多いなかでは、それもなかなか困難な状況です。

【EU:条件付きで、京都議定書延長受け入れ合意】
途上国側は先進国のみを制約する京都議定書の延長を求めていますが、EUとしては、現在枠外にいるアメリカや中国、インドなど主要排出国が削減目標の枠組みに参加することなどの条件付きで、新枠組み合意までのつなぎとして、京都議定書の延長を認める方針を決めています。

****EU、京都議定書延長受け入れ 米中印の参加など条件に*****
欧州連合(EU)は10日開いた環境相理事会で、温室効果ガス削減を求める「京都議定書」の期限が切れる2013年以降について、条件付きで同議定書の延長を受け入れることで合意した。延長は、新しく法的拘束力のある枠組みを作るまでの移行期間として位置づけた。

米国や中国、インドなど主要排出国が削減目標の枠組みに参加することや、同議定書で決めた排出量取引などの主な取り組みを維持・発展させることなどを延長の条件に挙げた。
EUは、今月の首脳会議で方針を正式に決め、11月下旬の南アフリカでの国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP17)に臨む。【10月11日 朝日】
**************************

かねてより温暖化対策に積極的なEUの動きの背景には、排出量取引や新たなエネルギー対策を梃子に国際的な影響力を高めていこうとする国家戦略があると考えられていますが、そうした戦略が可能なのは、やはり市民ひとりひとりの温暖化対策への関心が高いことがあります。

****EU市民、地球温暖化問題への関心強まる****
NNA 10月11日(火)9時0分配信
 欧州連合(EU)加盟国市民の地球温暖化問題への関心が高まっている。EUの世論調査「ユーロバロメーター」で明らかになった。

6月に実施された最新アンケートによると、EU市民の68%が気候変動を「きわめて深刻な問題」と認識。「深刻な問題」と考える人を合わせると全体の89%に上った。深刻度を10段階評価すると7.4となり、2009年の7.1から上昇している。また5人に1人が温暖化を世界で最も深刻な問題と捉えている。

 一方、気候変動対策やエネルギー効率改善の取り組みが経済や雇用にとってプラスとなると考える市民は78%に上り、68%がエネルギー消費量に応じた課税を支持していることも分かった。【10月11日 NNA】
***************************

【日本:化石賞受賞】
日本は、これまでのところ、カナダやロシアとともに京都議定書延長にあくまでも反対の方針ですが、国民の間の関心もそれほど高まっているようにはみえません。鳩山元首相はかなり思い切った国際公約をしていますが。
もちろん、温暖化に関心があるか?と問われれば多くのひとがYesと答えるでしょうが、自分のライフスタイルを変えてまでの覚悟というのは、疑問のように思えます。私自身を含めての話ですが。

日本政府の反応も、そういう国民の関心の低さ、あるいは慎重さを反映したものでしょう。
そのあたりは、原発政策についても同様です。
こうした温暖化、脱原発への対策に関する慎重な対応は、変化を求める側からすると“化石”のようにもみえることになります。

****温暖化交渉 日本に化石賞 NGO、原発輸出の姿勢批判****
温暖化対策を話し合う国連気候変動枠組み条約のパナマ作業部会で、国際環境NGOでつくる「気候行動ネットワーク」は3日(日本時間4日)、交渉で最も後ろ向きだった国に皮肉を込めて贈る「化石賞」に日本を選んだ。東京電力福島第一原発事故の収束ができていないのに、途上国への原発輸出を温暖化対策の一つとして認めるよう主張した、という理由だ。

NGOなどによると、2日の非公開会議で、先進国が途上国に技術や資金を援助した事業で温室効果ガスを減らすと、自国の削減量の一部として計上できる「クリーン開発メカニズム(CDM)」の見直し案について議論があった。そこで日本代表団が、原発輸出をCDMの検討対象として残すべきだ、という趣旨の主張をしたという。
NGO側は「事故を起こした原発を途上国に輸出するのは倫理的におかしい」などと批判した。会議では、京都議定書の延長を求める途上国側の発言が相次ぎ、反対の立場の日本への風当たりが強まっている。(パナマ=小林哲) 【10月4日 朝日】
*****************************
2011-09-09 21:54:30

温暖化で沙漠の緑化が進行? 海面上昇でもツバルは沈まない?

テーマ:環境


碧空-ツバル
(ツバル ラグーンと外洋を隔てる僅かな陸地に襲いかかる波 海面上昇・水没の話は別にしても、ツバルは大潮で浸水する脆弱性を以前から抱えています。 “市街地の一部は春秋分に近い時期に発生する通常より大きな大潮で満潮時に地中から湧き出してくる水によって 0.6 m まで浸水する。 特に強風が吹く2月を中心として発生する大潮は大きくなり、南太平洋では「キング・タイド」(king tide) と呼ばれている”【ウィキペディア】 写真は“flickr”より By Ecoflo http://www.flickr.com/photos/ecoflo/5459580293/

【気温が上昇するにつれて、乾燥地域の周縁部で緑化が進行】
いつも言うように、温暖化の議論で悩ましいのは、複雑な短期的変動を行う気候とその影響の長期的推移を見通すことが非常に困難なことです。
温暖化そのものに対する反論もありますが、温暖化した場合の影響についても諸説あるようです。

一般的・常識的には、温暖化の進行で、現在も進行していると言われている砂漠化が、より厳しくなって飢餓などの原因にもなりかねない・・・と思われています。
しかし、温暖化の進行は砂漠化ではなく、砂漠の緑化をもたらすとの主張もあります。そして、それは現地調査や衛星画像で明らかだ・・・とのことです。

****地球温暖化で緑化が進む?常識を覆す楽観論が登場*****
気温が上昇すると世界各地で降雨量が増え植物が繁殖する、とドイツ人研究者が指摘 

数干年前、現在スーダンがある辺りのサハラ砂漠には大河が流れていた。魚やワニ、カバが生息しており、農業を営む人々の暮らしを支えていた。
やがてアフリカ北部は乾燥し、草原はサハラ砂漠と化してしまった。この大河も1年の大半は干上がっている。原因は気候変動だ。

ドイツのケルン大学の地質学者シュテファン・クレペリンが行った6000年前のデータなどに基づく研究によれば、気温が下がるにつれてサハラ砂漠は拡大していった。世界的な寒冷化に伴い、大気中の飽和水蒸気量が減少して降雨量が減り、乾燥地域が増えたのだ。

だが今、逆転現象が起きている。気温が上昇するにつれて、サハラ砂漠などの乾燥地域の周縁部で緑化が進行しているのだ。
以前は砂漠だった場所に草や低木、アカシアの木が生えていると、クレペリンは言う。こうした変化は、30年に及ぶ現地調査で彼が撮り続けてきた写真や衛星画像からも明らかだ。

乾燥地域がより肥沃に
気候変動が今のペースで進むと、アマゾンの熱帯雨林は消失し、降雨量が減り、大規模な干ばつが起きるかもしれない・・・こうした悲観論に、クレペリンの地質学的データは疑問を投げ掛ける。
国連主催のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の「悲観的」な報告は、アフリカの広範な地域で降雨量が減少し、ソマリアで起きているような飢饉が珍しいものではなくなるかもしれないと予測している。

こうしたシナリオに批判的な目を向ける科学者はクレペリンだけではない。彼らの膨大なデータが示しているのは、気温の上昇によって世界の幅広い地域で降雨量が増え、植物がより繁殖し、何世紀も荒れ果てていた地域に植物が生えてくるという可能性だ。

極寒の地グリーンランドでも再び農業が行われるようになってきた。そもそもグリーンランドという名前は、「中世の温暖期」に最初にこの島に上陸した人物が、ここでは農業が可能だとして名付けた恚のだとされる。
アルプスでは樹木の限界高度が徐々に上昇している、という報告もある。(中略)
サハラ砂漠南緑のサヘル・サバンナ地帯はしばしば飢饉に見舞われるという問題を抱えている。だがこれは気候というよりむしろ、50年代以降に人目が約3倍に増え、草を根ごと食べ尽くすヤギがたくさん飼われるようになったことに関係しているようだ。
クレペリンによると、ヤギが入ってこないようにフェンスを張り巡らせた地域には植物がまた生え始め、かつてないほど緑化が進みつつあるという。サヘル地域は自然に砂濃化したのではない。「自然」を保護すれば逆の現象が起きるのだ。

クレペリンは、温暖化に関する主流派の説に反する楽観的な考えを吹聴しているとして、一部の科学者から非難されているとこぼす。「彼らはコンピューターを使った予測算出に夢中で、現地で実際に起きていることには無関心のようだ」
しかしクレペリンら「楽観派」の説が正しければ、温暖化が進んでも最悪の状況は避けられるかもしれない。【9月14日 Newsweek日本版】
****************************

クレペリン氏の説が正しいのかどうかは判断のしようがありません。
仮に正しい場合でも、人口爆発が続くアフリカで飢餓を防ぐためには、“ヤギが入ってこないようなフェンス”という考え方の工夫・努力が求められます。何もしなければ、結果はやはりソマリアのような悲劇でしょう。

【「島々が海面上昇に対する回復力を備えている」】
砂漠化と並んで、温暖化の影響としてあげられるのが海面上昇、それによる国土消失です。
これについても異論はあります。
****温暖化:「海面上昇でもツバル沈まず」 英科学誌に論文****
「太平洋の島々は成長を続けており、海面が上昇しても沈むことはない」--。そう主張する研究論文が英科学誌「ニュー・サイエンティスト」に掲載され、議論を呼んでいる。(中略)

過去60年間に撮影された航空写真と高解像度の衛星写真を使い、ツバルやキリバスなど太平洋諸島の27島の陸地表面の変化を調査した。
その結果、海面は60年前よりも12センチ上昇しているにもかかわらず、表面積が縮小しているのは4島のみ。23島は同じか逆に面積が拡大していることが明らかになった。ツバルでは九つの島のうち7島が3%以上拡大し、うち1島は約30%大きくなったという。

拡大は「浸食されたサンゴのかけらが風や波によって陸地に押し上げられ、積み重なった結果」であり、「サンゴは生きており、材料を継続的に供給している」と説明。1972年にハリケーンに襲われたツバルで、140ヘクタールにわたってサンゴのかけらが堆積(たいせき)し、島の面積が10%拡大した事例を紹介している。

研究に参加したオークランド大学(ニュージーランド)のポール・ケンチ准教授は「島々が海面上昇に対する回復力を備えていることを示す」と指摘し、「さらなる上昇にも対応する」と予測。
一方、海面上昇が農業など島民生活に影響を与えることは避けられないとして、「どのような地下水面や作物が温暖化に適応できるか調べる必要がある」としている。【10年6月9日 毎日】
*****************************

【「気候変動は今も、太平洋諸島の人々の生活、安全、幸福を脅かす単一かつ最大の脅威だ」】
これについても何とも評価しようがありませんが、キリバスやツバルなどからは、「台風が来れば、ヤシの木に登る以外に逃げ場はない」(COP16でツバル副首相)、「温暖化は国家存続の脅威だ」(ミクロネシア連邦の副大統領)との発言というか悲鳴が出ています。
仮に「島々が海面上昇に対する回復力を備えている」にしても、部分的には水没する地域もあり、適切な対応が求められます。“対応”としては、最終的には“移住”ということになります。

****「気候変動が最大の脅威」、太平洋諸島 移住計画策定へ****
ニュージーランドのオークランドで7~8日に開かれた太平洋諸島フォーラム(PIF)は、気候変動が加盟国にとって最大の脅威だと確認するとともに、海面上昇で国土水没の恐れがある地域の住民の移住計画の検討を進めることを決めた。

PIFは共同声明で「気候変動は今も、太平洋諸島の人々の生活、安全、幸福を脅かす単一かつ最大の脅威だ」と指摘。キリバスなどでは既に気候変動の影響が顕著に現れ、海面上昇のため村が水没して移住を強いられる住民が出ており、こうした人々への経済的支援が必要だと訴えた。

また、加盟16か国・地域の島しょ国の多くが海外援助に大きく依存していることから、「各国・地域それぞれの特殊事情や必要性」を考慮したうえで、加盟国・地域が住民の移住や経済支援の方法に関する報告書をまとめることを決めた。【9月9日 AFP】
*****************************

【オーストラリア 難民政策迷走】
この地域においてはオーストラリアが圧倒的地域大国の立場にありますので、移住計画においても、その役割は大きなものがあります。

オーストラリアの島嶼国からの移民に対する対応がどうなっているのかは知りませんが、ラッド前首相時代に寛容な難民政策をとったことで、アフガニスタンやスリランカ、イランやイラクから、マレーシアやインドネシアを経由して船でオーストラリアに渡って来る難民が後を絶ちません。
その結果、オーストラリアの受け入れ施設が許容量オーバー状態に陥り、ギラード首相は難民のマレーシアへの移送を計画しました。

しかし、以前にも取り上げたように、マレーシアの法律が難民に対して適切な保護を与えていないという問題があり、そうした国への移送は人権侵害にあたるとの批判が出て、結局、最高裁はマレーシア移送を違法との判断を示しています。

****「マレーシアへ難民移送」豪協定、最高裁が差し止め命令****
オーストラリアに押し寄せる難民認定希望者800人をマレーシアに移送し、すでに国連に難民認定された同国在住の4千人を受け入れる両国間の難民交換協定について、豪州最高裁は8月31日、違法だと判断、協定の差し止めを命じた。難民政策で迷走する豪州のギラード政権は窮地に陥っている。

労働党のギラード政権は、アフガニスタンなどからの難民船来航に歯止めをかける「特効薬」として7月末、協定を締結。8月初めに移送第1陣となるはずだったが、難民認定希望者側が「難民条約に未加入のマレーシアでは人権が保障されない」などと最高裁に訴えた。

最高裁は、認定希望者の他国への移送は豪移民法の定めた政府の権限を逸脱すると認定した。難民保護が法的に制度化されていない国への移送は認められないとも指摘した。

ギラード首相は1日の記者会見で、最高裁の決定に深い失望を表明。政府は、保守系のハワード元政権時に一時実施されたパプアニューギニアでの難民希望者の収容を再開させる案を模索してきたが、ギラード氏は「最高裁決定が(他の)海外での難民認定手続きを許可するかどうか、大いに疑問だ」と述べ、政策の見直しの必要性も示唆した。【9月5日 朝日】
****************************

オーストラリアの難民政策の迷走は、単に受け入れ施設の環境悪化や収容期間の長期化といった問題だけでなく、欧州社会の保守化と同様に、社会全体の移民・難民に対する非寛容の傾向の反映でもあります。
そうした点を考慮すると、島嶼国からの移民受け入れに問題が起きそうにも思えます。


2011-07-07 21:37:47

温暖化  ラクダと石炭、そして有機被膜太陽電池

テーマ:環境
碧空-太陽光パネル
(バングラデシュの水上学校のボートにも太陽光パネルが。バングラデシュでは、人口約1億5000万人のうち6割が電気のない生活をしており、大きなインフラを必要としない太陽光パネルの普及を図っています。その結果、今年6月には太陽光パネルを導入した世帯数が100万世帯に達したそうで、2014年までに250万世帯への導入を目指しています。 “flickr”より By The Earth Awards http://www.flickr.com/photos/theearthawards/4812831798/

【オーストラリアの野生ラクダ射殺案に、ラクダ科研究開発国際協会が怒る】
オーストラリアで野生化しているラクダが温室効果ガスの排出源になっているとして、二酸化炭素(CO2)削減の取り組みの一環でラクダの殺処分が検討されている・・・・というニュースは、6月11日ブログ「オーストラリア  牛とラクダと難民に見る“人道的”ということ」(http://ameblo.jp/azianokaze/day-20110611.html )で紹介したところですが、ラクダ専門家が登録するラクダ科研究開発国際協会がこの話に怒っているとか。

****CO2削減のラクダ処分案に抗議、オーストラリア*****
オーストラリアで野生化しているラクダが温室効果ガスの排出源になっているとして、二酸化炭素(CO2)削減の取り組みの一環でラクダの殺処分が検討されていることに対し、ラクダ研究者の協会が4日、正式に抗議声明を発表した。
300人のラクダ専門家が登録するラクダ科研究開発国際協会(ISOCARD)は、ラクダたちは人間が生んだ問題の犠牲になっていると怒りをあらわにしている。

オーストラリアの野生ラクダは、19世紀に入植者が連れてきたラクダが野生化した。現在、アウトバックと呼ばれる辺境地帯を徘徊する数は120万頭に上るが、草原を食べ尽くして植生が失われたり、排出される腸内ガスのせいで、1頭あたり年間1トンのメタンを算出している計算になる。

ラクダの殺処分案は、豪政府のオーストラリア気候変動・エネルギー効率化省が公開した諮問書から浮上したもので、アデレードの広告会社ノースウエスト・カーボンが、ヘリコプターからラクダを射殺するか、群れをまとめて食肉処理場へ送り、食用やペットフードに加工する処分案を提案した。

しかし、アラブ首長国連邦に本部があるISOCARDは、この計算はばかげていると一蹴(いっしゅう)し、「ラクダの代謝効率はウシよりもよほどよい。ウシに比べて20%少ない餌で、20%多いミルクを算出する。またラクダの腸内の細菌叢(そう)は、ウシやヒツジよりも、ブタのような単胃動物に近い。したがってラクダによるメタン排出量の計算方法には疑問がある」と反論した。そして、世界にいる計2800万頭のラクダは植物を食べる生き物全体の1%にも満たないとも主張している。
協会では、野生のラクダは食肉やミルク、皮革などが利用できるほか、観光業にも役立っており、乾燥地帯におけるかけがえのない資源とみなすべきだと述べている。

火力発電と鉱山資源の輸出に依存するオーストラリアは、国民1人当たりの温室効果ガス排出量が世界でも最も多い国の部類に入る。政府は2012年の半ばから、温室効果ガス排出量の多い企業などへの課税を計画している。【7月5日 AFP】
*****************************

クジラやインドネシアに輸出される牛など動物愛護に熱心なオーストラリアですので、政府としては“ヘリコプターからラクダを射殺”などといった案を検討している訳ではないでしょうが・・・。
植生破壊と言う点では、ラクダより世界各地の原生林を破壊している人間のほうが責任が大きいのは間違いありませんから、やはり人間の範囲で問題解決をはかるべきでしょう。
それにしても、ラクダ科研究開発国際協会なんてあって、やはり本部はアラブにあるというのがちょっと面白い感じです。

ところで、メタン排出量云々という話で言えば、そもそも生物が呼気として吐き出しているCO2はどんなものでしょうか?地球上の人類が爆発的に増加している現在、その吐き出すCO2量の増加もかなりのものになるのではないでしょうか?こればっかりは削減する訳にはいきませんが。

【中国で石炭消費が増加した結果、温暖化進行が止まる?】
温室効果ガスの話は、複雑な変動を伴う自然現象の長期間にわたる問題ですので、なかなか本当のところがわかりにくいという側面があり、温暖化が人間活動によるCO2増加によってもたらされているという定説には懐疑論もあります。

温暖化については、中国の石炭使用がいつも“悪者”としてやり玉にあがりますが、逆に中国の石炭使用で温暖化が阻止されているとの説もあるようです。

****中国が燃やす石炭で温暖化一時止まる、米研究****
1998年から10年間、地球温暖化の進行が止まったのは、中国で石炭消費が増加した結果、大気中の硫酸塩エアロゾルが増え冷却効果をもたらしたためだとする米国とフィンランドの科学者らによる研究結果が、米科学アカデミー紀要(PNAS)にこのほど発表された。
地球温暖化説に対する懐疑論者は、1998~2008年には一定の気温上昇が見られなかったことを根拠に、人間の活動で排出される温室効果ガスが地球温暖化の原因との見方を否定している。

今回、研究を主導した米ボストン大学のロバート・カウフマン教授も、懐疑派の指摘がきっかけで研究を思い立ったとAFPの取材に語った。
カウフマン教授らの研究チームが、気温上昇を防いだ要因と結論付けたのは、石炭だった。
石炭の燃焼量は、急激な経済成長を続ける中国を中心に、過去10年間で急増した。石炭を燃やすと硫黄が排出されるが、カウフマン教授らはこの硫黄の粒子に妨げられて太陽光が地表まで届かず、温暖化を防いだと見ている。

カウフマン教授によると、こうした現象には前例がある。第二次世界大戦後の経済成長期に欧米や日本では温室効果ガスが急増したが、硫黄の排出量も急速に増え、その結果、温室効果ガスの影響が相殺されたという。
研究は、地球の気温が上昇し始めたのは、先進国が硫黄排出量を削減する取り組みを始めた1970年初頭ごろからだと指摘している。

世界の石炭消費量は、03~07年の5年間で26%増加した。うち75%は中国によるものだ。中国は今も世界最大の温室効果ガス排出国であり、排出量も増え続けているが、一方で石炭工場に汚染物質除去装置を設置するなど、ようやく大気汚染の防止対策を始めた。そして、こうした措置を講じたことによって09年から再び、地球の気温が上昇し始めたという。

ただ、大気中の硫黄は一時的な冷却材の役割を果たす反面、酸性雨や呼吸器系の疾患の原因となるなど、数々の有害な影響をもたらす。
このため、地球温暖化を阻止する手段を硫黄に求めることは「毒をもって毒を制すようなものだ」と、カウフマン教授は述べた。「硫黄による温暖化阻止説にも一理あるが、これに満足する人間は少ないだろう。中国のように大気汚染の中で生活することを意味するのだから」【7月6日 AFP】
****************************

石炭の使用で温暖化が阻止され、汚染物質除去装置の設置で温暖化が進行する・・・本当でしょうか?
否定する根拠もありませんので、とりあえずは「フーン・・・」ということで。

【「空白期間」が生じる恐れ】
温暖化防止の取り組みは、相変わらず進展がないようです。
****地球温暖化:枠組みづくり ベルリンで閣僚級国際会議*****
京都議定書に定めのない2013年以降の地球温暖化対策の国際枠組みづくりに関する閣僚級の国際会合が3日、ベルリンで2日間の日程で始まった。今年末に南アフリカ・ダーバンで開催される気候変動枠組み条約の第17回締約国会議(COP17)に向け、難航する国際交渉を促進させるのが狙い。日本からは樋高剛環境政務官が出席した。
会合では、地元ドイツのレトゲン環境相と南アのヌコアナマシャバネ外相が共同議長を務め、欧米、アジアなど約35カ国の代表が参加。レトゲン環境相は「ダーバン会議に向け、国際的な課題に対応する準備を進めたい」と語り、ヌコアナマシャバネ外相も各国に「妥協」を促した。

昨年11~12月にメキシコのカンクンで開催されたCOP16は、発展途上国への資金援助や新興国を含む排出削減の検証の仕組みなどの要素を盛り込んだ「カンクン合意」を採択。これに先立つ同年5月、ドイツ・ボン郊外で開催した閣僚級会合が「カンクン合意に道筋をつけた」とドイツ側は位置づけている。
ただカンクン合意後の国際交渉では、途上国への資金援助などで先進国と途上国が対立。COP17での決着は困難との予想が多く、13年以降の温室効果ガスの削減義務がない「空白期間」が生じる恐れが強まっている。【7月3日 毎日】
***************************

世界各国は“温暖化防止”どころではない・・・というのが実情でしょう。
欧州は、ギリシャなどの信用不安に揺さぶられていますし、アメリカは大統領選に突入、日本は震災復興で原発のかわりに火力発電所を再開、中東・北アフリカは民主化問題で蜂の巣をつついた有様・・・といった状況です。

2012年には有機薄膜太陽電池を実用化
化石燃料を減らし、原発も避け・・・・となると自然エネルギー利用となりますが、全くのイメージですが、“風まかせ”の風力より、毎日顔を出すお日様を利用する太陽光のほうがあてになるような感じがします。
風車のような大規模設備も必要なく、どこでも簡便に利用できるのも魅力です。
特に、最近のうだるような暑い日には、この日差しをなんとか利用できないものかと考えてしまいます。

原発再開でもめる日本ですが、菅首相は「太陽光発電のコストが6分の1になれば、原子力とほぼ同等になる」と、その普及に意欲を見せているとか。
*****太陽光コスト、6分の1なら原子力と同等…首相*****
菅首相は7日午前の参院予算委員会で、東京電力福島第一原子力発電所事故を受けた再生可能エネルギー(自然エネルギー)活用の柱とする太陽光発電について、「(新型のソーラーパネルの開発を)是非とも進めることで、発電コストの6分の1への引き下げを実現したい」と述べ、普及に重ねて意欲を示した。
首相は、「太陽光発電のコストが6分の1になれば、原子力とほぼ同等になるとの自分なりの見通しを持っている」と語った。
首相は5月の訪欧時、太陽光発電のコストを2020年に現在の3分の1、30年には6分の1に引き下げるとの目標を示している。

一方、海江田経済産業相は、運転停止中の原発の再稼働の是非を判断するためのストレステスト(耐性検査)について、「さらなる安心を近隣自治体や県などに持ってもらうためのものだ」と述べ、理解を求めた。【7月7日 読売】
*****************************

コストは、技術革新と普及による大量生産で、想像以上に急速に変化するものなのではないでしょうか。
太陽光発電に関するいろんなニュースで、どれが実用面で重要なニュースかは判断できませんが、最近目にした有機被膜電池の話題。

****どこでも太陽電池 - 三菱化学/中ノ森 清訓****
インクのように塗り加熱することで太陽電池とすることができる半導体材料につき、三菱化学が2012年の実用化の目処をつけた。色々な用途が考えられそうで、夢が膨らむ材料だ。

三菱化学が次世代太陽電池として実用化が待たれている有機薄膜太陽電池において、世界最高値となる9.2%のエネルギー変換効率を達成した。
同社によると、これまでの有機薄膜太陽電池の最高値だった8%台で、それを一気に1%も向上させることができたことになる。同社は、エネルギー変換効率を10%にできれば実用化に踏み切れると考えており、今回の成功により2012年にはこの有機薄膜太陽電池を実用化できる見通しという。

この有機系の太陽電池は、現在、普及している無機系の結晶シリコン太陽電池に比べ低価格、安定調達が見込まれている。結晶シリコン太陽電池は原料に高純度シリコンを使っており、日本の場合、その調達を中国からの輸入に全面的に頼っている。一方で、三菱化学が研究開発を進めている有機薄膜太陽電池は、入手しやすい原料を使っており、従来の結晶シリコン太陽電池に比べて、生産コストや原料調達リスクを低く抑えられる。

同社が開発を進めているもう一つの特徴は、印刷技術が利用可能な製造方法という点だ。有機薄膜太陽電池の製造方法としては、大掛かりな製造装置が必要な真空蒸着法が主流とされていたが、同社の製法では、フィルム基板などに印刷して簡単に製造できる。製造装置も比較的小さなもので済み、低コストでの大量生産が可能になる。真空蒸着法では難しかった大面積化も容易だという。

この製法を可能にしたのが、同社が開発した有機半導体材料だ。この材料は結晶化前の前駆体の段階では有機溶媒に溶かしてインク状にすることができる。それをフィルム基板に塗布して加熱すると、この半導体材料が結晶化し、太陽光電池に適した薄膜の半導体特性を持つ。

こうしてできた同社の有機薄膜太陽電池は、薄く、軽く、曲げられるという特徴を持つため、応用範囲が広く、様々なデザインに加工できる。たとえば、同社では「屋根だけでなく、自動車のボディ、家の壁面や部屋の壁紙、カーテンで発電する」といった用途を考えている。

同社によると、衣服でも太陽光発電ができるようになるとのことで、正しく、日のあたる所であれば何でもどこでも太陽電池とすることができるという位の勢いだ。製品に塗るだけなので製品重量も嵩まない。よって、性能だけでなく、物流面でも環境経営を材料として非常に面白いものである。

材料メーカが非常に魅力的な素材を提案してきた。我われが次に問われるのは、こうしたユニークな材料を前にして、どの様に魅力的な製品、サービス、事業を作れるかだ。「どこでも太陽電池」とでも言うべきこの素材なら、色々なことができる気がする。(参考:2011年6月20日 日経ビジネスONLINE 山田久美「日本キラピカ大作戦」)【7月4日 INSIGHT NOW!】
****************************

かつて液晶テレビは「1インチ1万円」と言われていましたが、あっという間に価格が下がりました。
太陽電池も今後の技術革新と大量生産で、一気に低価格になるのでは・・・と、なぜかきょうは妙に楽観的です。
もちろん、そのためには適切な政策誘導が必要ですが、そっちはいささか心もとない感があります。
2011-06-08 20:37:35

温暖化  進展しない交渉  日本の目標設定、フクシマで困難に

テーマ:環境

碧空-温暖化 気温推移
(世界の気象に関する研究機関が発表している気温の推移 GISSはGoddard Institute for Space Studies 、HADCRUTは英国気象庁、NOAAはアメリカ海洋大気圏局など。
こうした統計資料の解釈は、その処理方法や前提条件に関する理解が必要になりますので、私のような素人はなんとも言い難いところですが、一見したところ、この100年間で0.7~0.8℃程度、世界の気温が上昇しているようにも見えます。そうした見方が正しいのかどうかはわかりません。 “flickr”より By ClimateHawk
http://www.flickr.com/photos/60934725@N08/5718900979/  )

【止まらないCO2排出増加、進まない温暖化防止交渉】
ひところに比べ地球温暖化に関する議論はあまり目にしなくなりましたが、もちろん現状が改善している訳ではありません。

****CO2排出レベルが過去最高に、気温上昇「2度」超える恐れ 英紙****
30日付けの英紙ガーディアンが掲載した最新データで、CO2排出レベルが過去最高の水準にあることが明らかになった。このままでは気候変動で危険な影響が出るとされる2度の気温上昇を上回る恐れがあるという。
ガーディアンに掲載された国際エネルギー機関(IEA)の推計データによると、世界経済が回復基調に戻ったことに伴い、2010年のCO2排出量は1.6ギガトン増加した。これまでで最も高い増加幅だ。

IEAの主席エコノミスト、ファティ・ビロル氏は同紙に「(CO2)排出に関する最悪のニュースだ」と語った。「気温上昇を2度以下に抑えることは非常に困難になってきた。この数値は、見通しが厳しくなったことを示している」

科学者の間では、気温上昇幅が2度を超えると、気候変動は危険な領域に突入すると考えられている。このため、IEAでは2020年までにエネルギー関連の排出ガス量を32ギガトン未満に抑える必要があると警告しているが、最新のデータでは、2010年のCO2排出量は30.6ギガトンに達したと推計されている。【5月30日 AFP】
*******************************

COPにおける交渉は、先進国と新興国・途上国の利害対立から、このところ停滞しています。
今年末に南アフリカで開催される国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)に向けた交渉も進展がみられていません。

****温暖化交渉:進展乏しく作業部会閉幕 COP17不透明に*****
タイのバンコクでの国連気候変動枠組み条約の特別作業部会は8日、交渉を終え閉幕した。京都議定書に定めのない13年以降の温暖化対策をめぐり、今年末に南アフリカで開催される同条約第17回締約国会議(COP17)に向け議論の具体化を目指したが、大きな進展はなく各国の主張の隔たりは埋まらなかった。今後の議論の道筋を示す議題設定は最終日になんとか合意にこぎ着けたが、実質的な交渉の開始には至らなかった。
6月にドイツのボンで次回会合を開くが、昨年メキシコのカンクンで開催されたCOP16での合意を土台に、COP17でより踏み込んだ合意を取り付けられるか見通しは不透明な状況だ。

COP16では、途上国への資金援助や新興国を含む排出削減の検証の仕組みなどの要素を盛り込んだ「カンクン合意」を採択。今回の会合で、先進国はこの合意に沿って議論を進めるよう主張したが、先進国により大きな負担を求める途上国や中国が反対し、今後の議論の道筋を示す議題設定が難航した。最終的にカンクンで合意できなかった内容も議題に含むことで決着した。

13年以降の国際的な削減義務がない「空白期間」を避けるため、議定書に基づく先進国の削減義務の強化と、削減義務を負わない米国や中国が参加する新枠組みの「2本立て方式」を目指す流れが強まる中、日本は温室効果ガス主要排出国の米中を含む一つの枠組みを求める従来の立場を変えていない。【4月9日 毎日】
******************************

最近積極的な取り組みを表明した国としては、イギリスがあります。
****英政府が温室ガス削減目標「25年までに50%減」*****
英国のヒューン・エネルギー気候変動相は17日、温室効果ガスを2025年までに90年比で50%削減する方針を表明した。

英国は労働党政権だった08年、50年までに80%削減する目標を設定。昨年、産業界の支持を受ける保守党のキャメロン政権に交代して対応が注目されていた。環境重視の立場をとる連立相手の自由民主党の主張を受け入れて、先進国の中でも高い目標を維持することを容認した。
景気後退に懸念を募らせる産業界に配慮して、14年の時点で他の欧州連合(EU)加盟国が削減目標に達していない場合は見直す方針も盛り込んだ。日本政府は20年までに90年比で25%削減するとの目標を掲げている。【5月18日 朝日】
****************************

【「原発復旧の先行きにめどがついていない状態では目標の達成は困難だ」】
日本は、2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減するという目標を、鳩山首相時代に表明していますが、フクシマにともなう原発見直しの流れもあって、目標達成は非常に苦しい状況です。

****揺らぐ25%削減目標 温室効果ガス、原発頼れず達成困難*****
産業界反発、削除案も
東京電力福島第1原子力発電所事故を受け、2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減するという日本の目標達成が困難となっている。温室効果ガス削減の切り札だった原発に頼れなくなったためだ。
与野党は25%削減目標の取り下げを含む見直し案を協議し始めており、鳩山由紀夫前首相が国際的に公約した目標は根本的な修正を迫られつつある。

「原発復旧の先行きにめどがついていない状態では目標の達成は困難だ」。日本経団連の米倉弘昌会長は6日の会見で、25%削減目標への懸念をあらわにした。
25%削減目標は09年9月に鳩山前首相が表明したものだ。菅直人首相も1日の参議院本会議で、この目標について「従来と変わりない」と語ったが、経済界の懸念と歩調を合わせるように目標の見直しが大きな政策課題となりつつある。

与野党は今国会で審議中の地球温暖化対策基本法案の見直し協議に着手。この中で、同法案に盛り込まれた25%削減を取り下げて新たな目標を法律成立後に定める案や、25%の数値を残しつつも将来の見直しを規定する案などを検討。温暖化対策税を導入する時期の明記をやめたり、排出量取引の導入を見合わせる案なども議論されている。

目標修正の直接的な原因は原発事故だ。政府が昨年6月にまとめたエネルギー基本計画は、30年までに14基以上の原発を増やし、電源に占める原発の割合を05年度実績の約30%から53%に引き上げるとしていた。
だが、原発事故でこうした計画の実現は事実上、不可能に近くなった。原発を増やせない分を火力で補った場合、30年の温室効果ガス排出量はエネルギー基本計画での想定に比べて1億6600万トン増える。25%削減の基準年である1990年と比べると、約13%も上積みされる計算だ。

それでも25%削減を目指すなら、火力ではなく再生可能エネルギーの拡大が不可欠となるが、太陽光発電などはコストが高く、国からよほど巨額の補助がないかぎり、経済界の負担はあまりにも大きくなる。
実際、産業界からは「このままでは日本での操業はカントリーリスクになる」(鉄鋼業界幹部)、「3~5年で日本から出ることになるだろう」(別の製造業幹部)などと反発する声が続出し、25%削減の目標自体を大幅に見直さざるを得ない状況となりつつある。
21世紀政策研究所の澤昭裕研究主幹も「原発と再生可能エネルギーの比率は地に足のついた現実的な議論が必要だ」とした上で、25%目標は「棚上げにすべきだ」と指摘している。

もっとも、11月末に南アフリカで開かれる国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)に向けた準備が始まっている国際交渉で、政府は日本など一部の先進国にのみ温室効果ガス排出量削減を義務づけた京都議定書の単純延長に反対の立場を崩していない。
そんな中で25%削減目標も引き下げれば、「日本として地球温暖化問題にどのように対処するのか示すことができなくなる」(与党幹部)との懸念もある。【6月7日 産経】
********************************

地球温暖化対策基本法案の見直し協議については、下記のように報じられています。
****温室ガス25%減修正も 衆院環境委員長が基本法3試案*****
政府の地球温暖化対策基本法案をめぐり、前環境相の小沢鋭仁・衆院環境委員長(民主)が、三つの修正試案をまとめていたことが7日、わかった。法案の目玉だった温室効果ガス削減の「25%目標」を削除する案もある。地球温暖化対策の国際交渉を乗り切るためには、目標修正に踏み込んででも同法の早期成立が不可欠だとして与野党に呼びかける。しかし、新たな政権の枠組みが模索されるなか、着地点は見えない。 

温暖化対策の基本法案は、政府のほかにも自民、公明の両党も国会に提出している。2020年までに減らす温室効果ガスの目標について、政府案は1990年比25%減と明記。自民案は05年比15%減(90年比8%減)、公明案は90年比25%減だ。

小沢氏は各党と非公式に協議し、目標について修正試案をまとめた。(1)目標は残すが必要に応じて見直す(2)目標を削除し、基本計画の中で改めて設定する(3)基本法の前文に温暖化に関する科学的な知見をふまえる必要性を書き込んだ上で基本計画で目標を設定する、という3案を示した。【6月8日 朝日】
******************************

フクシマを処理しきれていない現状では原発の今後の方針も目処がたたず、温室効果ガス削減目標も後退せざるを得ない・・・というのが実態ですが、日本の省エネ技術などを生かせる場でもある温暖化の議論においても、日本の国際的存在感が更に薄くなることにもなり、残念なことです。


2010-12-24 19:39:55

温暖化対策  欧州寒波、シュワルツェネッガー知事そしてティモシェンコ前首相

テーマ:環境

碧空-ティモシェンコ
(大統領選挙に敗れて以来、久しぶりの国際ニュース登場のティモシェンコ・ウクライナ前首相ですが、温室効果ガス余剰排出枠の日本への売却代金を不正に流用したとして刑事訴追・・・という芳しくない話題です。
美貌は相変わらずですが、政治状況は厳しいようです。
ただ、彼女はこれまでも天然ガス取引を巡ってロシアから訴追を受けたりしていますので、これくらいではギブアップしないのかも。  “flickr”より By vles5 
http://www.flickr.com/photos/56840724@N04/5244618875/  )

【問題先送り】
地球温暖化に関するCOP16は、結局問題先送りの形で11日に終了しました。
****COP16 「カンクン合意」採択して閉幕 難題は先送り*****
2010年12月12日 12:00 発信地:カンクン/メキシコ
メキシコのカンクンで開かれていた国連の気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)は11日、発展途上国の温暖化対策を支援する「グリーン気候基金」の設立などを盛り込んだ「カンクン合意」を採択して閉幕した。(中略)
カンクン合意では産業化以前からの気温上昇を2度以内に抑えることを呼びかけるとともに、気温上昇を1.5度以内にするための研究の必要性を訴えた。森林破壊防止対策や、各国の気候変動対策の実施状況を検証することでも合意した。

■難題は持ち越し
しかし、すべての国を対象にした温暖化ガス排出削減など、合意が難しい問題の多くは来年南アフリカで行われる次回の会議に持ち越された。
2012年末に期限が切れる京都議定書の扱いについて議論は数日間紛糾した。EUは京都議定書の延長を提案したが、日本は、京都議定書には世界の主要排出国である米国と中国が参加していないため、世界の排出量の約30%しかカバーしていないとして同議定書の単純延長に反対する姿勢を示した。
最終的にカンクン合意では、格差をなくすことを目指して京都議定書の第2期間の検討作業を行うことを呼びかけたが、各国に新ラウンドへの参加義務は課さなかった。

京都議定書は途上国に排出量削減を求めていない。中国は条約にしばられることを拒否している一方、インドが今回の会議で将来においては少なくとも、義務としての行動を検討すると表明したことは驚きを持って受け止められた。(後略)【12月12日 AFP】
**************************

【大寒波の原因も温暖化】
温暖化対策がなかなか進展しないのは、先進国・新興国・途上国で立場の違いがあることが現実的な理由ですが、温暖化の進行、その影響について個々人レベルで確実な認識が得にくいことが、議論の切実性、果敢な対策実行への勢いを削いでいるように思われます。
アメリカなどでは、“温暖化進行”に疑問を持っている人々が多数いますが、変動する長期的現象を明確に把握できない個人レベルの認識としては無理からぬところです。

寒波による雪で道路が大渋滞になっているニュースが、このところ毎朝フランスから伝えられています。
雪道で渋滞し寒さに凍えていると、「温暖化?何それ」といった感じにもなりますが、こうした厳しい寒波の増加も温暖化の影響だという研究が発表されています。

****欧州で近年増加する大寒波、原因は「温暖化」 独研究*****
欧州の冬は過去10年間でたびたび記録的大寒波に見舞われているが、その主な要因は地球温暖化であるとする論文が、今月発行の学術誌「Journal of Geophysical Research(地球物理学研究ジャーナル)」に発表された。
欧州全域は2005~06年の冬季に大寒波に見舞われた。強い寒波は09~10年の冬季にも再来。今季も既に各地で記録的寒波に見舞われ、交通機関が大混乱するなど影響が出ている。
ドイツのポツダム気候影響研究所は今回発表した論文で、地球温暖化が欧州に大寒波をもたらしていると結論づけた。

■海氷面積の減少が強い高気圧を生み出す
北極では、世界平均の2~3倍の速さで気温が上昇しており、過去30年間で海氷面積が20%減少している。
研究チームは、スカンジナビア半島北方のバレンツ・カラ海の冬季の海氷面積の減少が天候パターンに及ぼす影響について、コンピューター・シミュレーションを行ったところ、次のような結果が得られた。
海氷面積が減少すると、太陽の放射熱は、氷や雪で反射される量より、海に吸収される量の方が多くなり、温暖化が加速される。
これにより、冬季にも広大な熱源(つまり海に吸収された熱)が存在することになる。海水が比較的温かいため、上空の冷たい空気との温度差により海から上空に向けて熱流が生じ、大気が温められる。
その結果、海氷のない海の上空には勢力の強い高気圧が発生し、反時計回りに回転して、欧州に北極の寒気を流し込む。

■欧州と北アジア、寒気強まる可能性3倍に
研究者は、このような異常現象により、欧州と北アジアの冬の寒気が強まる可能性は3倍になったと指摘している。
なお研究者らは、欧州で頻発する寒波は温暖化傾向が弱まった証ではなく、(温暖化の)影響の偏りが反映されているに過ぎないと口をそろえる。
ある研究者は、「(ポツダムで)氷点下14度と30センチの積雪を記録するかと思えば、グリーンランドでは12月になっても氷点下にならない日々が続いている」と話した。【12月23日 AFP】
*******************************

【カリフォルニア州で包括的な温暖化ガス排出権取引制度】
先ほど、アメリカでの温暖化への認識度合いに触れましたが、アメリカでも地域差があり、「新しいもの好き」というか、環境への関心が高いカリフォルニアなどでは、包括的な温暖化ガス排出権取引制度を2012年から実施することが決められています。

****米カリフォルニア州、 2012年から包括的な排出権取引制度を実施*****
米カリフォルニア州大気資源局は16日、州都サクラメントで会合を開き、包括的な温暖化ガス排出権取引制度を2012年から実施することを9対1の賛成多数で承認した。

州内の幅広い業種の主要企業に温暖化ガスの排出権を割り当て、その過不足分を売買する「キャップ・アンド・トレード」方式を導入する。米東部の10州では2009年に同様の「地域温室効果ガス計画」が始まっているが、こちらの対象は電力セクターの企業に限られていた。
来年1月に任期を終えるアーノルド・シュワルツェネッガーカリフォルニア州知事は「わたしは2003年の州知事選でこの政策を訴えた。経済と環境が両立できることを示したい。2006年以降、環境関連の雇用の伸びはそれ以外の業種の10倍以上に上っている。環境は経済にもプラスになる」と述べた。

カリフォルニア州はまず無料で企業に排出量の枠を割り当て、徐々に割り当て量を減らすことで企業に環境対応を促す。企業が森林や農園などでの環境プロジェクトを支援すると、排出権を得ることができる。メキシコのチアパス州やブラジルのアクレ州での森林保全活動なども認められており、一部からは伐採後に植林をする木材企業を支援しさえすれば企業が排出削減義務を免れることができると批判する声も上がっている。

欧州連合(EU)は温暖化ガスの排出量を2020年までに1990年の水準から20%削減するという目標を掲げている。EUほど野心的ではないものの、カリフォルニア州も温暖化ガスの排出量を25%削減し、2020年までに1990年の水準にまで減らす方針だ。
2009年、全米規模のキャップ・アンド・トレード制度の創設などを盛り込んだ「米クリーンエネルギー安全保障法案」が米下院で可決された。バラク・オバマ大統領の民主党は、この法案で気候変動対策ができる上に環境関連の雇用が増えると主張したが、経済に悪影響を与えると主張する共和党の反対で上院は通過しなかった。
ことし11月の中間選挙で共和党が勝利したことから、全米規模でキャップ・アンド・トレード制度を導入するめどは立っていない。【12月19日 AFP】
**************************

【現政権による政敵迫害?】
国家間での温暖化ガス排出権取引についてはすでに実施されており、国内の排出をなかなか減らせない日本も各国から排出枠を購入して京都議定書の合意達成を目論んでいますが、ウクライナとの契約で、環境対策に使用すると取り決められた代金が不正流用されているとの問題が起きています。

****ウクライナ前首相訴追 温室ガス余剰排出枠の代金流用か*****
京都議定書に基づく温室効果ガスの余剰排出枠の売却代金を不正に流用したとして、ウクライナ最高検は20日、チモシェンコ前首相を職権乱用の容疑で刑事訴追した。日本はウクライナ政府と2009年3月、排出枠3千万トンを購入する契約を締結、その代金が捜査の対象になっている。
イタル・タス通信などによると、チモシェンコ前首相は同日、記者団に対し、最高検から訴追され、逮捕の代わりに旅行禁止の誓約書をとられたことを明らかにした。日本との契約では、売却代金は温室効果ガス排出削減などの環境対策に使用する取り決めだったが、年金の支払いに目的外使用したとされている。対象額は3億2千万ユーロ(約350億円)とされる。
今年2月の大統領選の決選投票で、チモシェンコ前首相はヤヌコビッチ現大統領に敗北。その後の4月に最高検の捜査が始まった。当時の環境相はすでに逮捕されている。前首相は「ナンセンスだ。現政権による政敵迫害に他ならない」と反発している。【12月21日 朝日】
*****************************

大統領選挙で敗北した美貌のティモシェンコ前首相ですが、なかなか厳しい政治状況に陥っているようです。
これまでも天然ガス取引での疑惑・訴追なども乗り越えてきましたが、今回はどうでしょうか?
余剰排出枠の売却に関しては、今後この種の問題が多発するのではないでしょうか。


2010-12-09 20:14:27

地球温暖化に関するCOP16 日本、京都議定書延長に強く反対

テーマ:環境

碧空-ツバル
(サンゴによって成長するツバルは海面上昇でも沈まない・・・との指摘があるようですが、サンゴではなくゴミの山で成長しているような・・・・そんな写真です。“flickr”より By tanwc
http://www.flickr.com/photos/tanweecheng/4776014991/ )

【異常気象】
連日、ヨーロッパ各国からは例年より早い寒波による市民生活混乱のニュースが伝えられています。
****寒波の欧州、パリ大雪でエッフェル塔が閉鎖に*****
欧州各地で続く異例の寒波の影響で8日、仏パリは積雪11センチと23年ぶりの大雪に見舞われ、観光名所のエッフェル塔が閉鎖に追い込まれた。シャルル・ドゴール空港も除雪のため一時閉鎖され、道路交通もまひした。
一方、英国・スコットランドでは、ハイランド地方で気温が零下18.3度を記録、エジンバラで最大76センチの積雪を観測した。各地で高速道路や鉄道に影響が出ている。またスペインでは洪水が発生したほか、ポルトガルでは7日に暴風が吹き荒れ、車や立木、電信柱や屋根などが飛ばされる被害が出た。【12月9日 AFP】
****************************

今年の夏はロシアでは記録的な猛暑で山火事が多発しました。日本も猛暑でした。
パキスタンでは大雨によるインダス川の洪水によって、全土で大きな被害を出し、その爪痕はまだ癒えていません。

こうした「何十年ぶりの異常気象」の類は地球温暖化の議論とも関連して最近よく目にしますが、そうした異常気象が本当に増えてきているのか・・・?ということについては、個人的には若干の疑問もあります。
昔は多少の「異常」はあまり話題として取り上げられることもなかったけど、近年はメディアの発達や、特に最近の温暖化への関心もあって、そうした「異常気象」が昔より関心をもたれるようになっただけではないか・・・、今も昔も、異様に暑い夏もあれば、例年になく寒い冬もあり、世界に目を向ければどこかで何かの災害が起きていたけど、そんなにみんな気にしていなかっただけでは・・・・という疑念です。

地球温暖化とは別の、人為的気象変動に都市化に伴って気温が上昇するヒートアイランド現象もあります。
こちらは、建物のコンクリート化や舗装道路、空調設備の排気熱などが原因で、熱中症など健康被害の増加や局地的集中豪雨の発生などをもたらしますが、あくまで都市問題であって、地球規模の気候変動とは関係ないとされています。
****台湾:乾きゆく 45年間で湿度9%減、名物の霧雨半減 休耕相次ぎ、影響拡大****
亜熱帯から熱帯にかけての海洋に囲まれ、国際的に「高温多湿の島」というイメージが強い台湾。ところが、都市化によるヒートアイランド現象で湿度が過去45年間で約9%も下がった。風物詩の「毛毛雨」と呼ばれる霧雨が極端に減少。一般的に気温が上昇すると湿度は低下し、その上昇幅が大きければ大きいほど湿度の低下幅も大きくなる。しかし、台北では東京より気温上昇幅が小さいが、湿度の低下幅が大きくなる逆転現象が起きている。水不足で休耕地が増えるなど食への影響も出始めた。(後略)【12月9日 毎日】
*******************************

【ツバルは沈むか?】
ただ、気象への関心の高まりでやや増幅されている面はあるにせよ、気象に関する専門家が地球温暖化を断じているのですから、温暖化傾向は現実の問題なのでしょう。
なにぶん変動が大きく、長期にわたる現象ですので、それを個人的に確認・実感するのは難しいところがありますが、北極海やヒマラヤの氷河の現象・後退などは比較的よくわかる事象でしょう。

地球温暖化の象徴的事象のひとつが海面上昇です。
****海面上昇「逃げ場ない」=ツバル副首相が訴え―COP16****
南太平洋の島国ツバルのソポアンガ副首相は8日(日本時間9日)、国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)の閣僚級会合で演説し、「台風が来れば、ヤシの木に登る以外に逃げ場はない」と述べ、地球温暖化に伴う海面上昇を一刻も早く防ぐ必要性を強調した。
同副首相は「ツバルは最も幅の広い土地で600メートル、海抜は最高4メートルにすぎない」と説明。「われわれは気候変動の影響にさらされている」と窮状を語った。また、島国ミクロネシア連邦のアリク副大統領は「温暖化は国家存続の脅威だ」と強調。島と住民の未来はこの会合の結果にかかっていると訴えた。【12月9日 時事】 
*****************************

例年、国連気候変動枠組み条約のCOPになると取り上げられる話題でもあります。
ただ、温暖化で海面が上昇しても「ツバルは沈まない」という意見もあるようです。
****温暖化:「海面上昇でもツバル沈まず」 英科学誌に論文*****
「太平洋の島々は成長を続けており、海面が上昇しても沈むことはない」--。そう主張する研究論文が英科学誌「ニュー・サイエンティスト」に掲載され、議論を呼んでいる。
ツバルやキリバス、ミクロネシア連邦など南太平洋の島々は温暖化による海面上昇の影響で、将来的には地図上から消える「沈む島」と呼ばれてきた。

論文のタイトルは「変形する島々が海面上昇を否定」。過去60年間に撮影された航空写真と高解像度の衛星写真を使い、ツバルやキリバスなど太平洋諸島の27島の陸地表面の変化を調査した。
その結果、海面は60年前よりも12センチ上昇しているにもかかわらず、表面積が縮小しているのは4島のみ。23島は同じか逆に面積が拡大していることが明らかになった。ツバルでは九つの島のうち7島が3%以上拡大し、うち1島は約30%大きくなったという。
拡大は「浸食されたサンゴのかけらが風や波によって陸地に押し上げられ、積み重なった結果」であり、「サンゴは生きており、材料を継続的に供給している」と説明。1972年にハリケーンに襲われたツバルで、140ヘクタールにわたってサンゴのかけらが堆積(たいせき)し、島の面積が10%拡大した事例を紹介している。
研究に参加したオークランド大学(ニュージーランド)のポール・ケンチ准教授は「島々が海面上昇に対する回復力を備えていることを示す」と指摘し、「さらなる上昇にも対応する」と予測。一方、海面上昇が農業など島民生活に影響を与えることは避けられないとして、「どのような地下水面や作物が温暖化に適応できるか調べる必要がある」としている。【6月9日 毎日】
******************************

ツバルが沈まないのは結構なことですが、「海面は60年前よりも12センチ上昇している」というのは本当でしょうか?このペースが加速していくと大きな影響を日本を含めた世界中にもたらす問題です。
“2100年までの海面上昇量の予測は、IPCCの第3次報告書(2001)では最低9 - 88cm の上昇、第4次報告書(2007)では、最低18 - 59cmの上昇としている。しかしこれらのIPCCのモデルでは西南極やグリーンランドの氷河の流出速度が加速する可能性が考慮に入っていない。近年の観測では実際に大規模な融雪や流出速度の加速が観測されていることから、上昇量がこうした数値を顕著に上回ることが危惧されている。AR4以降の氷床等の融解速度の変化を考慮した報告では、今世紀中の海面上昇量が1~2mを超える可能性が複数のグループによって指摘されている”【ウィキペディア】というのも、やはり現実の問題のようです。

【日本の主張に“会場は約30秒間静まりかえった”】
そこで、メキシコ・カンクンで開催されている国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)です。
議論の方は、例によって、これまでの温暖化の責任をとる形で先進国が厳しい規制を実施すべきと主張する新興国・途上国とEU・日本などの議論がぶつかっており、京都議定書の枠組みに参加していないアメリカ・中国・インドといった国々の扱いも問題となっています。
先進国だけに規制を課した京都議定書の期限切れを控えて、その延長を認めるかどうかが議論の焦点になっています。

****COP16:閣僚級会合が開幕 通じぬ日本の道理*****
国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)は7日(日本時間8日)、閣僚級会合が開幕し、京都議定書に定めのない13年以降の枠組みをめぐる論議は山場を迎えた。しかし、地球温暖化を招いた責任論など従来の主張が繰り返され、「決着は来年以降」というのが交渉担当者の共通認識になっている。議定書で温室効果ガスの削減義務を負っている国の排出量は世界の27%にとどまる。日本は議定書の見直しを訴えるが、支持は広がらず厳しい対応を迫られている。

「立場が違う相手に妥協を求めるより、まず自らが歩み寄ってほしい」。フィゲレス条約事務局長は閣僚級会合で各国に呼びかけた。この発言が象徴するように交渉は難航している。きっかけを作ったのが日本だ。
11月29日のCOP16初日、日本は「いかなる条件でも(13年以降の)第2約束期間での削減目標を記入しない」と演説、議定書の延長不支持を鮮明にすると、会場は約30秒間静まりかえった。
97年に採択された京都議定書は日米欧などの先進国に温室効果ガスの排出削減を義務づけた。しかし、米国は経済的影響を理由に離脱、世界最大の排出国の中国も途上国扱いで削減義務はない。
日本は「現状の枠組みでは産業の国際競争に影響が出る上、温暖化防止の実効性も乏しい」と説明、途上国支援の実績をもとに支持拡大を図るが、「開幕早々、水を差した」(タイ)、「柔軟性を持つべきだ」(パキスタン)など反応は冷ややか。日本と立場が同じなのはカナダとロシアだけだ。

 ◇目立つ米中接近
交渉では、皮肉にも削減義務を負っていない米国と中国の存在が目立つ。
例えば、中国はインドと歩調を合わせ、先進国が議定書延長や早期の資金供与などの3条件をのめば、削減対策の国際検証を受け入れると表明。検証は着実に対策を実施するために重要で、米国が強く求める。「内政干渉」と抵抗する国は多いが、中国は条件闘争に入って主導権を握り、米国と水面下交渉を進める。
中国外務省高官の劉振民氏は「米国との友人関係を楽しんでいる」と語り、米国のトッド・スターン気候変動問題担当特使も会見で「中国と頻繁に話し、愛情すら持っている」と語った。欧州連合(EU)は「米中はいつもひそひそ話をしている」と警戒する。(中略)
 
 ◇交渉の構図が複雑化
締約国の中で多数派の途上国は「温暖化を招いたのは先進国」という観点で、京都議定書延長の立場で足並みをそろえる。閣僚級会合で、イエメン代表は「先進国は温暖化問題の歴史的な責任がある。経済力に比例した目標をもつべきだ」と訴えた。
その途上国も、気温上昇幅や世界全体の排出削減目標など、「ポスト京都」を構成する項目で主張が異なる。先進国との対立も相まって交渉の構図は複雑化している。
COP16の作業部会で、議長のたたき台は、「(地球規模での温暖化被害を深刻化させないとされる)気温上昇を2度未満に抑える」と盛り込んだ。国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の報告書を反映した数値だが、途上国も排出削減を迫られる可能性があり、中国は反対している。
同じ途上国でも、米国を抜き世界一の排出国となった中国をはじめとする新興国への目は厳しい。
1.5度未満を求める南米ボリビアのパブロ・ソロン首席交渉官は「(自然災害をもたらす)温暖化は大量殺人だ。命と自然を守ろうとする姿勢が、交渉を停滞させていると言うのか」と主張する。
6日の会見でインドのラメシュ森林環境相は、米国が20年までに05年比17%削減するとの目標を取り上げ、「低すぎる数値だ。心底がっかりだ。これまでの累積排出量が最大の米国の参加なしに、地球規模での対策を成功させることはできない」と指摘し、さらなる温暖化防止のための資金支援を求めた。
これに対し、EUは「2度未満達成には、すべての主要排出国の削減が必要だ」と主張し、日本も米中の参加を求めている。【12月8日 毎日】
***********************************

議論の中身は「例によって」ですが、いつになく日本が強硬な姿勢を貫いているようです。
言うべきことを言うのは結構なことです。多勢に無勢の感がありますので、妥協を迫られる形は予想されますが。


2010-11-14 20:45:02

オーストラリア  個人を対象にした排出権取引の実験

テーマ:環境


碧空-クーポン
(本文とは無関係な、ただの値引きクーポンです。 “flickr”より By LZBone
http://www.flickr.com/photos/27232603@N00/2583975100/  )

温暖化防止の方策として国家間の排出権取引が行われていますが、オーストラリアの島で個人間での同様の制度も試みがなされているそうです。
なお、オーストラリアではラッド前首相が公約に掲げていた国内の企業・団体による温室効果ガス排出量取引制度導入法案が上院で2度にわたって否決され、導入時期先送りに追い込まれたことで国民から「指導力不足」との批判を受けたことが、現在のギラード首相に交代を余儀なくされた一因とされています。

****南の島の実験*****
温室効果ガスのうち、二酸化炭素(CO2)の1人当たり排出量が、先進国では米国に次ぐ2位というオーストラリア。ギラード政権は、排出権取引制度の導入などが進まぬなか、本土から遠く離れた南太平洋のノーフォーク諸島で、個人を対象にした排出権取引を始めるという。

実験は、同国のサザンクロス大学が中心となり、連邦政府からの40万豪ドル(約3300万円)を元に来年からスタート。1800人の住民に対し、一定額の排出権のポイント券を発行。住民は何かを買ったり、サービスを受けたりするたびに、商品やサービスで消費するCO2排出量に見合う額のポイントを支払う。
1年を通じて残ったポイントは換金できる仕組み。ガソリンなどをたくさん買えば、すぐにポイントは無くなってしまうので、CO2の消費を抑えることができる。ちなみに、CO2だけでなく食べ物も対象で、脂肪量に応じてポイントを支払う。同島は本土から遠く、ほとんどの物を輸入に頼っており、島でできる野菜などの消費を増やすことで、肥満解消にもつなげようというわけだ。

同島の住民は有名な「バウンティ号」で反乱を起こして逃走した船員の子孫が多いというが、太陽光発電などにも熱心といい、環境に優しい島として世界にアピールしようとしている。【11月10日 産経】
********************************

ここから先は、近未来社会SFのB級映画の見過ぎによる妄想の世界の話。
「結構な取り組みだけど、ポイント券をいちいちやり取りするのは煩雑。ICカードみたいなものを発行して商品購入時にチェックするようにしたら・・・」なんてことにもなるかも。
更に、せっかくのICカードだから個人情報を入れて身元確認用にも使えば・・・。そしたらすべての国民の生活行動がチェックできてテロ防止対策にもつながるかも。
健康状態に関するデータも入っていて、高脂肪食品を買おうとすると、「警告!この商品はあなたの健康をそこなう恐れがあります。購入は控えましょう」なんてメッセージが出たりして。

話を現実にもどすと、各地の紛争で無人偵察機が活用されていますが、人々の行動を空から監視する「個人用の無人偵察機」の開発競争が進んでいるそうです。アメリカの離婚問題を専門に扱うある弁護士は、「世の夫は、夜11時に外出する妻の行動を確実に追跡できるようになる」とも言っています。【11月17日号 Newsweek日本版より】

再び、妄想の世界の話。
今現在、街中のあちこちに監視カメラが設置されていますが、将来は犯罪防止のために国家による無人偵察機が街の上空を飛び交うようなこともあるかも。
テロが頻発すれば、「いっそのこと国民の皮膚の下に小さなチップを埋め込み、GPSや無人偵察機で瞬時に誰がどこで何をしようとしているか確認できるようにしたら・・・」なんてことにもなるかも。

管理する側のルールに従う限り、安心・安全で快適な生活が保証される。ただし、そのルールに疑問を抱く者は社会に害を及ぼしかねない者として抹殺される・・・よくあるB級近未来社会SF映画のストーリーです。

昔の社会は、“世間”とか村落共同体的なインフォーマルな相互監視がありました。
将来の社会も、ひょっとすると上記のような“管理社会”に近づいていくのかも。
現在はその過渡期で、つかの間の個人の自由が楽しめる時代なのかも。

せっかくの環境を考えた革新的な取り組みを、つまらない与太話で茶化しては申し訳ないので、今日はここまで。


Amebaおすすめキーワード

    アメーバに会員登録して、ブログをつくろう! powered by Ameba (アメーバ)|ブログを中心とした登録無料サイト